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過去のないαと未来のないΩの永遠

kakono nai alpha to miraino nai omega no eien

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表題作過去のないαと未来のないΩの永遠

最上瑛里,29歳,モデルで人気俳優,Ω嫌いのα
久瀬 蓮,28歳,デザイナー,訳ありのΩ

あらすじ

αで人気俳優の瑛理は大のΩ嫌い。Ωは短命だが、性交によってαの寿命を奪う忌まわしい存在だからだ。だが舞台の稽古中に衣装が切り裂かれ、瑛理はΩであるデザイナーの蓮と出会う。瑛理は蓮を辞めさせようとするが、蓮はαの瑛理を恐れない。ある日、瑛理が渋々デザインを褒めると蓮は心から嬉しそうに愛らしく喜んだ。蓮を見る目が変わり実力も認めた瑛理は、彼の寿命を延ばしたいと願ってある提案をするが…。

作品情報

作品名
過去のないαと未来のないΩの永遠
著者
片岡 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784778135706
4.3

(46)

(30)

萌々

(8)

(3)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
8
得点
193
評価数
46
平均
4.3 / 5
神率
65.2%

レビュー投稿数8

切なくも深い愛情を描き切った神作品。

作家買い。
片岡さんの新刊はオメガバものです。

片岡さんは切ない系のお話を描かれる作家さまのイメージが個人的に強いのですが、さらに今作品はオメガバースものということもあるのでしょうか。そのイメージを損なうことのない、切なく、けれどん深い愛情お描いたお話でした。

その世界観をyocoさんが描いてくださっていて、もうもう…!と言葉にならないほどの切なさと、そして萌えに終始襲われながら読破しました。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





人口のほとんどはベータ。
アルファはそのうちのたった2%。オメガも、同じく2%。
その少ないオメガは、多くの人から嫌われている。

オメガは発情期があり、その時はアルファを性的に誘惑し襲わさせる(見方によってはオメガがアルファを襲っている)ことが、その原因の一つ。

そして、オメガは発情期がなくなる30歳くらいになると内臓が衰えてき、そのまま死に至る。が、それを回避する方法が一つだけある。
それは、アルファの精液を摂取すること。が、それと引き換えに、アルファは少しずつ命を削られ、最終的に早死にしてしまうのだ。

つまり、オメガはアルファの命を奪って生きながらえる、という点で、オメガは嫌われ、侮蔑の対象になっているのだった。

という、少し特殊な世界観を孕むお話です。

主人公はアルファの瑛理。
人気俳優で、家柄も良く、見目も良い彼は今人気絶頂の俳優だ。そして彼は大のオメガ嫌いを公言している。

そんな彼は、大きな舞台を控えていたある日、オメガと遭遇してしまう。
舞台衣装を切り刻まれるという事件が勃発。そして、その衣装を治すためにやってきたのがオメガの蓮だった。オメガに自分の衣装を触られることすらおぞましく感じる瑛理だったが、それをきっかけに蓮とのやり取りが始まる。

そして、蓮を少しずつ知っていくうちに、オメガに対する差別、そして蓮に対する感情も変わっていき―。

というお話。

オメガバものは作家さまによって、あるいは作品によって若干細かい設定が異なりますが、今作品はオメガはアルファの精液を体内に取り込まないと死んでしまうという、ちょっと独特な設定のお話です。

読み始めたとき、瑛理のオメガに対する差別、蓮に対する暴言、などなど、なんて酷い男だ!と思ったんです。その一方で、どれほど侮蔑的なセリフを言われても、自身の仕事にプライドを持ちコツコツと仕事をこなす蓮に対する好感度は爆上がり。

傲慢でクソでクソな攻めさんが、受けさんの想いに触れ、そして更生していくお話かな?

そんな風に予想しながら読み進めましたが。

えー。
えー?そんなお話?

