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試し読みでの不穏な始まり、多くはないセリフで進むしっとりとした雰囲気・・・
少し腰を据えて読むタイプの作品かな?と最初は背筋を伸ばした所もあったのですが・・・
読み進めれば進むだけ、そこまで身構えずに読める柔らかな空気感を感じて入れ過ぎた力を抜いて読める事に安堵しました
安堵はしつつも気が抜ける訳ではなく、ずっと紙面(画面)から目が離せずに読み耽っていける没入感のある作品でした
多感な年代の子供たちとその親を冷静に丁寧に描かれていて、読者としては作品と適度な距離感を保って読めるのがとても心地よかったです
浮ついたり気もそぞろな気分でもなく、でも慎重過ぎるシリアスな気分でもない・・・
「何か」を読んで「何か」を感じたい!
そんな気分の時に手に取るとすごくスッと読めるような作品だと感じました
潤君は潤君の、ミチル君にはミチル君の、そして琴子や彼らの親達にも、それぞれに合ったスピードでその時に流れる時間の中で感情も行動力も移り変わって行くのだと思います
そのタイミングが合い、そこから時を動かしていく
タイミングが合う事が奇跡のようにも見えるけど、それはまるで時計の長針と短針が合うようなもののように感じます
当然一瞬の事ではあるけれど、それは実は日に22回は必ず起こる事
その一瞬を逃さず気付き「意味のある時」にして行く
軌跡は待つだけでダメなんだよって教えられてる気がしました
偶然の再会を大事に喰らいついた潤君
あの時頑張り切れなかった分、しっかり今回は頑張ったんだなって思えて来て凄く応援したくなりました
ジワジワと好きになって行くとても良い作品に感じました(´▽`*)
初めて拝読する先生でした。絵柄が〇ブリのキャラっぽい作画でとても綺麗で読みやすかったです。
中学時代、同性同士での初えっち…を親にバレて猛反対されるという最悪の瞬間から始まるお話です。
それ以降、相手とは一切連絡を取らず高校も行かずに喫茶店でバイトしていたミチルですが、当時の相手、潤と喫茶店で再会してからお話が動き始めます。
同性同士の恋愛が昨今容認されて、メディアでもたくさん作品としては溢れている世の中ではありますが、それはあくまでフィクションや自分とは縁のない所での話…と思われている事がほとんどではないでしょうか。実際に自分の周りで同性同士の恋愛を目撃したら…果たして素直に祝福できるのか。自分自身にも問いかけられているような作品でした。
本人達が好きあっていたとしても、周囲の人はそれを良しとはしないかもしれない。ファンタジーとしてのBLに慣れてしまっている私達だからこそ、こんなリアルもあるんだよ?と現実に戻って気を引き締めてくれるストーリーでした。
とはいうものの、潤とミチル2人に関してはちゃんと自分達で道を開いていって清々しい読後感でした!初体験のやり直しはどちらも初々しくて、ミチルが痛みを耐えながらも潤と「今」ひとつになりたいという思いがとても健気で可愛かったです。
なんだかノスタルジックな雰囲気で、しっとりじっとり、湿気があってとても心に残りました。
再会したくなかった初恋の、今でも顔見ただけで大好きが溢れてくるのに、めいっぱいそうでもないフリするのが可愛くて切なくて。
そこを颯爽と踏み込んでくる様もカッコよくて良かったです。
悩み多き10代の揺れる心情や、未成年の無力さなんかも抱えながら一生懸命今を生きる2人がとても愛おしかったです。
あの大事件がなければ、楽しい高校生活を送っていたかもしれないのに、離れてしまって、青春は取り戻せない、と思うと胸が締め付けられますが、それを取り戻すように、これから温かい関係を紡いでいくんだろうな、というラスト、心が震えました。
大切な一冊になりました。
できれば続編も読みたいです。
遠野みやこ先生
初コミックス発売おめでとうございます!
連載を追わせていただいていたのですが、しんどくなってしまったので途中でリタイアしまして......
今回単行本になったので、続きから拝読しました。
やはり読んでいて しんどいとは感じたのですが、物語が終わりに向かっていくにつれて、彼らの希望の光を感じることができ、こちらも穏やかな気分で読み終えることができました。
人と人の関わりって本当に難しい......
友人や恋人に限らず、家族との関わりも難しいものですよね。
言ってしまえば、血が繋がっていても別の人間です。
でも、家族という関係には"期待"が渦巻いていて、「別の人間だから」と簡単に折り合いのつくものではないのだと思います。
家族との関係、想い合う人との関係。
悩んで悩んで、その先で決意を胸に歩んでいく主人公たちの軌跡が、1冊の漫画の中で巧みに描かれています。
ぜひ、読んでみてください。
この作品は、少年たちの不安定さと初恋の熱を、丁寧に描き出した物語だと思います。
遠野みやこ先生の、沈黙の中に宿る感情の描き方が本当に素晴らしいです。
キャラクターの表情や仕草、わずかな間がときに言葉よりも雄弁に心情を映し出して、目に見えない痛みを伝えてきます。
その描写に触れるたび、何度も胸が締め付けられました。。(涙)
また、潤くんとミチルだけでなく、周囲のキャラクターにも焦点が当てられています。
母親やミチルのバイト先の子達の視点が描かれることで、物語にリアリティと深みが増しているように思いました。
傷つきながらも、それでも誰かを想わずにはいられない姿がとても人間らしくて、愛おしいです。
「あの夏の日」から、ずっと苦しんできた潤くんとミチル。
再会してからもどうしても消せない感情を抱え、傷つきながらも
相手と自分と向き合い続けることをやめなかった2人が選んだ答えを見届けることができて良かったです。
遠野みやこ先生の美しい絵と、繊細な心理描写、ドキドキするストーリ展開が素晴らしいので、ぜひたくさんの人にこの感動を感じて欲しいです。
