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表題作海に魚はたくさんいても

フィン・家具作成と修復職人・24歳(?)
ブレアー・古物屋(母が経営)・24歳(?)

あらすじ

ブレアーは出会い系サイト「たくさんの魚」で出会った男の話をしていた。恋多き男の恋バナにつきあいながらも、そんなブレアーに恋する幼馴染み・フィンの心境は複雑。そんなブレアーの新しい相手の趣味はダイビングだという。十代の頃からよくダイビングをしていたブレアーとフィンだったが、ブレアーはなんとその練習のためにフィンをダイビングに誘ってきて……!?

作品情報

作品名
海に魚はたくさんいても
著者
ジョシュ・ラニヨン 
イラスト
門野葉一 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
モノクローム・ロマンス文庫
電子発売日
3.8

(20)

(4)

萌々

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(5)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
76
評価数
20
平均
3.8 / 5
神率
20%

レビュー投稿数4

甘々に変貌したジェイクにニヤニヤしちゃった方は読むべし

原題は「Plenty of Fish(たっぷりの魚)」ですが、There are plenty of fish(海には魚がたっぷりいる)というのは、失恋した時に言う常套句なのだそう。Plenty Of Fishというマッチングアプリもあるとのことで、つまりは『恋の相手探し』のお話です。

フィンは幼馴染みのブレアーのことが好きです。去年、勇気を振り絞ってキスをして告白したのに当惑されてしまい、冗談とうやむやにしてからは、ちょっとぎこちない気持ちが続いています。こんなことなら、12年前にブレアーからキスされた時に応えていれば良かったという後悔ばかり。
それを知ってか知らずか、ブレアーは新しい恋人候補とのデートでダイビングに行くのでその予行演習に付き合って欲しい、とフィンに頼みます。複雑な思いのままフィンはブレアーと、昔よく行った沈没船のポイントでダイビングをすることになります。
最初こそ、不機嫌に見えるフィンにブレアーも苛立っていたのですが、ダイビングを始めると昔の様に楽しい時を過ごすことが出来、2人の距離は縮まります。しかし、ダイビング中に事故が起きてしまい……

今作にはFBIも保険調査員も出て来ませんし、殺人事件も起きません。
20代の『普通の』2人が、タイミングが悪かった所為で起きてしまったすれ違いが描かれています。
あ、タイミングの所為だけじゃないな。
2人の性格がすれ違いが起きてしまった原因のひとつでもありますね。
シナリオライターを夢見ているのだけれど、作品を完成させることがなかなか出来ないブレアーは夢見がちな人です。恋愛にも夢が欲しいタイプ。
家具の作成や修復を仕事にしているフィンはどちらかと言えばリアリスト。
男性と即物的な関係をしていて、恋人を甘くもてなすことなど『無駄』と公言しています。
だから、すれ違っちゃうんですよ。

こんな2人がダイビングの最中に起きた事件を通して、互いが唯一無二の存在であることが解ります。
そう、海にはたくさん魚はいるけれど、どの魚でも良いって訳じゃない。

シチュエーションがなかなか萌える構成になっています。
ダイビング、それも難破船の周辺という、ちょっと冒険の香りがする男の子っぽい体験が書かれるので、いつもの『金髪でガタイの良いFBI』が出てこなくても「ああ、ラニヨンさんっぽい」と思いました。

おまけに、ロマンスが苦手なフェイの『ラストでの化け方』が素敵なの!
アドリアンのシリーズで、甘々に変貌したジェイクに好感を持った姐さま方は、絶対読むべきです。
私は朝方に読了したのですが、このラストの余韻で一日中幸せな気持ちになれましたもの。

門野葉一画伯の美しいイラストが、翻訳ものの文章とマッチして雰囲気を盛り上げてくれました。
もう、この表紙絵、たまらんね。

9

FBIも警察官も不在

こちらもKindle Unlimitedで。Kindle Unlimited様様である。

表紙右がブレアーで、左がフィンです。ちょこちょこ視点も切り替わり、風貌の描写も冒頭にはないから(体格差の記述が途中である)序盤探り探り読みました。

「クリスマスの航路」同じくカタリナ島が!結局カタリナ島に行くことはありませんでしたけれど。
ジョシュ・ラニョン先生の作品の中で、FBIも警察官も出てこないという逆に目立つ作品でした。それでもダイビング中の緊張感は、さすがラニョン先生。

恋に特化した内容で、若々しく瑞々しさがあります。皮肉めいたやり取りも少なくて、割にストレートに相手にぶつかる2人が面白いです。

1

幼馴染のモダモダ、ゲイテイストで描くとこうなる。

電子での海外BL短編。作者はあのジョシュ・ラニヨン。

本作は、FBI捜査官もいないし、殺人犯も警官もいません。
いるのは、幼馴染のフィンとブレアー。2人とも、ゲイ。
ただし、フィンの方が目覚めは遅かった。
この事が2人のすれ違いを生みます。
まだ何もわからなかった時、ブレアーにキスされたフィンは唇を拭いた。だからブレアーはフィンは親友だから好きにならないようにと決めた。
後年、マッチングアプリで出会った相手に失恋し続けるブレアーにキスで迫ってしまったフィン。
怯まれて即座に冗談を装ったために2度と告白できなくなってしまった。
あーあ。
面倒くさい。
当人たちにとっては深刻そのものなんだけどね。読者としてはさ…どうくっつくのよ、と薄目で見守る。
したら、まあ〜〜ベタな展開で。
ブレアーは新しい相手とのダイビングデートの予行練習でフィンを誘う。
フィンは傷つくけれど、ブレアーとの時間が欲しくて承諾。
そうして久々に2人でダイビングに行くが…
…そこでブレアーが潜った場所から浮上できず事故死の危機に。
その極限状態で…結局は吊り橋効果的な?
まあ、ついに2人はお互いの本心を告げるわけです。そして抱き合うわけです。
ブレアーはちょっと乙女入ってて、薔薇の花付きの恋がしたいのね。で、そこはフィンが全面降伏するっていう結末。
遠回りの恋、ハッピーで終結。めでたしめでたし。

0

海底描写が◎、ダイビングBL

幼馴染みの、ちょっとベタなすれ違いもの。短編。

お互いに肉体的な経験だけは豊富そうな二人が、初心な恋心を持ってぐるぐるしている。ブレアーはかなり夢見がちで、いろんな男に出会っては別れてを繰り返している。フィンは心だけはブレアーに一途だが通じていない。二人の矢印が行き違ってしまったきっかけは、若さゆえのとある出来事。

均衡が崩れたのは、二人でダイビングに出掛けた中でピンチに陥り、共に脱出してから。ブレアーが冷静に関係を見つめ直し、まっすぐ相手を見て考え始める。ブレアーは自分が面倒な人間だと自覚していたのが良かったし、そこを隠さず訴え、心の内を見せた告白が良かった。受け止めるフィンも器がでかそうで良い。

ストーリーは王道の可愛らしいお話。しかしこの作品、恋愛面よりダイビングシーンの方が印象深い。海底の細かな描写が想像力を掻き立て、映像が浮かび、読みながらダイビング気分を味わえる。沈没船の探索シーンも楽しく、わくわくした。
ジェスチャーで通じ合う二人の描写には萌えがいっぱい。ダイビングBLは初めて読んだが、題材としてかなり良い。これは鉱脈では?と勝手に思う(増えないだろうとも思う)。

納まるべき場所に納まり、すっきり爽やかな読後感。なんだかんだ言いながら上手くやっていけそうな二人で、安心感があって良かった。

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