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崖っぷちΩは未来の伯爵をモノにする

gakeppuchi omega wa mirai no hakushaku wo mononisuru

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表題作崖っぷちΩは未来の伯爵をモノにする

アルヴィンメオレグレン
レスリーの婚約者,α
レスリー・クラーク
18歳,市長の三男,Ω

その他の収録作品

  • お茶会
  • あとがき

あらすじ

レスリーは末っ子Ωとして甘やかされて我侭ほうだいに育ってきた。しかしある日、自分の前世を思い出したことで、今のままでは片想いのスパダリ・アルヴィンに相手にされず子産みマシーンにされてしまうと気づく! その日からレスリーは別人のようになり、この世界にないものを次々と生み出すが、アルヴィンを取り合う相手が現れて……!?

作品情報

作品名
崖っぷちΩは未来の伯爵をモノにする
著者
若月京子 
イラスト
こうじま奈月 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
プリズム文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784775529508
3.6

(5)

(0)

萌々

(3)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
18
評価数
5
平均
3.6 / 5
神率
0%

レビュー投稿数2

生まれ変わったらダメっ子オメガでした

今回は辺境伯の嫡男と男爵の三男のお話です。

前世を思い出した受様が生き方を変えて攻様の番となるまで。

この世界はアルファ、ベータ、オメガという3つの性があり、
希少種であるアルファとオメガはとても美しく生まれます。

アルファは美貌と頭脳、身体能力にも優れた最上位種で
オメガはそのアルファさえ魅了する美貌と
発情期があるものの妊娠に特化した体も持っています。

発情期のオメガはアルファやベータを誘惑する
フェロモンを発してしまいますが、多産で
アルファが相手の場合は大抵アルファかオメガを産み
アルファの跡継ぎを欲する貴族はオメガを求める為
引く手あまたなオメガは甘やかされて育ちがちです。

受様はダンジョン都市レグノの市長である男爵の
三男として生まれたオメガで
領主である辺境伯の嫡男の攻様と婚約しています。

攻様は眉目秀麗で頭も良く、魔力も多いアルファで
受様は子供の頃から攻様に憧れて大好きですが
15、6才で結婚することが多いこの世界で
婚約者のまま18才の誕生日を迎えていました。

攻様との結婚に不安を感じ始めていたある夜、
受様はとてもリアルな夢を見ます。

それはそこそこ子金持ちの家に生まれて
両親や妹とも円満なごく普通の理系大学生でしたが
信号無視の車に跳ねられるという夢でした。

たぶん死んだんだなぁと他人事のように考えつつも
懐かしいなと回想する夢・・・から目覚めた受様は
それが自分の前世だったとわかります。

徐々に乖離していた前世の自分が
今の今の自分に溶け込んでいくのですが
いかに自分が我儘で高慢でお花畑だったかを知り
このままでは破滅するだろうと思い至ります。

両親と祖父母は受様に甘々ですが
2人の兄は冷たい視線しか向けてこないし、
受様を嫌う攻様は婚約破棄か
軟禁子産みマシーン化を狙っていそうです。

今の受様は我儘をやめて大人すればいい段階を
とっくに過ぎているので積極的に
自分が役立つことをアピールしなくては!!
と前世の知識を役立てる事にします。

果たして受様は今から我儘オメガから脱却できるのか!?
そして攻様との幸せな未来を掴むことができるのか!?

オメガとしてわがままに生きてきた受様が
前世を思い出したことで攻様との関係を変えていく
異世界転生ファンタジー×オメガバースとなります♪

タイトルとあらすじから
甘やかされて我儘に育っていたオメガの受様が
前世を思い出した事から今までのイメージを払拭して
完璧なアルファである婚約者に気に入られようと
頑張るお話なのだろうな♪と手にしましたが

