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美術の専門学校に通う相馬朗は、少し複雑な家庭を持つイラストレーション専攻の二年生。
明るくて元気で人懐っこく見える相馬だが、担任講師の栢野志宏にだけは、ついつい反発してしまう。
という話でした。
個人的には、相馬にのっかってしまっているものが重たくて。
栢野みたいな先生じゃないと救われない人もいるんだなあ……という気持ちではありました。
これ、すっごく掘り下げたら重い話になると思うんですけど、そこは相馬が本当に強くて、壊れきる前に栢野が相馬を救い上げて、何事もなくハッピーエンド。
どん底泥沼の話にしてしまうのは簡単なんだけれど、そうはしないところが、この作者さんの優しさかな、と思いました。
人の強さと優しさが身にしみる話です。
攻めが先生という立場もあるのかもしれませんが、大人だなぁーという感想です。
私は独占欲丸出しが好きなので最後の最後までそういうのが感じられなくてもどかしかったのですが…
最後にはそういうシーンもあって読みきった感は得られました!
なにもかも溜め込んじゃう受けにそれを包み込む落ち着いた大人の受けが読みたい方はいいかもしれませんね!
どんどん作品がつながっていくので次を読むのが楽しみです\(^o^)/
信号機シリーズ第二弾、前作にて史鶴にとことん付き合った親友、朗のお話しです。
ぶっちゃけて言うと…わたしやんちゃ受けってあんまり好きじゃなかったりする(笑)
あ、やんちゃはやんちゃでも、猫が爪で引っ掻くような、ツンとしたやんちゃは好き。←分かってもらえるかしら…。
朗って、わんちゃんが吠える感じのやんちゃなので好みからはハズれてるんですが…それでもこのお話は最後まで楽しく読めました。
なぜなら、曲者センセイ栢野の存在と、朗がそうならざるを得ない環境下の中頑張っているからでしょうか。
キャンキャン吠えるのも、朗の性格。
だけど大人の望む通りに甘えてあげるところや、人の機嫌に敏感な部分、ギリギリまで我慢する脆さがすごくすごく愛しく感じました。
前作は学生同士のお話で、二人とも青いなぁなんて思いながら楽しんでいたんですが、今作は栢野の大人の対応と歯がゆさに楽しませてもらいました。
崎谷作品って、前作で、ちょっとコイツムカつくわー、とか思った人を救済するのが上手いなぁと感じるのはわたしだけでしょうか。
栢野も前作ではすこーし敵役(笑)だったから。まぁ、栢野はいい先生なんだな、とは思いましたけど。
もしかするとこの先、喜屋武の救済もあったりして…。と思ったりしていますww
今回も今回も、モヤモヤするー。
崎谷さんの作品は個人的には好き嫌いが激しくて小さいことが気になることが多いのですが、今回もちっっっさいことが気になってしまいましたー(汗
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受けは母が長期入院しており、美術専門学校に通う20歳の朗。
ものになりそうなイラストを描きながらも堅実な会社員となろうとしており、栢野と衝突中。
栢野はというと朗の担任講師であり、デザイン会社を運営している攻めさん。
過去に生徒との恋愛で泥沼化した経緯があり、同じ轍は踏みたくないと考えています。
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崎谷さんの書かれる攻めは、個人的にはダメ男くらいでちょうど良いと思っています。
デキる男やしっかり者だとすんごい説教臭く受けへ語るので、攻め至上主義のわたしでも上から目線を感じて『うるさい!』と思ってしまいます。
残念ながら栢野はそっち系でございます(苦笑
栢野はそれプラス過去の恋人と朗は違っていかに朗は素晴らしいかということを言ってきかせますが、一度はつきあっていて一緒に逃げようとも思った相手のこと悪く言って欲しくなかったなあ。
