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表題作ディープブリージング―深呼吸

緒方凛
葛生祐季

あらすじ

中2の弟が連れてきた遊び友達の中に、凛はいた。今年高3の佑季は、体格でも気迫でも中学生の凛に負けてしまい、傲岸不遜な彼に引きずられるままつき合いをはじめる。夜の歩道橋で奪われたキスも、拒むこともできず受け入れてしまった身体も、すべてが佑季には初めてだつた。不器用で稚い恋は佑季を大きく変えていき、やがて2人は―。
(「BOOK」データベースより)

作品情報

作品名
ディープブリージング―深呼吸
著者
神谷凪 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
ラピス文庫
発売日
ISBN
9784829651322
3.9

(10)

(5)

萌々

(0)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
6
得点
38
評価数
10
平均
3.9 / 5
神率
50%

レビュー投稿数6

名作青春BL小説

取り立てて派手な設定もありませんが、まだ幼い二人の心が近づき、重なり合い、すれ違っていくさまを丁寧に描いている作品です。作者の神谷凪先生=榊花月先生なのですが、こんな引き出しもあったのね~、と思わせられます。

主人公は勉強だけがとりえのおとなしい高校3年生・佑季です。家に遊びに来ていた中学2年生の弟の友達の一人、オレンジのスニーカーの持ち主の凛と出会うことで、佑季の受験生の夏は少しずつ変わり始めます。
図書館帰りの公園で並んでおでんを食べたり、夜の歩道橋でキスをしたり、「逢いたいから」と凛が佑季の高校までやってきたりと、何気ない時間を積み重ねて徐々に二人は近づいていきます。そして近づくにつれて、佑季は傲岸不遜でつかみどころないように見える凛の弱さや不安定さを知っていきます。
しかし佑季は受験生。本来ならば勉強に集中しなければならない身の上です。間違っていると思いながらも受験と凛を天秤に掛けて考えてしまう自分の狡さや、会えないことに苛立つ凛の存在をうまく受け止め切れず、結局二人の関係は崩れていってしまいます。

このBL小説ではなかなかお目にかかれないリアリティはどうでしょうか!自分も受験生だった時代があるので、佑季の気持ちは痛いほど伝わってきます。
「俺を見捨てるのか?佑季は、俺のこと、もう大事じゃなくなっちまったのか?」
クライマックスで凛にこう問いかけられても、佑季は凛の望む答えをあげることができません。いくら4つ年上だからといっても、佑季だって自分のことだけで精一杯で、凛のことまでは受け止められないのです。
このあたりのままならなさは非常にリアルで、私のみぞおちをぎゅっと掴んでいきます。そして映画のワンシーンのようなラストへとなだれこみます。

名作BL小説を5つ挙げろと言われたら、私は絶対にこの作品は外しません!間違いなく名作青春BL小説です。もはやこれは夏休みの読書感想文の課題作文にしてもおかしくないくらいですよ。これがラピス文庫から出ているだなんてちょっと信じられません笑
もう絶版になってしまっているので、古本屋で見つけたら即買いしてください!私は古本屋で見つけて、ついうっかりもう1冊買ってしまい、なんだかんだで2冊持っています・・・。
と思って調べてみたらどうやらラピス文庫の公式サイトで電子書籍としてダウンロードできるみたいです。興味をもたれた方は是非。

5

ホモ子・アンドリュー

わー!!むつこさん、はじめましておしゃまんべ!!(挨拶)

コメントくださってありがとうございます!!
今の今までコメントバージンだったので、突然奪われてしまってまだ何も知らない受キャラのようにトキン・・・☆と胸をときめかせています。恋ってこうしてはじまるのかもしれませんねww

>>超人高校生だらけのBL
そうなんですよね。今はだいぶアニメやゲームの「キャラクター」というよりかは、実際に読者である自分と地続きの世界にいるかもしれない「登場人物」ととらえられるような設定のBLも増えていますが、最初に読んだ時は相当新しく感じました。なにこれ普通の小説じゃん!みたいな。なにせ当時は南原兼作品とかをゲラゲラ笑いながら読んでいたので・・・笑
ストーリー展開も、受が誘拐されるだとか他の男に襲われるとかいった、ある意味BLのお約束的なドラマチックなことは何ひとつ起こらないところがいいですよね。だからこそリアルでいられるのだと思います。

今回「DEEP BREATHING」のレビューを書くに当たっていろいろ調べていて、神谷凪=榊花月だと知って、本当に本当にショックだったんですよ!!
私の中で神谷凪=名作BLの作者、榊花月=おしゃまんべの人、だったので全然つながらなくって。それでつい、その動揺をレビューにぶつけてしまいましたww

それでは、また。どうもありがとうございました!おしゃまんべ!

