イラスト入り
身体から知る、真実の愛―――
昭和のアイドル歌謡にありそうなかろやかなタイトル。TLと見紛うスウィートな表紙。たぶん普段のわたしならチラ見して、敬遠してた類のつくり。なぜこのとき手に取ったのかはまるで覚えてないんですが、アタリだったんですねこれが。食わず嫌いはするもんじゃありませんね。
2話あってそれぞれ甥っこ同士、おじ同士の親族2カップルが主人公。でも主に受けの性格がまるで異なるので、物語の展開もかなり違ってきます。先達レビュアーの皆様の好みも2派に綺麗に分かれているようですね。
わたしの好みは断然おじさんのキラルの方。甥っ子リュリはひたすらいとけなくて、良くも悪くもそれがもう全てって感じのコでしたが、キラルはもっと気丈で、負けず嫌い。男ばかりの級友たちの中にあって、取っ組み合いだって学問だって意地でも負けない。だけどルルフォイという特殊な一族に生まれたがゆえに自分には洋々たる未来はひらけない。その美貌に憧れ、慕い寄ってくる男たちに妻として望まれる運命が待っているだけ。しかも自分の身体はほかのルルフォイとは違って最初から男だ。そんな自分が運命の相手とくちづけて、本当に変われるのか?
葛藤を抱えたまま、18になってキラルが伴侶に選んだのは同級生で親友のガデス。周囲の男たちの中でただ一人、キラル相手に手加減せずに剣を交えてくれた人。彼は言うのです。「形だけでいいから」。自分は比較的自由の利く身だから、奥方になってもお前は好きにしてていいと。このガデスがねえ、実にいいオトコなんだ。
とかくBLの攻めといえば、ガツガツしててなんぼ、愛と情熱があれば、それこそレイプも許される、むしろ手を出さない方が非難されるようなポジション。そんな中ガデスはひたすら「待て」を貫きます。結婚式の日に、花嫁姿のキラルのあまりの美しさに思わずくちづけをしてしまいそうになり、手ひどく拒まれて、以来100日。しびれを切らしたキラルが自ら寝込みを襲いに来るまで、自分からは動きません。作者からも散々ヘタレ呼ばわりされて気の毒なくらいなんですが、わたしはひととし取ったせいかこういう攻めも好き。相手の迷いや恐れやためらいをちゃんとわかってて、機が熟すのを黙って待ってやれる懐の深さがいい。
くちづけはかわしたものの、なおも「自分はきっと女にはなれない」と悩むキラルにガデスは言う。「そんなことどうだっていい、おまえがキラルで、俺を選んでくれたら」―ガデスと一緒なら、どんな変化も前向きに受け入れることができる。自らの複雑な性ゆえの葛藤から、キラルが本当に解放された瞬間でした。
ようやく「おゆるし」が出てからの2人のハネムーンは、堰を切ったようにエロがあふれてます。その性格からいって今後の生活もキラルがガデスを尻に敷く形で進むのでしょうが、ベッドの上では別。何せキラルの好みは「強い男」だそうですから。
「くちづけで世界は変わる」というのは比喩だと思っていたんですが、本当に世界……というか、自分が変わってしまう種族のお話でした。
世界が一度滅びてから後のお話で、主人公の「リュイ」は生まれた時には性別を持たず、18歳を過ぎてから、くちづけをした相手が運命の相手ならば、姿形が変わってしまうという「ルルフォイ」という一族の末裔。
けれど、帝国人に手厚く保護され、帝国人と混血を繰り返すうちに、そのルルフォイとしての特性は徐々に変化し、リュイには生まれたときから「男性」を示すシンボルがあった。
そんなリュイは己を恥じて、親友であるカイルの後ろに隠れるようにして日々を送っていた。
そんなカイルがリュイに突然求婚してきて、カイルのことを「親友」だと思っていたリュイは大パニック。
「カイルなんて大嫌い!」と言って、カイルを振り切ってしまう。
けれど、貴族同士の結婚で後に引くわけにも行かずに、結婚式は強行されてしまうが、すっかり様子の変わってしまったカイルに戸惑うリュイだが、結婚式の夜にカイルに口付けられると、翌日になると、ルルフォイの本来の姿だという紫の瞳に銀の髪のルルフォイ本来の姿に変わってしまう。
変わってしまったということはカイルが運命の相手だったということだが……リュイの気持ちは置いてきぼりで……という話でした。
結局のところ、リュイはカイルのことが好きなんですが、その気持ちをなかなか自覚できなくて、紆余曲折する話です。
結局、キュンキュンラブなので、そういうのがお好きな方にはオススメします。
また、もう一作、リュイのおば? おじ? に当たる「キラル」の話が入っていますが、こちらはケンカップルなので、それもそれで萌えると思います。
この作品は、ある意味『BLじゃない』とまで行かなくても、『BLじゃなくてもいいんじゃないか』と思わなくもないんですが、これはこれでよかったです。私は大好き。
ただ、『こういう傾向の作品が読みたい』って言うより、私にとっては異色だからよかったんだと思います。
ファンタジーですね。作家さんは『おとぎ話』と言われてますが、ホントに設定もキャラクターも浮世離れしてましたね。
さて、内容ですが。叔父と甥2組がいて、1組は将軍と公爵家の跡取り、もう1組はちょっと(かなり?)特殊な一族。この一族の設定が(他の方が詳しく書いてくださってますが)突飛の極みなんですけど、それがストーリーに無理なく組み込まれてて、意外とすんなり読めました。
