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溺愛する勇者×誤解から嫌われる平凡な幼馴染み
人気Web小説の書籍化になります。
勇者の幼馴染みで、一人で孤児院を経営する平凡な青年・レイル。
しかし、勇者にお金をたかるヒモのように思われている彼は、勇者と手を切るように手切れ金を渡されて旅に出る事にしますが・・・と言うお話。
こちらですね、タイトルやあらすじからはライトな作品に見えそうな気がしますが、実はとても深くて心に響くお話だったりします。
こう、設定としてはすごく王道なんですよ。
周囲から誤解されてる不憫な主人公。
ただ懸命に生きていた彼が「正義の味方(勇者の仲間)」によって更に窮地に追いやられる。
後々主人公の真実が分かり、自分達のしてしまった酷い所業に打ちのめされる周囲(勇者の仲間)。
そして、周囲のそんな思惑により主人公と引き離されてしまった攻めは、最初から最後まで主人公への愛が揺るぎなく、ひたすら溺愛。
主人公を真っ直ぐ追いかける・・・。
こう、口が悪いんだけどこれ以上ないほどの愛が深い攻めとか、そんな攻めの想いに1ミリも気付いてない、少しズレててごくごく平凡だけど不憫な受けとか。
レイルが手切れ金を渡されて追い出される所からスタートするお話ですが、周囲をぶっちぎって追いかけてきたジオとの恋愛はそこから始まるんですよ。
二人はゆっくり丁寧に気持ちを通じ合わせて行く。
攻めによる受けへの溺愛ものがお好きなら、もうこの溺愛部分だけでも読む価値があるんじゃないかと思うんですよね。
思うんですけど、この作品の真髄は溺愛部分では無いと思うのです。
繰り返しになりますが、とても深いお話なんですよ。
えーと、何だろう。
オチがですね、かなり意外なものになるんですよね。
ただ単純に周囲の誤解が解けて不憫な主人公が報われ、二人が結ばれるってんじゃなくて。
途中から思いもよらない方向に話が進み、終着点はこう来たかって感じで。
これがすごく感動で、何度読んでもこのラストにはグッと来る。
こう、胸にこみ上げてくるものがあると言うか。
この二人、ずいぶん遠くまで来ちゃったなぁと、なんかホロリとなっちゃうと言うか。
また、個人的にとても心に残った所。
単純に目に見える部分と、そうじゃない真実。
人って、自分の見たいように物事を見るし、自分が正しいと思い込みがちだよなぁと。
当初、ジオの仲間達はレイルをヒモ程度に認識してるんですよね。
不健康そうな見た目に身体の線を強調する派手な服。
ジオから給料のほとんどを貰うクセに、感謝の気持ちも見せない。ましてやまともに相手もせずに自分は寝に行く始末。
そして、そんなレイルの態度に満足気なジオ。
これではジオが可哀想だ。
彼をいい加減解放してやってくれ。彼にも幸せになる権利がある!
的に。
でもな~、これ。
見る側面を変えると、真相と言うのは全然違うんですよ。
そしてそれは、ジオとレイル、二人が分かってるからそれでいい。
手を貸してくれるでも助けてくれるでもない、周囲がとやかく言う事では無いんですよ。
でも仲間達は、自分達の勝手な正義に則って、レイルを追いやるんですよね。
あくまでジオの為に。悪意は一つもなく。
現実で自分も気付かずやってそうな事で、とても怖い。
この部分が、やたら心に残っちゃって。
ただ、だからこそ、周囲を恨むでも無く、あるがままに受け入れて自分の人生を生きようとする。
そんな主人公の姿が際立つんだろうなぁ。
ちなみに、書籍化にあたり、二人の後日談が書き下ろされてます。
もうこれ、めちゃくちゃ萌えます。
こう言うの、大好きなんだけどー!
