幾千の夜を超えて君と

ikusen no yoru wo koete kimi to

幾千の夜を超えて君と
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神19
  • 萌×25
  • 萌4
  • 中立1
  • しゅみじゃない2

41

レビュー数
12
得点
128
評価数
31
平均
4.2 / 5
神率
61.3%
著者
中原一也 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199010408

あらすじ

深夜の山道をドライブ中、見知らぬ男が突然飛び出してきた!? 自殺行為に驚愕する矢代(やしろ)だけど、大量に出血した男はなぜか服の下に傷一つない。しかもその男・司波(しば)は、なんと「俺は死ぬ方法を探してる」と告白!! 不老不死の薬を飲んで以来、150年生き続けているという。死という終着点を失くし、この世に居場所を見出せず永遠に彷徨う…。放っておけない矢代は、共に「死ぬ方法」を探すことに!?

表題作幾千の夜を超えて君と

司波彰正,自称27歳,山道で突然飛び出して来た謎の男
矢代樹,27歳,司波をひいた無職の青年

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数12

不老不死の男の切ない物語

中原一也先生デビュー20周年、
「小説を書く勉強をしている最中」という中原先生が、節目に書いた「泣けるBL」。
お勉強中なら、来年の作品はもっと面白いものが公開されそう、期待。

同じテーマ、愛を問う「拝啓、百年先の世界のあなたへ」と併せて読むことをお勧めしたいです。

不死の男の願いをかなえる物語 
後半に向け徐々に深まる恋の成就と別れの予感。

著者曰く
「プロットの段階から頭の中の物語を形にするのは難しいと思っていた作品で実際に難しかった」
「賛否分かれるラストでも自分が書きたいならこれからも勇気をもって書いていこうと思いました。」

愛とは?生きるとは?を、読みながら主人公と一緒に考えさせる、読者に問いかける展開で、重苦しかった。
寂しさを凌ぐほどの愛を得て、人生観が変わる。

ハードボイルド猫小説「はけんねこ~あなたの想い繋ぎます~(画:KORIRI先生)」と基調は同じかな、大事なのは「愛」。

著者紹介に「得意分野 ハードボイルド、ヤクザもの、オヤジ」と書かれているけど、今後の中原先生の作品は変化がありそうな気がします。

4

前略 中原一也さま

デビュー20周年、おめでとうございます。

「記念作がこれか」と思いました。
先生の十八番ともいわれる『オヤジ』ではなく、大人の男同士がプライドをぶつけ合うノアールでもなく、また、ぶっ飛んだ(そのくせ知的な)コメディでもなく。

直球ですね。
照れが先走ってしまうところがある様にお見受けする中原さんが「愛について」真直ぐ語ってくれた物語だと思いました。
ありがとうございます。
私はこのお話、大好きです。

とある理由から死ぬことができなくなった司波が死に方を探すのは、心の痛みに堪えかねてしまうからですよね。
だってその『不死』の所為で、彼の大切な人が命をなくしたのですから。
死にたくても死ねない事実を突きつけられるたびに、絶望の淵に追いやられる司波の姿は、普段淡々と不死を受け入れているように見えるが故、余計に悲しくぐっと来るものがありました。

そんな司波を「なんとかしてやりたい」と思い、心を寄せていくにつれて「一緒に生きて行きたいと思うのは自分のエゴか?」と葛藤する矢代の心情も痛いほどよく理解できました。

もう、切ない切ない……久しぶりに文章読みながら泣いちゃいましたよ。

あとがきで「賛否分かれそうな(否の方が多そうな)終わり方にしてしまった」と書かれていますが、私はこの終わり方、好きです。
私としてはこの少年が、たとえ司波の待ち人でなかったとしても、それはそれで良いのではないかとまで思っているんです。

愛するというのは各々がたったひとりで持っている気持ちです。
そのひとりとひとりの気持ちが奇跡的に交わった時があるということ。
その記憶を風化させることなく持ち続けていることこそ、死によってすら分かつことが出来ない『恋愛』の存在を示すんじゃなかろうか、と思いました。

中原一也さま、
ずっと書き続けてください。
また中原さんのお話を読ませてください。

7

いつか会えるその日を。

皆様のステキなレビューを拝見して、俄然読みたくなって手に取りました。


受け様の矢代は、社会生活が困難になるほど重度の暗闇と閉所への恐怖心がある。
なんとか克服したいと夜の山道を運転中、男が車の前に飛び込んできてぶつかってしまう。
手当てのため自宅に連れ帰ると、すっかり怪我がなくなっている男。
この不可思議な男が攻め様である司波。