という、二転三転するストーリーに翻弄されっぱなしでした。

蓮は28歳。
つまり、彼の寿命はあと1,2年くらいしか残っていない。
短い生涯を、己の信念に従い懸命に生きる、そんな連がカッコよくて。けれど、彼の清廉な想いは、もっともっと深いところにある。何を犠牲にしても、彼には守りたいものがあった。

そして、緻密に紡がれていくストーリー展開も素晴らしい。
あちこちに巻かれた伏線を、少しずつ回収しつつ進む展開で、あ、あれはこういう意味か―!と分かった時の感動と言ったらなかった。

そしてこの素晴らしいお話に、yocoさんが色を付けて描いてくださっているという眼福さよ。相乗効果で萌えがストップ高です。

一番最初に、どなたかの葬儀があったのだとわかる描写からスタートします。
これが最後に繋がっていく。いやー、うまいです。

あともう一点。
オメガバものはアルファ、そしてオメガに目が行きがちですが、ベータにはベータの苦しみや葛藤があることもきちんと描かれています。

その一方で、中立なベータだからこそ俯瞰的に物事を見ることができるのだということも。
差別的に、あるいは色眼鏡をかけたまま、自分自身で考えることなく世間の意見に惑わされることの愚かさも。

色々なものがぎゅっと詰まった作品でした。
個人的に、蓮の上司(というか師匠と言った方が正解か?)の榊さん。彼がめちゃんこドストライクキャラでした。本当の優しさを持った、強い男性でめちゃめちゃカッコよかった。

読後、yocoさんの描かれた表紙を見ると、これがまたグッとくる。
蓮が、どんな想いであの衣装を抱きしめているのか―。

キャラ良し、ストーリー良し、設定良し、さらに挿絵良し。
オメガバものらしい切なさもありながら、そこに片岡さんらしいエッセンスが盛り込まれた良作。

文句なしの神作品です。

11

3冊目が1番好きでした!

「いつかあなたに逢えたなら」「善き王子のための裏切りのフーガ」とこちらの作品で3冊目になり、前作から1年半あまりの新作でしたがこの作品が1番好きでした。

人気絵師さんばかりに挿絵を描いて貰っているので、とても期待されている作家さまなのだと思うのですが、今作でその実力を発揮していると思いました。

どちらかと言うと作風は決して明るくなくて、時には読むのが辛くなる描写が多々あります。なので木原音瀬先生辺りを好まれる方にはハマるのではないかと思いました。

今作では冒頭の初老の女性と青年のシーンが、巻末の「30 years later」で昇華していて見事だとしか言いようがありませんでした。

こちらのお話ですが蓮がオメガとして酷い目に遭って来たからこそ、結末に安堵し涙が出るのだと思いました。

瑛里がどんな態度を取ろうが一貫して仕事に誠実であろうとする蓮が強くてとても魅力的な人物なんです。どうして蓮が強い気持ちを保ち続けられるのか、瑛里が何故オメガ嫌いなのかは後に秘密が明らかになります。

前半の各所に散りばめられたヒントに「多分こうじゃないのかな?」と想像出来るのですが、その答え合わせをする為に読むのが凄く面白いのです。もちろん瑛里と蓮のキャラも魅力的でした。他にも蓮の師匠の榊とかアシスタントのアリサも魅力的なキャラでした。

オメガを憎み蔑むとても未熟な世界ですが、中には己の考えを改め悔やむ瑛里の父親のような存在がいることが救いでした。

α至上主義の家庭に産まれたβの悲劇も気になりました。

9

私史上最も過酷なオメガバース

αで俳優の瑛理×Ωで衣装デザイナーの蓮。私史上Ωに最も過酷なオメガバースでした。
Ωが迫害される世界、瑛理目線で話が進みますが、瑛理は勿論、周りも蓮への当たりがきつい。そんな状況を淡々と受け入れて、ひたすら仕事に取り組む蓮がかっこよかった。そんな蓮に瑛理は惹かれたんだと思う。
周りの妨害があったり、瑛理が違和感を持つ中で過去が明らかになり、蓮の悲痛な覚悟に泣きました。どうにもできない状況で、それぞれが大事な者を守りたかった。でも歪みがあるから幸せにはなれない。
瑛理が真実に辿り着いて、想いを貫いてくれて本当に良かったです。
ラストのアリサのシーンが印象的、心に沁みました。