他、主人公が随所で唱える祈りの言葉(誓句)がとても素敵です。
「兄弟たちに変わらぬ愛を注ぎます。」
これもまた、深いよなぁ。
最後になっちゃいましたが、こちら、書籍化が決まる前から大好きな作品で、繰り返し繰り返し何度も読んでるんですよ。
書籍化されて、めちゃくちゃ嬉しいです。
サイトの方で絶大な人気を誇ってるので、書籍化は何ら不思議じゃないんですけど。
あと作者さんのお話で、短編だけど「引っ越しする部屋を掃除してたら夫の遺書が出てきた」がめちゃくちゃいい話でして。
今作がお気に召された方は、ムーンライトノベルズさんの方でぜひこっちも読んでみて!
初めてお見掛けする作家さま。もしかしたらデビュー作?なんですかね?
タイトルがちょい微妙っていうか。いや、ごめんなさい。
でも、電子で立ち読みしてみたら、何これ、めっちゃ面白そう!とか思ってですね、そのままお買い上げしました。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公はレイル。
孤児で、孤児院で育ってきた彼は、前院長が引退したのを機に院長という座に収まり、子どもたちと共に暮らしている。
そんなレイルには同じ孤児院で育ったジオという幼馴染がいるが、ジオは子どもの時から魔法が使え、その能力を生かして魔王を倒して今では勇者と呼ばれる英雄になった。彼らの住まう国の王女との婚約も間近と言われるイケメンで有能なジオだが、さらにジオは義理堅く、レイルの孤児院に給料の大半という多額の寄付をしてくれる。
貧乏で金策に苦労している孤児院にとってはありがたい寄付ではあったが、ジオの勇者仲間たち、そして婚約間近と言われる王女はレイルがジオに集っている、ように見えたらしい。
多額の金銭(手切れ金ともう言う)を渡され、ジオの前から姿を消すように言われたレイルは、すべてのお金と、そして数人への手紙を孤児院に残し、そのまま身一つで孤児院を出ていくことにするが―。
というお話。
もうね、レイルという男の子がめちゃめちゃ可愛いの。
彼は自分のことよりも他人のために行動する青年。レイルがジオに「集っている」ようにジオの仲間たちには思われていますが、その理由も彼のその行動によるもの。自分を着飾ることなく、髪のカットも適当、そんなレイルはイケメンゆえにチャラ男に見えてしまったから。
一方のジオは鍛えられた肉体に、真摯に取り組む訓練、清潔なイケメン、ということで勇者となった今では神格化すらされている。
が、彼らの中身は…、という、見た目を裏切る豪胆な性格がこれまた良い。
ジオのすべては、レイルのためだけに存在していると言っても良い。そんな執着心が、萌えや笑いを誘うのです。
序盤、ジオの仲間たちから責められ出ていくように言われるレイル、の描写から始まっていることもあって、もしかしたらシリアスベースのお話かな?とか思いつつ読み始めましたが、その予想をいい意味で裏切る、コミカルでほのぼのなお話でした。
レイルの周囲の人たちが、めちゃめちゃ良い人たちばかりなのです。
一生懸命で、働き者で、自分のことは後回し。今まで若者らしい楽しみとは無縁の生活を送ってきたレイルが、人の温かさに救われ幸せになる姿に心の底から安堵し、そして嬉しくなりました。
で、このレイルという男の子は、めちゃめちゃまっさらさんです。
性格的にも、性的にも。だからこそ生まれる勘違いとかすれ違いもあるのですが、ほっこりと甘々、そしてちょっぴり切ない、というそのバランスが素晴らしくって、ストーリーとしても、そしてジオ×レイルの二人の恋の行方という点でもすごく読みごたえがあって面白かった。
レイルの両親の話とか孤児院仲間のお話とか。
まだまだ続きを読んでみたいです。
初読みの作家さまでしたが、癖のない読みやすい文体に、起承転結がはっきりしている展開、そして魅力ある登場人物たち。
どれをとってもドツボに突き刺さる、そんな作品でした。