司波は不老不死であり、死に方を探していると言う。
やめとけ、と分かっていてもどうしても放っておけず、矢代は一緒にその方法を探すことに。

視点が、矢代、司波、と入れ替わり、過去の思い出も入るけど、スムーズに読み進められました。


自分を助けるために命を落とした幼馴染の"アイツ"に対する罪悪感と孤独の中で長い年月を生きてきた司波。

矢代と"アイツ"の関係は、途中で気付いたのですが、肝心の矢代はなかなか辿り着かず、ハラハラしっぱなしでした。
想いを伝え会う事ができて、本当によかった(つд;*)

死に方を探して生きてきた司波に、生き甲斐ができたのもよかった〜。



ラスト、先生が賛否あるだろうとあとがきで先生が書かれてましたが、なるほどなぁ。
私としては、幾千の夜を独り捜し続けて来た司波なので、できることなら抱きしめあえる肉体を持った姿であって欲しかったかな。
だって、また独りなんだよ。
切ないじゃない(ノ_<。)



イラストは麻々原絵里依先生。
しっとり硬質な感じがお話のイメージに合っていて素敵でした。




中原先生、デビュー20周年を迎えられたそうで、おめでとうございます。
たくさんの素敵なお話を世に送り出して下さってありがとうございます。
これからのご活躍も楽しみにしております。

6

20周年おめでとうございます

中原先生だし麻々原先生だからマストバイ。中原先生20周年とのこと、おめでとうございます。あとがきによると「自分の書きたい気持ちを大事にしてきた」とのこと。先生のその気持ちで書かれたと思われる当作の終わり方、私は今一つぴんと来なかったので、申し訳ないです中立より萌にしました。じゃあどうだったら嬉しかったの?と考えても、「これよ!」というものが思いつかず、煙る霧雨に隠されている心地です。読む人によって七色の感想が出てくるんじゃないかなと思うお話で本編240p弱+あとがき。

霧雨の降る夜の山道を車で走っていたら、森の中から出てきたものと衝突。車から降りて見れば男性が血を流して倒れています。「救急車は要らない」と言い張るので、とりあえず家に連れて帰ってみると本当にどこもケガをしていない。「死なないんだ」「死に方を探している」と言い始め・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
仁井原(精神科医、受けのかかりつけ医)、小室(准教授)、攻めの幼馴染ぐらい。

++攻め受けについて&超ネタバレあるので要注意

攻めさんは昔結核になった時に、幼馴染が手に入れてくれたものにより死ねなくなった方。長い間生きているからか、無という印象です。怒る、笑う、嬉しい、楽しいなどの感情をあんまり感じないです。(まあ当然か)メンタル強いんだよな。

受けさんは暗い所や狭いところがとても苦手な故に職を失っている方。おちゃらけた所は微塵もなく、真面目な方という印象ぐらいかなあ。

お話は感動するタイプのシリアス純愛王道かな。笑うところやニマニマするところが少なく、どうなるどうなると気になるタイプだと思います。そして「あらら」と思ったのが最後。2回読んでも、個人的にはしっくりきませんでした。血肉ある状態で巡り合ってほしかったかなあ・・・

キャラ二人の恋話に萌えるというところはあまりなく、お話も「わあHAPPY!」という感じにはなれず、今一つ気分が上がらないまま読み終わってしまった一冊でした。この結末で書ききられた先生に敬意を表して中立より萌です。中原先生好きだし次ご本出されたらまた買いますから許して。

3

死ぬことのない生とは

今回は死ぬ方法を探す男とある理由で休職中の男のお話です。 

攻様の望みを知った受様が共に行動する事で
攻様が新たな希望を見出すまで。

受様はいつの頃からか
闇に言い知れない恐怖を感じるようになります。

やがて光の無いところばかりか、
閉所でも恐怖を抑えられなくなり
とうとう塾講師の仕事を休職する事になります。

週1の精神科のセラピーでも状況が良くならず
受様は闇に慣れようとレンタカーで
山道を走ってみるのですが

突然黒い影が飛び込んできてドン!!という衝撃と共に
タイヤの悲鳴が響き渡ります!!

人を轢いた衝撃に震えながらも
とにかく救助しようと車外に出た受様でしたが
倒れている男の脈は思いのほかはっきりしています。

しかし、地面に触れた自分の手は真っ赤に染まり
慌てて救急車を呼ぼうと震える指で番号を押していると
血塗れの手に手首を掴まれてしまうのです!!