むつこ

私もこの作品、大好きです!
気がつくと何回も読み返してて、「今思えば神にしとけば良かったなァ」と思ってる作品なんです。
このお話は、「高校三年生と中学生」って組み合わせがめちゃくちゃ生きてるんですよね。二人の年齢設定にここまで必然性のある小説も、なかなかないんじゃないかなと。

>>年上だからといっても、祐季だって自分のことだけで精一杯で
そうー!
そうなんですよ。
超人高校生だらけのBLで、このリアリティは本当に新鮮でした。

ホモ子・アンドリューさんが最近、榊花月さん(神谷凪さん)の作品をレビューしてくれてるのが嬉しいむつこでした。

おしゃまんべ!

必死な俺様

俺様には多分二種類あります。
自分に自信があると確信している俺様と、
自分に自信があるのだと自己暗示をかけて
いる俺様と。
どちらの俺様にしても、心底惚れてるなら
振り回され甲斐はあるでしょうね。

俺様だって甘える胸は欲しいでしょうから。

2

表紙に魅かれて

金ひかるさんの表紙に魅かれて手に取りました。
高校3年の佑季[受]と弟の友人で中学2年の凛[攻]の話で、派手さはないものの淡々と2人の関係をえがいて行きます。
2人がちゃんと話したのは、公園でおでん食べてた凛が佑季に声をかけてから。
凛のおでんを2人は分け合って食べます、彼曰くおでんの卵に命掛けてるので卵以外の全ての具をいちいち律儀に半分に分けてくれるんですがそれを食べている内に佑季はふっと悪戯心でその卵をぱくっと食べてしまいます。
怒る凛に笑う佑季、そんな所から2人は仲良くなるのです。

上手いなと思うのは高校3年と中学2年という微妙な年齢設定。
優等生な佑季は受験をひかえており、凛はまだ自由な年頃。
にも関わらず同じ線上に居る様にも見え、けれど見えない部分で分かれてもいて、それでいてその差は決定的ともなりえます。
年相応に子供っぽくもありふと大人びてもいる凛、そんな彼に引かれていく佑季。
互いに魅かれ合い、けれどそれぞれの線の上に立つ2人。
名作ですーーー。

この作品が切っ掛けで神谷凪の他作品も色々読んでみたのですが、残念ながらこの作品以外は個人的にはイマイチでした。
そういう意味でもこの本を手に取った事、そして読んだ事は幸福な事だと思います。
名作です。

1

キューン

中学生攻めで高校生受けです。
中学生が出てくる小説っていまいち好きじゃなくて、しかも最初は年齢にそぐわない大人っぽさで『げっ』と思ったんだけど、読みすすむうちに『やっぱりガキやん』と思わせてくれて、それが良かったw

主人公は高校三年生です。
攻めは弟の友達で、中学二年生。
不器用で経験の少ない高校生は、大人っぽいその中学生に引きずられるようにして、体を重ね、付き合いはじめる。
ここで夢物語みたいな話にするんじゃなく、きちんと現実とリンクさせたストーリーにしてるのが良かった。
受験をひかえた高校生は、覚えたセックスに溺れて成績が下がる。焦って中学生と距離を取ると、中学生はすねる。
わかるわかるって感じ。
ありがちなんだけど、こういう小説では綺麗事にしがちな微妙な部分を書いてくれてるのが良かった。その不器用さも稚拙さも、じつに切ないのだ。まだ未成年だというのは、二人にはどうしようもない部分だし。
ラストはちょっと不満かな。あのまま別れても良かった気がするんですよ。これが初恋というものだ、みたいな。再会は10年後で、みたいな。単なる私の趣味ですがw

1

古臭くない青臭い話(良い意味で)

初読時あまり良いイメージは無かったのですが、数年ぶりに読み返してみると、この二人まるっきり彰と歴也じゃないですかーッ!?本当に(ry。何にせよ、この作者の書くこの手のカップリングが大好きな私は埃まみれの物置の中からお宝を見つけ出したかのような気持ちになりました。でもやっぱり私にとってこの作品はほぼキャラ萌えなんですよね。この作家の書くこの手のキャラクター(主に攻)の言動が滅茶苦茶好きなので読んでいて楽しいのであって、再読してもその点以外はあまり引っかかるものがなかったです。ただ、20年近く前の作品なのに古さを感じさせないのは凄いと思います。あと挿絵がちょっと私のイメージとずれるんですよね。金ひかるさん自体は好きなんですけど。

1

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