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昭和は遠くなりにけり。
自分が育った時代だからか、このノスタルジーに
年を重ねた自分がものすごく心惹かれることに
今更ながら気づきました。
若い方が読んでもその空気感、理解できないかもしれませんが
私が学生時代に明治の文豪の作品に心ときめかせたのと同じように
憧れを持って読むことはできるかもしれません。
夕海堂という古書店をまかされることになった
主人公の椿小鳥くん。生い立ちは作中に出てきますが
本人は意識しない程度の不憫さがあります。
そこに訪ねてくる夕海宗一さん。
彼の祖父がこの店を作り…
そしてこの店の記憶を受け継ぐ人物です。
静かな恋の深まりは、昭和の時代感を少しずつ纏いながら
確実に現代で、自由な空気感があります。
昭和を知っている人なら、それがわかります。
ゆっくりと恋をする二人の話は、ジェットコースターのような
刺激的な作品を好む方には物足りないかもしれません。
でも、昭和を知る世代には、昔を懐かしむような世界に
ただ事件もなくゆっくりとすすむ日常のようなお話に
癒しを感じるのではないかと思います。
かくいう私もその一人です。
日々のニュースを見る方がよほどドラマチックで、
驚くことばかりの毎日。
そんな現代を生きる私に、
このお時が止まったような古書店で繰り広げられる恋の話は、
深い感動を与えてくれました。
普通であることが奇跡
何もないということが幸せ
小さな小さな幸せこそがありがたいのだと
年を重ねた私は思うのです。
この先二人には耐えられないような不幸があるかもしれない。
でも望むらくはそのまま幸せに、一生を過ごして欲しいと思うのです。
ちなみにこの話中に登場する宗一の祖父の恋の話は
同人誌「古書店夕海堂─グランド・フィナーレ─」にて
読むことができます。
通販もあるようですので、必読と言えるでしょう。
本作が優しい愛で終わったその前の時代に
あの昭和の時代の本当の部分があって
古書店夕海堂─グランド・フィナーレ─の方が
泣ける作品になっていると思います。
尚、BL作品における性描写について
そこが肝心であるという方も多いと思いますし
私もそれについては異論はありませんが
こういった作品においてはそこはあってもなくても良いというか
昭和という時代は匂わせるだけで、それを嗅ぎ取る読者が
ちゃんといたんだよな…と思った次第です。
またそれを想像するのがこちら側の楽しみでもあった時代です。
嗚呼!良き作品でありました。
何度も読み返したい特別な作品になりました。
情景が浮かぶ描写が素晴らしく、古書店にまつわる過去ストーリーも素敵。BLとしては、最初から恋愛対象内だった二人が出会い、するするっとくっつく。人の縁を感じる数々のエピソードがとても良く、BL部分は刺さらなかった。
古書店を舞台に、淡々と進むお話。静かな世界に浸りながら読める感じで、文章から醸し出される空気が心地良い。ただの客でありながら店を継いだ小鳥と、先々代経営者の孫である宗一。この二人の出会いをきっかけに、古書店の過去が明らかになっていく。
開業から十年間、古書店で二人暮らしだった宗一の祖父と先代店主。そんな二人の小さな思い出の欠片を拾い集めていく宗一と小鳥。そうしてゆっくり見えてくるものは、その時代の匂いと切なさで、時を経て今を生きる二人に繋がるのがとても良い。
BLに関しては、宗一は最初から思わせぶりでぐいぐい迫り、小鳥はストレートにときめいている。さらっと恋人になり、何もない日々を過ごしていたのに、いきなり“死ぬまで”“死んだ後も”“永遠に”と激重感情をぶつけてきて驚く。
宗一自身にそこまでに至る経験があるなら分かるが、感化された結果の言葉なら薄っぺらいと言わざるを得ず、一瞬で冷めてしまった。過去の悲恋エピソードが良かっただけに、宗一と小鳥のBLが残念。
心に響く心理描写は恋愛以外のところばかりだったので、別ジャンルの作品があれば読んでみたい。文章がとても好き。
宗一(28)×小鳥(24)
