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表題作きみと描く光の色

常磐旬,25歳,リノベーション会社デザイナー
橘色葉,25歳,日本画家

あらすじ

芸大のデザイン科を卒業後、デザイナーとして働き出した旬。仕事にはやりがいを感じているものの、本来の夢であった絵の仕事に対する未練を断ち切れずにいた。そんなある日、仕事の打ち合わせのために訪れた料亭で、旬はある襖絵に魅了される。それは、大学時代の同級生、色葉の手によるものだった。見惚れるほどに絵がうまく、そして学内でも評判の美形だった色葉に対し、旬は憧れとも嫉妬ともつかぬ感情を抱いていた
。当時のことを思い出した旬は、卒業以来初めて色葉に連絡を取る。返事はないかもしれないと思っていたが、色葉は意外にも返事をくれ、二人は数年ぶりに会うことに。色葉に指定された彼のアトリエを訪れた旬は、色葉が画廊に絵をおいてもらう代わりに、画廊オーナーと身体の関係を結んでいることを知ってしまい……。

107ページ

作品情報

作品名
きみと描く光の色
著者
餡玉 
イラスト
猫巳屋 
媒体
小説
出版社
くるみ舎
レーベル
スピカ文庫
電子発売日
3.8

(6)

(2)

萌々

(2)

(1)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
22
評価数
6
平均
3.8 / 5
神率
33.3%

レビュー投稿数1

京都気分が味わえます

中立寄りです。

本作は過去作なのでしょうか…?新作かと思って読み始めましたが、『本気の恋、いただきます』よりもあちこちアンバランスな印象を受けました。全編攻め視点です。

餡玉先生の作品は断然受けが魅力的で、今回も色葉が最高でした。持って生まれた美しいビジュアルと画才、妬み嫉みから遠巻きにされ学校では友達もできず、ひたすら絵を描き続けて孤独に努力を重ねてきた駆け出しの日本画家。先を読むとわかりますけど、ほんっとに純朴で不器用で可愛い子なんです。

他方、芸術大学在学中に色葉と知り合った旬は、画家になる夢を父親に猛反対されて諦め、代わりに就職に有利な空間・建築デザイン科を選んだ現実的でそつのないタイプ。芸大すらよく思っていない両親に自分を認めてもらうため、必死に就活に取り組んでいました。他学科の中でも悪目立ちしていた色葉と間近で接する機会を得た旬は、初めのうちこそ色葉の恵まれた境遇にコンプレックスを抱いたけれど、創作に向き合う彼の真摯な姿勢を目の当たりにして、瞬時に心を掴まれてしまいます。

再会ものですが、学生時代の二人の関係性が特別にインパクトのある記憶として残らなかったのは否めず、ベタだけど旬が色葉と過ごした忘れられない時間を回想するところからストーリーが始まっていたら、旬の気持ちがより自然に伝わってきたかもしれないなと思いました。

もうひとつ、再会するまでの期間が短く、年齢設定が少し若く感じたような気がします。デザイン会社で仕事をこなす旬の現在からお話は始まり、そこで描かれている彼はなかなか大人っぽくていい感じのスタートだったのに、色葉と再会して素でセリフを話し始めるといきなり子供っぽく感じてしまって。色葉の京都弁がリアルでめちゃくちゃ雰囲気があるのに、旬のセリフがまるっきりマンガのキャラみたいで違和感が…。本来ならそこは同級生萌えするところなのかもしれませんが、個人的にはしっくりこなかったです。

最後に二人が結ばれるシーンの長さや濃淡(旬が急にエロオヤジと化します笑)、お話のトーン(シリアスなシーンでつい笑ってしまったところがありました)、リアリティとフィクションのバランス(色葉と下条の関係は合意だけど時代にそぐわないような…)など、今回は全体的に統一感がなく読みどころが散漫というか…。なんとなく旬と色葉が惹かれあった大事なポイントがボンヤリしてしまったように思います。

旬の職場のアシスタントくんにはBL的に活躍して欲しかったなとか、色葉と下条には双方に恋情があったりしたらもっとアダルトなお話になっていたかなとか、妄想ネタはチョコチョコありました。当て馬がそれほど悪くない人物だったので、そこは作家様らしくてホッとしましたけど笑

京都の街の描写が本当にリアルで、読後は京都ライフのひとこまを覗かせてもらったような気分になります。優しさに溢れていて基本エチは甘い作風の作家様だということが本作でもよく伝わってきたので、これからもコメディや人情もの、えちえちな作品を楽しみにしています!

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