夜の眼

yoru no me

夜の眼
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神5
  • 萌×21
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
2
得点
29
評価数
6
平均
4.8 / 5
神率
83.3%
著者
ジョシュ・ラニヨン 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
門野葉一 
媒体
BL小説
出版社
新書館
レーベル
モノクローム・ロマンス文庫
発売日
価格
ISBN

あらすじ

あの男が脱獄した。かつてパーカーを騙し、パーカーのすべての誇りを、世間からの評価を、友人を、他人への信頼を叩き壊し、命までも奪いかかった殺人者が。身を隠そうとするパーカーに、口数少ないスタッグ警部補が護衛として付き添い、二人は山荘へと向かうが……。

表題作夜の眼

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レビュー投稿数2

それでも光はあると信じている

こちら、電子での単話配信された作品です。
60ページちょっととページ数としては少ないのですが、とても読み応えがある作品でした。
何だろう・・・。
元恋人であるサイコパスからの逃避行と言うサスペンスものでありながら、人と人の繋がりを描くと言うか。
一人の人間の救済がテーマと言いますか・・・。
う~ん・・・。面白かったですね。

内容ですが、サスペンスものであり、主人公救済のストーリーです。
自身から全てを奪ったシリアルキラーで元恋人・リッキーが脱獄した事を知らされた事件記者のパーカー。
護衛であるスタッグ警部補と共に、身を隠す為に誰にも知られていない山荘に向かいー・・・と言うものです。

こちらですね、二人が山荘に向かう道中、そして山荘で共に過ごす時間の中で、長い間闇の中を彷徨っていたパーカーの魂が救われる様子。
更に、並行してパーカーの回想と言う形で、シリアルキラー・リッキーが語られます。
で、一応カップリングとしてはスタッグ警部補とパーカーなのですが、あるのはキスだけ。
二人が恋人になったのかも定かではありません。
だから、何だろう・・・。
多分、恋愛としての萌えを求めると、ちょっと肩透かしを食うかもしれないんですよね。

が、一人の人間、大げさに言えば彼の根底そのものが描かれてる骨太な作品と申しましょうか。
過去に自分の中の正義に従い、冤罪であるリッキーの釈放を勝ち取ったパーカー。
しかし、リッキーはサイコパスであり、自身も殺されそうになる。
その事で、世間の評価、自分に対する信頼、そして誇りと全てを奪われてしまったパーカーは、未だに深い闇の中に居るんですね。
そして今回の脱獄ー。
そのせいか、あらすじだけだとサスペンス要素の強い作品なのに、受ける印象としては物静かで悔恨の意識-。
彼の心を深く追っていくストーリー運びに、静かに引き込まれるのです。

で、秀逸なのがここから。
「あっ、そうなの?」と言う拍子抜けの結末-。
と、思わせてからの、心が震える展開。
パーカーは前述の通り心に傷を負っている。
そしてスタッグ警部補は無口と、最初は全然噛み合わないんですよね。
徐々に心を許していく二人にも萌えるんですけど。
それが、ラストで悲鳴のような本音を漏らすパーカー。
それに答えるスタッグ警部補の台詞がもう、本当に心が震えると言うか。
思わずホロリとくると言うか・・・。
パーカーの魂は、今やっと暗闇から抜け出し、光を感じる事が出来たんだなぁと、深く感動してしまう。

こちら、60ページちょっとしか無いのです。
このページ数で、これだけの内容を書いてあるのが素直に感嘆しちゃうんですね。
また、パーカーのみならず、スタッグ警部補と言うキャラクターもしっかり描写されてるのが凄い。
MMて、恋愛を書くと言うよりは、人間を書いてるんですよね。
その中で、恋愛が付随して来ると言うか。
上手く言えないんですけど。
私はこの作家さんが大好きですが、こういう部分にたまらなく惹かれます。

とりあえず、お値段安め、ページ数も少な目と手軽に読めるので、ジョシュ・ラニヨンさんの作品に興味がある方の入門編としてもおすすめしたいです。

4

自分で自分が信じられなくなった時に

『小説ディアプラス2017年ナツ号』掲載作品の電子化。
ラニヨンさんの短編が電子化されるのは大歓迎です。短編集って出版されるまで時間がかかりますので、待っていられないんですもの。
また、多作な作家さんだったと聞いていますので、翻訳者の冬斗さんとディアプラスさんに頑張っていただいて、どんどん雑誌掲載をしていただきたいとも思います。だって、今まで読んだラニヨンさんの短編ってハズレがない。今回も、自分の正義を貫いた結果、窮地に陥ってしまった話としてかなりズンと来ました。

あまり詳しく書かれていませんが、主人公のパーカーは事件記者という仕事にかなりの誇りを持っていたと思います。リッキーに対する冤罪を告発し、彼の刑期を短くする運動に奔走したのは、決して恋愛感情だけではない。彼のジャーナリスト魂がそうさせたのだろうと思うのです。

しかしその結果、出獄したリッキーによって更なる犠牲者を出し、自分も殺されかかってしまうなんて、これはかなり辛い。

一時は恋人と思っていた相手に殺されかかるというのもかなり辛いですけれど、一番ダメージが大きいのは、自分が正義と思って行ったことによって、最悪の結果をもたらしてしまったことじゃないかと思うのです。
自分が今まで信じてきて、誇りを持ってやってきたことの全てが否定される訳ですから。
自分の価値観が足下から崩れ落ちてしまった後、彼が過ごした数年間を思うと、腸がねじくり返る様な辛さを感じます。

脱獄したリッキーからパーカーを守る為に派遣されたスタッグ警部補のキャラクター設定が秀逸!
ある意味『職務に忠実な普通の人』なんですよ。
だからこそ、あれから誰も(特に自分を)信じられずに、自分の価値を蔑まざるを得ないパーカーを救済することが出来たのではないかと思ったんです。

自分の仕事の倫理に沿って『ただ善きことを行おうとすること』それ自体の素晴らしさが明らかになる部分は、このレビュー位の短さです。
でも、その鮮やかさと言ったら!
暗く、寒く、孤独だったパーカーの人生に降り注ぐ、春の朝の光が私の目にも見える様でした。

『男性同士の恋愛物語』という枠では括れないですけれど、また、決して『読んで楽しい気分になる』話ではないですけれど、何かにとっても頑張っていて、それでも挫けそうになった時に是非お読みいただきたい物語です。
そんな方にきっと力を与えてくれることを請け合います。

4

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