イラスト入り
冒頭を読んだら、覚えがある内容。「叢雲に惹かれていく菊夜叉」
・・・登場人物の名前ですぐ気づけば良かったのに、わからなかった。
重複購入したかも?と落胆したけど、そうじゃなくて、そういう構成の続編だった。
今作は、電子版のみの短編「幕末オメガバース」が前半にマルっと掲載、その後に、現代に転生した物語が続いています。
★前作の「幕末オメガバース」は、今作を買うなら、重複するので買う必要が無いです。
「幕末オメガバース!」2020年1月9日 電子版のみ
電子配信「小説ビーボーイ 異世界特集(2019年秋号)」に収録
「転生オメガバース!」2022年2月18日
電子配信「小説ビーボーイ 秋の熱愛特集(2020年秋号)」に収録
祖父と母に育てられた、父親の名を知らない白羽家の美貌のオメガ、菊夜叉。
母の墓参りの道中、突然南虎藩に攫われる。
南虎藩のアルファ黒須叢雲から「おまんは俺(おい)の運命じゃっどよ」と告られ、菊夜叉は生まれて初めて発情。
「運命の番を探した者が、お家の後継者として認められる」という条件のため、
叢雲と叢雲の異母兄弟二人の三人から菊夜叉は追い回される。
そして、叢雲と共に訪れた黒須家本丸で、実は叢雲の母親は菊夜叉の父親であることを知る。
その後、菊夜叉の父は、火を放った城の中に城主・綱久を伴い消えていく。
ここまでが、前作。
続編の「転生オメガバース!」では、舞台が近代に変わり、
生まれ変わった菊夜叉は、最期に刃で胸を刺される前世の悪夢を何度も見る。
そして前作登場の黒須家の3兄弟の転生者と再会。騒動に発展する。
菊夜叉の父親;泉之助と綱久は、登場しなかった。
頁を割り振れなかったかららしいです。 続編に期待。
・・それなら、前作を編集加筆なく再び載せずに、その続きだけを載せて欲しかったー。残念。
異色の時代劇×オメガバース!の続編で、菊夜叉は、やっと幸せになれそうです。
作家買い。
笠井さんの描かれた美麗なイラストが表紙を飾っていますが、受けさんのシャツがはだけていることと攻めさんの手が股間に突っ込まれていることからリアル書店ではちょっと買いづらい、かもしれません。
タイトルは『転生オメガバース!』ですが、今作品の前半に収録されているのは『幕末オメガバース!』。後半半分が『転生オメガバース!』の2段階のお話です。
「幕末」、「転生」そして「オメガバース」。
この三つの因子が上手に絡んだお話でした。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。
『幕末オメガバース!』
時は幕末。
開国を迫る黒船に対抗し続けてきたが、南虎藩の寝返りに会い幕府は政権を西都の帝に譲り渡すことに。大きな時代のうねりの渦中で、幕府派と新たな帝派には小競り合いがそこかしこで起きており、放火や暴動も起きていた。それに対抗すべく奮闘しているのは幕府側の白羽家の嫡男・菊夜叉。
菊夜叉はオメガ。本来ならば権力者たちの側室になるオメガであるが、武士の家に生まれついた者として武士として生きたい。そう願い武芸に勤しんできた菊夜叉だったが、時代の変動は皮肉にも彼に味方することに。武士として、都で暴徒と化す帝派の面々を拿捕しようとしていた。
が、ある日菊夜叉は南虎藩の3人の男たちに拉致されてしまう。
そこで、その3人のうちの一人、叢雲に、「自分の番になって欲しい」と懇願され―?
