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俺達が信じられるのは繋いだ手の温もりだけ――
それでも萌えるのは、ただただ作画が好みなせいなのでしょうか。
表紙の時点で、もう惚れる。
美しいというだけで、あっさり心に入り込まれて、先が知りたくて仕方なくなります。
同時刻に同じ場所で死んだ守谷と渡瀬。
目が覚めた2人がいたのは、窓も扉もない部屋で、目の前には2人の運命を握る「宇宙人」が…。
SFっぽい作品ですが、SFとして読むとツッコミが止まりません。
まず地球の資源不足問題を解決するためにやってきたという宇宙人。
自国(自星?)のエネルギー再生技術を地球に応用することを目的とする彼女の、試験的な協力者として2人が選ばれるわけですが、最初に割り振られた「吸血鬼」と「狼男」の設定が全く生かされていません。
新しいエネルギー資源として「人間の体液」を使うことから、処女の血を採取する渡瀬の吸血鬼設定はアリでも、守谷の狼男は?
日中も出歩ける吸血鬼に、満月の夜にどうこうという展開すらない狼男。
火と水という属性や、レベル0という表記に「なるほど、採取すればするほどレベルが上がっていくのね」とゲーム感覚でわくわくしましたが、冒頭のみで後述ゼロ。
さらに2人が死んだときを「ゼロ地点」として、2人が今いる時間が「過去のある時点」になっている理由も不明です。
なぜそこが選ばれたのかとか、タイムリープものなら「その時代にいる本人と会ったらアウト」みたいな設定があるけれど、両方ともやんわりとスルー。
ただ試験管1本につき0.5秒戻るという時間は「ゼロ地点」を起点にしたものらしくて、渡瀬の「戻りたい日」に戻ることが目的になるのもよく分からない。
なぜなら2人は過去を変えないために、同じ日をずっとループしているからなのです。
だけどどういうわけか、試験管で戻した時間が「目的の日」になった朝、外に出ると「その日」になっているんです。
これは「どう足掻いても過去は変えられない」ということを2人に知らしめるための宇宙人の粋な計らいだったようですが、何だか不思議。
ぐだぐだとツッコミを入れていますが、「萌2」。
これだけ文句をつけてなぜ?と思われるかもしれませんが、萌えてしまったんです。
ボクサーだった守谷のデビュー戦を見た渡瀬が、その潔い背中に893から足を洗おうと決意したこと。
華々しいプロボクサー生活の第一歩を踏み出したと同時に、引き際を見誤って目を負傷して、守谷がボクサーを諦めたのも同じ日。
この時点で渡瀬にとって、話したこともない守谷がかけがえのない存在になっていたこととか、男の体液を採取する守谷にモヤっとしたものを感じるところとか。
優しい渡瀬に心を惹かれていく守谷が、渡瀬の目に映っているのがたった1人の人間だと気付くこととか、切ないポイントや萌えポイントが散りばめられているからです。
それを美しい男たちが目の前で展開する。
萌えないはずがない。
数あるツッコミポイントをもってしても、それを凌駕して余りある美しい作画。
人物描写にキャラ設定、ストーリーテリングなど、漫画家さんの手腕はいくつもあれど、作画力の占める割合ってしみじみ大きいと感じた作品でした。
1冊すべて表紙カップルの話。表題作の長編と、続編ショート「a day」が収録されています。
短髪の守谷(受け)が主人公です。
守谷と渡瀬(攻め)は歩道橋から落下してトラックに轢かれて死んでしまいます。
そこへ他銀河からきたという「女」に、生き返りたいのなら、人間からエネルギーを摂取する企画に参加しなさいと言われて…という話です。
最初はゲームのキャラ付けのような設定で、守谷の職業は狼男として精液を、渡瀬の職業は吸血鬼として処女の生き血を、エネルギーとして試験管に集めるようにという話でした。
そこへ、5年前の渡瀬や阿久津という男と出会う一日を繰り返すこと。
そして、3年後の阿久津が死んだ日に飛び、二人は阿久津を助けようとするけれど、というタイムスリップが入ってきます。
阿久津を助けられなかったこと、惹かれつつある渡瀬と阿久津の関係に複雑な思いを抱く守谷という展開は良かったのですが、タイムスリップが「女」の気分次第、理由が「娯楽が欲しい」というのは何とも腑に落ちませんでした。「女」が妙齢の女性でなく、少女の姿で子どものワガママという感じでしたらまだ納得できたかも。あとせっかくエネルギーを集めているのですから、そこをタイムスリップに絡めれたらなとも思いました。「女」がコスプレのように色々な恰好で登場するのは地味に面白かったです。
