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表題作銀嶺のヴォールク

ヴィールカ,ロルカという名の息子を持つヒトにも狼にも変容できる人狼
アレクセイ・ヴァレーリエヴィチ・ザハロフ,25歳,狼部隊の指揮官で中佐

その他の収録作品

  • 黄金の春の息吹き
  • あとがき

あらすじ

狼部隊の指揮官を務める貴族出自の軍人アレクセイが、ヴィールカと名付けたたくましい白銀の人狼。
その人狼の仔狼を助けたことをきっかけに、彼は子連れでアレクセイの前に頻繁に現れるようになる。
大きな尾を振って好意を示すヴィールカにアレクセイはそっけない態度でいたが、ある任務で急遽ヴィールカを狼部隊の長に任命することに。
身体に触れ、肌を味わいたい…と日々、情熱的な愛を向けられ、アレクセイの凍てついた心にも変化が…。
種族を超えて惹かれあう――永遠の愛と絆!!

作品情報

作品名
銀嶺のヴォールク
著者
北ミチノ 
イラスト
二駒レイム 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイノベルズ
発売日
電子発売日
ISBN
9784799753743
3.4

(24)

(5)

萌々

(10)

(3)

中立

(3)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
6
得点
77
評価数
24
平均
3.4 / 5
神率
20.8%

レビュー投稿数6

素敵な受け

美しい表紙に惹かれました。購入後、読む前に中身をパラパラめくりまた満足。挿し絵も綺麗で色っぽい。こりゃー楽しみだー、となりました。北ミチノさん3作目ですがストーリーが丁寧で読み応えがあり今までハズレがない。これからの作品も楽しみです。

物語は人狼×軍人。受けの名前はロシア風で金髪碧眼のクール美人。しかし軍人なのでストイックで凛々しい所が素敵。攻めも受けの見た目の美しさだけじゃなく、その性格の高潔さに惹かれたという感じなのが良かったです。

人狼で攻めの死別した番の子もいて受けと一緒に大事に育てる所も良い。受けのアレクセイの性格が大人で「ヴィールカ(攻め)の子は私の子供のようなものだ」という自然な感じ。受けが出産する、とかのパターンよりも私は好きです。アレクセイ、クールなのに乳首が弱いところも素敵!

真夏に北の雪国のお話が涼しげで良かったです。

8

真摯な言葉と一途な想い

今回は子持ちの人狼と狼部隊指揮官のお話です。 

受様と攻様が出会い互いを大切な存在とするまでと
攻様の子がヒト化する続編を収録。

セーヴィルイ帝国は大陸北東を占める軍事大国で
各地の名を冠した地方軍が各地を統括しています。

受様は貴族の名家の地を引く生まれ育ちと
端麗な美貌を裏切る勇壮で25才の若さながら
中佐を拝命します。

受様は栄転で北方軍に赴任、
軍用獣として狼を使役する狼部隊の指揮官となりますが
狼部隊には人狼も何頭か所属しています。

人狼の存在は将校以上のものしか知らさておらず、
受様も着任時に知ったほどでしたが、着任早々
副官が人狼を捕獲したと知らせてくるのです。

受様が地下牢で対面した人狼は巨躯の白銀の獣で
鋭い牙を剝き出しに受様達に吼えかかります。
この人狼こそ今回の攻様です♪

受様は攻様に力を貸して欲しいと話しかけますが
攻様は受様の目の前でみるみるうちにヒト化し
我が子を人質にして捕らえらたと吼え盛るのです。

攻様は子を取り戻すため処遇に耐えていたのであり
全ては副官の受様へのすり寄りだったのですが
受様は副官を厳しく罰する姿勢を示します。

そして攻様には仔狼の治療と待遇の改善、
意思のない入隊を強制しないと言い
心からの謝罪を述べて許しを請うのです。

攻様は仔狼の傷が癒えると森へと帰っていきますが
なぜか3日と開けずに駐屯地に通い
司令部のある建物を見上げるようになります。

受様は彼を入隊される気はありませんでしたが
最北の町に道路補修に向かった作業員達と
同行した辺境警備隊が猛吹雪で孤立し、
事態は一変します。

速やかな救出を求められた北方軍は
受様の提案により狼達にソリを引かせる事となり
狼部隊の総隊長の人狼の力添えにより
攻様も救助作戦に参加することとなるのです。

果たして受様達は救出作戦を成功させる事ができるのか!?