その手の主が今回の攻様です♪
攻様は血を流しながらもむくりと起き上がると
出来心で飛び込んだと受様に謝罪し、
病院は嫌いだから救急車はいらないと言うのです!!

それならと受様は自宅で手当てをすると申し出て
マンションへと連れ帰るのですが
攻様は大丈夫と言うだけで身体を見せてはくれません。

血を流したいと言う彼に風呂を貸す間に
着られそうな服を用意してバスルームのドアを開けると
全裸の攻様と対面する事になるのですが

慌てて外に出ようとした受様は
攻様の躰にすり傷どころか青痣すら見つけられず
思わず「怪我は治ったんですか」と口にしてしまいます。

攻様は困った顔で「怪我は治ったんだよ」と言いますが
受様も治ったのは見てわかりましたが
なぜ治ったのかがわかりません。

すると攻様は「俺は死なないんだ、というか、死ねない」
と盛大な爆弾を嘆かれてきて!?

不老不死となった攻様と
事故で攻様と関わる事になった受様の物語になります。

攻様は不老不死の薬を飲んで以来死ねず、
27才から年も取らない躰になっていて
150年の月日を生きていました。

どうやっても死ねないとわかっていながら
「死に方」を探し続けているという攻様に
受様は「一緒にさがしましょうか?」と
言ってしまうのです。

そんな受様を攻様はお人好しだと評しますが、
受様は昔から困っている人を放っておけない
性分だったのです。

そうして2人は攻様の「死に方」を探し始めるのですが
攻様が不老不死になった過去が巧みな伏線となり
受様が苛まれている闇と閉所の恐怖と
受様が誰かの役に立ちたいという思いさえもが
徐々に攻様の過去と重なっていきます。

なので読み進めていく中で
受様の見る夢と恐怖心との関連は想像できるのですが
攻様と受様の恋の行方と辿り着く結末は全く見えず、
ハラハラ&ドキドキ、一気読みしました。

とっても面白かったです (^-^)v

本作は非常に難しい題材を扱っていて
読み手によって終幕はかなり賛否がありそうですが
攻様は希望を繋ぎ続ける道を選んだのかなと思いました。

4

とても美しいラストだった

キャラ文庫&麻々原絵里衣先生のイラストということで予約購入しました。

不老不死をテーマにしたローファンタジー。

不老不死という意味では同じキャラ文庫の『拝啓、百年先の世界のあなたへ』と設定が重なるところがありますが、本作はまた全然違ったテイストのお話となっているところが本当にすごい…!!今回も時代を越えて誰かを思い続ける壮大な物語で、すでに設定的に掴まれちゃっている自分としては、お話にハマれるかどうかだけが不安でした。

主人公の矢代は、雨の降る暗い山道で車を運転中に男を轢いてしまう。出血が酷く救急車を呼ぼうとしたが拒否されたため自宅へ連れて帰ると、男は何事もなかったかのように無傷だった…。その謎と、矢代が山道を走っていた理由が次第に意味を持って重なっていき、最終的には二人の不穏な出会いそのものが必然だったと明かされる、宿命のラブストーリーです。

お話の雰囲気としてはシリアスなのですが、時おりクスッと笑えるシーンもあって緊張感を和らげてくれます。真面目な顔で笑わせてくれる作家様らしさにちょっとホッとしちゃいました笑。クライマックス付近での思わぬ展開に手に汗を握ったり、100年越しの劣情を爆発させる攻めのエロス全開な濡れ場に大歓喜したりと、一読者としてはたまらない「コレよ‼︎」感に浸れてホント、泣きそうなくらいテンション上がりました…!(一時期かなり先生から離れていたので)

結末のインパクトに影響を受けてしまう読者なので、本作はラストシーンに全てを持っていかれたため「神」になりました。映画のようなラストはきっと、読む人によって受け取るものが違ったものになるでしょうけれど、わたしにはこの上なく美しいシーンとして胸に刻まれました。いままでに触れてきたBL小説の中でもきっとずっと忘れられないものの一つになるだろうと思います。

愛し合う二人のうちどちらかが永遠に生き続けるのだとしたら、必ず愛する人との長い別れを覚悟しなければならない──本作は、死んでしまった方が生まれ変わることで再会が叶うお話なので希望が持てます。たとえ死んでしまったとしても、その人の魂は生死を超えていつもあなたと共にあるよ、とBLを通して伝えられると、むちゃくちゃ響いて慰められるの不思議です。映画やアニメ、音楽の歌詞とか他のエンタメ分野で同じテーマが取り上げられられてもただずーんと悲しくなってしまうだけなのに、なぜかBLだとより切なく胸にギューッと迫ってきてしまうんですよね…。

作家生活20周年を迎えられた中原先生の今作もそうでしたけど、好きな作家さんの新作はローファンタジー率が高く、流れ的に今アツいのでしょうか?近年、先生はファンタジー系で成功されていらっしゃるようなので今後も着々と進化を続けていかれるだろうと思いますが、先生のオヤジ萌えに少々危機感を覚えてきております笑。時にはファンタジー抜きのお話もぜひ!