というお話。
叢雲は南虎藩の人間。そして、アルファでもある。
そもそも南虎藩の叢雲は菊夜叉が拿捕したいと思っていた敵方の人間なんですね。が、単にそれだけではなく、二人の間にはもっと深い因縁があってー。
叢雲は菊夜叉が自分の運命の番だと言い張る。
けれど、そんな言い分は菊夜叉には関係ない。オメガだからという理由でアルファに搾取されるだけの人生はまっぴらだと突っぱねる。が、菊夜叉の身体は良しとは無関係に叢雲に惹かれていくー。
「運命の番」という言葉で二人がくっつく、というストーリー展開であるならばなんと陳腐なことか。
そう思いつつ読み進めたのですが。
いやいや。
さすが宮緒先生。
そう来るか―!という斜め上を行くストーリー展開でした。
宮緒作品らしいワンコというか執着攻めさんのお話ではあります。
叢雲はどうしても菊夜叉を手に入れたいと願い行動しますが、菊夜叉を番にしたい人物が他に二人いて、そのため叢雲の菊夜叉への行為(というかセックス)は非常にねちっこい。菊夜叉を取られまいとする思いからくる行動ではありますが、そのためエロ度はやや高めの作品です。
さらに最高なのが、菊夜叉という青年がクソがつくほどカッコいい。
アルファに手籠めにされそうになっても心まで屈しない。まさに尻で抱く、を地で行く青年です。常に相手を支配するのは己なのだと。身体を凌辱されても、それでも屈したわけではないと。儚いビジュアルとのギャップに萌えが滾りました。
見た目は豪胆、でも菊夜叉に嫌われたくないともじもじする叢雲も可愛すぎて最高か。
で。
ええ、タイトルは『転生オメガバース!』ですから。
『幕末オメガバース!』だけで終わるお話ではありません。
「転生」という言葉通り、叢雲と菊夜叉は転生して、そして出会い―。
というのが後半の『転生オメガバース!』のお話になります。
『幕末~』の結末が曖昧なまま終わっていて、あれ、どうなったのかな?と思う終わり方をしていますが、それも『転生~』を読むとストンと理解できるストーリーになっていました。
転生した二人は高校生として出会いますが、まあ宮緒作品ですから。
はい、出会って、恋をして、幸せになりました。
という展開ではありません。
二転三転しつつ進むストーリー展開で、最後までどうなるのかハラハラしつつ読み進めました。
ストーリーも面白かったですが、笠井さんの挿絵が美しい…!
儚くも強く逞しい菊夜叉と、獰猛で、けれど菊夜叉ファーストを貫く叢雲の野性的な美しさをきちんと描き切っているところはさすがの一言。
できれば、「あの二人」のお話も描いてほしいなあ。
ドロンドロンな二人のエグイお話を、正座してお待ちしております。
宮緒先生初めてのオメガバースだそうで。
「幕末オメガバース」と「転生オメガバース」の2段構え構成です。
雑誌で「幕末オメガバース」だけ読んでいて、2人がどうなったのか、とっても気になっていたので、続きが読めて嬉しい(≧▽≦)
「幕末オメガバース」
受け様は幕臣旗本の嫡男菊夜叉。
まさに武士って感じの高潔で清廉潔白な美しいオメガ。
攻め様は、倒幕を目指す南虎藩の跡取り候補の1人叢雲。
跡取りとなる条件として、菊夜叉を番として得ること、藩主より言われ、跡取り候補3人の兄弟アルファは菊夜叉を連れ去ってくるのだけど。
叢雲は、菊夜叉が自分の運命の番だと言って、自分を選んでくれ、と懇願してくる。
愛を乞う叢雲の必死さが良きかな✧◝(⁰▿⁰)◜✧
そして、菊夜叉の強かさも素敵。
アルファを操る支配者となってやろうじゃないか、という強さ、美しさ。
そんな菊夜叉の魅力に翻弄されてるアルファ達の姿が小気味よかったです(^.^)
番に指一本触れさせんって、菊夜叉を囲い込んで兄2人に威嚇しまくってる叢雲の姿を容易に想像できてにやにや。
藩主とその番が出てきた時は、全然想像してなかったので驚きましたし、その運命が辛かった(T_T)
「転生オメガバース」
幕末から150年程たった現在。
アルファとオメガ専用の学院で出会う2人。
前世の記憶を思い出していた叢雲は、変わらず菊夜叉を運命の番だと言って、執着してくる。
そして菊夜叉の周囲の不穏な面々。
そうか~あなたは菊夜叉に執着してたのね…。
幕末の2人のその後も、物悲しくて(。ノω\。)
今世では幸せに溺愛ラブラブで過ごしてね。
最後の叢雲視点のお話は、コメディちっくというかなんというか…。
菊夜叉がたまらなくかわいい(*^^*)
そんな菊夜叉に一喜一憂してデレデレな叢雲もかわいいじゃないの。
宮緒先生の書かれる、受け様至上主義の攻め様を読むのは楽しいなぁ(人*´∀`)。*゚+
イラストは笠井あゆみ先生。
武士姿と制服姿とをそれぞれ堪能させて頂きました(^o^)
紙で買ってますが、表紙は絶対家族に見せられない(^o^;
宮緒先生買いです。
表題作の「転生オメガバース!」も同時収録の「幕末オメガバース」も雑誌掲載作だそうです。
順番的には「幕末」から「転生」と来て、書き下ろしの「蜜月未満」では「転生」のその後が読めました。読んだイメージは「幕末」はドシリアス、「転生」はシリアス、「蜜月未満」でホッコリといった感じでしょうか?
