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今回は勇者候補の冒険者と異世界転移した日本人のお話です。
転移者となった受様が攻様と出会いで変わっていき
異世界での居場所を得るまで本編後日談を収録。
受様は4年前の高校生の時に
この異世界に召喚された転移者となります。
この世界はいわゆる「剣と魔法の世界」で
誰しも多少の魔力を持っていますが
受様は魔力が余りにも少ない「魔力無し」で
生活に必須な魔道具も上手く使えません。
また転移者と知られると疎まれたりしたため
受様は市民権を得ると大きな街に引っ越します。
その街は郊外では農業が盛んで商家や工房も多く
受様はギルドで薬草採取や農場の手伝いなどの
簡単な仕事を紹介されて生活を始めます。
それでも生きていくのはなかなか大変で
10万ペソをギルドに前借していた受様は
ギルド長から冒険者の旅に『同行』する依頼を
紹介されます。
普通同行者には治癒力や攻撃力が求められますが
今回はただ同行するだけで12万ペソの報酬だと言われ
受様は借金返済のために受けるのですが・・・
WEB小説サイト「ムーンライトノベルズ」掲載作に
改稿加筆しての書籍化で一匹狼の攻様と
魔力のない受様の界渡り異世界ファンタジーです。
この依頼者こそが今回の攻様です♪
攻様はAランク魔力を持つ冒険者ですが
他人の魔力に拒否反応が出る体質で
討伐依頼時には同行者を募っていたのです。
討伐場所に行くまでの全ての費用は攻様もちで
攻様は体力のない受様のためにぶっきらぼうで
わかりにくいながらも様々な配慮をしてくれ
攻様の魔獣退治も討伐も無事に終えるのですが
最終日に受様に絡んだ酔っ払いを
攻様が追い払った際に相手の身体に触ってしまい
その夜に体調を崩してしまいます。
夜間にうなされる攻様を心配した受様が
「治れ」と唱えながら撫でていると
うっすらと目を開けた攻様に誰かと間違われて
抱き込まれて同衾する事になるのですよ♪
翌朝目覚めた攻様は体調がよく
受様の魔力は攻様を魔力を鎮められる模様です。
さらに攻様が勇者候補と呼ばれているのは
魔力が桁外れに強く不完全ながらも勇者の印があるからなのに
受様には薄いながらも完全に近い印があったのです。
そのため攻様は受様に代わって
自ら勇者としての責を負う道を選ぶという
良い感じにラブラブ展開になりますが
攻様が受様と間違えた人物(攻様の幼馴染)の存在を
受様が攻様の恋人と誤解し微妙にすれ違っていく上に
その人物は受様の転移にも関わっている事が分かってきて
どうなっていくのかとハラハラ&ドキドキ
攻様が受様を伴侶とするまで楽しく読ませて頂きました♪
番外編が短編連作になっていて
本編後の2人のラブいちゃと気になる色々の補完になっていて
面白かったです (^-^)/
評価めちゃくちゃ悩みました。
と言うのも、終盤で特大な地雷を踏み抜いてしまったからです。
それ迄は、頼り甲斐のある格好良い攻めの過保護な溺愛っぷりをニヤニヤ堪能していたのに、何だかとんでもないノンデリ男のように思えてドン引きしちゃったんですよね…笑
地雷についてはネタバレになるので後述しますが、信じていた世界が一変して、向けられる愛情が信じられなくなり、自分の存在意義が分からなくなっていくシロの葛藤たるや……
それまでの穏やかで心地よい日々からのギャップが半端なくて、一気にズーンとメンタルに来ました。
でも、その地雷要素だけで評価を下げるのは勿体無いと思うほど、穏やかで心地よい文体に、繊細で優しい心理描写、心に響くフレーズや少年漫画のような胸が熱くなる展開など、とても感情が揺さぶられて読み応えのある作品だったんです。
何より、受けのシロが本当に良い子で可愛くて……
