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とても面白かった。三部構成で、殺し屋とマネージャーの話と、相棒を殺された刑事の話と、三者が交わるお話。一見、刑事が圧倒的被害者で正義のようだが、殺し屋バディにばかり感情移入してしまった。物寂しさが漂うこの雰囲気が好き。
第一部はマックとジョニーのお話。ジョニーがマックに依存している関係だが、実はマックもジョニーに救われており、お互いに一人では生きられない。そうなるに至った背景には戦争があり、ジョニーの何かが欠けてしまった様子にも説得力がある。マックのろくでなしぶりは元からかな。
マックが借金で首が回らなくなったことをきっかけに、事態は悪い方へ転がり続ける。第一部の終わりがプロローグにつながる構成で、二人の印象が読み始めとは変わっていることに気付く。
戦争で何かが壊れたジョニーは、マックのためなら殺しも厭わない。それでも標的外の男の殺しは堪えたようで、心にダメージを負ったのが分かる。まだ傷付く心が残っていたと安心して良いのか、さらに壊れてしまうのか、それは分からなかった。
第二部は、相棒を殺した犯人を捜すうちに狂気に囚われて、全てを失っていくサイモンのお話。誰の忠告も聞き入れず、取り憑かれたように犯人を追い求め、高揚しているのが伝わってくる。それはいつからか、ジョニーへの異常な執着に形を変えていたのかな、と後から思う。
第三部はついにサイモンがジョニーに接触する。結末は悲惨。正直、この終わり方は腹立たしい。サイモンの思い込みがこんな形で発揮され、正義が執行されたわけでもなく、サイモンの自己満足に近い決着。でも見方を変えれば、復讐としてはこれ以上ないやり方かもしれない、サイモンの意図したところではないが。
マックとジョニーは、お互いに愛し合っていることを自覚しながら、その先をあえて追求しないことにした。これからも二人で生きていくためにそうしたのかと思うと、切ない。衝撃的な結末が後を引く作品。
素晴らしかったです。上質のノワール小説。ベトナム帰還兵の元上官・マックと戦地で精神的に壊れてしまった元後輩兵士ジョニー。帰還後2人はひょんな事から殺し屋コンビになってしまいます。ジョニーは無垢な金髪碧眼の実行役。計画を立てる役のマック(茶色い髪で緑色の瞳のハンサム)はジョニーに全面的に頼られてそれに快感を覚えているけど、ギャンブル狂いのロクデナシ。ジョニーの前でだけ救世主みたいになれるのです。
側から見れば年上のマックがジョニーのお世話役のように見えるけど、実はジョニーも世話をさせる事によってマックを精神的に支えている…立派な共依存です。2人は性愛関係はないけど愛し合っている伴侶のような存在でもあります。心が落ち着かない夜は2人で同じベッドに入りますが添い寝するだけ。でもそれがまた萌えるのです。
2人に巻き込まれ事故のような形で最愛の仕事のパートナー・マイクを殺されてしまった刑事のサイモン。共に妻子がいたのにこの2人もかなりの行き過ぎた伴侶的な存在だったので亡くなったマイクの為に狂気の暴走をするサイモンの壊れっぷりも非常に良かったです。ロードムービーのような雰囲気も素敵だし度々出てくる映画や洋楽のタイトルが物語に花を添えます。意外性のある衝撃のラストは皆様の目でお確かめ下さい。
あとがきによると1982年作でゲイ・ミステリの走りのような作品だそうです。素敵な作品にまた出会えたことに感謝。同じ作者の似たテイストの刑事もの2作も購入したので読むのが楽しみです。
今作は「天使が隣で眠る夜」という邦題で映画化されてるそうです。腐女子の胸を打つ素敵なタイトルだ。