続編のショート「a day」は、5年前のその日を繰り返す守谷。その理由は…という話で、本編でなかった二人のベッドシーンもありますし、ぐすぐすと泣く守谷が可愛らしく、阿久津も優しくて良い男で嬉しかったです!ただ細かい点が気になる質なので、どうやって渡瀬が長髪になったのか(カツラ?変身できる?)が気になりました。
後に円陣先生が描かれた「Voice or Noise」も不思議っぽい話ですし、その辺の雰囲気は既に出ている気がします。タイムスリップの理由づけさえスッキリしてくれたらな、と思った作品でした。
これは終わりから始まる物語です。
主人公二人は出会った瞬間に死んでいます。犬を助けようと歩道橋から落下した守谷と、その守谷を助けようとした渡瀬はトラックに轢かれてしまいます。彼らが死んだ場所が0地点となり、生と死の間の空間から抜け出すために二人は協力する。と、ザックリ筋を言うとこんな感じなのです。私好みのストーリーではないか!と思ってよみましたが、残念なことにストーリーだけでみるとこの作品は失敗してます。
SF的要素をあれこれ盛り込み過ぎて、意味不明な領域に突入してるのですよね。最初は0地点の番人?のような女の子に言われるがまま、二人は人間の血液と精液を集めだしますが、中盤から渡瀬のヤクザの兄貴を助けようとするタイムトラベル風な展開に変化していきます。
そして結局、兄貴は助けられず、二人も0地点からまた別のどこかに飛ばされ、俺たちの冒険はこれからだ!的な意味不明なラストを迎えるのです。
円陣先生が書きたかったものが何となく分かるだけに、ストーリーの崩れは残念でした。加えて恋愛要素も薄いのです。
しかし、円陣先生の画力は確かです。絵から先生が書きたかったであろう、虚無的雰囲気はすごく伝わってきます。
実は、初めはしゅみじゃない評価にしたのですが、0地点の虚無感が印象に残り、訂正しました。
円陣先生は絵師として大好きで、先生が表紙を描かれた小説は何冊か持ってますが、コミックはこの後も書かれてるんでしょうか。あれば読んでみたいです。
絵師としては引っ張りだこな円陣さん。
どのような作品を描かれているのかと興味を持っている時に出会った作品です。
歩道橋から落ちてトラックに轢かれる瞬間。
止められた時間。
隔離された空間の中で、突然現れた女によって生きるか死ぬかの選択を迫られる2人。
突如運命共同体となった渡瀬と守谷が、0.1秒を遡る為に必要な生命エネルギーを集めるべく奔走する。
遊び心からか、性格とセクシャリティを考慮した初期設定。
吸血鬼仕様と狼男仕様の採取方法に邪な心が騒ぎ出します。
ソフト過ぎてそれほど考え込むまでには至りませんが、守谷の割り切りの良さが淀む気持ちを軽くしてくれるのかもしれません。
お話しに引き込まれながらも、カテゴリー分けの難しさに恋愛の高揚感も少なく。
渡瀬に傾き始める気持ちににやにやしながらも気になるのは着地点。
ほんのりおとぎ話。なんとなくSF。ふんわりミステリアス。
ドシュラバもまあるく収まってしまう引き際の良すぎるラストに「また別の話」は無駄な期待に終ってしまいそうです。
絵はとってもカッコよくて色気があって大好きな漫画家/絵師さんのお一人です。
思えば、今まで読んだ円陣さんのオリジナル漫画は全部ファンタジー要素が入ってます。
小説でも見ているせいか、もっと普通の?(ファンタジー要素なしの)お話も描かれている印象を持ってました。^^;
今作は時間軸が前後することがあるので、ちょっとややこしい構成にはなってますが、タイムスリップ系のお話が好きなら、それほど込み入ってはないと思います。
タイムスリップ系結構好きなので、私も昔はよく同じことを妄想してました。そういう映画を見た後とかに(笑)。
渡瀬は以前はノンケで、守屋はゲイという設定なのですが、渡瀬に惚れた守屋よりも渡瀬の方が積極的にモーションかけてきたりしてるのには萌を感じました。
守屋は分かりにくいけどかなりの健気な子です。これがまたボクサーで一般人よりずっと強いよ、という所がまた萌。^^阿久津に迫られてるのにギリギリまで抵抗しないとかね…その目的が過去の渡瀬を知るためだとかね。細かい所で萌え要素が入ってると思います。
ただ、残念だと思ったのが…このお話、完結してないんじゃ?とどうしても思ってしまう所。
お話の始まりとなった、生前の世界に戻れるかどうかというのが解決されてないままになっています…
それともこれはこのまま永遠に2人一緒に人間のエネルギーを採集して下さい、という終わりなんだろうか?それはそれで2人一緒にいれるからいいんだけど…
結末としてはハッキリしない終わり方だったのが気になります。