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年上の大人な攻めを読みたくて読んでみたが、ストライクだった。受けはまだ19歳と若く、恋愛経験もないんだけど、亡くなった両親から受け継いだカフェを兄と経営していて、仕事ぶりもしっかりしているからか、そこまで幼さは感じない。
当て馬も嫉妬もすれ違いもなく、しっとりじっくりと、二人が付き合うまでと、付き合ってからのお話が描かれていて、全体を通して甘い雰囲気。
外国暮らしの長かった高宮は、自分がゲイであることが理由で、祖父との間に亀裂が入ったまま、亡くしてしまった。
そのせいで、恋人を作ることや、男を愛することそれ自体にも迷いを抱えていて。そんな高宮の臆病さを吹き飛ばしてくれる、楽の真っ直ぐさ、純真さがいい。
で、晴れて恋人になった高宮が、情熱的ですごく甘いのがめっちゃよかった……。
初めての朝に、高宮がホットチョコレートをいれてあげた時の楽の反応も、年下受けって感じで可愛いかったし、一緒にいると高宮が父親のような気持ちになることもあるとか、歳の差愛の萌えどころがたくさんあって、好きな作品だった。
亡くなった祖父の遺産を相続するために、15年ぶりにスイスから帰国した高宮和明は、変わってしまった日本に馴染めず孤独感を味わっていました。
友人から「新しくカフェを出店するがオーナーにならないか」と持ちかられ、見学と称していろいろな店へ連れて行かれましたが、どこにも心から寛げるようなカフェはありませんでした。
そんなある日、道に迷い辿り着いた1軒のカフェ“n・MAY”で働くギャルソン・小野寺楽に出会ったのです。両親を亡くしたあと、兄の香と2人で“n・MAY”を切り盛りする楽。高宮は毎日カフェに通ううちにどんどん楽に惹かれ始め、また楽も毎日やって来る高宮が気になり始めるのでした。
元々ゲイだった高宮は、そのことで祖父とけんかをし、恋人とふたりで日本を脱出したんですが、結局ケンカ別れをしてしまっただけじゃなく、たった1人の肉親の祖父に疎まれたことから、恋に臆病になっていたんです。
楽も、兄から高宮がゲイだと聞かされても気になり続けていました。
街で偶然楽と会った高宮は、仕事を放り出して「カフェデート」と言い、いろんなカフェを回りゲイであることを告白しました。
そして自宅に楽を招き、楽はそれに応じたのです。
お互い気持ちを伝えられなくて、読んでて切なくなりました。ジリジリとするよりは、切なくなったのです。
だから、2人がうまく行ったときはすごく嬉しかったです。
第2話では、2人の関係が兄の香にばれちゃいます。当然反対され、楽は家を飛び出します。高宮の部屋に転がり込みますが、「働いてお金は入れる」という楽のプライドを尊重しようと高宮は思うんですね。さすがにオトナです。このへんは、年の差カップルだぁ~って思いました。高宮としては甘えて欲しいんだとは思うんですけど。
高校生とかのカップルだったら、揉め事の原因になってそうですよね。
3つめの書き下ろしの超短編。“n・MAY”のシェフ・星野と香の話みたいになってますが、この2人ってもしかして…? 気になりましたぁ~。なんだかんだ言っても、香ってここ一番では星野を頼ってるんですもんね。
お茶シリーズのうちの1冊らしいのですが、他の本を読んでいなくても問題ありません。
表題作と続編、SSの3作品が収録されています。SS以外は、楽と高宮、両方の目線で語られますので、惹かれていく過程が分かりやすいです。
「カフェラテの純愛」
高宮(攻め)は、祖父の遺産を受け取るために、スイスの田舎から15年ぶりに日本に帰ってきた。東京に馴染めず戸惑う高宮が、道に迷って入ったカフェには素敵なギャルソンの楽がいて…。
時代に乗り遅れたような高宮が惹かれた楽は、優しくてピュアな好青年だと思っていたので、高宮の自宅に行ってからの十代の若者らしいはしゃぎっぷりや「何人にこんなことしたっ」と叫ぶとかちょっと予想外でした。でも、その溌剌さが、高宮の枯れたと思っていた人生に潤いを与えたんだと思います。高宮も普段は穏やかな大人なのに、ベッドでは情熱的で執拗な男で萌えました。若い楽に嫌われないよう、自分の肉体は大丈夫だろうかと鏡で心配する高宮が可愛く思えました。
「 カフェで愛を」
毎日カフェの閉店後に、高宮の部屋へ訪れる楽。幸せだけど、若い楽に対して自分は…と不安が拭えない高宮。そんなとき、高宮と交際していることを香に反対され、楽は家を飛び出してしまう。高宮はフランス旅行に誘い、カフェめぐりをしますが…。
別れの予防線を張る高宮を、楽は一途に答えます。高宮は年の差、楽は経験の差を考えて、ちょっぴり不安になりますが、基本的にお互いにベタ惚れで甘いです。天涯孤独な高宮に、楽は厄介な兄という家族を連れてきてくれた、という幸せなエンドでした。
楽がカフェに戻るために、シェフ・星野(27歳)が香(25歳)にキスをして説得するのが面白かったです。この先を期待してしまう展開でした。
「カフェラテで愛を」
13ページ。香の目線で進んでいきます。
楽が「n・MAY」に復帰してしばらく経った頃の話のようです。楽が家からいなくなり、少し寂しい香。そんな中、どことなく不満げな星野に、香は辞めたいんじゃないかと不安になります。そこへ、高宮が客を連れてやってきて…という話です。
高宮が連れてきた客は、「ミルク・クラウン」の社長ヒューイット・モーム(「紅茶は媚薬」の主役)と、「東方美人」の社長アラン・リュー(「茉莉花茶の魔法」の主役)という、シリーズとしてコラボするSSでした。でもどちらも未読の私は、読んだ後に検索しただけですし、お茶を飲むだけの本当の意味でのゲストでした(笑)
明るく楽しい作品なので、すんなりと読めます。
カフェを舞台にした仕事もの、臆病な大人な年上攻め&可愛らしい年下受けの甘い年の差カップルがお好きな方にお勧めです。カフェラテの淹れ方など勉強にもなりました。
短編構成なのでさらっと読み終えられる感じでした。しかし、知り合ってから互いに興味を持って、お付き合いを始める展開が、性急過ぎずとても自然です。
短編とは思えない丁寧な内容でした。
日本に十数年ぶりに帰国して、時代の変化に慣れないでいる中年男性と、カフェで働く若い青年の歳の差ラブストーリーです。
日本に慣れない…と言ってる高宮はどこか時代錯誤で、昔堅気で紳士過ぎる感じがしました。でもそれがよい味を出しています。
楽も、大人しめで健気な受けらしいキャラクターなのかと思ったらそうでもなく…。剛しいらさんのお話って、受けが健気かと思ったら以外とやんちゃなキャラクターだった、という場合が多くて、こういうのとても好きです。
歳の差ラブストーリーとしてのセオリーをふんでいるため、歳の差カップル好きの人にもオススメだと思います。
普通の歳の差ものとちょっと違うところは、攻めが控えめで可愛く見えるところでしょうか。
かなり歳の差があると思っていたら、そうでもないところも以外でした。
挿絵だともっと年上に見えますねf^_^;
楽の兄のほうのお話がとてもよかったので、そっちもメインで読んでみたいな~と思いました。