魔物がいるダンジョン有りという
魔法要素が加わったファンタジックな世界観で
思った以上に楽しかったです (^-^)v

受様は料理と美容関係の知識があり
石鹸や化粧水、唐揚げやマフィンを作りだして
お役立ちアピールを始めます。

受様のそんな変化を面白がった父親は協力的で
受様が攻様との関係を変えたいと言うと
辺境の地へも快く送り出してくれます。

今までの我儘っぷりが消えた受様を見た攻様は
そんな受様に驚きながらも優しく接してくれるのですが
王妹を妻にもつ公爵がベータながらも王の姪である
自分の娘を攻様の正妻にと売り込んでいたのですよ♪

受様の恋は生き方を変えただけでは実りそうにありません。
どうやって受様が今世で自分を売り込んでいくのか
攻様との関係を変えていくのかとワクワクしながら
楽しく読ませて頂きました♪

若月先生はちょっと変わった設定がお得意なので
オメガバースも本作のようなファンタジー系のほうが
作風にあっていると思いました。

4

貴族階級では不憫なベータ


わがまま放題のオメガが覚醒して奮闘する話

<あらすじ>
ダンジョン都市レグノ市長の3男でオメガのレスリー・クラーク(受け)はある日唐突に前世を思い出します。
平凡で地味だった前世を思い出し、美少年に生まれ変わったことを歓喜した直後、両親に甘やかされわがまま放題で周り(特に婚約者)に疎まれている現状を思い至り、このままだと婚約破棄か子産みマシーンにされる未来しかないと気付きます。
婚約者・アルヴィン(攻め)に気に入られるため今までの行いを正し、婚約破棄されても実家に残れるよう自分の価値を上げようと前世の知識を生かして料理開発や石鹸をはじめとする美容関連の新商品を開発することにするのです。


レスリーは男爵家の3男で唯一のオメガなため、両親に盛大に甘やかされわがまま放題に育っています。
気に入らないとキーキーわめき、婚約者で辺境伯の嫡男アルヴィンが大好きで近寄る女に威嚇しまくる。
辺境伯夫妻には正妻の仕事をさせることは不可能だと判断され、他に正妻をたてることを検討されていました。
前世の記憶が戻ったことで、その知識を使って自分の付加価値を上げるべく奮闘したこと、今までの態度を改めたことで周りから見直され一安心。
が、社交の時期がきて、王都での夜会で正妻にと検討されていた公爵令嬢・エドウィーナが接触してきて再び危機感を持つことになります。
エドウィーナをアルヴィンから遠ざけることができるのか。


結局エドウィーナの自滅でしたが、彼女にも同情するところはありました。
エドウィーナは王の姪で公爵令嬢という高い地位でしたが、ベータでした。
アルファ同士では子供が生まれにくく、ベータはまずベータしか産まない、オメガだけが多産でアルファとオメガを産むという世界での貴族社会ではアルファかオメガが求められます。
貴族社会では求められにくいベータであるうえ、身分が高すぎて嫁ぎ先も限られる。アルファかオメガだったらより取り見取りだっただろうと思うととても気の毒に思いました。


そして、ずっとつれなくされていて嫌われているのかと思っていたアルヴィンでしたが、そんなことは全くなく、いつまでも子供だったレスリーが無邪気に引っ付いてくるので自分を抑えるために避けていただけだという、結局この大騒動の元凶はレスリーというよりはオメガは馬鹿の方が扱いやすいと甘やかし続けた両親でした。
巻き込まれ、今回のことで嫁ぎ先が見つかるかどうかわからないエドウィーナは結果的には被害者かもしれません。


今回、レスリーが元のままだった場合、レスリーしか抱きたくないアルヴィンは正妻の仕事だけさせるためにエドウィーナを迎えようとしていました。それがこの世界の貴族社会では普通だというこのベータの扱いには気の毒だというしかありません。
レスリー視点だったのもあり、レスリーのためにもエドウィーナには退場してほしいと思って読んではいましたが、彼女自身の立場をおもうと良い相手と巡り合えるといいと願わずにはいられません。


婚約の危機(実際には婚約破棄の危機ではなく、子産みマシーンへの危機だった訳ですが)に前世を思い出し、命の危機に突発的な発情期にはいるレスリーは本能に忠実なオメガでした。

扱いが酷い気の毒なオメガの話が多い中、今作はなんだかんだでオメガに優しい世界だったので、さらっと読めて楽しかったです。

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