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女性しのさん

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あれれ…?

バルドがどんどん乙女になっていく…。
そこは男前のままでいて欲しいなあ;
自分の運命ややるべきことを見失わず、恋と使命との間で悶えて欲しいよ。

前回の最後で初めて素のまま抱き合った2人。
夜が明けてみればバルドは照れたり動揺したりと大忙しです。
「自分の使命もあるし、みんなが気を使うから」と、二度と体を重ねないと言い切る展開は好きです。
恋とは別に、大事なことを見失わないで欲しい。

けど、そのあとが…。
敵国の王子と知れたら命が危ういから大人しくしてろって仲間全員に言われながら、ハヴィに会うためだけに単身乗り込むとか…、王子の責任はどうした。
さらに、女装してパーティーに潜り込むとか、正気ですか?
挙句、自分から切った相手に「俺から離れたら許さない」なんて言っちゃって、人目に付くテラスで乗っかっちゃって、ヤっちゃって、ついでに魔獣化までしちゃって、気を失っちゃって、これ気の利く仲間たちが嘘みたいなグットタイミングでお迎えに来てくれなかったらどうするつもりだったの?

すっかり恋愛脳で、もはや呪いも魔剣も故郷の民もどうだっていい感じ。

「ファンタジーって絵が美麗だったら結構OK」とか思ってたけど、やっぱりストーリーがなきゃ空っぽだなと痛感しました。

なんだか「壮大でちょっとエロスなファンタジー」が「読者のニーズにお応えするBL漫画」になっちゃったみたいで残念です。
私は女装にまったく興味ないし、「ドレスの裾を捲って手を突っ込んであ~んなことやこ~んなこと」とかにもまったく萌えないので、かなりしょんぼり;

あと…ギャグ絵やちびキャラが増えすぎ。
時々登場するんだとコミカルなアクセントとして楽しめるんだけど、多すぎ。
美しさあってこそのファンタジーなんだから、そこは手を抜かず綺麗に描いて欲しい。

ハヴィの神官姿の美しさを愛でる4巻でした。

うーん;

良かったか良くなかったかと問われると「よかったよ」とお答えしますが、読み終わった直後の感想は「惜しい!」でした。
何がって、いろいろと。

正直、三角関係で、一人が冒頭で死んじゃってたら、残る展開はこれ以外ないもの。
葛藤の内容も、死んじゃった一人への遠慮とか、その彼を間においたお互いの気持ちの誤解とか、それ以外ないだろうという想像はつくし、実際そういうお話でした。

それでも設定やなんかは面白そうで、展開もよかった気がするんですが、何故だかエピソードとエピソードの繋ぎがイマイチ。
何がイマイチと感じたのか自分でもわからないのですが、あえて言うなら地の文が?
表現がとか言葉の選択がとかそういうことでもないんだけど、繋ぎが「押しすぎ」か「足りなさすぎ」のどちらかでバランス悪く感じました。
けどこれは、思いっきり好みの問題なので、合う人にはピタッとハマるんだと思います。

面白くなって当たり前な設定と展開をあえて持ってきておきながら料理が生煮えな感じで、ホント「惜しい」です。
残念ながら出来レースを見ている気がして、萌えきれなかったです。
これに萌えないあたり、私も年とったなぁ…と思いました><

面白かったっ!

お話自体は特にひねりがあるわけでもなく、ありがちなネタなんですが、とにかく愉快爽快です。

勉強ができてマジメでとっつきにくい優等生のブログを偶然見つけてしまうところからお話が始まります。
内容がどうにもぶっ飛んでいて、「これ書いてんのホントにあいつ?」ってくらい教室での姿とかけ離れているんですが、そんな優等生がどうやら自分のことを好きらしい。

こんだけならホント、ありがちだなぁで終わりそうなんですが、このお話はもう、「ネタはありがちだろうが、誰もこんなブログはマネできないだろう!」と言わんばかりの内容。
本当に本当に本当に…×100!!! 優等生のブログの内容が面白いんですっ!
マジで、あれほど衝撃的なブログに私はこれまで出会ったことがないです!
これはもう、面白さは読まなきゃわからない。
言葉だけでも充分ぶっ飛んでて面白いけど、これは普段のソファラ君のクールっぷりとのギャップが可笑しさを増幅させるんですよ。