yoco先生のイラストが作品にぴったりで、作品を読んで泣き、イラストを見て泣き。

心をぎゅっと掴まれるような、素晴らしい作品でした

3

めちゃくちゃよかった!!!

オメガバースものはそこそこ読んでいるけど、
ここまでΩが可哀想な設定の作品は初めてでした…

最後をのぞいて、全編通して受けの蓮に対する周り(攻めの瑛理含む)の反応だったり態度が、まぁひどい。完全にΩが差別対象になってる設定です。

そんな周りのことなど気にせずコツコツ仕事に打ち込む蓮の姿がいじらしくって…
だからこそ最後の展開に心からよかったと思えました。

時間をかけて読もうと思っていたのですが、気がつけば一気に読み切ってしまいました。

yoco先生が描かれた挿絵が作品の雰囲気とも合っていて、表紙は最後まで読んだ後見返すとグッとくると思います。

片岡先生の作品は初めて読んだんですが、他の作品も読んでみたいとおもいます!

2

80頁増加 既刊本の中で一番読後感が良かった

著者は、一年か二年ごとに1冊ずつ商業本を出していて
yoco先生や、みずかね先生といった実力派絵師が挿絵を担当、
出版社がよっぽど力を入れている作家なのだと思う。

未来:Ωの寿命 / 過去:記憶操作
この作品は、既刊本の中で一番読後感が良かった。大満足。

著者のパターンは、”痛ましい過去を持つ主人公が頑張りぬいて 結末ハピエン”。
長編向きの内容を無理に1冊にまとめて、いつもどこか端折られて残念だったけど、今作は80頁増加。

▶オリジナルバース設定:Ωの寿命は30才。
「Ωは、生命力をαから得る」「αは、Ωに寿命を与え短命化」・・命と引き換えの愛。

▶小説冒頭は、誰かの葬儀の後、「連が作った喪服」の話題
・・この伏線回収は「30年後」にある。
前半重い展開だけど、ハピエンなので頑張って読んでみて。

続いて瑛里が演ずるシェイクスピアの演目に沿って展開。
「タイタス・アンドロニカス」:言葉を封じる 
「真夏の夜の夢」:
「オセロ」:イアーゴの台詞。邪推の毒。

---

●最上瑛里:α 29才 :過去の記憶がない。
「Ωはαの寄生虫」だと嫌う、モデルで俳優。
185センチ以上の長身、瞳と髪は茶色。
Ωの漣に衣装を担当され憤慨。

●最上雄一郎:α 政治家 瑛里を溺愛する父親。

●榊 正敏:α嫌いの衣装担当 二人の過去を知る人。

●久瀬 蓮,:28才 Ω
デザイナー。 表紙の衣服を抱く人物。薄い色の瞳と白い肌、金色の髪。
榊正敏の優秀なスタッフ、最上瑛里の衣装担当。
15才の時、瑛里から命を奪いたくないと、番の瑛里と関わりを絶つ。

▶違法の「側頭葉認知機能除去手術」:
特定の記憶を消去する医療。記憶障害の副反応がある。
瑛里の父親が手配。瑛里から連の記憶を消す。
担当した菱川医師は逮捕、獄中死。

●鴨原華南:α一家の中のβ。瑛里の婚約者。父は、警視庁次長。

●最上瑠衣:一族に愛されて育った、瑛里と蓮の息子。

●アリサ:蓮の衣装作成のアシスタント。

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・30years later(30年後)・・ 「三番目の夢は喪服」
・SS:それから少しあとのこと

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