Renta!限定版
なにかで、試読していて続きが気になっていた作品。電子で買おうかなと思っていたらたまたま行ったアニメイトにあり、実際に表紙を見たらすごく綺麗で紙の質感も好きだったので、迷わず購入です。おまけのカードも表紙同じと漫画ありで嬉しい。
この本は、もしかしたら若い子向きじゃないかもしれないです。現役の学生だとしんどいかも。でも、すごく良くわかる、子供の頃の気持ちと今親世代の気持ち。母親像が対極でわかりやすく表現されていて、どうにもできない部分が胸に響きます。
潤とミチルが幸せになれて良かった。神原さんと琴子ちゃんも。とても素敵な作品でした。
なんだかノスタルジックな雰囲気で、しっとりじっとり、湿気があってとても心に残りました。
再会したくなかった初恋の、今でも顔見ただけで大好きが溢れてくるのに、めいっぱいそうでもないフリするのが可愛くて切なくて。
そこを颯爽と踏み込んでくる様もカッコよくて良かったです。
悩み多き10代の揺れる心情や、未成年の無力さなんかも抱えながら一生懸命今を生きる2人がとても愛おしかったです。
あの大事件がなければ、楽しい高校生活を送っていたかもしれないのに、離れてしまって、青春は取り戻せない、と思うと胸が締め付けられますが、それを取り戻すように、これから温かい関係を紡いでいくんだろうな、というラスト、心が震えました。
大切な一冊になりました。
できれば続編も読みたいです。
可愛らしい絵に反してシリアスでした。
だけど、この読後、重くてズシンとのしかかってくるような余韻が
案外嫌いではなかったりする。
中学生男子2人が性行為(をこれから致そうとするところ)を
母親に目撃されてしまう、という衝撃的なはじまり。
中学生だった潤とミチルは同級生で互いに惹かれ合っていました。
だけど、まだ幼かった二人は友情と恋情の間で葛藤していて、
ある日、二人きりになった彼らは感情の昂るままにキスをしてしまいます。
そうして、キスからベッドになだれ込んだところで潤母が現れ…。
元々繊細で激しやすいところがあったという潤の母親は
ヒステリック状態に陥り、ミチルの母親を大きな声で罵倒し、
ミチルの性的指向のみならず人格をも否定するような酷い言葉を吐きかけます。
まさに修羅場。
思春期真っ只中のミチルがそんな言葉に傷つかないはずもなく、
後日ミチルとその母親は地元を去ってしまいます。
それから時は経過し、17歳の春。
ミチルがアルバイトをする喫茶店に潤が訪れます。
それは偶然にして望まぬ再会で。
久々の潤を目の前にして胸は高鳴りながらも、
心は彼との再会を喜べないミチルは潤を避けようとします。
けれど、咄嗟に潤から呼び止められた台詞が
偶然にも初体験の時と同じでミチルは足を止めてしまいます。
そして、喫茶店に通ってもいいかという潤を拒むこともできず、
以来二人は再び頻繁に会うように。
中学時代に傷ついた心はまだ癒えていないけれど、
潤に会いたいという気持ちは抑えられないミチル。
そんなちぐはぐな葛藤を抱えながら、
夏休みに入ると喫茶店以外でも逢瀬を重ねるようになっていました。
潤と会えば心はときめき、会えないときも彼を想ってしまうミチル。
もはや誤魔化し切れない初恋の再燃。
もう潤と会うのはやめなければ、と決心した矢先、
潤とデートしているところをバイト先の同僚に目撃されてしまいます。
会ってはいけない潤といるところを誰かに見られてしまった。
それはミチルの中に植え付けられたトラウマを呼び起こすには
十分すぎる出来事でした。
そして、今度こそ順に別れを告げたミチル。
とはいえ、物語がそこで完結するはずはなく、
ミチルを手放したくない潤は行動を起こします。
かつて、母親によって打ち砕かれた初恋。
中学時代の一件後も潤の母親は彼の性的指向や進路など、
あらゆることに干渉してきました。
その度に母にとっての都合のよい息子を演じ、宥めてきた潤。
けれど、ミチルと再会し、もう一度恋に落ちた潤は遂に母と向き合うことに。
離れ離れになったときからミチルへの気持ちは片時も変わることなく、
彼だけを一途に想い続けてきた潤でしたが、その恋がようやく実ったのでした。
