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僅か約100Pのあっという間の読書でしたが、
読了感はそれ以上で、2時間物の映画を観たかのようでした。
それ程に、サスペンスありロマンスあり。
そして、グレンという一人の警官がこれまでどんな人生を歩んできたのか、
そのやるせなさや心苦しさが、主人公であるナッシュの目線を通して分かっていきます。
グレンとナッシュの関係も、表面で甘い言葉を吐くことはありませんが、
それでもお互いのことを特別だと感じているのは、二人が一緒にいるときの甘く親密な雰囲気から伝わってきました。
本当に作者であるラニヲンさんは、ビターチョコレートみたいな、苦いんだけど甘い関係を描くのがうまいなと改めて思った作品でした。
読み切り中編。
アドリアン・イングリッシュが良かったので、積ん読だったこちらを手に取りました。
非常に読後感よく、またうまいなとうならせられる佳作でした。
FBIのナッシュは地方に短期滞在中、地元警察のグレンに会う。出会ってすぐに、かけがえのない相手だと感じた二人。しかし、普段は遠く3千キロ(に訳してあったと思う)離れた地で仕事をする二人で、別れはすぐにやってくる。
別れのシーンから始まるストーリー。しかし、空港での別れの後、グレンが失踪してしまう。必死で探すナッシュ。
ナッシュを追って仕事を放棄したのか、あるいは事件に巻き込まれたのか。いったいどうやって決着をつけるのか、と思いながら、こういうさわやかなラストか、とうれしく暖かい気持ちになった作品でした。
答えて姐さんで書いてくださった情報で知りました。
翻訳ものM/M初心者です。
成熟した男たちを、緊張しながら眺めている気分で読みました。
儚さから始まる冒頭から目が離せませんでした。侘び寂びの儚さとは異なり、鮮烈な痕跡をもつ儚さだと思ってます。
二人とも、ごく普通のただの男という点が切なさを喰らわせられました。
グレンが生真面目で静謐な男だというエピソードはところどころ出ていますが、結末でその真面目さに感心しました。
小山田さんの画力と、絵から漂う空気が眼福です。
ひと時のバカンスを過ごした相手が突然失踪し、有休で捜査に押しかけるFBI捜査官のお話。
空港でのお別れシーンから始まる物語は、二人の関係性にぐっと興味を引きつけられる。その後捜査を通し、改めてグレンのことを知っていくナッシュ。私情が入りまくるせいで感情的になり、推理もやり方も強引で、見ていてとても危なっかしかった。
失踪したグレンとナッシュの関係はまだとても曖昧で、回想で語られる内容も少なめ。冒頭シーンで強烈に惹かれ合っていたのは伝わってきたし、ナッシュの必死さから受け取るものもあるが、具体的な描写は足りない。もっと二人のシーンを見せて欲しかったと思う。肝心のグレン本人が出て来ず、ナッシュのフィルターを通したグレンしか感じ取れないのも物足りない。
ラストは感動的な締め。ほっと安堵することはできるが、恋愛面ではこの先も見せて欲しい気持ちでいっぱいになる。せめてその後の病室シーンなんかは欲しかったし、その先の話をする二人も見たかった。
これはこれで綺麗にまとまった短編で素晴らしい。ただいろんな点をもっと見たい!と思う気持ちも強く出てくる読後感だった。
電子での海外BL中編。作者はあのジョシュ・ラニヨン。
主人公はFBI特別捜査官のナッシュ。
地方警察への研修でアイダホに1週間の滞在をするが、その間に地元警察の警部・グレンと愛が芽生える。
だが研修が終わり自分はクアンティコに戻り、グレンは地元を離れない。遠距離は続かない。つまりこの関係はここで終わりだ…
だがナッシュは離れがたい。グレンは特別だ…だけど別れの時間は迫る。最後に空港で見つめ合いながら肩を寄せるが…
戻ったナッシュにもたらされた知らせは、グレンの失踪。
空港で別れた後に、グレンは行方不明になってしまった。
その後の地元警察の捜査、たまらずに休暇を取って捜索に参加するナッシュの姿が描かれます。
なぜグレンはいなくなってしまったのか?ミステリ小説に通ずる緊迫感が非常に面白い。
グレンの誠実な性格、それとは別に、保守的な地域で生きるゲイを見る周囲の冷ややかな視線。
なぜそんなに熱心にグレンを探す?ゲイだからだろ、という視線。
グレンの生きている望みは少ない。しかし諦めないナッシュの行動で遂にグレンは‼︎
…短編なのでね。
あ、よかったです…で終わって、あ・そうなんだっていう感想もあるけれど、逆に短編だからこそのこのエンディングがいいような感覚もあります。
この2人、ナッシュとグレンがこの後どうなるのか。
それはわかりません。
どちらかが職を辞するのかもしれないし、ある期間付き合ってお別れするのかも?それでもある一瞬甘く濃い時間を過ごした記憶は決して無くならない…
海外BLってそういうストロングな愛の時間が描かれますよね。日本のいつものBLみたいにこの後ずっと幸せ…かどうかはわからないのだけど、確かにこのひとときは、っていう強さがある。
そこがとても読み応えがありました。