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表題作残酷な神が支配する(1)

グレッグ・ローランド/ジェルミの母親の再婚相手
ジェルミ・バトラー/母親思いの少年

あらすじ

母とふたり、ボストンで暮らす15歳の少年ジェルミ。友達に恵まれ、ボランティアと勉強に励む幸せな生活を送っていた彼の日常は、ある男との出会いで一変する。母・サンドラの婚約者で大金持ちの英国紳士・グレッグ。絵に描いたような理想の義父の中には、恐るべき悪魔の顔が潜んでいた。サンドラの幸福を盾に、ジェルミに肉体関係を迫ったのだ。苦痛と苦悩に満ちた地獄の日々が始まった。愛と憎悪、喜びと悲しみ…綾なす複雑な人間の感情を、萩尾望都が熟練のペンで描き切った壮大なるヒューマン・ドラマ、開幕。

解説/明石隼汰

作品情報

作品名
残酷な神が支配する(1)
著者
萩尾望都 
作画
萩尾望都 
媒体
漫画(コミック)
出版社
小学館
レーベル
小学館文庫【非BL】
シリーズ
残酷な神が支配する
発売日
ISBN
9784091916112
4.6

(37)

(32)

萌々

(1)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
8
得点
170
評価数
37
平均
4.6 / 5
神率
86.5%

レビュー投稿数8

近親ものJUNEの名作

借りて読んだのですが、すごく引き込まれて、ページを繰る手が止まらなかったです。
最初の方はひたすら痛い・・・それもあって救いを求めて読み進めました。萌え、ではないのにすごく面白かった(どろどろすぎて"きゅん"が最初はない・・・)。一気読みできてすごく精神を消耗したと同時に変な高揚感を感じました。
これだけ長くて重い話を飽きさせずに重厚に美しくまとめたのは本当にすごいな、と。萩尾望都先生の描かれた話の中で一番心に残りました。
絵は古いけど少年らしい骨格・髪や背景なんかも丁寧でとても綺麗だと思います。
個人的には風と木の詩に匹敵する名作JUNEだと思うのですが何故か一つもレビューがないので拙い文ですが投稿させて頂きました(T-T)読んでみてください

12

地獄への扉

重く、苦しい話です。
救いなのは、いちばん初めに肝心なところからスタートするということ。そこを知っているから、ひとまずは読み進められます。
なんで!?とは思えないのが萩尾先生の力です、どの心理もよく分かるし理解できるしそうしてだからこそ深みにはまるというか。なにより主人公ジェルミの年齢もまだ、まだ15なんです。だから、当たり前なのかもしれない。
萌えはどこにもありません。萩尾先生の作品群のなかで、ひとつだけ毛色の違う世界です。文庫版全10巻もあるので(ひとつひとつに濃密なほど情報が詰め込まれています)読みごたえは十分あります。
ただ、しばらく引きずります。年に一度のペースくらいで「読もう!」と思い通して読むとその後数日はもや、もやと考えてしまいます。でもまたそのモヤを忘れて読みたくなる…。
心が千切れそうになるほど苦しくなりますが、私は大好きです。

10

一番残酷で一番綺麗。

この作品は、15歳という多感な時期の少年が、父親(血は繋がっていない)からうける性的暴力によって心とカラダがバラバラになって……

というような始まりです。

薄い硝子窓の向こう側を見ているような、クリアでありながら霧の中を彷徨う世界観は、萩尾望都さんの独特なものであり、どんどんと引き込まれてしまいます。

SEXという行為は、一見愛情からくるもののように思われますが、実はその中に含まれる暴力性がどれだけのものかというのを、少年という立場を通して感じさせられます。

名作BLといえばこれ!
でも、BL好きな人万人にオススメできる作品でも無いのかな⁇と思います。

それでも、誰かに読んで欲しいと思うのは
この作品に含まれるテーマがそれだけ重くも希望を与えてくれるからだと思います。


P.S.キャラ萌えだけでも3時間は語れる作品でもあります

8

ギリギリ突き刺さる精神的呪縛

お恥ずかしながら萩尾望都先生、初読みでした。
こちら、BLというより完全にJUNE枠ですね。
一巻だけでも、序盤だけでも胸がギリギリします。
やはり萩尾先生は天才なのだなと、少し触れただけでも感じさせる作品です。

15歳のジェルミが義父(グレッグ)と実母(サンドラ)を自動車事故で亡くすところからお話はスタートし、なぜ彼がそれを望んだかという過去へと戻ります。
この義父のグレッグがジェルミに執着し、彼を手に入れるためには非道にもなれるという人間だったのが彼の不幸の始まりでした。
しかも表向きはひじょうに優しく良い男に見えるところがタチが悪い。
特に序盤。
母たちが婚約した後にグレッグから性的関係を持ちかけられジェルミがそれを拒否すると、母が捨てられあげくに彼女は自殺未遂。
グレッグへ戻って欲しいとジェルミが懇願すると、今度は一度でいいから抱きたいと言われてしまう。
ただこれが一度で済むわけもなく、『母親のため。拒否すれば母が死ぬ、殴られる』という子供にとって重い現実を背負わされ呪縛に囚われてしまうジェルミが本当に不幸で…

衝撃的だったのは、最初の行為後の鼻血なのかな…枕の血跡。
事後にそのことはまったく触れられないのですが、行為の際に暴力的なのだろうかと想像させられ怖くなりました。
こういうちょっとしたところがひじょうに気持ちを重くさせる効果があり、先を読むのが辛い、でも読みたいという葛藤が。

一巻での救いは、グレッグの長男イアンだけでした。
素敵だった…
この後も素敵なのかが無性に気になります。
ラスト幸せになれるのかも。
イアンが活躍するなら先も買いたいけれど…

6

精神状態が落ちてる時はオススメできない傑作

レビューを書こうと思うだけで心臓がバクバクしてしまうような作品。

「JUNE系」と仰る方も多いようですが、個人的にはまたちょっと違うんだよなぁと思うのは、リアルタイムで雑誌連載から読んでいたせいでしょうか? BLとか耽美とか…そういったことではなく基本は「萩尾望都先生の親子のストーリー」なんですよね。萩尾先生は親子関係を描かせたら容赦ないから…。

心の奥深いところを鋭利な刃物で突き刺してくるような。そしてその刃物には鎖がついていて、刺した挙句にギリギリと締め上げてくるような作品です。
特に1巻あたりと言うと、連載が始まった時の衝撃、次号までの待ちきれないけど怖い感じなどがハッキリと思い出されます。掲載誌が隔月だったんですよね。けっこうツラカッた。

しかし、そんなにつらいのに読まずにはいられない作品でもあるのです。そして傑作なのです。はぁ…また最初から読み返しましょう。

5

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