ミチルとの再会後触れることのできなかった過去を掘り起こし、
今も昔もミチルのことが「好きだよ」と気持ちを伝えた潤。
本当なら中学生のときに母親にバレたときも、
ミチルのことを守ってあげてほしかった。
だけど、中学生が背負うには重すぎて、
だからこそ、周りの大人が話を聞いて受け容れてあげて欲しかったのに、
よりにもよって味方になるべき母親から拒絶されてしまったのは
2人にとってあまりに不幸な出来事でした。
大人に振り回された二人の初恋が不憫すぎる…。
母の元から巣立ち、自立の道を歩み出した潤。
そんな彼を見て変わろうとし始めたミチル。
まだ完全には母親の手から逃げられたわけではないし、
二人の関係は相変わらず誰にも言えないままで、
付き合い始めたものの潤の進学によって遠距離恋愛だし、
まだまだ多難の予感はあります。
だけど、潤もミチルも少なからず一歩は踏み出せていて、
親には恵まれなかった彼らでしたが、
バイト先の同僚など二人の関係を受け容れてくれる人もいて、
未来はほんのり明るいように思えました。
本作で描かれた二人の季節は夏でしたが、
いつか冬の季節を過ごす二人の後日談も見てみたいなぁ。
初めて拝読する先生でした。絵柄が〇ブリのキャラっぽい作画でとても綺麗で読みやすかったです。
中学時代、同性同士での初えっち…を親にバレて猛反対されるという最悪の瞬間から始まるお話です。
それ以降、相手とは一切連絡を取らず高校も行かずに喫茶店でバイトしていたミチルですが、当時の相手、潤と喫茶店で再会してからお話が動き始めます。
同性同士の恋愛が昨今容認されて、メディアでもたくさん作品としては溢れている世の中ではありますが、それはあくまでフィクションや自分とは縁のない所での話…と思われている事がほとんどではないでしょうか。実際に自分の周りで同性同士の恋愛を目撃したら…果たして素直に祝福できるのか。自分自身にも問いかけられているような作品でした。
本人達が好きあっていたとしても、周囲の人はそれを良しとはしないかもしれない。ファンタジーとしてのBLに慣れてしまっている私達だからこそ、こんなリアルもあるんだよ?と現実に戻って気を引き締めてくれるストーリーでした。
とはいうものの、潤とミチル2人に関してはちゃんと自分達で道を開いていって清々しい読後感でした!初体験のやり直しはどちらも初々しくて、ミチルが痛みを耐えながらも潤と「今」ひとつになりたいという思いがとても健気で可愛かったです。
試し読みでの不穏な始まり、多くはないセリフで進むしっとりとした雰囲気・・・
少し腰を据えて読むタイプの作品かな?と最初は背筋を伸ばした所もあったのですが・・・
読み進めれば進むだけ、そこまで身構えずに読める柔らかな空気感を感じて入れ過ぎた力を抜いて読める事に安堵しました
安堵はしつつも気が抜ける訳ではなく、ずっと紙面(画面)から目が離せずに読み耽っていける没入感のある作品でした
多感な年代の子供たちとその親を冷静に丁寧に描かれていて、読者としては作品と適度な距離感を保って読めるのがとても心地よかったです
浮ついたり気もそぞろな気分でもなく、でも慎重過ぎるシリアスな気分でもない・・・
「何か」を読んで「何か」を感じたい!
そんな気分の時に手に取るとすごくスッと読めるような作品だと感じました
潤君は潤君の、ミチル君にはミチル君の、そして琴子や彼らの親達にも、それぞれに合ったスピードでその時に流れる時間の中で感情も行動力も移り変わって行くのだと思います
そのタイミングが合い、そこから時を動かしていく
タイミングが合う事が奇跡のようにも見えるけど、それはまるで時計の長針と短針が合うようなもののように感じます
当然一瞬の事ではあるけれど、それは実は日に22回は必ず起こる事
その一瞬を逃さず気付き「意味のある時」にして行く
軌跡は待つだけでダメなんだよって教えられてる気がしました
偶然の再会を大事に喰らいついた潤君
あの時頑張り切れなかった分、しっかり今回は頑張ったんだなって思えて来て凄く応援したくなりました
ジワジワと好きになって行くとても良い作品に感じました(´▽`*)