年上攻め、年下受け
とらのとら先生の文章は本当にその場の空気が伝わってくる。
宗一と小鳥の二人がはじめて会う場面も、そこそこの頻度で宗一が訪ねてくる期間も。恋愛感情すら知らない小鳥は当然、宗一のことが好きかも――なんて考えも出てこない。
なのに小鳥のぎこちないような、心を開き切ってないような、気を遣った会話や態度から見える微かな恋の兆しを感じてすごくじわじわ萌える。
まだ好きを自覚してないのに、付き合ってないのに、なんでこんなに何でもない世間話のような会話でもキュンとくるんだろう。
Hシーンで小鳥の放つ「ずっと我慢してたおしっこしてるみたいな気持ちよさ」って表現がエロすぎて、宗一が暴発しないか心配だったw
風景描写が多く、人物の描写が最小限だからか、小鳥のこの発言に宗一はどう思ったんだろうとか、想像を掻き立てられる。
性描写も今までの作品と同じく神がかっていて、Hの始まりから終わりまでじっくり読み込めます。
在り来りな流れや会話じゃないので、読んでいてクドくもないし飽きもしないです。
とらのとら先生、今年初めて読んだ「結婚したら海のそばに住もうね」が本当に本当に好きで、
先生の既刊も読んでみたいと思い、こちらを手に取りました。
電子で129P。
短いけれど、私の中で間違いなく、大切に大切に読み返したい本の一冊になりました。
都会の喧騒の中にひっそり佇む古書店、どこかタイムトリップしたようなその静謐な雰囲気を、
先生の文章から胸いっぱいに吸い込んで…
特に中盤〜後半にかけては、切なさに胸が締め付けられました。
主人公たち視点では両思いの物語ではあるのだけれど、
その裏に見える、もう一組の男性たちの、叶わなかった恋の記憶。泣きました( ; ; )
以下、簡単なあらすじと共に感想を。
主人公は、古書店を2代目店主・松本から受け継いだ小鳥(ことり・受け)。
ある日そこへ、「松本さんに会いたい」と年上の男性・宗一(そういち・攻め)が訪ねてきたことをきっかけに、二人の交流が始まります。
ある日、宗一が購入していったシリーズ本の2巻に、メモ書きの付いた
野球観戦チケットを発見した小鳥。
その後も続刊から次々と”誰かの思い出の品”が見つかり、やがてそれが
古書店の初代店主(宗一の祖父)と2代目店主・松本との思い出の品なのだと
分かってー
と続きます。
宗一×小鳥の、手探りで少しずつ近づいていく距離感には確かに甘い空気感が
あるのに、なぜか胸がきゅっと痛むような、不思議な感覚に囚われます。
とらのとら先生の文章の特徴なのかな。上手く言葉で言い表せられないのですが、
先生の書かれる文章が本当にすごくすごく好きです。。ああ、語彙力…
健気すぎる二人の恋愛と、その裏で明らかにされていく初代と2代目店主の密やかな恋の記録。
一緒に野球観戦をした時の、紙のチケット。押し花のメモ…
本の中に大切に挟まれ色褪せなかったチケットのように、それぞれ家庭を持ち
子供を持ち、孫が生まれても、互いの気持ちは褪せることなく生き続けていたこと。
それが、当人たちの言葉では全く語られはしないのですが(宗一の祖父は亡くなっています)、
痛いぐらいに伝わってきて、切なくて苦しくてしかたなかった。。
好きな人と一緒にいられて、一緒に生活ができて、歳を重ねられるということ。
そんな幸せって、奇跡のようなものなんだな、、としみじみと感じながら、本を閉じました。
全体を通して切なさ漂うお話なんですが、小鳥と宗一が一緒に野球観戦に
行ったりするシーンなど、野球関連のお話が色々出てくるところがとても楽しくて印象深く、好きだなあ…と思いました。
自分も今年西武ライオンズの試合を生で2回観に行ったけど、2回とも負けたなあ…
なんて思い出したりして。笑
もちろん悔しかったけど、球場で食べた限定アイスや、ユニフォームを身につけて
周りの人と一緒に歌って応援して…という光景が、読みながらぱあっと思い出されて
嬉しくなりました。
何度も読み返してはじっくり味わいたくなる、切なくも素敵な二つの恋のお話、
大好きな一冊になりました。✨
