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シリーズ物ですが、1作目の「目を閉じればいつかの海」のCDしか聴いていなくて、いきなりこの5作目を読みました。(個人的にタイトルに「月」が入っている作品を選んで読んでみると言う試みの中の一冊。)
1作目は内容を知っていたので問題なく読めました。もちろん順番に読んでいたらもっと楽しめたとは思います。
日本の企業へ希望して出向してきたアメリカ人のケネスとひきこもり気味のシステムエンジニア朝倉の物語。
友人の山下から頼まれてフリーのシステムエンジニアの朝倉はある企業へ期間限定で仕事に就くがそこでアメリカ人のケネスと出会う。
仕事をする間住むことになったマンションではそのケネスが隣人。
引っ越しそばを持って行ったことから何かとケネスは朝倉を気にかけてくれるようになる。
朝倉はゲイで学生の時から相手には恵まれず愛人関係にあったり、初めての時は相手に騙されて乱交されたりと悲惨な目にあってきて、好きになった友人はノンケだとあきらめていたのに男の恋人を紹介されて打ちのめされる。
そんなろくでもない付き合いをしてきちんとした恋愛をしてこなかった傷心の朝倉をケネスがやさしく口説いてきて…
もう朝倉がとにかくかわいそうで…。そんな目に合ってきたからひねくれているし、ケネスにも素直にもなれない。
ケネスを好きだと気づいてもあきらめようとする。
朝倉の気持ちが痛くてこちらも一緒に悩み泣きました(T_T)
たくさん傷ついて傷つけて、そして、最後に全部受け入れてくれたケネスに飛び込むことが出来た朝倉に本当に良かったと心から思いました♪
『ブルーサウンド』関係者ゲイが多すぎて笑えるけど、いろんなパターンのCPが楽しめて良いですね。
ブルーサウンドシリーズは1~3のCDを毎年1度は聴きなおし、小説も何度か読み直すくらい好きなシリーズですが、この作品だけはなぜか当分読み直すことなく置いてありました。
先日思うところがあって、真っ先に朝倉薙というキャラクターのことを思い出した自分が居て、読み返してみました。芋づる式に「ケネス!」と叫んでいる自分もいましたが・・・(笑)
自分を敢えて汚く見せて「誰も自分を見ないでくれ」という意思表示をする、人と距離を取る。
荒んでしまって、自分を本気で心配してくれるのは、彼らが満たされているからその余裕のおこぼれをわけてくださろうとしている、もののついでのように優しくしてくれるな、と考える。
このシリーズですでに4CPができあがっている状態で、読んでいるこっちも薙の感情に引きずられましたし、「人の優しさを素直に受け取れない」「そのために敢えて敵をつくるような言動をしてしまう」「結局自己嫌悪」な薙の気持ちが痛いほどわかって、もしかすると自分はこういうリアルな感情を見たくなくて読み返さなかったのかも・・・と思ったほどです。
過去の経験や最近の失恋、それからもうひとつ顕在化していなかった恋心と同時におとずれた失恋。その複雑な感情にも揺さぶられました。
決して魅力的なキャラクターではないんですが、この不器用なひねくれ者が心に引っかかって離れない。
ケネスは完璧な人なんですが、意地悪な刃も隠していて。甘さと優しさだけでなく、時に責め立てる様に薙を愛してくれる。彼の魅力を美しい日本語がより一層際立たせる。
薙をどうか幸せにしてやってください、と願わずにいられなかった。
このシリーズはそれぞれのCPの番外編がいくつか書かれているし、それぞれのCPが違う話にも登場するので、嘉悦×聖司が大好きな私としては長年連れ添った夫婦を眺めるようで嬉しかったし、すべてのCPがこれからずっと幸せに暮らして行ってくれるんだろうな、と思えて幸せになれます。
未読の方にはゆっくりじっくりこの世界を味わってほしいし(ちょっとゲイが多すぎてびっくりする世界ですが^^)、既読の方にもちょっと読み直してみませんか?とお伝えしたい作品です。
ドラマCD全3作を随分前に聴いたきり原作シリーズを読むのをすっかり忘れていました。1作目から順に読んできましたがこのシリーズは全体的に満足度が高く(濡れ場がくどいのが難点だけど)、個人的には2、4、中でもこの5作目が一番楽しめた気がします。
元々不器用なキャラクターは好みなんですが、自分で自分を追い詰める所謂破滅型のこの主人公。傍から見たらただ嫌なだけのヤツが、内実孤独と諦念に浸り、周囲を傷つける分以上に己を傷つけ深みに嵌っていく姿を見てカタルシスを得ていたのかも。そんな深く暗い海の底にいた主人公を救ったのは、残酷にも全てを明るみにさらす優しい月の存在でした。
久し振りにグッときた作品でした。
『ブルーサウンド』シリーズ第5作目。
正直なところすごく好きかと訊かれたら困るんです。だからと言って、決してキライじゃないんです。好きなんですよ。
ただ・・・う~ん、なんと言っていいのか複雑なんです。
薙(受)のキャラクターがあまり好みじゃないんですよね~。
私はもともと『ネガティブ・卑屈・自虐受』は苦手ですらない、むしろ好き要素(にもなり得る)なくらいなんですが、この薙の湿っぽさ・暗さはちょっと度が過ぎててさすがに鬱陶しいと感じてしまいました。
でもそれ以上に私は(個人的好みで)口の悪い受がものすごく苦手なので、そこで引っかかってしまったんです。
実際、それがなければ(ネガティブさだけならもともとの苦手要素じゃないので)この薙のキャラクターは大丈夫だったんじゃないかという気がします。
ケネス(攻)は好みのタイプかと言ったらまったく違いますが、それでもこの作品はケネスで持ってるというか、そのおかげで薙のダメな部分が緩和されてなんとか読めた感じです。
しかし、このCPの組み合わせの絶妙さには参りました。
金髪・碧眼の王子様って時点でなんか胡散臭いというか、半身引いてしまいそうになりましたが(崎谷さんの作風じゃあり得ないだろ!?と)、読んでみたら薙にはこれくらいパーフェクトな王子様が必要だったということなんでしょう。
トータルではホントに悪くはないんですよ。薙のキャラクターの『行き過ぎ』加減以外は。
このシリーズにしては、読むのはかなり疲れますけどね。それでも読み応えがあって面白いんですよ。
特に、ケネスが薙の本当の気持ちを突き付けて自覚させるくだりにはグッとくる。
薙が自分でも気づいていない・気づきたくない想いってのが堪らなくいいと思ってしまったんです。薙のキャラクターイメージが変わりそうなくらい。
そういうわけで、なんだかんだ言いつつ読み返してるわけですね。
ものすご~く悩みましたが、やっぱり面白いとは思うので評価は『萌×2』で。
数カプが出てくるこのシリーズですが、
このカプ、好きだな~。
山下に片思いをしていた朝倉。
報われないことを感じて、奔放な関係を続けていたところに、
出会ったのが、ケネスです。
読んでいて、本当に、朝倉、暗い・・・。
確かに、そんな目にあってきたなら、仕方ないようにも思うのですが、
う~ん。卑屈だわ。
まあ、受の朝倉は、本当にだめだめです。
個人的には、正直言って、嫌いな性格なんですが、
そこは、ケネスがカバーしてます(笑)
すべてを包み込んで愛せるというのは、すごいことだな~と
しみじみ思います。
きっと、これからケネスの影響で朝倉が
いい方向に向かってくれるだろうな~と期待します。