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表題作夢を見ていたわけじゃない

芦沢 画家 元生徒
尾根 サラリーマン 元教育実習生

あらすじ

教育実習生として高校で生徒に教えた日から8年後、尾根は生徒だった芦沢均に再会した。今ではただのサラリーマンと画家という立場だったが、芦沢の「先生」と呼ぶ声は昔とまったく変わっていなかった。なつかしくてひんぱんに会うようになった尾根は、芦沢が自分に対する「好きだ」という気持ちをまだ忘れていないことを知る―。両想いになった、“その後の2人”の書き下ろし付き。

作品情報

作品名
夢を見ていたわけじゃない
著者
麻生玲子 
イラスト
高橋なつき 
媒体
小説
出版社
オークラ出版
レーベル
アイスノベルズ
発売日
ISBN
9784872782028
4.3

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(2)

萌々

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(1)

中立

(0)

趣味じゃない

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レビュー数
2
得点
13
評価数
3
平均
4.3 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数2

一途攻め

作者様の作品の中で、過去イチ萌えに萌えまくった作品。紙本の整理中で読み直しながら記録に残している最中なのですが、今のところ『僕の中の天体』の方が自分の中で上回りました。ほんと、萌えって生ものですね…

教育実習生と生徒の再会愛。先生の方が受けです。

一般企業でサラリーマンとして働く尾根と、芸術家として活躍する芦沢。芦沢は尾根が教育実習期間中に可愛がっていた受け持ちの生徒でした。

母校の定員がいっぱいで別の男子校へ教育実習に行くことになった尾根は、初日から一風変わった芸術家肌の芦沢に懐かれてしまいます。先生先生と慕ってくる芦沢は可愛かったけれど、実習も終わりの頃に芦沢から好きだと告白されても尾根は真面目に取り合いませんでした。その後も個人的な悩み相談にOKした尾根でしたが、就活に気持ちが向きかけていた頃になると芦沢からの連絡が次第に煩わしくなって、電話をしてきた芦沢をキツく拒絶してしまった苦い思い出が…。

それから8年後、尾根は情報誌で偶然芦沢の名前を見つけ、彼の個展に行ってみようと思い立ちます。見終わって帰ろうとした尾根は芦沢本人に呼びとめられて——

8年で様変わりした芦沢ですが、尾根への気持ちは変わっていませんでした(その間色々あったけど)。再会後から尾根側の気持ちがどんどん変化していくのですが、ドキドキしたりズキッとしたりイラッとしたり、自然な流れで主人公の心情を伝えてくる語り口はさりげないのにうまいな〜といつも感心してしまいます。

麻生作品のノンケ受けは、攻め限定で「抱かれる」側になることに抵抗はないのですが、メンタルの部分で必ず相手と対等でありたいと足掻くんですよね。攻めの方がハイスペ設定なので、受けは少なからずコンプレックスを刺激されがちだけれど、攻めは受けに一途にベタ惚れ…その庇い愛にキュンキュンしてしまうんです。

サラリーマンの尾根は芸術家の芦沢に何のアドバイスもしてやれないし、尾根の知らない芦沢の8年に嫉妬も覚えるし…でも、芦沢がそんな尾根の複雑な気持ちをよく理解しているのがわかるシーンに撃ち抜かれました。

とはいえ尾根の存在によってもたらされた芦沢の新たな作風は、専門家たちに大不評。それでも芦沢は自分の作風も評価も変わり続けることを恐れません。たとえ作風や環境は変わっても、芦沢にとって尾根が一番大切な存在であることだけは変わらないから…。

麻生先生の受けは試練に遭ってもひじょーに前向きです。ウジウジ湿っぽくなりすぎないところが男前。攻めはアホ可愛くて一途です笑。刷り込みのように出会った時からずーっと尾根を「先生」呼びする、きゅるるん♡な芦沢もあざと可愛いぞ〜。

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再会愛もの!

1997年の作品です。
かなり古いです(笑)
麻生先生の作品はハデさはありませんけど、何処か引き込まれてしまう魅力があります。
文書の読みやすさとかもあるんだとは思うんですけど、ごく普通の日常や人達を舞台にストーリーが展開されていくパターンが多いので、共感できる部分が多いからなのかとも思います。
読んでいて自然と感情移入しやすいというか…心地よい感じなんです。

元教生と生徒、再会もの&年下攻という複雑だけれど、魅力を感じる設定に惹かれる方も多そう。
でも、劇的な展開でもなく、大きな問題が起こるのでもなく、割と2人だけの世界で、仕事だったり恋愛に対する考え方に葛藤しながら、ゆったりとした経過の中で展開されていきます。
物足らないと感じる方もいるとは思うんですけど、この雰囲気がなんとなく好きなだな〜と感じると、麻生ワールドにハマってしまうわけなんです!

元生徒&現画家•芹沢 × 元教生&現リーマン•尾根の再会もの。

教育実習生と生徒と言う関係で出会ったあの日から8年後!
2人は偶然再会!
生徒だった芹沢は個展を開けるまでの画家になり。
尾根は先生にはならず、リーマンとして働いていました。
生徒と先生の関係ではなくなっても、昔と変わらず先生と懐っこく読んでくる芹沢。
そんな懐かしさに、なんとなく頻繁に会うようになる2人。
そして尾根は、まだ芹沢が自分に対して、好きだと思う感情を忘れていない事に気がつきます。

自分はごく普通のサラリーマン、毎日忙しく働く中、芹沢が自分に向ける感情は心地良くもあるけれど…
重たくも感じてしまい⁉︎
でも、自分が芹沢の事を特別に思う気持ちに気付かされ!
長く想い続けた年下君の恋は…再会ラブは実るのか⁉︎

年下に凄く甘えられたら可愛いく思ってしまう感情は理解できるものの…。
芹沢の甘えたがりさや、少し自分本位というか…驚き行動には呆れてしまう部分もありました。
でも、芹沢が尾根を好きになったのが、昔尾根に言われた言葉が自分にとって、とても大切なものになり、影響を受けたから…と言う理由があった処は良かったです。

あと尾根の心の戸惑いだったり、不安だったりも丁寧に描かれているのも感情移入しやすかったです。
年齢の問題や、お互いの生きる世界&立場の違いに悩みながらも、好きだと思う気持ちに正直に向かい合い、自分も頑張っていこうと前進していこうとする気持ちの移り変わりが好きでした。

私の中では、麻生先生の作品は、年の差だったり、立場の違いだったりがあっても、お互いにとって『対等』を目指していく様な感情の描き方が印象的です。
大体の作品を読んでいると、キーワードとして『対等』という言葉がなんとなく頭に浮かんで読んでいる気がします。
そんなお互いを想いやる恋愛観を丁寧に描いてくれるから好きなのかな〜と、久しぶりに麻生作品を読み返していて感じました。

私的には、芹沢タイプの年下攻めは苦手系ではあるんですけど(笑)
お話は静かに…でもしっかり描かれていく恋路が心地良く感じました。

2

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