不憫な境遇ながらも、真面目にコツコツと日々の生活を送り、ささやかな幸せを見つけて慎ましく生きる姿が愛おしいです。
16歳で右も左も分からない異世界に召喚されて、放置されて、蔑まれて…本当に辛かったと思うけど、それでも懸命に生きてきた彼がアーレンと出会って、少しずつ幸せになっていく様子に癒されます。
アーレンがシロに惹かれるのも納得で、寧ろアーレンには勿体無いほど良い子なのでは??と気づけば完全に“シロくんモンペ”になっていました笑
でも、シロの全てを愛して全肯定してくれるアーレンが傍にいたから、シロは少しずつ前向きに強くなれたんじゃないかなぁ…と。
足りない部分を補い合う、唯一無二の「ふたりでひとつ」な関係性がとても尊かったです。
地雷要素でダメージを受けましたが、最終的には「読んで良かった!」と思える一冊だったので“神”評価にしました。
書き下ろし番外編での、新居への引っ越しを楽しそうに計画する二人に幸せな気持ちでいっぱいです◎
※ 以下、地雷要素についてネタバレ有です。
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シロがアーレンの幼馴染で元恋人・ジェーンと似ているという設定…最初から少し嫌な予感はしていました
まず、体調不良のアーレンがジェーンと間違えてシロをベッドに引き込むシーン。
シロと付き合う前だったのでギリ許容範囲ですが「未練あるんかい!」と一気に萎えたのも事実で…笑
でもやっぱりキツかったのは、
▶︎ジェーンの痕跡が残る家にシロを住まわせ、ジェーンの物を使わせる
▶︎シロのことを“ジェーン”と呼びそうになる
※シロはジェーンの事を知らない
この辺り。特に呼び間違えとかは、もう最悪…
ただ、アーレン視点では「雰囲気は似てるけど、中身は全くの別人だ」と語られていて、決してシロをジェーンの代替にしている訳じゃないんです。
本当に悪気なく、ジェーンが残した物も使えるから使ってるって感じで、それを知ったシロがどう思うか…って事に気づいてないんですよね。
ジェーンの事も元恋人と言うより、幼馴染で冒険者の師匠って認識の方が強いみたいで、今はシロ溺愛ゾッコン。だからこそ、詰めが甘い…!となりました。
うーん。このノンデリ具合は“女性慣れしていない”って事なのかなぁ…笑
色々とモヤりますが、でも
〚自分の軽率な行動で、大切な人を傷つけた〛と気づいてショックを受ける攻めって良いですよね……!
作者さんはこのアーレンが書きたくて地雷要素を用意したのでは…?と思うほど、性癖に刺さりました笑
また、シロが怒ったり泣いたりせず「ジェーンって呼んでいいよ」と健気に提案するのが尚更ショックで…
この追加攻撃により、心の底からショックを受けて自分の行いを深く反省するアーレンに萌えたので、まあ…良しとしましょう!(何様)
他にも、
▶︎現代へ戻ろうとするシロに必死で縋るアーレン
▶︎「自分用のベッドが欲しい」と言われて地味にショックを受けるアーレン
▶︎仲直りエッチで失敗するアーレン
▶︎電子特典SSでの完全に尻に敷かれるアーレン
…と、アーレンの“残念なイケメン”っぷりが炸裂!
完璧なスパダリなのに受けには情けない姿を見せる攻め、大好きです!!!
ただ、ジェーンの解釈は難しいなぁ……
特にあの手紙。「私のアーレンを宜しくね!」みたいなマウンティングにしか見えなくて……
でも、アーレンの番になれない虚しさや、異界人(シロ)への嫉妬から、あえて召喚術のページに手紙を挟んで、現代に戻ろうとするシロへ「貴方はアーレンの傍に居られるのに離れるの?」と言うちょっとした牽制だったのかなぁ…なんて。
弱気なヒロインに発破をかける、ツンデレ悪役令嬢みたいな。好きにはなれないけど、憎めないなぁ…と感じました。