腹筋鍛えて読まねば、このお話は1冊読み終わる頃にはお腹が筋肉痛になること間違いなしです!
日頃ポーカーフェイスの方は、ほっぺたの筋肉も鍛えておいた方がイイ!
淡々と、黙々と、読むのは絶対無理です。
あ、電車の中で読むのも絶対危険! 
思わず笑っちゃえばバカって思われるし、根性で笑いを我慢してもニヤニヤを隠しきれず変態と間違われますよ。

正直言って、設定、文章、共に好みではなかったんです。
ブログってツールを持ち出した時点でこれ以外の展開はないし、先を楽しみに出来ないもの。
文章にしても、個人的には「~で。」(「~が心配で。」みたいなの)とか「~て。」(「~が嬉しくて。」みたいなの)で終わる文章はイマイチ好きになれません。
時々なら余韻やアクセントになって良いんだけど、多用されるとブツブツ途切れる感じにイライラします。

だけどこの作品に関しては「つべこべ言わずに笑っとけ!」って感じでノックアウトでした(笑)

達也が主人公の番外編ですよ!

達也大好きだ~☆
お人好しで、穏やかで、人当たりが良くて、勘が良くて、情に厚くて、もともと凄く好きだったんだけど、前に勇太がキレて他校生に怪我をさせた時のやり取りや態度で、もうとっても大好きになってしまいました。
なんだかんだで一番ツイてないんだけど、実は結構いい男なんだよね!
いっつも貧乏くじばっかり引いてる気もするけど(笑)

そんでこのお話はやっぱり、この上なく達也らしいお話でした。
何故って、達也が主人公なのに、CPが昴×晴なんですよね(笑)

いろいろと面倒なものを抱えたカップルです。生い立ちとか、性格とか。
くっついたり離れたりするカップルに巻き込まれて、世話して、仲裁して、受けに惚れて、攻めに懐かれて…、結局潔く振られて2人の恋を手助けして逃がしてやるという。
あんたどこまでお人好しなのっ!!!

結局達也に春は来なかったんだけど、達也の男前度がぐ~んとUP↑↑したお話でした。

達也はきっと近い将来、付き合った女の子がひょっこり妊娠なんてしちゃって、「美人じゃないけど可愛くもないけど、愛嬌あるし明るくて元気だし、まあいっか」とか言いながら結婚して、そのあとも嫁がぽこぽこ双子とか年子とか産んじゃって、「貧乏暇なしよ~」とかぼやきながら、結構幸せになっちゃったりするんだ。

こういう男と付き合ったら、金持ちにはならなくても心は幸せになれるだろうなぁ…とホント思います。
達也!頑張れ~☆

ハヴィの受けオーラ・・・

ハヴィ!受けもいけるのか!!!
いや、この2巻のテーマは決してそこじゃない!
そうは思うんだけど、1冊通して読んでみて、読みながら一番「むぎゃ~」となったのはそこでした(笑)

それにしても…、ハヴィの素敵さたるや犯罪級。
身を挺してって言っちゃうと軽く聞こえるけど、まさしく身を挺して、バルドの身代わりのようにして敵の手に落ちてしまいます。
魔道師としての自我を奪われ、いいように体を触られ、バルドに冷めた目を向けるハヴィに無駄に萌えました><

このあたりからちょっとずつ、バルドが乙女になっていくのが残念なんですが;

エロは少なめでしたが、最後のエッチはとてもキュンキュンしました。
2人とも自我がないんですよね。
ハヴィは自分を見失っているし、バルドは魔獣化しちゃってるし。
しかも檻の柵越し!キュンww

けどやっぱり私は、蛇に犯されるとか要らないかなぁ…。1巻の触手のときにも思いましたが。
もともとお道具関係にまったく萌えがなく、どちらかというと嫌悪感の方が強いので、「キモチワルイ」の方が先に来てしまいます。
けど、これに「エロい~」と萌える人の気持ちはとっても分かります。
意思に反していいようにされている受けは、それはそれは美味です(笑)

それにしても…。うさ吉が可愛いんですがっ!
そんで、ハヴィにちょっかい出してた仮面の男、変態でキモチワルイよ~><

勇太と秀の、親子の絆

勇太の過去が、想像以上に殺伐としていました。
寂しい幼少時代だったことはなんとなく想像していたんですが、こんなに荒んでいたとは…。

他に選択肢のない、逃げ場のない環境。
子供にとっては岸和田の町だけでもあまりに大きくて、外の世界に憧れる気力すら生まれないんですよね。

そんな中から引っ張り出してくれた秀との絆がキッチリと描かれるのはまだずっと先のお話なんですが、私は随分前に先に全部読んでいてレビューのために再読しているので、初読の時とはまた感じ方が違いました。

