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表題作課外授業

津田彬
高校生→教師、偏執的な愛
朝倉
高校教師、後悔する愛

その他の収録作品

  • 教師A

あらすじ

朝倉の前に現れた男───それは、かつての教え子・津田だった。 5年前、津田と身体の関係を持っていた朝倉は、自分に溺れていく津田から逃げるように学校を退職した。 再会後も身体を繋げてくる津田に戸惑う朝倉だったが…!?

あなただけを愛し続けます───

出版社より

作品情報

作品名
課外授業
著者
梅太郎 
媒体
漫画(コミック)
出版社
コアマガジン
レーベル
drapコミックス
発売日
ISBN
9784862525604
3.5

(22)

(3)

萌々

(8)

(10)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
78
評価数
22
平均
3.5 / 5
神率
13.6%

レビュー投稿数9

ストレートな執着

1冊丸ごと表題作の二人です。「教師A」「課外授業」の中篇2作品が収録されています。

「教師A」は朝倉のことが周囲にバレるまで、「課外授業」では朝倉は教師をやめてからになります。学校でなく津田の家が舞台になるので、課外授業なのかと題名に感じ入りました。

津田が朝倉に執着する話でした。実は朝倉が津田を操っていたなどというラストにどんでん返しがあるわけではなく、一度逃げられたことから不安が払拭できない津田に、朝倉が信じる事を教えるという真っ当なエンディングでした。

津田は自分が高校時代に朝倉にされたことを仕返しますし、鎖でつないで監禁もしますが、執着だけでない愛情と不安が透けて見えるので、キツいという印象はありませんでした。津田が朝倉に仕掛けたのも、朝倉が他の人とは何度寝てもイカなかったと知ってからだろうというのも良かったです。

カバーとじにある四コマ。最中の写真が壁一面に貼られた部屋を想像するとうわぁ…となりましたが、朝倉はもうそれくらいじゃ引かないんだろうな。

生徒×教師(5年後は教師×教師)の一途な恋愛がお好きな方にお勧めです!

1

因果応報

病んでる教師が病んでる生徒を作っちゃったような、やったことをやりかえされたような、そんな因果応報ともいえるシリアスな内容になってます。あんまり病んでたり監禁するお話は好きじゃないんだけど、これは二人の強い愛情が感じられて好きです。

教師の朝倉は、彼氏と別れたことや夢と現実の違いからのストレスで、自分に気がある生徒の津田に手を出します。それもエッチの時に写真を撮ったり、みんなにばらすぞと脅迫したり。でも、どんどん自分に本気になっていく津田が怖くなって、朝倉は学校を辞めて逃げるのです。

5年後、教師として再就職した朝倉が再会したのは、教師になった津田でした。
津田の、朝倉を手に入れるための行動がゾクゾクして萌えます。その行動の全てが、朝倉への愛情なのが感じられて。

カギを盗ませて、朝倉が逃げないかを確かめた津田が切なかったです。
最初は罪悪感から付き合っていた朝倉も、自分の本当の想いを知って…。
本当の愛情があれば鎖なんかいらないことを、愛し愛されることを津田に教えたいと、逃げなかった朝倉にも涙が出ます。
最後は幸せそうな二人に、幸せな未来が想像できて、ホッと安心できます。

3

綺麗にまとまった作品

1冊に1カプのお話で、本当にこの1冊という長さに綺麗にまとめられた作品だなぁと思いました。ラストも、あれ以上続いたらこの作品の良さが無くなると思うし、あの余韻の残し方が私にはベストでした。

カップルがどちらも病んでいるためトーンとしては全体的に暗く進んでいきますが、最後には光が見えますのでご安心を。

この作者さんのほかの作品、できるなら「千束&波平シリーズ」と「ぼくが愛してあげる」などが好きな方だったら、読む価値ありだと思います。

攻めの子が病んでいるのは、なにも朝倉の生だけではないのではないかとは思うのですが(そのへんは書かれてないので推測)、それを全部自分のせいだと思ってしまう朝倉とそう考えるような性格になった素地が切ない。朝倉には傷ついた過去があって、そのせいで誰のことも信じられなくなってしまった。それなのに、自分が裏切ったせいで、教え子までも人を信じられない苦しさでゆがめてしまった、と悩みます。それを認めるのが怖くて目をそらそうとする朝倉をどこまでも追いつめてゆく津田。この辺の執着っぷりはみどころの一つではないかと。
津田のおかげで朝倉は自分の問題と向き合えたし、そこまでする津田の愛の深さは一見病んでいるけれど、朝倉にとっての救いなんだな、と思います。悪魔のような津田が実は朝倉の天使だった、という王道パターンをよく調理してあるなぁと思います。
さらりと読むよりも、人物の気持ちを深追いして考えていくと味わいがある作品。
短編小説のような読後感でした。

