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白銀の獅子王と祝福のショコラティエ

hakugin o shishiou to shukufuku no chocolatier

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表題作白銀の獅子王と祝福のショコラティエ

アルトリート、ライオンの獣人王、29
氷見湊、世界的に有名なショコラティエ、29

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

世界的に有名なショコラティエ・氷見湊は、祖父が所有していたビルを相続するため京都を訪れた。古都の一角にあるレトロな雑居ビルは、湊にとって思い出深い場所。実は湊は九歳の夏、このビルで不思議な体験をしていた。古風なエレベーターの蛇腹扉を開けると、そこはエーアトベーレン王国という異世界に通じるのだ。湊はここで、異世界からやってきたリートというライオンの獣人の少年と輝かしい夏を過ごした。突然の別れから20年、再びビルを訪れた湊は偶然リートと再会する。しかし、昔の無邪気さを失ったリートは湊との再会を喜ぶことなく、どこか突き放す態度を崩さない。さらに、国王になっていたリートはある重大な問題を抱えていて…?

作品情報

作品名
白銀の獅子王と祝福のショコラティエ
著者
高原いちか 
イラスト
サマミヤアカザ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344845701
3.4

(15)

(2)

萌々

(5)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
49
評価数
15
平均
3.4 / 5
神率
13.3%

レビュー投稿数3

ショコラティエが活躍する、童話のような物語

完全にジャケ買いです!
表紙の二人……美形〜♡
表紙をめくるとモフモフのホワイトライオンが⁉︎
何度も見てしまいました^^

獣人あり異世界トリップあり、
そしてなんと言ってもショコラあり!のお話です。

世界的に有名なショコラティエである湊は、
訳あって幼少期を過ごした祖父の家に帰郷します。
祖父の家は古びた雑居ビルで、
ビル内には壊れたエレベーターがあるのですが、
このエレベーターが異世界とを繋ぐ扉になっているのです⁉︎

冒頭は9歳の湊の回想から始まります。
エレベーターの中から現れたのは、白くて小さなライオン。
始まりからしてファンタジー色全開です。

ホワイトライオンは、
アルトリート(リート)という異世界の王子でした。
湊とリートは楽しい日々を送るのですが、
幸せはそう長くは続かず……

リートの突然の帰国に、酷い言葉をかけてしまう湊。
湊はこの別れを20年経った今でも後悔し続けているのです。

大人になって再会したリートは風格漂う王になっていましたが、
湊への愛は変わらず一途な思いを秘めています。
リートが弟妹や湊にいつも優しくて、
好感度は右肩上がりで、一度も下がることがありませんでした。
やっぱり、優しく一途な溺愛責め様……好きだわ♡
程よく独占欲ありつつも、
懸命に湊を守る姿には神々しささえ感じました。

湊は、異世界の宮廷でショコラティエとして仕えます。
湊の作るお菓子の数々は、想像するだけで生唾ものです。
特に、エクレアは食べてみたかった!

展開としては、なかなかラブに発展しないのでモヤモヤしました。
リートが告白してもすぐにはくっつかず、
両想いになったのは全体の6割以上を読み終えた頃……
初Hはもっとあとですし、本作にエロを求めてはいけません!
とても綺麗であっさりした描写です。
ただ、やっぱりリートは思いやりがあるし、
湊は意外にも積極的で良きでした^^

異世界でも湊が作るショコラは人々を虜にします。
異端を排除する宗教家が湊を捕らえようとするのですが、
リートや獣人・コンラートに助けられてながら乗り越えていきます。

湊が守られるだけの男ではなく、
リートのために命をかけて立ち向かうところにグッときました。

コンラートもカッコ良かった!
この獣の獣人だったの‼︎と驚きがあるのも楽しかったし、
意外な人が獣人だったりして……^^;

総じると、BLいうより童話のような物語です。
もちろん、軸にはリートと湊の愛があるのですが、
メインストーリーではないような……?

ショコラティエは大活躍ですので、
ある意味お仕事B Lともいえるかもしれません。

「ショコラは……
   それを口にする人を幸せにするものなんだよね」

という本文中の言葉に強く同意です。
本作を通してショコラによって元気をもらった人が何人いたことか!

ラブ度は少なくても楽しく読むことができました。
読後は、ショコラを食べたくなること間違いなしです!