実に宮緒先生らしいオメガバで、登場人物だったと思いました。
攻めの叢雲は菊夜叉にしか執着してないし、菊夜叉は実に慈悲深くて宮緒作品の独特な良さが表れていたと思いました。
「幕末」で登場した人物のうち「転生」では、叢雲と菊夜叉以外の誰が転生しているのかが、お話の肝なのですが私の予想はまんまと外れていました。
過去世と現世ではもちろん取り巻く環境や人物も変化しているんですが、過去を繰り返しつつ過去には無かった要素で違った結果が待っていた点が凄く面白かったです。
「蜜月未満」では「幕末」「転生」のシリアスな感じとは違った、等身大の叢雲と菊夜叉を読めて良かったです。
お互いにどんだけ大好きなんだよとホッコリさせて貰いました。
1ページ2段組の大ボリュームで読み応え抜群でした。
宮緒さん去年入院されていたんですね。お元気になられて良かったです。
今回は二段組の壮大なお話です。帯にある独占欲保証!!いいですね。
オメガバースですが設定はちょっと独特かな?宮緒流オメガバースというか。
オメガバースに幕末に仇敵に運命の番に転生に方言に!美味しい設定がてんこ盛りです。
詳しくは他のレビューにあると思うので感想を。
独占欲。BL的にいい言葉ですね。それはもう叢雲の独占欲が山のごとしで。相手が仕方ないなと思う独占欲っていいですよね。
幕末に出会い死に別れた二人。未練を残したまま。
そして約150年。現代に転生した黒須ニ兄弟と菊夜叉。長男の行末も良かったです。
前世の記憶を取り戻した叢雲と、悪夢に苛まれる菊夜叉。そこへ菊夜叉を狙う叢雲の兄鏡八。
菊夜叉は生まれ変わっても菊夜叉でした。美しく気高く己を鍛え正義感が強く。
鏡八って菊夜叉に執着してたっけ?
現世のこちらの霧島兄弟も深堀りしてほしいキャラと設定ですね。
そして前世を思い出した菊夜叉はやっと叢雲と…。
現世では高校生ですがスケールが大きいですね。世界観も繋がってて。
現世では二人とも良い両親と家庭に恵まれ良かったです。
短編の蜜月未満では叢雲が菊夜叉に愛想を尽かされ逃げられるのではないかと勝手に不安になり、前世の父綱久と同じ轍を踏みそうになるお話でした。
結局は叢雲の空回りだったのですが、一人で不安になったり焦ったり必死になったり可愛かったです。菊夜叉のしようとしていたこともほっこりします。
気になっていた泉之助。気の毒ですね。彼は生まれ変わらなかったのでしょうか。愛する人がいたのに運命の番に攫われ閉じ込められ奪われ。
運命の番を得たアルファの凶気も両極端で恐ろしかったです。
壮大なのですが、うーん、萌です。
なんでかなあ?
広げすぎて畳むのがあっさり?菊夜叉が記憶を思い出すまでを、叢雲が現世で菊夜叉を手に入れるまでをもっと締め付けられるようなギュンギュンするような展開になると良かったのかな。どうだろう。
気高いオメガはいいですよね。負けないって頑張るオメガバースものは好きです。
そしてなんと言ってもイラスト!指先一本まで表現力!すみずみまで迫力がありますね。
現世の菊夜叉のおかっぱも可愛いです。