秀作だと思います。

3

どシリアスな学園もの。

描かれている題材はわりと嫌いじゃないです。
シリアスな先生と生徒もの、長い片恋もの、歪んだ妄執、トチ狂った愛情表現。
そういうのは好きです。

BLの学園モノってコメディ色が強い作品が多いので、こういうどシリアスな作品は貴重ですね。
ただ、この二人の歪み具合は人を選ぶかも。猟奇的というか、度が過ぎる愛情表現は万人受けされるものではないので。
さっくりと気楽に読める読物や、BLにエンターテイメントを求めてる人にはオススメしません。陰鬱なテイストをわかった上でじっくりとストーリーを読み込みたい人にぜひ。

物語のキーになるのは『復讐』と『恋慕』。
教師であった朝倉にこっぴどく捨てられた高校生・津田が、5年後、同じ教壇に立つ教師として戻ってきて、当時自分が受けた仕打ちを再現する、という復讐劇。セリフもやり方もそっくりそのまま。これはちょっとゾッとするものがある…。
相手をオモチャと言い切り、やりたい放題やってた当時の朝倉が悪いのですが、とはいえ、克明に再現していく津田の執念深さが怖いです。
でも、それ以上に厄介なのが、津田がまだ朝倉を好きだということ。ただの復讐ならそれを遂げたときに終わりがくるけど、津田は朝倉のすべてを手に入れようとしてるので、終わりがない。
津田の手段を選ばない残酷で悪趣味なやり方は、軽くストーカーの域を超えます。でも、手段を選ばないだけあって、確実に朝倉を追い込んでいくんですよね…。それから逃れるには彼を受け入れるか、死ぬかくらいしかないのでは…と思えるほどです。
物語の視点は朝倉なので、津田に追い込まれていく朝倉の心の変化がありありとわかります。恐怖、戸惑い、後悔、憂い、諦念…そういった感情が淡々と綴られたモノローグがいい。
被害者ぶって、あるいは加害者ぶってなにかに責任を押し付けようとすることもなく、ありのままの自分の行為と、置かれた現状と、…そしてとるべき行動を冷静にみつめる朝倉という男が好きです。

歪んだ愛の押し売りみたいなラブストーリーですが、歪んでたって愛はあるんですよねー。羨ましいとは思わないけど、二人が幸せならいいか、と。
当て馬のように巻き込まれた生徒が一人いるのですが、彼こそが一番の被害者だろうっていう描き方がされているので、その配慮も良かったです。二人の恋愛感情ばかりにかまけて他のキャラを蔑ろにするのは好きじゃないので。

ただ、気になったのは場面構成。
背景や風景画が少なくて、いったいどんな場所で会話してるのかイマイチはっきりしないです。校舎やそれぞれの住居、部屋のレイアウトなど…空間の全体像がわからず、そういうのが気になる性質なので、ずーっとモヤモヤしてました。
物語の閉塞感を出すためにあえての手法だとしたらあっぱれですね。ものすごく息苦しかった。広々とした野っ原の絵がみたくなる。
ストーリー的にも構成的にも非常に閉塞感のある作品だということです。

《個人的 好感度》
★★★★・ :ストーリー
★★・・・ :エロス
★★★・・ :キャラ
★★★・・ :設定/シチュ
★★★・・ :構成

3

さてどうしたものか。

正直どう評価していいのか難しいです。
これは読むときの気分で、すっごい怖いと感じたり、最後に射す光にうるっときたり、感想が変わる気がします。

監禁とか強姦とか陵辱とか、そういう設定があまり得意じゃない、いやむしろ嫌いだ!
と思っていたのですが、たまたま偶然なんですが、最近そういうものを立て続けに読んでいるので、どうも耐性がついちゃったようです。
ホント、元々嫌いなはずなんですけど……。
あ、けど、好きすぎて病んでるのは嫌いじゃない、むしろ好き(笑)

で、このお話はというと……、どうにも中途半端な感じがしました。
監禁ものとして読むにはぬるいけど、愛ゆえかと言われると、ちょっと浅い、みたいな。

なんでかな…と考えて、受けが嫌がってないからだと思いました。
攻めや世間体に対する恐怖や諦め感はあるんですが、弱いと言うか。
だから、なるべくしてこうなったって展開な気がして、あまり切迫感を感じませんでした。

っていうか、この程度の抵抗なら、監禁しなくて良かった気も……。
そのあたりのせいか、攻めの病んだ恐ろしさみたいなのがイマイチ伝わってこなくて、逆に「そんなに自分を苛めないでも」と思ってしまいました。

普通に告白して口説き続けてたら上手くいってたと思うよ?

梅太郎さんはつい最近はじめて「彼の触れたくちびる」のシリーズを読んで、大好きになった方で、他の作品も読んでみようと手を出し始めました。
「彼の触れたくちびる」が古い作品だということは知っていたので、作風や絵柄が変わっていることは覚悟していたのですが、「あぁ…こっち方向に行っちゃったのか…」とちょびっと寂しくなりました。
絵も昔のほうが好きだなぁ。

けど、最後の最後でうっすらと光が射した感じがすごく良かったので、そういうところはとても好きでした。

1

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