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表題作ノンフィクションで感じたい

神尾 元彼で「週刊央剛」編集者
吉井 恋愛小説家

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

週刊連載でトップを獲れば、作品が映画化!? 小説家の吉井に、そんな大型企画を持ってきたのは、大学時代の恋人で編集者の神尾。
しかも性描写が苦手な吉井に、官能物を書けと迫ってきた!! 一方的に振ったくせに、今度は強引に執筆を迫る神尾に、過去の執着を呼び覚まされた吉井は、「それならお前が官能を教えろ」と条件を出す。
ところが神尾はためらわずに吉井を激しく抱いて…⁉︎

作品情報

作品名
ノンフィクションで感じたい
著者
秀香穂里 
イラスト
新藤まゆり 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199004230
3.8

(11)

(3)

萌々

(3)

(5)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
42
評価数
11
平均
3.8 / 5
神率
27.3%

レビュー投稿数6

燃え盛る残り火

私は非常〜〜に好きでした!
過去に付き合っていた2人が、今また編集者と小説家として再会して、悩みもがき、そして恋を再燃させていく、という展開。
つくづくこのような「お仕事+切な系恋愛、のち成就」みたいな話が私の根本的な好みなんだなぁと再確認しました。

大学時代、初めて想いを受け入れてくれた恋しいひと、でも愛が重いと離れていった忘れがたいひと・神尾が、今自分の担当編集者として目の前に現れて、動揺している自分とは対照的に何事も無かったようで、何より左手の薬指に指輪をしていて…
…という冒頭。
この作品は、秀先生作品ではお馴染みの「央剛舎」ものの一つでもあります。
主人公は恋愛小説家の吉井。
賞を獲った処女作こそヒロインの心情を抉る作品だったが、その後の作風は胸温まる小綺麗な恋愛ものが多く、そろそろマンネリ…?
そこに、部数が落ちてきた「小説央剛」がエンタメ系の「週刊央剛」と組んで、3人の小説家が競作し1位を獲った作品は映画化する、という企画が持ち込まれるのだが、その担当がかつての恋人だった神尾で、吉井の戸惑いや創作の難しさなども聞き入れずに強引にその企画に引きずり込んでいきます。
神尾は、今までの作品で吉井が書いてこなかった性愛シーンをより激しく書くことを求め、反発した吉井が腹立ち紛れに『濡れ場がどんなものかおまえが俺に教えろよ』と毒づくが、そのまま神尾にホテルに連れ込まれ…と再会愛が始まってしまうのです。
ずっと神尾を忘れられなかった吉井はともかく、一見余裕綽々の神尾の真意は見えてきません。
既婚者の神尾との関係に悩み、その悩みと反比例するように結局引き受けたその仕事で今までの殻を打ち破る斬新な物語を紡ぎ出していく吉井の姿は、「創作」という世界に身を置き心身を削る者の才能と凄みを感じさせます。
物語が進むにつれて、どう流れどう終結していくのか大体見えてくるのですが、神尾と吉井の関係性とそれに伴って重みを増していく吉井の書く小説『焔は青く』の内容が、重層的に迫ってきます。
その辺りは創作者としての業のスリリングさすら感じさせます。
ラストに向かって物語は大変にロマンティックな空気を帯びてきますが、その甘さもまた素敵で実に私の好みの1冊です。

ただ、タイトルがいかがなものか…?
秀先生はよくタイトルが決められないとあとがきで悩んでおられますが、この作品とこのタイトルは合ってないです!もっと甘くて切ない素敵小説ですよー。

3

小説家ってたいへんです

小説家と担当さんのお話。学生時代恋人同士だった二人がよりを戻すまでの過程が、週刊誌連載の恋愛小説と絡み合って進んでいくものです。

未だに6年も前の恋を忘れられず、新しい恋もしないまま「きめこまやかでせつない恋愛小説」を書いていた小説家・吉井のところへ、「気持ちが重い」という理由で吉井を振った元彼の神尾が「官能を盛り込んだ恋愛小説」の原稿依頼をしてきます。

マリッジリングをしている神尾への恋心を気付かせないように心を砕きながらも、小説の為に官能を教えてとからだを任せる吉井と小説の主人公、上司と不倫中のけい子の姿が重なり不思議な雰囲気を醸し出しております。セックスシーンは多いものの、一々気持ちを抑えているのであまりエロくは感じません。

どちらかというと、小説家が一つの作品を作り上げるまでの苦悩や葛藤などの方がくみ取れる出来上がりのような気もします。結局、秀氏はお仕事描写がお上手だっていうこと?

3

再会ものってやっぱり好きです

同級生の再会物。
諦めきれずに再び燃え上がる恋心。
かつての恋人の薬指にはプラチナの指輪。
譲れない自分の仕事に対する気持ち。
その仕事のためだけに自分を抱くかつての恋人。
書いている小説の主人公と、自分を重ね合わせてしまう吉井。

吉井視点でお話が進むんですが、もう切なくて。
大学時代に付き合っていた恋人・神尾から、「俺には荷が重い」と別れを切り出され、それも自分自身自覚があったから追いすがることもなく、別れてしまったけれど、別れたあともずっと好きだったんです。
そして、再会したときには、薬指に指輪。
神尾の薬指の指輪は「これってフェイクだよね」と最初から思うのですが、「あっそう言うことか」と思うような使い方がしてあります。
ホント、好きな人の薬指に指輪があったら、そりゃ切ないですよ…。

吉井視点で進むので、神尾が何を考えているんだとか全くわからないんですが、吉井の書く小説をいいものにしようと考えて動いているのは間違いないし、こっちから見ていたら神尾もやっぱり吉井が好きなんだよね…としか思えないし。それに気がつかない吉井も吉井ですが。

最後に吉井からの素敵な告白があります。こんな告白、されてみたかったし、してみたかったなぁ。

3

上手いなあ

こういう過去のことが入ってくるのって難しいと思うのですけど、すんなり読めたし、すごく文章がお上手です。
切なかった。

2

六年ごしの恋は大人の恋

小説家の吉井
編集者の神尾
二人は学生時代に一度は、結ばれた仲。
週刊連載でトップをとれたら、映画!だが、吉井は官能物が苦手・・・
神尾が糸をひく。

2

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