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表題作臆病な背中

三上秋彦,頭がよくクールで女によくモテるが、実はゲイ
小嶋眞,遊び好き飲み好きのフツーの大学生

その他の収録作品

  • 甘えられない背中

あらすじ

飲み会と麻雀に明け暮れる大学生・小嶋は、友人の三上から好きだと言われた。
何も期待しないから今までどおりでいてほしい、そう言う三上に戸惑いつつも、小嶋はいつのまにか彼をひどく意識している自分に気づく。
不意に仕掛けられる激しく官能的なキスを拒めなかったり、自分だけを特別に見てほしいと思ったり。
三上へ向かう、この気持ちは…?大人気作品、書き下ろし続篇も収録して待望の文庫化。
デビュー文庫。

作品情報

作品名
臆病な背中
著者
おのにしこぐさ 
イラスト
夏目イサク 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403521256
3.8

(24)

(7)

萌々

(10)

(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
8
得点
91
評価数
24
平均
3.8 / 5
神率
29.2%

レビュー投稿数8

もう一度、書いて下さい ― お願いします。

あれから何年経ったのでしょう ―

この本を読み、この作家様好きだ!!、と感動したのはいつの事?

正に私のストライクゾーンど真ん中です。
地味系のありふれた話、しかし何故か印象に残る。
独特な雰囲気やクセもございません。

BLであるにも拘わらず、普通の恋愛小説を読む感覚に近いです。違和感なくスッと馴染んで入ってきます。

皆様が書かれておられるように、等身大の普通の大学生の話です。(ちょっと昭和風味)

ノンケだった受けが、いかに落ちて行ったか、その心情の変化がとても丁寧に書かれています。

地味です、本当に地味です(←断言します)
派手な演出も劇的な展開も、一切ございません。
でもグッと来ます!!

似たような話は多々あれど、これといったクセも無いのに他の作品とは違う物に感じさせる―、こういう事が出来る作家様は貴重です、BL本のお手本として扱って欲しいくらい良い作品だと思いました。
文庫化されてからもう6年経ちましたか…。もし書店やネットで見掛けたならば、ぜひ読んでみて下さい。

おのにしこぐさ先生―
先生の作品を待っているのは、きっと私だけではないはず!!
私もまだまだ諦めません、ずっと待ち続けてます(*^o^*)

2

BLの初心に立ち返るような

めちゃくちゃハマった!心理描写メインで、ノンケの大学生がただひたすらに恋に悩むお話。
ストーリーと呼べるものはなく、これといって何も起こらないし、遊んでばかりの日常が描かれているだけ。だが日々の中でゆっくり変化する心情が丁寧に綴られており、受けの一人称でありながら攻めの健気な想いも痛いほど伝わってきて、最高に萌えた。

始まりは友人からの唐突な告白。ゲイで、自分のことが好きだと。追及しても、気にするな、期待していないと答える三上のことで、頭がいっぱいになっていく小嶋の描写を読むのがとても楽しい。

小嶋は八方美人で誘いは断らないし、自ら盛り上げ役に徹するタイプ。といってもイイ顔ばかりしてるわけでなく、心の中でははっきりあれが嫌いだのと意思表示している。そういうときは周りと合わせず抜け出す手段を取っていて、ちゃんと自分を持ってるところが良かった。

三上はさらっとクールで普段は内面が見え難そうなのに、小嶋にだけは取り繕えない表情を見せる。小嶋視点で知っていく三上は、キスを仕掛けたり投げやりだったり、とても不安定。勝手に襲って自己嫌悪で拒絶して、小嶋の気持ちも簡単には信じない。
これまでの三上の中の葛藤が窺い知れる感じや、カッコ付けなくせに健気さを隠せていない感じとか、この面倒臭さがすごく可愛く魅力的だった。
くっついた際にはとにかく三上に良かったねー!と言いたくなった。

後半は友人たちに打ち明けられない男同士のお付き合いに関する悩み。ゲイの三上が元ノンケの小嶋は今だけだから、と身を引く覚悟をしていてブチ切れる小嶋。こちらもBLの王道をひた走っていて、初心に立ち返る作品だと思った。

終わり方は爽やかで、読後感も良い。きっとお互いが自然体でいられるカップルで、先への不安もなく清々しく読み終われる。癒やされる大好きな作品。
ぜひ電子書籍化して欲しい。

0

ある恋のお話、でした。

読みやすい恋話でした。

皆様方のコメントをうんうんとか言いつつ読んだ後なので、私めが足す言葉なんぞないんですが…。頭の数ページで『おっ、いいねコレ』って決定。何でかと言いますと。
『彼』の顔&姿の整いっぷりがどんだけスーパーでファンタスティックでアメイジングで…というよくある描写がとくになかったからです(キーワードはあえて申しません)。
さらりと触れてある程度です。

