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巡る運命の輪を、少年は自ら回すことができるのか・・・・・・。
むむむ。
一読しての印象は、「変わった話だわあ…」
一言で言うと、テニスと男娼。
相容れない要素だよなあ。
筆力が凄いからグイグイ読んじゃいますが、スポーツとしての真剣勝負のメンタリティの部分と、男娼として仕込まれてる出自の部分の乖離が激しくて、深く考えるとクエスチョンマークが飛びます。
プロスポーツ界のスポンサー問題って確かに重要で、カネを出してくれる存在に対して膝を折るのはあるあるなんでしょう。
BLになるとその「スポンサー」が「個人」で、対価は性交渉。それはわかるとして、このエイキの場合は新進テニスプレイヤーである「前に」男娼である、というのが凄い設定です。
小さな子供の頃から性技を仕込まれたセックスドールのエイキが、ある日TVでNO.1プレイヤーのワーグナーの試合を見てテニスにのめり込む。
男娼として生きていてもコートの中では、と思っていたエイキに対して、高潔なワーグナーはエイキを汚らわしいモノのように忌み嫌う。
泣きながらワーグナーに向かっていくエイキが痛々しく、非常に劇的。
上巻終盤に遂にワーグナーが……!
下巻に続く!
五百香さん初読みでしたが文章力に感心しました。そして痛いほどの愛に震えました。
心に突き刺さるひとつひとつの台詞、会話に表される人間同士の真のぶつかり合い。あまあま定型BLとは明らかに一線を画す本格派です。
不幸な境遇から男娼として徹底的に仕込まれた瑛輝(エイキ、読みづらい。。)。そこから逃れることのできない身であっても、快楽に抵抗しつづけるプライドの高い少年、それゆえに高級男娼となり主人の寵愛を受けています。
あるときテニス界の帝王ワーグナーのプレーを見て、一瞬で見せられた瑛輝は、テニスを習い始めます。男娼ながらも、主人である裏世界のボスの寵愛を受けていたことから、テニスを習うことを許されるのです。
しかしその身はあくまでも恐怖で縛られる男娼。テニス、そしてワーグナーへの憧れが執着であると自覚しはじめた途端、主人の下へ呼び戻されます。待っているのは恐ろしいお仕置き。それは死なのか。
背水の陣となった瑛輝は、自覚した気持ちを帝王にぶつける。。
あー、あらすじ素人が書くと陳腐だ~。
とにかく、CPの会話がすごい。言葉が痛い。でも上巻で”ある”カタルシスは得られる。しかし続きが激しく気になる。といったところ。
3章は時間軸が戻って男娼となった生い立ちが書かれるのですが、2章の続きが気になりすぎて、最初は読み飛ばしかけました。読み進むと、あ、そういうことだったのね、と判ります。耐えて読んで下さい!
SHOOWAさんのイラストも素敵です。
下巻より上巻が好き。
本格テニスBLだと思う。
いや、テニスBLというよりはテニスを手に入れるべくして手に入れた少年男娼の生き様とでもいうのか。
五百香さんはテニスの世界が好きなのだろうか、よく考えられていると思う。
読んでいてこの上巻で、受けの瑛輝の憧れの人・ワーグナーの描写が出てくるたびに、五百香さんは下巻のあとがきでフェ○ラーを参考にしたとあったが、私はサン○ラスに思えて仕方がなかった。
パワフルで圧倒的なサービス、対戦相手も観客さえも予想がつかないショットの散らし方に、追い詰められようともボールはライン上にキッチリもの凄いスピードで落ちていき、サービスも良ければストロークも最高と正に帝王だった。
そのサン○ラスがワーグナーの描写ににものすごいハマるのだ。
因みに瑛輝はストロークプレイヤーで、参考選手はヒュー○ットだそう。
つまりは走って拾ってじっくり勝機を狙うというといえばいいのか。
フットワークがモノを言う戦い方だ。
SHOOWAさんの挿絵も物凄くいい。
SHOOWAさんの絵の荒さが読み始める前まで心配だったが、読んでみて瑛輝の生意気な表情、悔しそうな目、そこから溢れ出る綺麗な涙、ワーグナーの帝王然とした後姿まで実によく描かれていた。
下手にこなれた綺麗な絵より、この重厚感のある作品にはこれくらいの味が必要だと思う。でないとストーリーに食われてしまう。
瑛輝の不安定な内面、辛い過去、どうして男娼をするのか、といった理由がとても胸を打つ。話の中にこれが瑛輝だという文章があった。
優秀なコーチは金持ちに飼われている。
愛してくれる男がいなければ貪婪な肉体が駄目になる。
テニスをしなければ精神が壊れる。
テニスをしている時は自由を手に出来る。
テニスコートに立つ間は瑛輝の時間であり男娼ではないのだ。
また瑛輝のワーグナーに対しての我武者羅な気持ちにも胸を打たれる。
恋をするのはルール違反。
ワーグナーに気持ちが傾いていると知られてしまったら、お仕置きが待っている。
自分は何者なのか自覚させるために。
それでも瑛輝はワーグナーに傾き続ける気持ちを止められない。
幼少期より性愛しかしらない子供が、大きくなりテニスを手に入れて人生を歩んでいく。
それだけのこと、それだけのことなのに何故にこんなに重いのか。
ページをめくる手を止められない、瑛輝の生き様を見届けたくて止められない。
SHOOWAさんのイラストが購入のきっかけです。(色気があって好きなんです。)
でも、すぐストーリーに夢中になりました。
上下巻なのに下巻を買わなかったことにすぐに後悔して
上巻を読み終えるまでに下巻を買いに走りました。
発売当時だったら、1ヶ月待つのは辛かったかも。
印象的なタイトルですね、このタイトルに先ず魅かれました。
上下巻読んでからの感想なんですが、これは読むなら上下巻揃えてから挑んだ方が流れがとぎれる事無く楽しめるんじゃないでしょうか。
その位に上巻の勢いというか読み手を魅き込んで行く力が強い。
テニス界で帝王と呼ばれるワーグナー[攻]は敬虔なクリスチャンで贅沢に溺れる事もなく実直で、地味だけれど聡明な妻を持つスポーツマンとしては理想的なチャンピオンで、その思考や行動は分かりにくくはない、実に真っ当な思考の持ち主。
対して、瑛輝[受]は10歳にして父親の借金で香港の組織に男娼になるべくして仕込まれ生きてきた青年で、この彼が実につかみ所のない性格。
ワーグナーを憎んでいるのか、憧れているのか、憎んでいるのか、妙に冷めていて全てを達観しているかと思えば子供の様にヒステリックになったりと不安定な人格。
そして不安定だからこそ目が離せない、読み手も、そしてワーグナーも。
ワーグナーに、ある意味自分勝手な感情をぶつける瑛輝。
上巻、一気に読ませます。
おそらく下巻にも手を伸ばしたくなる事うけあいなので、最初に上下巻揃えてからとオススメした次第であります。