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表題作残酷な神が支配する(3)

グレッグ・ローランド/ジェルミの義父
ジェルミ・ローランド/母親思いの少年

あらすじ

義父グレッグの常軌を逸した行為にさいなまれ、ジェルミは追いつめられていた。誰にも自分の苦悩を打ち明けられない。抑圧された精神は極限状態に陥り、日常生活をも侵食し始める。やがてグレッグへの憎しみは、殺意へと変貌していく。たまりかねたジェルミは、精神科医・オーソンに救いを求める。悩んだ心の回復には真の愛情が必要だと諭されたジェルミは、口のきけない少女・バレンタインやオルガニストのナディアの優しさにひとときの安らぎを見出した。新たな局面を迎える大型サイコ・サスペンス!

解説/高山 宏

作品情報

作品名
残酷な神が支配する(3)
著者
萩尾望都 
作画
萩尾望都 
媒体
漫画(コミック)
出版社
小学館
レーベル
小学館文庫【非BL】
シリーズ
残酷な神が支配する
発売日
ISBN
9784091916136
5

(8)

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萌々

(0)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
40
評価数
8
平均
5 / 5
神率
100%

レビュー投稿数1

底のない絶望

 ジェルミに人に相談する選択肢がやっと出てきて、ほんの僅かですがほっとしました。といっても彼自身の素性をまったく知らない第三者ですから、直接的に解決できることはほとんどないのだけれど。それでも、オーソン先生との対話は、少なからず彼の心を整理したでしょう。先生と共に過ごせた時間はあっという間でしたが、同じ絶望を知っているらしいバレンタインや、美しいオルガンの音を聴かせてくれるナディアとも知り合い、一瞬であっても彼らの温かさに包まれ穏やかな表情になるジェルミを見ると、泣けてきます。

 そして、物語はいよいよ本格的な復讐へと向かっていくようですね。1巻冒頭のシーンを思い出すと、やはり悲劇が待っているのでしょうか…。これだけのことをされたジェルミに、その相手を殺すななんて私にはとても言えませんが、それでも、相手がどんなに悪人であっても、誰かを殺そうとする人間には大きなリスクが伴う、これはどうにもしがたい残酷な現実なのでしょう。優しいバレンタインの気持ちまで蹂み躙ったグレッグには、生きたまま業火に焼かれてもまだ全然足りないくらいだと私も思いますが、ジェルミはまたも自らを追い詰めてしまうのでしょうか。彼の絶望はどこまで深くなれば済むのだろうかと、胸が張り裂けそうな想いです。

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