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この作家さんは綺麗で儚い感じの絵を描きますよね。
テレフォンカードとかポルノ映画館とか、舞台は少し現代より昔なのかな?
絵柄と合わさって、なんというか不思議な独特の世界観を感じました。
時代とともに変化して行く街並みとか、人の死とか、借金とかどうにもできないことを題材にしてるから読んでるとかなり切なさを感じるけど、だからこそこの2人の純愛っていうのかな、綺麗な愛がより綺麗に引き立てられてると思います。
読み終わった後は悲しいわけじゃないけどなんとなく泣きたくなるような、じんわり心に染み込んでくる話でした。
きっと2人はこのまま支え合って、色んなどうしようもないことを乗り越えて行くんだろうな…。
全体的にすごく満足だけど、もう少し話の流れをわかりやすくしてもらいたかったので(私の読解力の問題かもしれませんが)萌2の評価にさせてもらいます!
九条の腕の中で「自分が壊れ物になったような気がした」と思う水村。
ここが一番好きです。
祖父母が大事にしてきたポルノ映画館の立ち退き要求に伴う執拗な嫌がらせや暴力行為が日常生活を脅かしている。
そんな水村が毎日祈って唱えていたのは「九条」でありもはや信仰に近い想い。
「九条の名前を唱える時、彼の姿を想う時少しだけ。世界が美しく見えた。」
祖母に代わって何とか自分が…と思いつつも、有効な手立てがない。10代の不完全さ、無力さ、焦燥感そういったものを抱えて、ギリギリ耐えて張り詰めている水村が何とも痛々しい。
そしてそんな彼をそっと抱える九条。
学園祭に夜のキャンプファイヤー、フォークダンス、そして公衆電話から掛ける電話、話し足りないのにどんどん0に近づいていくテレホンカード、取り壊される映画館、といった少しセンチメンタルなモチーフが至るところに散りばめられていて郷愁を、そして自分の中にかつてはあったけれど、もう通り過ぎていったものを思い出させます。
あれほど必死に守った映画館も祖母の死と父親の登場により、実に呆気なく取り壊されてしまいます。
そこには理不尽さを覚えますが同時に、どうやっても止める事のできない時の流れ、人生みたいなものを感じるのですが、一方、二人の気持ちは変わらない事が何とも尊い。
九条が卒業した後、同棲をして幸せそうな暮らしぶり。そこにはかつての暗さを思わせるものはなく何とも平和で良かったです。
私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、こちらの作品を含む河井英槻さんのコミック数点でした。(Chance! /Thank you my God/2丁目の小さな魚/青春花心中)
透明感のある線の細い美しい絵柄がお話の世界にぴったりでした。
教えてくださりどうもありがとうございました。
10代の少年の多感さと特有の正義感。
見渡せる世界だけが全て。
だからこそ、踏ん張って守り抜こうとする勇気と強さ。
触れれば壊れてしまいそうな危うさの中、水村が唯一縋ったのが九条だった。
1度だけ近寄ったら満足するつもりが、何故か九条に懐かれくすぐったい関係に気を緩める事を覚えます。
2人が近づいていく過程に、ひらひらと舞う蝶を追いかける様な言いえぬ楽しさを感じるのですが、祖母の死を境に突然現れる父親に、話の筋を読み違えたような。
突然放り出された疎外感に呆然としてしまいます。
何度か読み返しても同じ所で引っかかってしまい、ラストに急激に気持ちが冷めてしまう。
鷹ちゃんの次の日には蛻の殻。
そのぽかーんとした心情に近いかもしれません。
その後の2人の在り方にはとても心あたたまるのですが、子どもの理屈だけで終わりきれなかったせいなのか、親の存在に矛盾を感じてしまったのか。
ラストに対しての理解力が足りず消化不良となってしまいました。
ままならない現実へのもどかしさ、辛さ、苦しさ…大切な思い出が壊されてしまう痛み…水村の置かれた状況がとても厳しいです。
笑顔で隠して1人で堪えて…近所の人たちは見て見ぬ振り、町ぐるみの土地計画のため警察もまともな対応をしない、映画館を無くしたくないから家族にも言えず、どん底にまで落ちた昏い精神に刺した唯一の光…それが九条だったんですよー!
可愛らしい恋のキラキラした部分と、水村の家庭事情との明暗が痛い。゜(*´□`)゜。
脇キャラも良くて…水泳部の徳永部長が話が進むにつれて素敵に…。
祐二(=水村)と1番仲良かったのは自分だったのに横取りされたみたい…と、しょんぼりする姿や後半の独白「恋愛が絡むと友情の形も変わってしまう。恋のない国に行きたい」とか(´・ω・`)
良い人なんですよ~…。
水村の父親が取った行動は…故人の意志を無視したものでしたが、決して故人を軽んじいるわけじゃなく…悲しみの涙を流し、悲しさを外に出さない相手に怒りを感じるほど大切に思っていたけど…それでも生活や家族を守るために仕方なく動いたのかな?と。(※守りきれませんでしたが)
ただ…葬式直前とかなぁ…早い方が良かったんだろうけど…(;´Д`)
本編が本当に大変だったのでオマケ漫画の大人になった2人のイチャラブっぷりは嬉しい(*´▽`*)
因みに絡みはあっさり。
「いっぱい いっぱい中略。」されましたからwww
モエパラ☆スペシャルは萌えました。
線の細いキレイな絵に、登場人物の背負うものの重さのギャップが好きな河井作品。
青春のキラキラした感じと若者故の無力さ・所在無さとが同時に描かれていて、良い意味でリアル。劇的にすごいことは起きない現実の中で生きる高校生二人。彼らの恋や日常や、色々抱えながら大人になっていく姿の一つ一つが愛おしい。
さびれたポルノ映画館や肉親の死なども含め、時の流れとともに失われてしまうものへの寂寥や愛着を強く感じます。
実家の映画館が立ち退きを迫られ、嫌がらせを受けている水村と、
そんな九条を支えたい後輩で水泳部ホープの九条。
厳しい現実の中にあって、男同士で惹かれ合うことにそれほど躊躇のない二人の関係だけが、どこか御伽噺のような夢物語のような、純粋な美しさを放っていました。性交の肝心なシーンが思いっきりぼかされている所からも、現実世界の生々しさからは縁遠い二人って感じがします。そこがキレイすぎてピュアすぎて物足りない気持ちもありますが、そんな二人のまっすぐな想いだけではどうにもならない現実もちゃんと描かれていて、そこを乗り越えて大人になった二人の再会ラストは切なく感動的。遠距離恋愛を乗り越えて(電話ボックスなつかしい!!!)お互いに就職&同棲している二人に、幸せになれてよかったね~と心から思いました。
連載がスローペースな河井作品、個人的に追ってる二作品とも続きが待ち遠しくて仕方ないのですが、こういう完結作を読むとスローでも作品の繊細な魅力を損なわずにじっくりゆっくり完結させてくれればまーいいか、なんて感情も湧いてきます。もちろん早く読めるにこしたことはないんですがw