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表題作家族の肖像 ぼくはぼくが好き

大城先生 美術教員
志摩幸彦(兄)・篤彦(弟) 中学三年 双子

その他の収録作品

  • おふくろさん万歳
  • おとうと

あらすじ

ぼくと弟の篤彦は一卵性双生児。けれど勉強もスポーツも、引っ込み思案なぼくは積極的な弟に負けてばかり。そんなぼくの慰めは、得意な絵を褒めてくれた美術の大城先生と息子のテオ君だけだった。そう、先生と篤彦の『現場』を目撃して、大胆な復讐を思いつくまでは・・・。ルビー文庫初登場、神崎春子が家族の情景の中での多彩な愛のかたちを綴った4編の短編集。

作品情報

作品名
家族の肖像 ぼくはぼくが好き
著者
神崎春子 
イラスト
黒川あづさ 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784044360016
3.5

(2)

(1)

萌々

(0)

(0)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
6
評価数
2
平均
3.5 / 5
神率
50%

レビュー投稿数1

今ではできない短編集

面白い面白くない、萌えた萌えないとかで評価しにくい作品でした。
もはやBLではない・・・そんな気がするしそんなレベルの作品ではない気がします。
一般文学のヒューマンホラーみたいでした。
近年ならできない・出せない・流行らない…だろうなあ。

家族がテーマの短編集です。全体的に古い文体ですが、ティーンズノベルやBLというよりもっと文学的な感じ。ただ、萌えのようなものは一切感じませんでした。
受けと攻めがいて恋愛するようなお話は少ないです。時代を感じます。
少なくとも今の時代には見かけないお話ばかりで好き嫌いは別れそう。
人によってはこの中の1話も受け付けられないと思います。

「おふくろさん万歳」
文体が子供ぽい一人称なのと、古い作品だからというよりは作者さんのくせなのかな?という感じの言い回しが独特で、加えて幼稚な下ネタが多くてちょっと苦手に感じました。
普通の文章と違うのだけは確か。
読みにくいわけでなくむしろ読みやすいのですが、やはり卑猥というより小学生が使いそうな下品な単語が多いのがちょっと・・・て感じでした。

読み手にとってはかなり地雷かもという内容です。
親の再婚で兄弟になった人形のように可愛い弟とのお話…ですが内容という内容は特になく、やってるだけというか、キャラがもうみんな飛んでいてついていけない感じが^^;

最後は家族全員でやっています。義理の弟や父親だけならまだしも母親も交じっています。
ノリは軽いのですがこれをコメディーと受けとっていいのかわからず…私は軽くホラーを感じました。

「おとうと」
これも人によってはかなりの地雷です。
主人公は女性で、婚約者とのベッドシーンもあるためご注意。
父親が愛人として囲っていた15歳の男の子を、主人公は姉のような心境で父親が亡き後引き取ります。ですが、その「おとうと」が自分の婚約者を誘ってしまう・・・。
後半はかなりドロドロです。
最後も本人たちがいいなら、という一般良識からは掛け離れたハッピーエンドでした。

「ぼくはぼくが好き」
これだけわりと明るくえろえろでした。何でもできる双子の兄に劣等感のある大人しい弟は、兄のふりをして付き合っている男性教諭と関係をもつお話。
兄弟もののカテゴリーに入るかな、と思うのですがやっぱり萌えのようなものは感じませんでした(^^;

ここまでは中立評価なのですが、「け」だけ良かったと思います。
「け」
標準語の喋れない男の子に恋した主人公のお話です。
これは大人ならこういう展開にはならないでしょう。子どもだから、標準語が喋れない子を笑いものにしてしまう。それを自分も笑いものになってまで庇える勇気のある子どもはなかなかいないでしょう。本当は好き、でも皆と違う子を笑いものにする子どもの集団から出られない・・・
子どもという枠にとらわれた、主人公にイライラするけど納得もできます。
最後の終わり方もよかったです。

全体的にオススメはしにくい作品かなあという感じで、でも間違いなく読んだことないタイプでした。

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