わたしだったら、別れたら自分もそんな風に言われたりするのかしら…なんて思っちゃいますけど。
ひかり(朗の心臓病の母親)のことは、個人的にはまっったく気にならないですね(苦笑
確かに他の家族の意識はひかりに一番に注がれていますが、だからといって朗が幼少時ほったらかされていたわけではありませんし、今は成人です。
他の家族がひかりを一番であっても、ひかりは朗が一番なわけですから何が悪いのかなあ。
子供に自分の苦しんでいる姿を見せたくないとか、本当に危ない時だけしか知らせないで欲しいという気持ちは、わたし自身も身近で経験したことがあるのでわかります。
他の作品でも、こういう病弱エキセントリック女性キャラに厳しい意見が出ていることがありますが、そういうキャラに怒りを感じたことはまだありません。
気になってしまったのは思いっきり受け視点(三人称)なのに、地文の受けの名前表記が相馬(苗字)なんです。
視点が受けですと、よく受けは下の名前で書かれることが多いので(攻めは苗字率が高いけれど)、なんか違和感が…
友人で他作品の受けである史鶴や叔父の昭生は名前表記なんですよね。
例えば『なんだかんだ言って相馬に甘い昭生は』とか、うーんと頭をひねります。
こんなこと気にするのはわたしだけなのかなあ。
それに、このシリーズの他カップル(沖村×史鶴)とのやりとりに何ページ使うの?という状態なのもちょっと。
この辺りがなければもっと本の厚みが薄くなったのではないかなあ。
加えて、こんな口の軽い弁護士最悪ではないですか?
今回、本シリーズの他カップルである弁護士の伊勢が、ペラペラ栢野の過去を喋っていてもうかなり冷めました。
これがまだ主要キャラでなくその時だけのモブならばともかく…
この第三者に説明させることって登場人物の多いBLで見られますが、その作品のカップルでストーリーを成り立たせて欲しいなと思うんですよね。
誰も彼もが、そのシリーズ全部読んでいるとは限りませんし、一巻、二巻とナンバリングされているならばまだしも一応独立させているわけですから。
読んでいる途中に「好きだーーー!」と叫びたくなってしまいました。
誰に、とかでなくなんだか無性にwこんなに興奮できる作品は久しぶりでした。
皆さんの評を読むと、主に相馬家が理解できないとのことで、そこには私も同意です。何考えてんだ?としか。ただ、家族というのは本当にブラックボックスで他の人にはとうてい理解できないなんてままあることだし、栢野が一度だけ相馬の家族について批判したことで栢野はそこも含めて相馬を包もうとしているんだと思えたので、私的にはそこまで問題にはなりませんでした。
それよりも、そんな環境で健気に頑張り続けてきた相馬が愛おしかったです。
全体に相馬の内面がすごく濃かったなぁと思います。ページ数もそれなりに多かったとはいえ、それだけではない密度があってもっと長い物語を読んだような気がしました。
表面上はいつも快活で幸せそうに見せている相馬の内側にあるものがゆっくり丁寧に描き出されていました。ずっと家族の中で役割を演じなければいけなかった相馬の緊張感と自分自身すら顧みなかった相馬の子供の部分が何とも健気で痛々しく、温めてあげたいけれど触ったら壊れそうな危うさで、本当は全力で守ってやりたいのに栢野が手を出すことをためらったのは立場からではなく相馬のそんなところを感じ取っていたからなんだろうなと思いました。
相馬を守りたい思いがだんだん抑えきれなくなっていく栢野も、出口をなくして限界に近づいていく相馬も、どちらの姿も切なくて。
ついに相馬が崩れるシーンは神と呼びたい。
栢野の守り方がすごく好きでした。
エンタテイメントか?と言われると「違うだろ」と思いますが、切なくていじらしくて、繊細でよかったと思います。相馬の人物設定のリアリティがすごくて、のめり込んで読んでしまいました。相馬だけでなく、登場人物の内面の掘り下げが半端なかったと思います。