5

映画のようなラストシーン

矢代(受)は山道で轢いてしまった不老不死の男・司波(攻)から、「死ぬ方法を探してくれ」と頼まれます。それを承諾した矢代は司波と共に過ごすうちに不思議な夢を見るようになっていくのですが…というストーリーです。

司波と矢代がそれぞれ語るので、二人の関係がすぐに分かります。必然的に惹かれていく二人ですが、なにせ司波は不老不死。どうなるのかどうするのかというのが気になってあっという間に読んでしまいました。

そしてラスト。
映画のようなラストシーンだと思いました。これは映像になるぞと。私は基本的に小説を読んでいても映像が浮かばないタイプなのですが、一瞬ぶわーっと脳内に溢れました。すごい。王道だけどありきたりでもある、でも安心感があって大好きな、一般的なハッピーエンドかと予想していたんですが…持ってかれました。しばらく反芻して過ごしそうです。

5

二十周年おめでとうございます!

ここ最近の中原一也先生の作品て、外れが無くてどれもがツボを押した萌える作品なんです。

こちらの作品も最初から独特の雰囲気を持っていて、矢代と司波視点でお話が進むので彼等の関係が読者には何となく分かるものだから、不老不死の司波と矢代が選ぶ未来がどうなるのかと目が離せなくて、ページを捲る手が止まらないんです。

間違い無く中盤までの評価は神でした。
そして最後のシーンもとてもドラマティックで感動したのも確かでした。かなり余韻が残りました。

あとがきで中原先生は、ラストは賛否分かれるだろうし、例え否が多くてもこのラストにしたかったとありました。作家としてご自分の表現したい事がハッキリしてるから、多くの読者に愛されているのだと再確認しました。

なので何故にわたしが途中まで神だったのに萌2にしたかと言うと、これはもう好みの問題なのです。
実は私の中で中原先生の作品の中の一番は「拝啓、百年先の世界のあなたへ」なんです。
もう少しで発売から一年経ちますが、あの作品がとても印象的なので比べてしまうんです。あの作品は号泣して家人が心配して部屋を覗きに来るくらいでしたので、それに比べるとまだ冷静に読めた点で神にはなりませんでした。

読了後にベッドで横になってから、どうしても現実的な事を考えてしまったからなんです。
本当に死ぬ方法は無いのか?とか、人類が滅んでしまったら司波はどうなるのか?とか、矢代は必ず人間に生まれ変わるのか?とか、そうなると不老不死の薬だけでなく、もっと大きな力が働いているのでは無いか?とか…。そこがどうしても引っかかってしまったんです。

もうそう考える余地があるだけで神にはなり得ませんでした。

3

余韻がハンパない…ネタバレなしで読んで欲しい!

うーん、すごい。
忘れられない作品になりました。
今まで読んだ小説の中でも、相当印象深いラスト…ここに全て持っていかれた。

不老不死の男と、その男が死ぬ方法を一緒に探す青年の物語。
悠久の時をたった一人で生きる司波の深い哀愁、過去への後悔、別れと邂逅…不老不死にまつわる様々な要素をしっかり踏襲した作品になっています。
司波の過去は悲しいですが、当時の時代背景は考慮してもいいのかもしれません。

正直、司波と矢代の関係性は早々に気がつきました。
その分もどかしさも感じるストーリー運びだったと思います。
ただ、司波がどうやって不老不死に決着を付けるのかという点…これが物語を読む推進力につながり、最後までドキドキハラハラさせられた。