7

異世界で宮廷ショコラティエ始めました

ひょんな事から異世界で宮廷ショコラティエをする事になった主人公が、ショコラで周囲の人々を笑顔にして行くお話であり、初恋再会ものでもあります。
ちなみに、前作の「黒猫紳士と癒しのハーブ使い」とは特に関係ありません。
タイトルが似てるけど。

ザックリした内容です。
菓子職人だった父親を亡くし、ひとまず祖父の元に身を寄せる事になった湊。
祖父が所有する古都のビルで、不思議な少年・アルトリートと出逢います。
実はそのビルのエレベーターの蛇腹扉の向こうは、異世界へと繋がっていて、ライオンの獣人で王子であるアルトリートもそこからやって来たんですね。
アルトリートとあたたかく優しい時間を過ごすものの、別れの時にひどい言葉をぶつけてしまい、後悔を抱える湊。
そして20年後ー。
世界的に有名なショコラティエとなった湊は、アルトリートと再会を果たしますが、王となった彼は問題を抱えていてー・・・と言うものです。

まずこちら、二人の出逢い時ですが、父親を亡くしたばかりの湊が、仔ライオンを見つけたと言う形だったりします。
で、その後、ショコラを食べた仔ライオンが人間の少年の姿になってしまい、彼が異世界から来た獣人の王子だと言う事が分かる。
実は、祖父も異世界からやって来た獣人で、迫害により逃れてきた存在だったんですね。

寡黙な祖父と、甘えん坊であたたかいアルトリート。
共に9才の二人はじゃれ合うようにしてひと夏を過ごし、かけがえのない存在となります。
ところが、アルトリートが突然元の世界に戻ると言い出し、寂しさから「きらいだ」とひどい言葉をぶつけてしまった・・・。

と言うのが、主人公の苦い過去になっているんですね。
で、そんな彼等が再会して・・・と言う所から、物語が再び動き出す。

再会時ですが、父王が亡くなりリート(アルトリート)が王になっています。
で、前王が亡くなった事で元気を無くしてしまった王妃の為にと、リートの臣下・コンラートからショコラ作りを依頼されるんですね。
しかし、再会したリートは素っ気ない態度で・・・と言う流れ。

今回、物語のテーマとなるのが「ショコラ」なんですね。
リートの国では、ショコラと言うのは苦くてまずい薬です。
それを、ショコラティエである主人公が、甘く華やかで美味しいショコラへと仕上げる。
こう、ずっと塞ぎ混んでいた王妃が、ショコラを食べて笑顔になる。
また、疲れているリートにエクレアを作りと言った具合に、ショコラが要所要所でとても巧みに出てくるんですよね。

あと、こちら、個人的な萌え処ですが、二人のゆっくり丁寧に進む恋愛。
二人は互いに過去の事を謝り合い、以前のような気安い雰囲気になります。
で、差し入れのショコラを持っては、リートの元を訪れる湊。
二人でショコラを食べながら語り合うと言う、このエピソードがなんとも素敵。
湊がですね、ちょっとした誤解から、リートには別の好きな相手がいると思い込んでいるんですよね。
で、今度こそ力になりたいと、自身の気持ちは隠して応援すると告げてしまう。
いやもう、ここでのリートの反応にうっとりしちゃうんですけど。
強引なのに、ロマンチックだよー!
めっちゃ、ドキドキしちゃうじゃないかよ!

と、心を通わせ合い、ついに結ばれる二人。
しかし、ショコラが人々を堕落させる魔性のものだと、湊が異端者として協会により連行されそうになり・・・と続きます。

こちら、実は設定がかなり複雑でして。
獣人が迫害されている歴史だったり、宗教や権力争い、複雑な愛憎劇も絡んで、ちょっと厄介な事になっています。
このへんのドラマも、読み応えがあると思うんですけど。

あとですね、ここで分かる真実。
リートが健気ですよ。
そして、愛する人の為に戦おうとする湊が、格好いいですよ。

若干、湊がいつまでも過去のわだかまりに拘るのが、不思議な気もするけど。
だって、リートにとって居心地のいい世界では無かったと分かった時点で、そのわだかまりは消えてもいい気がするよ。

と、引っ掛かる点はあるものの、とにかく幼い初恋からの再会した二人の恋愛を丁寧に綴った、素敵な作品だと思います。
ショコラが大変巧みに使われてるのも、素敵でした。

5

ショコラの歴史に唸り、ライオンもふもふに癒された

初読み作家さんです。
「タイトルが『白銀の獅子王』ってことはもふもふものなのだろうけれど『ショコラティエ』って……?」と思ったのが購入の理由。
チョコレートだけに甘いお話でしたけれど、単に甘いだけのお話ではありませんでした。そうか、カカオ豆が発見されてから世界に広まっていくまでにはそんな歴史があったのね。

確かに歴史を紐解けば、大紛争のきっかけが紅茶とか胡椒とか嗜好品だったことが沢山ある様な気が(歴史は苦手なのであまり詳しくはわかりませんが)……とても勉強になりました。
でも、結局はその嗜好品がもたらす富や名声、権力が争いの理由で、宗教が利用されちゃうというのは異世界でも同じなのね。

まったくもって個人的な好みなのですが、どうも私は『出会って速攻、恋に落ちる』というのがあまり好みではない様です。なので恋愛的な『萌え』はそれほどでもなかったのですが、このお話、もふもふがすごく好みです。
子ライオンもふもふ!
足がでかいあの感じやら、喜びんでじゃれ付いて『ドン』とぶつかって来るあの感じが大変お上手に描写されておりまして、そういうシーンが出てくる度に、顔が緩むのが解るくらいにデレッとしちゃった。
いや、至福でした。
ホント、可愛らしい!

3

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