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友人の結婚式を機に、男同士で付き合う自分を見つめ直すお話。同棲中の恋人を学生時代からの友人だと、周囲に嘘を吐き続けてきたことに悩み、一つの結論を出すまで。
心理描写重視の作風で、特に千尋の内面は行間に隙が無いと思うほどに書かれていた。
両視点で、智春も千尋も、お互いに元から同性が好きだったわけじゃない点が引っかかっている感じ。他の道に進むこともできるし、その方が相手にとって幸せかもしれないと。
そうして、成り行きとはいえ、智春は女と、千尋は男と、試してみるような流れに。千尋がセックスだけなら他の男ともできると身をもって知ったのは、BLとしては意外な展開な気がしたが、ではなぜ智春なのか?を実感するには説得力が出てくる。一方智春は何を得たんだろう。
他の相手との道を考えるという趣旨が強調され、浮気といった観点からの心理描写はあまりなく、具体的に何があったかは、特に智春側がよく分からない。ただ智春と千尋は身体を重ねることで、お互いに他の相手とはシていないと把握し合う。
描写がぽっかり抜けた部分は身体で確認、というところが面白いし、かつ付き合いの長さを感じさせるエピソードでとても良かった。
残る心配事は智春の母親。無職女性とお見合いさせようとしてくる親なんて、不安しかない。今後また一揉めあるのかな、と思った。