お好み焼き屋のおばちゃんが、勇太に「帰ってくる場所はないよ」と言ってくれたことが、あとあと考えると本当に温かい言葉に思えました。

父親との短い再会。
正直「なんて奴だ!父親じゃねえだろ!」って腹立たしかったです。
酔っ払っているとはいえ、息子の顔も分からず声をかけるなんて、どういう了見だ!!!
憎んでいる父親でも、やっぱり勇太が傷つかないはずがなく、傷をさらに抉って深さを再確認しただけ。
けど、この後のお話で、このとき一瞬だけでも会えていてよかった…と思いました。ちっくしょ~><

そして、秀との親離れ子離れ。
最初は他人同士で、お互いに手探りで親子に近づいてきた2人だから、壊そうと思えばとても脆いのかもしれない。
本当の家族こそ「家族って血じゃないよ」なんて言うのかもしれないし、実際そうなのかもしれないけど、そうなるにはお互い心の中で自分がどういう存在かってことがとっても大切なんですよね。
勇太が秀の気持ちを疑ったきっかけはほんの些細なことだったんですが、実際必死で家族になろうと願う勇太には、とても大切で重大なことだったんだと思います。
そして、秀にとっても、どうしても伝えたいことだったんですよね。
ここだけは真弓に賛成。
「秀、下手くそ」

岸和田で再会した勇太に対して、秀の取れる態度はこれしかなかったと思います。
実際は抱きしめたくて甘やかしたくて、帰って来てって言いたかったと思うけど、それじゃ恋人や親友みたくなってしまうもの。
勇太の手を放した寂しさに泣くとき、傍に大河が居てくれて、本当に良かった。

私的にこのお話は、勇太×真弓ではなく、勇太×秀だった気がします。(そして大河が横恋慕/笑)
っていうか!これは願望ですね、スミマセン!!!
だって、本当に私は、真弓だけがめちゃくちゃ「萌えゾーン」から遠いんですよ~><

どっちの気持ちも嫌ってほどわかる

長男と次男の喧嘩は、ほかの兄弟との喧嘩とちょっと違う。
秀も言ってたけど、手が出ない分長引くんですよね。

今回は、信の留学話から発展した兄弟喧嘩の話。

交換留学を断ったことを大河に言えない信の気持ちは、すっごくわかる。
そんで、そのことを知って、何が何でも留学させたいと意地になる大河の気持ちも、分かる。

大河は兄弟たちに、親がいないことで不自由な思いをさせたくない、夢をあきらめさせたくない、親がいればできたであろうことは全部させたい、そう思っています。
もちろん、「そうさせてあげたい」ってのが一番の気持ちなんだけど、そんな風に兄弟たちの人生を整えてあげることが大河のプライドでもあるんですよね。

これで信が大河に言えなかった理由が「お金がないこととかを大河が気にするから」だったら、このお話は私の中でたぶん普通の家族話だったと思うんです。
けど、違うんですよね。
ちゃんと考えて、納得して、自分の意志で行かないって決めたのに、それを家庭やお金のせいだと思ってしまう大河と喧嘩になることが目に見えているから。だから言えないんです。

この辺の微妙な感情の説明が、絶妙にうまいです。
こう、言葉にしにくいんだけど、胸の中でぐわっとなる感じとか、モヤモヤっと残るものとかを、そういうモワモワ感を纏ったまま伝えてくれる表現が凄く巧みです。

最後に兄弟たちがみんな立ち上がって正直に大河に気持ちを伝えるシーンに、ジーンとしました。
「大河兄だけが、いつもなにか足りないって思ってる」
それは、大河自身が不満を抱えているというわけではなく、ただ与え足りないと感じているってことです。
愛だよなぁ…。
そして、本当はちゃんと満足していて、ちっとも不幸じゃないのに、大河の気持ちを理解して「もう幸せだから充分だよ」と言えなかった兄弟たちもまた、とんでもなく優しいです。

本当は客観的に見ていた勇太と秀が一番双方の気持ちを理解していて、どちらの言い分も、どちらが何にこだわっているかもわかっていたのに、最後まで傍観者を決め込んだところが好きでした。
家族だけど、2人は新しい家族であって、これまで積み上げてきた帯刀家の歴史には口を挟まないんですよね。
そのかわり、気持ちのフォローはきっちりしてあげる。

秀と大河の関係も、すごく好きです。

チルドレンタイムスは…、痴話喧嘩ですね。
勇太は大好きだけど、いや、大好きだからこそ、このお話はちょっと「勇太…なにもそこまで真弓に付き合ってやらんでも…」と思ってしまいました。

真弓がホント、オシイよなぁ…。
他のキャラはみんな大好きなのに…、よりによって一番好きな勇太の相手だけがイマイチなんて……><

ファンタジーのBL初めてよんだ!