目鼻口の形良さの表現をいくつか組み合わせたような文章って、もはや読み飛ばしてしまう事も多いです。別に嫌いじゃないし飽きたわけでもないんですが、あぁコレね…ってなるわけです。
その点、自分にはどちらかというと珍しく思えました。

夏目イサク様のジャケ買いでしたが、ストーリーも楽しめてお買い得でしたね。

1

ノンケとの恋に臆病な…今度は『攻』です。

等身大の大学生同士のお話です。
いつものように飲み会をしていたら、小嶋は三上にとてもナチュラルな流れでカミングアウトされた。そして、「好きだ」とも言われた。三上は男に興味なんかない小嶋でもカッコイイと思う、クールなやつ。だから悪い気がしなかった。恋愛感情ではないけど、なんだか小嶋も気になる。けれど三上は「何も期待してないから今のままでいてほしい」と言っていて…。
ハイ、そんな態度をとられると、逆に気になっちゃうわけですね!(笑)
飲み会やら麻雀やらスキーやらキャンプやら。そんな楽しいイベントとたくさんの友達の中で、二人の距離はじりじり縮まっていきます。

これもよくあるノンケとゲイの話といえるでしょう。
いまノンケとゲイの恋の話の代表作と評判の(個人的にだけ?)「どうしても触れたくない」に通じるものがあります。
ただ今回は、じりじり逃げるのが、攻めの三上なんです。
三上は爽やかでクールなモテるタイプの男前なのに、意外と繊細で臆病で切ない心を持っています。
自分から仕掛けておきながら、天然魔性(?)な小嶋に翻弄されどんどん惹かれていっているのにるのに、「期待はしていない」と予防線を張りめぐらせます。
付き合うことになってからも、セックスをしません。触るだけ。しかも、小嶋には触らせもしない。
小嶋は自分に甘えてこない三上にだんだんと気付きはじめ…。
一方この小嶋は、誰からも好かれるタイプの人気者です。とっても男らしい。この状況を打破するのも、おっとこまえな小嶋なのです。しっかり三上と向き合っていきます。
この、受けだからといって全く女の子っぽくないところ!とても好きでした。

当て馬も珍しいことに、女の子。とってもいい子で、可愛らしい。
女の子の三上への恋の悩みを、小嶋が聞いてあげちゃったりして。
このあたりが、本当の大学生ぽくて、とてもリアル。
夏目イサクさんのイラストが、これまたイメージぴったりです!
いつもは好きな作家さんの小説しか手元に置かない私ですが、なぜだかこの本は売れません。

おのにしさんは、デビューは1998年。DEAR+にこの作品が載ったのも、2003年…で、この本は2006年刊行です。
作者さんご自身も書かれてますが、亀のような歩みとはこのことです^^;
あとがきで、2006年はどんどん新作を書きたい!とおっしゃっていましたが…現在出ている単行本は、この本だけ。
世間の評価もとっても良かったのに、全く残念なことです…。

自覚のない天然誘い受けな小嶋と、小嶋にちょっかいを出しつつも予防線を張り続けている切ない三上。
ノンケとゲイの、切ない恋の話が好きな人にはぜひぜひオススメしたいです。

3

神に近い萌え評価です

等身大の大学生の日常生活がリアルに描写されている良作でした。
めちゃくちゃキュンキュンしました。めちゃくちゃいいお話でした。
おのにしこぐささんって、この一冊しか出してないらしいですが、他にも読んでみたくなりました。もしこの先、本を出されたなら、必ず買います。

主人公はノンケの大学生。
友人にゲイだと打ち明けられ、いきなりキスを奪われる。
受け入れられないと思いつつも、だんだん気になりはじめて――。

よくある展開なんですが、素材の調理の仕方が巧くて、胸をときめかせながら読みました。
途中まで、主人公の八方美人な学生生活も、告白されたときの卑怯なあしらいかたも私に似てるなァとか思ってて、けど、私の場合罪悪感がなかったぶん最低だなァとか…。つまり、我が身に置きかえて考えてしまうほど、主人公の生活がリアルで。
登場人物は多いのに、すっきりしてて。上手いなァと思いました。
だんだん追い詰められた気持ちになっていく、ゲイの友人の描きかたも良かった。切なくてもどかしくて焦れったくて、胸の奥が何度も何度も熱くなりました。

神に近い萌え評価です。

1

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