電子限定おまけ付き&イラスト収録
小説
異世界転生が大好物なので迷わずコミコミさんで予約してました。しかも挿絵は石田惠美先生じゃあないですか!美麗なリュディガーにノックアウトでした。でもですね、読み進めるうちにコレじゃない感が強くなって来て。
大好きな設定に魅力的なキャラなんですけど、書いて欲しいことが書いてなかったりして読んでるうちに微妙に欲求不満になって来てしまうんです。
それはもっと紘斗(ミシェル)の能力で華々しく活躍させるとか、せっかくの悪役(ミシェルの妹)のアンジェルがいるんだから彼女視点の場面があっても良かったのではと思いました。私の中では異世界転生の様式美がありまして、今作は微妙にそこを踏んでない作品だと思ってしまいました。特に終盤のベルグラン王国のザマァは詳しく書いて欲しかったし、ミシェルの妹のアンジェルは結局何だったのかもハッキリしてません。竜たちの活躍とか書いて欲しかったし、ヴァイデヘルム王国の貴族令嬢とかにもリュディガーをめぐって暴れて欲しかったです。www
あと1番はリュディガーがあっさり紘斗(ひろと)を好きになってて、いつの間にそんな仲に!って思ってしまったことでした。ちゃんと匂わせ場面はあるもののお子ちゃま(カミル)との触れ合いが多すぎて、紘斗とリュディガーの交流が足りないように感じました。
それとリュディガーと竜騎士団の面々の記憶の秘密に驚愕でした。そして彼の奥さんが1度目と2度目で違ってたということと、この人ってそれぞれにそんなに愛情持ってなかったのかしら?紘斗大丈夫?と思ってしまったんです。
松幸かほ先生の作品はファンタジーより「君に触れたら」とか「最愛の幼なじみは掌のなか」とか現代のお話の方が好みだと分かりました。
大まかな設定は、よくある"悪役◯◯"的なストーリーです。
罠に嵌められて悪役の汚名を着せられてピンチになったところに、ヒーロースパダリ攻めが現れて、本当の悪役に断罪を喰らわすってやつ。元いた世界のゲームの世界に転生して、ヒロインの聖女が実は……みたいなところもお馴染みの展開ですね。
BL小説界の中では定着しつつある、"転生したら悪役◯◯でした"系ストーリーの王道のルートが基軸にありますが、プラスαのところで色んな独自設定が散りばめられているのが面白かったです^ ^
"子育て恋愛中"とのタイトルだけ見るとのほほんとしてるけど、子育てじゃないところで巻き起こるシリアス展開、召喚の謎解きの方が見どころって感じです。王太子であるリュディガーとのロマンスももちろん大事な見どころではありますが、何せ設定が盛り盛りなので、複雑に絡み合った情報量をうまく捌いて消化しないことには、BLに集中できません。
リュディガーの前の奥さんも実は召喚者だったこととか、実はリュディガーがタイムリーパーで……とか。紘斗が召喚された理由との擦り合わせだったり、敵側の思惑だったりが終盤には分かってきます。核心に迫っていくこともあり、だいぶ込み入った感じになりますので頭の中の情報整理がちと大変。個人的には、ちょっと設定詰め込み過ぎかな…?と思わなくもなかったです。
リュディガーと紘斗のロマンスの周辺部は騒がしかったけど、この2人の恋愛もある意味騒がしいかもです^ ^
リュディガーの紘斗への猛愛がすごくてですね、すぐエッチをシたがる色ボケ王太子です。
表紙見て下さい。どエライ顔面偏差値の持ち主で気品漂うスパダリなのに、想いを遂げてからのリュディガーの頭の中は隙あらばエロいことばっかり。そんなんだから紘斗にメッ!とされてばかりいます(笑)
仲良しなのは良いことだし大歓迎!もっとイチャついてもいいくらいなんですが、やりすぎて(ヤリすぎてともいう 笑)紘斗に冷やかな態度を取られてしまうリュディガーのめげなさがタフで楽しい一コマでした。
このように紘斗にメロメロなリュディガーですが、イマイチ紘斗に惚れた理由が分からなかったんですよね。いつの間にか紘斗を好きっぽくなってるし、激しい愛をぶつけるほどの何かがあったっけ?って感じです。
カミル(リュディガーの子ども)の世話をしてる様子に惚れたのかなぁと。今のところそれで納得していますが、前妻の影がそこそこにチラつく中で、紘斗に熱をあげるだけの強い理由が欲しいところ。良き妻だったと語りながら前妻の肖像画を前にして紘斗にキスしようとしたその気持は一体…?
リュディガーの紘斗への想いの根拠が見てとれたら良かったと思いました。
事件はシリアス調なのに、ラブの部分になるとコミカル調になる緩急バランスがとっても良かったです。BLパートは完全にラブコメです。
カミルはいい子で可愛いし、子育てエピソードはホッコリしました(*´꒳`*)
ラブに限っては紘斗に注意されてばかりのリュディガーの方が子どもに見えるので、"子育て"とはリュディガーのことをも指しているのかもなぁ…と、わたし的には思っています(笑)