なんだこれ、面白いっ><
ファンタジーのBLって初めて読みました!

けどよく考えてみたら、BLという言葉を知らない中学生くらいのころから、綺麗な魔道師やカッコいい剣士が出てくるファンタジー世界には常にドキドキキュンキュンしていたものです。
あのころはなかった言葉ですが、きっとあの時の気持ちを今の言葉で表現すると「萌え~」だったなと思います(笑)

とにかくハヴィが素敵すぎる><
なんだあの美しさっ!!!
しかもちょっと腹黒くて、ちょっと茶目っ気があって、ちょっと迂闊。

一方バルドも最高!
普段はまっすぐでちょっと天然で剣が強い素敵王子。枷が外れれば魔獣と化し、欲望に忠実でエロい!
こんな総受けキャラがほかにありますかっ!!!

エロも濃厚。しかもバルドは魔獣だから、噛んだり引っ掻いたり。
ホントに獣の交わりみたいなんですが、ハヴィは美しいしバルドはしなやかだしで、すっごい綺麗です。

すべて、美しい絵があってこそです。
本当に、どのページも、どのコマも、どの表情も、悶絶ものの美しさでした。
ファンタジーってやっぱ、美しくなきゃダメよね~☆

個人的には触手とか要らないんだけど、そのあとの、魔道師の腕の見せ所とか言いながら夜なべして媚薬を作るハヴィがやたら可愛かったのでOK!

叩いて怒らせて発光させるフェアリーが妙にツボでした。そんな使用方法酷いよ(笑)

「萌×2」かな?とも思ったんだけど、あまりの美しさと初ファンタジー記念で「神」です!
ファンタジーって、とにかく絵が美麗であればそれだけで十分世界観確立できるのかもしれない。
もちろんストーリーもしっかりしていましたが、このお話は厳つい絵だったらこんなに萌えなかったと思うから、ファンタジーって描くべき人ってのがいらっしゃるんだなと感じました。

あべ美幸さんの八犬伝も、よくよく考えたら絵あってこそだもんなぁ。

バカだけどバカなりにかっこいい

お互いの思い込みで延々すれ違うお馬鹿さんたちが、とっても愛しいです。
篤史目線のお話なんで篤史に感情移入して、篤史を健気だ可愛いだと感じながら読むべきお話だったはずなんだと思うんですが、私は何故だか忍の内面にばかり目が行ってしまいました。

ともかく、忍が好きだったんです。
「女が切れない、モテる、カッコいい、良い兄貴」なんだけど、その裏で忍がどんだけ篤史のことを想っているかが伝わってくるから、きゅんとなります。

こいつがねえ、ホントにもう、あわあわしてるんですよっ!
作品が篤史目線な分カッコいい遊び人風に描かれているにも関わらず!それでも裏であわあわしてる姿が見えるよう。

篤史を忘れたくて女と付き合うんだけど、お泊りとか絶対しないし篤史優先なもんだからすぐ振られる。
篤史が父を好きだと気づけば、くっつけようと焚き付ける。
父に好きな人ができたかもと思えば、篤史のために父の好きな人を誘惑とかしてみたりする。ついでに篤史には手を出すなと釘を刺すことも忘れない。
もうだめだ好きすぎる、と思ったら、引っ越しちゃう。

全部が全部、篤史を想うが故なんですが、なんだか「頑張る方向が違う!」って言ってやりたくなるんですよね。「そっちじゃねえよっ!」って。
「がむしゃらに全力で猛アタック」をするお話はあれど、「がむしゃらに全力で忘れようと頑張る」ってお話に、こんなにキュンとなったの初めてです。

今まで読んできた「忘れる努力」をする人たちって、なんだかんだ言ってある程度の期待があるとしか思えない中途半端なことしたり、思わせぶりな態度をとりつつ引いて見せて駆け引きっぽく見えたり、逆に「誰もそこまで言ってねえし」ってくらい卑屈になったり、そんなのが多かった気がするんですよね。
けど、この作品の忍はどれとも違って、ホント、「バカだなぁ。けど、潔いっちゃ潔いんだよね~。バカだけど」って感じでした。

