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表題作いつかあなたに逢えたなら

桐ケ谷律、ベンチャー企業経営
蒼生、かつて「商品」だった美しい青年、26

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

疎遠だった父が死に、桐ヶ谷律は父が子供を売買する犯罪者だったことを知る。父の屋敷には、かつて〈商品〉だった美しい青年・蒼生が遺された。戸籍もない蒼生を追い出す訳にいかず、二人はともに暮らすことになるが、律は娼婦だった蒼生を嫌悪し冷たくあたった。しかし何故か蒼生は「お役に立ちたい」と懸命に尽くしてくる。一方通行の関係は、律が友人に裏切られ、怒りをぶつけるため蒼生を抱いた夜から変わりはじめるが――。

作品情報

作品名
いつかあなたに逢えたなら
著者
片岡 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778128067
2.7

(48)

(9)

萌々

(8)

(10)

中立

(5)

趣味じゃない

(16)

レビュー数
10
得点
112
評価数
48
平均
2.7 / 5
神率
18.8%

レビュー投稿数10

静かな場所で読みたくなる

 不器用と健気の話。
 屋敷の中だけで織り成される、閉鎖的な舞台だが、展開にマンネリを感じない。
 二人が体を重ねるシーンは、二人の声と衣擦れの音だけが響いてるのが想像出来るくらい、静かな空気が伝わってくる。
 ずっと屋敷の中で暮らしていた蒼生が、ラストでは外の世界で律たちと一緒に社会に出る。
 はっきり恋人になる、って明言されてないのもまた良い。

 電子限定ショートストーリーも、じっくり読み味わえる。
 律の嫉妬も素直正直な蒼生を前にすると、一瞬でなくなるのがかわいい。

 こんな時代にそんな事有り得るのか、って言ってる人が居ますが、この作品に限らず、商業BLの9.9割のBL小説漫画はフィクションなんですが。
 人身売買といっても内臓ではなくそのままの肉体を売っているだけだし。
 隠蔽だってできる。リークされなきゃバレない。死体だって簡単に見つからない。
 ちなみにこれはミステリーでもサスペンスでもないし。フィクションを楽しみましょう。

2

このカバーイラスト!美しい!

カバーイラストのあまりの美しさに、あらすじ未確認のまま購入。

前時代耽美小説の受けと、ベンチャー起業する現代人の攻めが、時空の歪みのような実在感のない屋敷とその庭園の中ですれ違うお話。
この現代に、いきなり人身売買だの娼館だのが政治家絡みでなんやかんやして、否応なく一緒に暮らすことになった二人。
この設定が、お話としてはすごく整合性と説得力はあるけど、いっそ何かァンタジー要素でもぶちこんあった方が馴染みがあって落ち着けるというか楽というか、
他にも登場キャラたちの言動ににじみ出る雰囲気とかなんとか、
作者さんについての情報が全くないので的外れかもしれないけど、小説にも違う世代の書き手さんが現れた感がありました。

それはさておき、一途な受けの切ないお話がお好きな方におススメです。

7

「秘密の花園」Yocoさんの絵に救われている

Yocoさんが挿絵を受けた作品を集めているので、購入。表紙の絵が、本当にきれい。神秘的な満開の白薔薇が咲く庭に、たたずむ蒼生。

この作品は、著書の初商業本。
「初本」だから仕方ないと諦めるべきなのか、挿絵に随分助けてもらっているように感じた読後感。
庭の情景は、バーネットの「秘密の花園」を連想する描写。

花屋を営んでいた父。
両親と住んでいた家は、瀟洒な洋館で、白い蔓バラが咲く美しい庭。
律は一人息子。美しく、無学で、料理もできない母はただ優しい人だった。
母が父の言いつけで温室で花を育てていた、その温室に父の秘密があった。

ある日、勉強が嫌で逃げ出した律は、温室で同じ年ごろの美しい少年・蒼生と出会う。
蒼生と一緒に隠れた律は、蒼生を探しに来た男に見つかり、父に酷く叱られ、律が蒼生と二度と会うことが無かった。