ビーボーイ小説新人大賞期待賞を受賞して雑誌掲載された
タイトル作に続編をプラスしてのノベルズ化で

妻を殺された事で人間を避けてきた攻様と
恋人を亡くした事で生きているだけだった受様の
もふもふ人外ファンタジーになります♪

もふもふ攻ってコミカルなものが多い感じですが
本作はシリアスベースです。

貴族の庶子ながら跡取りとして育った受様ですが
義弟が生まれた事で士官学校へ進み
帝国近衛師団に入隊します。

受様が大尉になった年に平民での准尉を部下とし
日々を過ごす中で互いに惹かれあうのですが
准尉は任務途中の落石事故で亡くなってしまいます。

優秀な部下を失って憑かれたように業務に励む受様を
慮った上官によって受様の北方軍への転属話が
持ちあがるのです。

そんな傷心の受様が出会ったのが
つがいを狩られて人間を信じなくなっていた
攻様だったのです。

2人が近づいていく中で
互いに大切な存在を失った過去が交錯し
再び誰かと共にある安らぎや愛する事を
思い出していく展開にドンドン引き込まれ

2人が互いを大切な存在となるまで
とても楽しく読ませて頂きました (^-^)v

攻様が狼姿を受様への好きアピールに
最大限に利用しているのが萌ツボでした♡

野兎や黒貂を狩って貢いだり
受様を見ると尻尾ふりふりしり、
腹を見せたりするのって
動物好きにはめちゃくちゃ効きますよね。

9

読み易くてテンポの良い作品

北ミチノ先生の作品を読むのは初めてになります。

ビーボーイ小説新人大賞の期待賞を受賞した表題作と、書き下ろしの「黄金の春の息吹き」の二篇が収録されていました。

表題作はシリアスで緊張感があって、書き下ろしは二人が恋人同士になってからの話なので幸せそうで満ち足りた二人の様子が読めました。

想像と違ったのはヴィールカの性格でした。
登場時こそは敵対心を持ち周りを威嚇してましたが、心を許してからは朗らかで前向きでアレクセイに対して一途なワンコでした。
そして恋人を事故で喪ってから凍てついたアレクセイが、彼に心を開いて行く様子が見事に書かれていたと思います。
ダラダラとした文章では無く、場面転換も的確でテンポの良い作品だと思いました。

こちらの作品の世界観では、人狼伝説はあるものの一般人には存在は知られていません。そしてアレクセイのいる部隊にだけ狼部隊があり、人狼が密かに協力してるのです。
人狼は協力する代わりに身分を保障され、衣食住に関しては手厚い待遇を受けていました。

なので部隊にいる狼も人狼も人間とは良好な関係を築いてました。
途中で思わぬ人物によってアレクセイに危機が訪れるのですが、その時に駆け付けるヴィールカの活躍に興奮しました。

個人的には短いながら書き下ろしの「黄金の春の息吹き」が好みでした。狼の群れの新しい生命の誕生やヴィールカの息子のロルカの人狼としての目覚め、そして何と言ってもアレクセイとヴィールカとロルカが三人で街に出掛けた様子にホッコリしました。
そして忙しい職務を縫っての二人の逢瀬が甘かったです。

モフモフや軍服が好きな方にお勧めします。

6

丁寧さにバラツキがあるけど、面白かった

バラツキと感じるのは、多分・・著者の萌対象と私の萌対象が異なるからだと思う。

高級娼婦の母と貴族の間に生まれた美貌のアレクセイ
跡取の男子が居ない為、母元から父親に引き取られた後、弟が生まれる
父元で、身の置き所を失ったため、兵役に志願して寮生活を希望する。