ラストはもう………圧巻!!
誰にも想像できないであろうこのエンディング。
あまりの美しさと切なさに涙が止まりませんでした。
なんて優しく壮大なんでしょう。

あとがきで先生も仰られていますが、賛否両論かもしれません。
希望のような呪いのような…。
ただ、私は絶対的に支持したいと思えた。
この余韻は後を引く。

8

号泣してしまった

不老不死の男と、そんな男と偶然出逢い、彼を死なせてあげたいと願う男の物語です。

もうこれ、テーマとしては重すぎるし、胸がちぎれそうに切ないんですよ。
でも同時に、めちゃくちゃ心に響く素晴らしいお話でして。
いや、それまでもボロボロ泣きつつ読み進めましたが、終盤で二人の真実が分かったとき、もう号泣しちゃって。
あまりに悲しいんですけど、同時に感動で胸がいっぱいなのです。
落とし処まですごすぎる・・・。
いや、こう来たか~しか出てこないですよ。
しばし呆然としちゃいますよ。

こう、甘くて楽しくてと言う作品を求める方には絶対オススメ出来ないんですけど、強く心を動かされる壮大なお話を読みたい方にはぜひにと言いたいです。

で、内容です。
深夜の山道で、突然飛び出してきた男をはねてしまった八代。
大量に出血しながらも傷一つないその男・司波ですが、なんと不老不死で死に場所を求めていたんですね。
何故か彼を放っておけない八代は、一緒に死ぬ方法を探す事にしてー・・・と言ったものになります。

まずこちら、繰り返しになりますが、とにかくめちゃくちゃ切なかったりします。
えーと、攻めである不老不死の男・司波と、穏やかで優しそうな受け・矢代の両視点でお話は進むんですよね。
で、二人が二人とも、それぞれ抱えるものが重いのです。

妓楼の前に捨てられ、汚泥ような世界で生き、やがては結核を患って死ぬ運命にあった司波。
それが思いがけず飲む事になった「万能薬」により不老不死の身体になり、実験台として酷い扱いを受けた後、戦後の混乱により自由の身に。
そして今、長すぎる人生に疲れ果てた彼は死ぬ為だけに日々を生きる。

また、ごくごく普通の青年に思える矢代。
彼は彼で、暗闇と狭所に対する尋常じゃない恐怖を感じながら、同時に誰かに対する強い罪悪感を覚えて生きる。

いやこれね、二人で共に過ごす時間と言うのがとても優しいんですよ。
こう、幼い頃に叶えられなかったささやかな望みを実行してみたり、ただ一緒に日常を過ごしたり。
そんな日々の中で、互いに安らぎや相手に対する愛おしさを覚え始めるのが、とても自然に綴られていて。
もう、こんな毎日をずっと続けていければいいのにと。

が、そうは問屋が卸さない。
不老不死に関する文献を調べる中、矢代は司波が死ぬ事が出来る方法を見つけて・・・と続きます。

これね、矢代ですが、最初は司波に同情し、彼を死なせてあげたいと願うんですよ。
それが、共に過ごして司波の孤独な魂や優しさに触れるうちに、いつしか死んで欲しくない、共に生きたいと願うようになる。
それでも、司波の為に死なせてあげようとする。

また司波ですが、彼は彼で、永遠に生きる自分が矢代の重荷になる事を恐れるようになる。

いや、何だろうな。
互いが互いを想うが故に、自分を押し殺そうするのがとにかく切ないんですよね。
なんで、これほど想い合う二人が、共に生きる事が出来ないのよと。

またこちら、徐々に徐々に真相が明かされってタイプなんですよ。
そこで、矢代が暗闇を恐れ、何故か罪悪感を覚えながら生きる真相。
そして、失った誰を想いながら、司波が自分を罰するかのように生きる理由。
それらが分かってきます。

これね、途中で色々予想がついて行く時点で、めちゃくちゃ切なくて泣けるんですよ。
司波の過去があまりに凄惨だし、彼が想い続ける「誰か」の最期も悲惨すぎる。
この「誰か」がキーパーソンになるワケですが、彼の事を思うと涙が止まらなくて。
ただ愛する人を救おうとしたばかりに、これはあまりに痛々しすぎる。

ただだからこそ、全てが分かるともう圧巻で。
こう、ブワッと鳥肌が立っちゃうと言うか。

「彼」が最期に強く願った事。
それがこうして今、二人の間で繋がったんだろうなぁ。
本当、ページが見えないくらい号泣しちゃって。
ああ、やっとこうして、二人は巡り会えたんですよね。
切なくて切なくて胸が潰れそうなのに、同時に深く感動で。
もう、胸がいっぱいで言葉にならないんだけど!

あとこちら、テーマとなる不老不死ですけど。
ありがちで皆が望むようなラストにはならないです。
でも、これが二人の選んだ形で、彼等は幸せなんだと思う。
えーと、ちゃんとハッピーエンドなんですけど、また泣けてしまいました。
願わくば、彼等の未来が幸せである事を。

15

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