そんだけでも忍のこと大好きだったのに、実は一人暮らししてみたら、片付けできない身なりも気にしないぐうたらいい加減さんだなんて!なんて素敵なの!
キュン倍増です♪

なので、とっても楽しく切なくキュンキュンしながら読んだんですが…。最後がちょっと;
「家族愛と恋愛を取り違えて云々」ってのは、分かる。
忍に惚れたのも、ありがとうって感じでOK。
けど、「ずっと子供のころから忍だけが好きだった」はないだろう。
あんたついこの間まで、父親に好きな人ができたかもってめっさ落ち込んでたやん;

何せ忍がヘタレだし、頑なに「篤史の好きな人は自分じゃない」と思い込んでたんで、篤史が動くしかなかったわけなんですが、それにしてもちょっと、告白シーンでの篤史の都合のよさや押しの強さに、げんなりしてしまいました。
この間まであんなに健気でイイ子だった篤史が、こんなんなっちゃった…みたいな、ちょっと残念感が……。

樋口さんの作品はとても大好きなんですが、毎回どうしても100点ではないんですよね。
かといって大きな減点ってわけでもなくて、全体的にどうこうってわけでもなくて、ピンポイントで「ココさえこうなら…」ってのが1個か2個残る感じです。
けど好きです。

凄い…としか言いようのない物語


また、なんちゅーもんを読ましてくれるんですか、凪良さん…。
言葉にできない読後感に、しばらくレビューもできませんでした。
本当に本当に、間違いなく、心に響く名作でした。

2人の子供時代から始まり、成功、挫折、痛み、そういうものすべてに対して、寄り添い合いながら向き合う2人のお話。

「相手に寄り掛かる」ことと「相手の存在を心の支えにする」ことは、似ているようでいて全然別物なのだと、このお話を読んで改めて思いました。
2人とも、成功も手にしていながら、それが安穏としていられるほど盤石な幸せでもないんですよね。
どちらかといえば、痛みの方が大きいのかも。
だけど、ちゃんと向き合う必死さが、とても読んでいて苦しいのです。

2人のささやかな逃避行。
それが美談でもなく、そこに滲む子供の浅はかさや未熟さなんかが、とっても愛おしい。
大人になってからの2人のエピソードを読めば読むほど、この小さくて大きな行動の意味がいよいよ痛みと共に心に響くのです。

そして、このお話の名作たる所以は、何と言ってもニーナの病気についての取り扱い方だったと思います。
確かに特別な出来事なんだけど、それを「トラウマ」の一言で終わらせない容赦のなさが、胸に迫りました。
殻を破れと強要するでも、ぬくぬくとただ守るのでもどちらでもなく、ニーナ自身が自分で考え、少しずつおっかなびっくり手足を伸ばしていくんですよね。
可能な範囲でちょこっとずつ外に目を向けて、自分の周りを見渡して、またちょこっと先まで行ってみて…ってするうちに、気づけば意外と遠くまで出てきていたり、出すぎだと我に返って戻ってみたり。
そうしてそういう姿を見守る人たちが、とっても少ないけど確かに居るのだということに、心が救われました。
それって、ニーナが不器用ながらもちゃんと生きているからこそ得られたあたたかさなんですよね。

「トラウマだから」と殻に閉じこもる主人公を守り、癒し、外に連れ出す王子様なんて、居ないんです。
陽光だって、必死で足掻き、もがいて、自分を支えているんだもの。
仕事でもいろいろと上手くいかないものを抱えて、汚い部分も見て、けども唯一綺麗なままでしっかり大切に抱えているのが、「ニーナを守りたい」っていう強い思いなんですよね。
夢と可能性に満ち溢れていた無邪気な子供時代から、挫折や世知辛さを知る青年になって、守りたいニーナに逆に守られるという切なさとか無力感とかをを味わいながら、それでも卑屈にならずニーナにだけはまっすぐに向き合う姿が素敵でした。
根っからのいい男なんだなぁ。

すごくどっぷり浸りながらあっという間に読んだんだけど、なんだかものすごく長い物語を読んでいたような感覚でした。
この2人の辿った沢山の時間を、「読んだ」というより「見た」という気がします。
この先何度でも読み返すであろう、大切な1冊になりました。


それにしても…凪良さんのお話は、毎回ものすごく大好きです。
何人かいる大好き作家さんの中にももちろん「あたり作品」と「ふつう作品」があるんだけど、「ふつう作品」すらない、全部が「あたり作品」の方は私は今のところ凪良さんだけです。