【電子限定おまけ付き】【イラスト付き】
今回は狼獣人の第二王子と異世界トリップした青年のお話です。
受視点で召喚された受様が攻様の傍で幸せ見つけるまでと
攻視点で過去回想を含む続編後日談を収録。
受様は母子家庭で苦労して高校へ進学しますが
母が重病が侵されている事がわかり、
退学して必死に治療費を稼ぎます。
しかしながら3年の闘病生活を経て母は亡くなり、
受様には1冊の絵本が残されますが
その絵本は幼い受様が母の懇願によって捨てた
イマジナリーフレンドとの物語でした。
彼を否定し続けた母の思いが分からず混乱した受様が
壁に投げつけた絵本のページが開かれた瞬間、
雷のよう閃光が走り・・・
次に受様が目を開くと
豪華絢爛な大広間で狼の顔面をもち
西洋甲冑を身にまとう男達に囲まれていたのです!!
受様は幼い頃のように現実逃避して
絵本の世界に逃げ込んでしまったのかと
パニック状態になりますが
実は受様は獣人世界のメルキア王国の第一王子に
幸せをもたらす力を持った英傑として召喚され
異世界トリップしていたのです。
なのに第一王子は
前回の王国に不幸をもたらした魔導士と
受様が同じヒトだという事で
彼の仲間だから罪人と決めつけようとします。
そんな第一王子の暴挙を止めたのが
弟である第二王子で、今回の攻様その人です♪
攻様は受様と魔導士の容姿や服装、言葉や違いを指摘し
受様を攫って大広間からの逃亡するのです。
果たして攻様は受様の味方なの!?
受様を召喚した第一王子の弟の攻様と
獣人達の王国に召喚されてしまった受様の
異世界トリップファンタジーです♪
雨月先生のお話は最初に読み始めた印象と
読み終えた時の印象が全く一致しない事が多くて
いつもワクワク読み始める作家さんです。
今回もロマンテックなタイトルなので
強引な召喚で獣人世界に呼ばれたた受様が
受様を守り通してくれる攻様と結ばれるまで
ほのぼの甘系な展開なのかな!?と思って読み始めたら
受様事情がかなり辛いのは定番としても
攻様事情もかなり込み入っている時点で
ほのぼのだけではないぞ!?と気持ちを改めました。
受様と攻様の過去の交錯、
不仲だという攻様と兄との確執と真意、
攻様の右手を奪った魔導士の死の真相とその狙い、
受様が召還された理由、
そして受様を帰そうする攻様の想い。
受様の過去や攻様の現状が巧みな伏線になっていて
予想外の展開が待っていてハラハラ&ワクワク、
たいへん楽しく読めました (^-^)v
人を疑う事は信じることを揺るがします。
人は今の自分に都合の良い言葉、
都合の良い言葉に耳を傾けがちです。
本作はそんな心理を巧みに利用される展開ですが
信頼という強固な絆が明るい未来を引き寄せていて
とても素敵な物語でした。
作家買い。
金さんの描かれた表紙からもわかるように、雨月さんの新刊はファンタジーもの。ちょっぴり切なく、シリアスな展開のお話なのですが、そこはかとなく童話のような、おとぎ話のような、そんなほっこり感も詰まった一冊でした。
ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
主人公は19歳の透俐。
父は透俐が子どものころに亡くなり、母親も病で亡くしたばかりの青年。母子家庭で家は貧しく、母親の入院費や治療費を稼ぐために高校もやめ自身の愉しみは一切封印し働いてきた薄幸青年だ。
そしてさらに彼を苦しめているもの、それは6歳の時の事故の後遺症により足が不自由なこと。それをネタにいじめられ、たった一人の友人の手も放し、彼は母親のためだけに生きてきたが、その母親が逝去したことで心の拠り所をなくしていた。
そんなさなかに、彼はなぜか異世界にトリップしてしまって―?
というお話。
透俐の不自由な足。
母親がかつて息子のために作った絵本。
そして子どもの時に出会ったたった一人の「友人」。
異世界にトリップしてしまったこと。
これらがすべて上手に絡んで進むストーリー展開が素晴らしく秀逸です。
読み始めたとき、話がうまくつながらず「?」となりながら読み進めたのですが、少しずつ伏線が回収されていくストーリー展開に圧倒されました。透俐はメキアスという国にトリップしてしまうのですが、その国は獣人たちが住まう国。人である透俐はなぜか罪人のような扱いを受けてしまうのですが、その「理由」を軸に物語は進みます。
序盤、「童話のような」作品、と書きましたが、その大きな理由の一つに透俐を守ってくれる狼の獣人であるクライドの存在があります。話し方がちょっと芝居がかってるっていうのかな。猫を助けて猫の国に招かれるJKを描いた某映画を思い出しました。そして表紙にも描かれている猫ちゃんやうさぎさん(彼らの存在がこれまた良い)がとにかく可愛い!金さんの描かれる可愛くってほのぼのな絵柄がまたいい味を出してるんです。
クライドはなぜ透俐を助けてくれるのか―。
読み進めていくうちに、二人の過去が見えてくるのですが、それが一筋縄でいかない展開っていうのかな。二転三転するんですよ、お話が。最後の最後までハラハラする展開でした。
薄幸青年が、スパダリに愛され幸せになりました。
ひと言でいうならそういうお話なのですが、そこに数々の因子が加わることで独創的な作品になっている、そんな1冊でした。
雨月夜道先生の作品は初読みでしたが、失礼ながら文章から勝手に新人作家さまだと思っていました。
中盤まではこのお話が何を語りたいのかが分からなくて、更にクライドにタメ口をききだした透俐の口調に違和感を感じてしまったんです。
透俐の感情が昂った時の句読点の多様も、とても読み難くて新人作家さまだと思ってしまった理由でした。
それと「可笑しくなった」と言う表現が沢山出てくるんですが、漢字からうける印象と作中の表現が合わなくてどうしてひらがなにしなかったのかと、残念でなりませんでした。
透俐の母親の書いた絵本と作中のシーンがクロスするところや、途中の漆黒森のシーンとかはとても凝っていて素敵だったんですが、このお話はどこに進むのかしらと不安になったのも確かなんです。
半分まで進んだ時点では評価は中立でした。
でも透俐がメキアス国に召喚された本当の理由が分かって来ると、ガラッと印象が変わって一気に面白くなりました。後半は手に汗握るシーン満載で、クライドによって変わった透俐が強くなって活躍してました。
途中で自己肯定感の低い透俐の考えや言動にイラッとする事があるかもしれませんが、最後まで読むとお互いに大切な存在だった幼き日のクライドと透俐にウルっと来ると思います。