父が首吊り自殺をして、父の遺産を引き継いだ律は、戸籍が無い「父の商品だった少年」と引き合わされる。
父の裏稼業を知った律は、父を許せない。父への怒りを律は、父の商品だった蒼生にぶつけて虐待に等しい態度をとる。
・・律の行動は凄く幼い。本来なら、被害者の蒼生が律を咎めるのが道理。でも蒼生は逆らわない

美しい洋館の庭、謎の火事、謎の母の死、謎の父の死、謎の美少年蒼生、
・・といったミステリアスな出だし。
蒼生と再会した後の律の非常識な行動は、ある日を境に突然変わる。
蒼生を思い切り不憫に仕立てて、無理やりハピエンに決着する構成も不自然。

未熟な構成をyocoさんの挿絵の補完で救われた作品だと思います。
Yocoさんの絵を評価して萌2。
もしかなうなら、もう一度加筆修正して素敵な作品に仕立て直してほしい。

2

久しぶりに読むのが辛かった

受けが幼い頃売春させられていたという可哀想な設定だから、じゃないですよ。設定に矛盾や穴が多くて途中引っかかりすぎたからです。せっかく売春させていた男の息子×その被害者である元少年というキャッチーな設定とyocoさんの美しい表紙とイラストがあっただけにもうちょっと話の細かい部分まで練っていたらリアリティが出せて良かったのに、と残念です。

まず最初の4分の1程読んで攻めの律が大嫌いになりました。ただの理不尽な癇癪持ちなんだもの。受けの蒼生や他の可哀想な少年達が辛い思いをして稼いだお金で中高一貫の全寮制学校や大学院まで出ておいて(多分何千万円もかかっている)あの態度はない。まるで自分の方が被害者面なんだもの。院まで出てそれ位の想像力や教養もないのか。後で改心してもこの人は好きになれないと思いました。

受けが小学校にも行けず、家からも一切出してもらえず本の知識だけで美味しい料理作ったり荒れ果てた庭を1年位で立派な庭園にしたり…天才で魔法使いか!あと攻めの母親が薬で死んだことを隠す為に庭で焼いて息子には事後報告って…現代日本でそんな事できるの?事件にならないの?そもそも薄い関係の友人に少年売春とか売買してたという家の恥部をペラペラ話していいの?父みたいに消されないの?てか戸籍のない蒼生が普通真っ先に消されるんじゃない?とか色々ツッコミが止まりません。

もう少し時代設定を昔にするとかファンタジーにするとかマフィアの一族にするとかだった方が良かったかも。大体受けの可哀想な設定も上っ面だけで清潔感溢れる人過ぎてあまり悲壮感が伝わってこない。ヒヒジジイに少年が囲われるような話は山藍紫姫子さん、水原とほるさん、いとう由貴さんなどが名作色々書かれてるのでもっと読まれた方がいいかと思います。このご時世少年のあんな生々しい性行為は書けないかもしれませんが雰囲気を読むだけでも。本当の悲壮感とはああいう事さ。

すごい辛口ですみません。設定には興味を引かれたし、攻めが胸糞悪いのは心に残りました。「攻めがクズ・ヒトデナシ系」ジャンルは確かにありますしね。

15

前半がつらいです

気になっていたのです(表紙が…)、設定(人身売買)という重さから、
なかなか読み始められなかったんですが…読んでしまいました。

前半、受けの生い立ちというか境遇がひどすぎるとゆーのと、攻めの態度がひどすぎるというのでしんどかったです。ただ、薄幸健気受けが好きなので、この境遇から、絶対最後には幸せなラストが~と励ましながら(とYoco先生の美麗なイラストで)読み進めることができました。情景描写がきれいですよね。お庭の様子が目に浮かぶようでした。

全体的な流れは好きなテンプレだと思ったのですが、、攻めの気持ちの変化が読み取りづらかったかなぁと。ちょっと急に(嫌悪→愛)に転じる印象がありました。弱いものに劣情をおぼえるというのは理解できますけど、そこから”守ってやりたい”まで昇華する過程はもう少し説明がほしかったかも。ハーブティー1杯で人格まで変わってしまったような唐突さはぬぐえず…。とはいえ、そこからの展開は佳きでした!

6

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