同タイトルで(タイトルがすべてを象徴してます)、最初が甥同士CP、次に叔父同士CPと2編入ってます。
1編目も決して悪くないですし、まあそれなりに好きです。2人とも18歳と若いこともあって、カイル(攻)は余裕無さすぎだし、リュリ(受)は幼いと言ってもいいくらい可愛くて、もうすべてに翻弄されっぱなし。でも、このCPのストーリーだけだったとしたら、『なんとも可愛い作品だな~。まさしくファンタジー、ふわふわドリーミーって感じ?』で、好きは好きだけどまあちょっと変わったの読んだな、程度だったかもしれません。
でも、2編目がよかったんです。キラル(受)がこれぞツンデレって感じでした。ガデス(攻)もよかったですけどね。
しかし、叔父CPは甥CPより7歳年上とはいえ、2編目の回想では甥CPと同じ年・同じシチュエーション(学校では親友で、卒業後攻が貴族の子弟恒例の、2年間の船での海外視察に参加し、帰ってすぐ結婚式)だったのに、印象があまりにも違いましたね。
ガデスとカイルはもともとのタイプはかけ離れてはいないんですが、ガデスの方がずっと『大人(カイルと比べたらね)』なんです。キラルとリュリはもうことごとく違いますが。
ただ、私はガデスはさほど『ヘタレ』だとは思わなかったな(あとがきで作家さんが『ツンデレとヘタレ』って言われてたので)。『ヘタレ』大好きな私ですが、『ヘタレ・・・かなあ?』って感じでした。
あ、だからってガデスがまったく『ヘタレてない』と思ってるわけじゃなくて、ただその度合いがそれほどでもないかな、ってだけです。
それと、確かにメインCPの違う2編なんですが、作品として独立した別物ってわけじゃなくて、設定も共通だしお互いがもう1組のストーリーにも普通に絡んで来ます。視点というかスポットの当て方が変わるだけで。
ラブは、多少のすれ違いはあるものの、基本あまあま。まあ、1冊に2編だから、ちょっと駆け足っぽかったのは仕方ないのかな。できれば、ガデス×キラルがもっとじっくり読みたかったですね。気持ちのすれ違いや葛藤の部分なんかが、どうしても尺足らずで説明的に流されちゃった気がするのが惜しかったです。
しかし、今作はとにかくイラストのみなみさんが素晴らしかった。みなみさん、絵柄はとても綺麗で可愛くて好きなんですが、個性が強すぎて逆に(私は)小説の挿絵としてはあまり歓迎しないタイプの方なんですよ。でもこの作品には他のイラストは考えられない!まさしく神楽さんとみなみさんお2人の作品と言ってもいいくらい完璧に融合してました。
そして、これは今まで読んだ神楽さんの作品にだいたい共通してるんですが、設定やキャラクター、ストーリー展開がどんなに特異でも、根底に流れるものはすごく『普通(オーソドックス)』なんですね(褒め言葉として使ってます)。それでも『陳腐』だとは思わない。『予定調和』っていうのかな?読んでて安心できるんですよ。
ある意味、着地点が決まって(わかって)るのに、それでも読み手の意識を逸らせないのは、神楽さんの『上手さ』なんでしょうか。
私、以前から神楽さんのお名前は知ってたんですが、なぜか読んだこともないのに(目についたタイトルや表紙のイメージでかなあ?ファンタジーが多いらしいっていうのもあったのかもしれません)、もっとエキセントリックな作風の方だと思い込んでたんです。まさかこんな『可愛い』作品を書かれる方だったなんて!
今作はホントに特別『可愛い』ですが、他も素直で可愛い印象の作品が多いと思います。設定や展開はさまざまですが、恋愛模様が。なんとも『純愛』なんですよね。
お金に余裕があり、絵が可愛すぎる事で速レジに行ったのを覚えています(笑)
普段は、あらすじを読む→悩む→別のも見てみる→悩む→決定→レジ なんですけどね♪
数日前に本棚から掘り出して読んでみると、ビックリするほどスラスラ読めました!!!
2カップル登場するのですが、(受)の方達はルルフォイという一族!?で特殊な身体なのですが、なぜか全然非現実感を感じさせないのです。
気持ちの問題なのでしょうか………。
表紙の絵もですが、リュリ君はホントに綺麗です。
みなみ遥先生ファンの方は必ず買わないと後悔します。
表紙の通り、みなみ遥先生のイラストが作品の雰囲気をよくよく伝えていると思います。もうひとつのCPも、男前攻め×美人受けで、素敵でしたvvv
受けがとっても可愛い子ちゃんな感じは、みなみ遥先生の漫画に通じるものがあるので、みなみ遥先生の漫画がお好きな方は、みなみ遥先生のマンガが小説になったような気分で、楽しめるのではないでしょうか?
ただ、ストーリーの萌えは今一つな作品でした。。。
もうちょっと、ふたりの気持ちに戸惑いがあったりすればいいのにという思いがありますが、こちらもみなみ遥先生のマンガのように、あれよあれよという感じでラブラブしちゃっております。汗
ホントに、みなみ遥先生の漫画がお好きな方にとっては、読みやすい作品だと思いますが、作品を純粋に楽しみたくて購入される方には、どうなんでしょうか?
それにしても、表紙のイラスト。
もはやBLという雰囲気ゼロなくらい、受けの子が可愛すぎる。笑
胸があまりない女の子って感じで、BLですが間違って普通のラノベと思い購入される方がいないといいのですが。笑