次回作も楽しみに待っていようと思います。
健気すぎる攻めと鈍感で頑張り屋な幼馴染の孤児院院長
既に詳しくレビューされているので、詳しくは他の方のレビューを参考にしていただいて、ちょっとだけ。
勇者としての武功を挙げ凱旋してきた幼馴染ジオ(攻め)に寄生しているとジオの仲間たちに思われてきた孤児院院長のレイル(受け)。
何度もジオを自由にしてやれとアドバイスされ、とうとうジオと結婚すると噂の王女から手切金を渡され旅に出ることを強要されたレイルは、その言葉に従い、初めて自由を得ます。
それを知ったジオは烈火の如く怒り狂い…
話は普通なら中盤あたりに出てくる当て馬に程よく追い出されるところから始まります。
激怒するジオに対して仲間達は自分たちの考えを訴えますが、それに対してジオの明かされることになかった恋情と気遣いに驚かされます。
報われなくてもいいレイルの負担を少しでも減らせれば、というジオの気持ちとレイルの置かれている立場に驚き、何も知らないで必死に子供たちを守っているレイルを傷つけたことを悔いる仲間達は本当はとてもいい人たち。
一言レイルに謝りたいと皆でレイルを迎えに行くことにするのです。
ジオの献身にはもう感動しました
レイルは一人での孤児院の経営により心身ともに疲弊していて子供たちを健康に育むことに精一杯でジオの気持ちに気づくことはありません。
ジオも気がつかれないように気をつけていて、二人の恋人でもない家族でもない、同士のような関係がとてもいいです。
本編最後の孤児院の一番の年長の片腕的存在のウィリー視点の独白で泣きそうになりました。
子供たちことでいっぱいいっぱいのレイルに自分の心配をさせたくなくて一生懸命言葉を尽くして勇者の仕事に危険はないというジオの献身を、幸せになった二人をずっと間近で見守ってきた様子がとてもよかったです。
あと、何度か出てくる誓句、これがとても心に沁みます。特に最後の「火神サラシネを抱く兄弟たちへ、変わらぬ愛を注ぎます」と言うところが好きです。
二人の手紙の最後に必ず書いてあることに、そして何かあった時にいつもそれを読んで心慰められることに泣きたくなるほど切なくなりました。
とても素晴らしい話だったのですが、一つ難点を言うとすればタイトルで絶対損してると思います。軽めの話と思っていたらずっと重くて深い話で嬉しい誤算でしたが、タイトルで敬遠する人がいるのではと思うのです。
もったいないなー。
ちょっと立ち読みさせてもらうつもりが、冒頭の数ページ読んで即購入してました!
正直タイトルを見ると、好きだった相手からひどい仕打ちを受けたのかと邪推してしまいましたが、そんなことありませんでした。むしろひたすら愛されてた!ってお話なので安心して読めると思います。
何より主人公の二人の健気さは萌え!
レイルは、同じ孤児院で育ち勇者になったジオは自分の事を嫌ってるんだと思い込んでいました。そんなジオが魔王を倒して凱旋する前に、レイルはジオの事が好きな女王様に、若くして院長をしていた孤児院を去ることを勧められレイルはそれに応じ書き置きや手切れ金などを残し去ってしまいます。それを見たジオはものすごく怒って女王様を問いただし、レイルを迎えに行きます。
そこからお互いの関係を修復したり、想いを伝えたりとステキな展開が待っていてイッキに読めちゃいました!
とっても良かった。タイトル「手切れ金をもらったので旅に出ることにした」よりも、その後の話がメインです。
切ない話かな、と思いきや主人公たちの周囲の反応なんかが面白くてクスッと笑っちゃいます。
攻めも受けも口調が少し乱暴かなって思ったけど、読むうちにそれがむしろ自然で人物のバックボーンを補強していて丁寧な話作りを感じました。
主人公たちと関係が深い人たち数人以外は、結構重要な役どころであっても名前がないのも、2人の世界観を表しているようで面白かった。
ジオ良かったねって肩を叩いてあげたい。