寮で知り合ったイヴァンと恋人になる。
自分の命令で行かせた任務で、大事なイヴァンを事故で失って、アレクセイは魂の一部を失ったようになる。

北部の任地へ移動した先で、野生の人狼親子と出会う。
人狼に懐かれて、アレクセイは徐々に心の安らぎを得ていく。
どうやら、人狼はアレクセイの香りが好みらしい。

天下分け目のBL・・で入賞した作家。
昔から短編に仕立てようとしても、長編になってしまうのが、著者の癖。
思い入れが深すぎて、あれこれ解説を盛りすぎで、どこが焦点なのかボケてしまうのが個性なら、
続編とか、SSとか、後から添えて頁を増やさない方法をとったらいかがかと思う。

この作品も焦点というか、解説部分が長くて核心がぼけ気味だけれど、
子人狼の可愛らしさでカバー。

次作に期待。

1

バックボーンが秀逸。

初読みの作家さまでしたが、二駒さんの美麗表紙とタイトルに惹かれ手に取りました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。







主人公はアレクセイ。
麗しい美貌を持つ彼は若干25歳にして中佐という階級を与えられている。貴族の出身で彼の父親への忖度はあったにせよ、彼はまじめで有能な軍人だ。そしてそんな彼は現在北方軍で狼部隊の指揮官を務めている。彼の住まう国では雪深く、さらに熊と対峙することが多いために狼を使役しているのだ。

ある日彼は部下から半ば伝説と化している人狼を捕縛したと告げられる。信じられない気持ちを抱えつつ連れていかれた場所には一人の人狼がいた。反人道的な方法で拿捕された彼を解放するアレクセイだったが、その人狼はことあるごとに息子を連れてアレクセイの属する隊にやってくるように。扱いに困り果てるアレクセイだったが、とある事情により、その人狼を軍に所属させることになってしまう。

人狼にヴィールカと名付けともに過ごすようになる二人だったが、その距離は少しずつ近づいていって―。

というお話。

ヴィールカには息子がいる、つまり、ヴィールカにはかつて番がいたわけです。
そして一方のアレクセイにも。

大切な人を失う、というつらい過去を持ち、心に枷を嵌めている二人の男たちの恋のお話。そんな男が出会い、恋をして。BLという軸で読むとこの二人の恋の行方がベースになるわけですが、今作品はそこに「狼」、あるいは「人狼」の存在が大きく横たわっています。そのバックボーンの活かし方が実にお上手です。

一生でつがいはたった一人。
そんな狼と、大切な人を失ったアレクセイの過去がリンクして、だからこそ愛する人を新たに作って良いのかと悩んでいく。ここで、もう少し二人の葛藤するシーンが描かれていたら、あるいはもう少し萌える作品になったような気がしました。

が、ヴィールカという青年は、さながらワンコの鑑です。一途に、ひたむきな愛をアレクセイに送り続ける。この忠誠ぶりがドツボに突き刺さりました。

今作品はベースとしてはシリアス寄りなお話です。人が殺められる、というシーンがあるのですが、ヴィールカとアレクセイの恋の行方だけではなくミステリっていうのかな、「犯人探し」の側面も兼ね備えていて話に引きずり込まれました。

で。
何が可愛いって狼のお子の存在。
今作品はヴィールカに息子・ロルカがいるということで子育てものに分類されますが、序盤は子育てものといった側面は鳴りを潜めています。が、後半に入ると、まあロルカの成長っぷりと可愛さに悶絶しっぱなし。二駒さんのイラストがまた美麗で美しい。

ただ、「人狼」が多用され過ぎていた感も。
伝説、という存在の人狼が意外に多く登場していて、その設定にちょっと齟齬があったような気がしました。

が、二駒さんの美麗イラストも相俟って、総じて甘さとシリアスさ、切なさのバランスが良い、そんな1冊でした。

8

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