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かつての同僚刑事だった統一郎と雪人。
2年前、統一郎は警察を辞め、今では一人で探偵事務所をやっていて、
雪人はそのまま警察に残っている。
ある雨の日、統一郎の事務所で彼の帰りを待っていた依頼人は、制服を着た中学生で、、。
ストーリーが進む中で、少しずつ明かされる二人の間の過去の出来事。
このお話の二人は、恋人同士でもないし、目眩く肉欲の世界が展開する事なんて尚更無いし、BLとしては絶対的にエロが足りてない。
でも、彼らがいくら名付けるのを拒んでも、二人の間にあるのはきっと恋愛感情で、
それがほんの少し、時たま見え隠れする。
この展開、ゾクゾクする。
エチシーンなんか無くったって(全く何もないわけではないが、ほとんど無しも同然)充分満足。
これは、萌がどうとかいうより、もう「神」で。
旧版にレビューしてるんですが、新装版も手に入れて読んでしまいました。
思えばこの作品は、私がBL魔境におそるおそる足を踏み入れた初心者時代に読んだ一冊で、どっぷりハマってしまう原因となった作品の一つでした。
このなかで語られる愛のカタチにゾクゾクし、自分が紛れもなく腐ってることを自覚させられました。
それだけに思い入れが強いんですが、思い入れの強さを差し引いてても素晴らしい作品だなと思えます。
その後いろんな作品に触れましたが、ハマった初期に出会ったものがことごとく当たり作品だったことを知りました。でなきゃハマることはなかったわけで、そう考えると良かったのか悪かったのかは分かりませんが(笑)
この作品の魅力は、ずばりストイックさです。
愛だの恋だのでぐるぐるしてない二人です。
ひたすら事件をおってるなかで、ちらりちらりと過去が明らかになっていく。
おだやかに冗談を言い合ったり軽い口喧嘩をしたりしてる大人の男二人がいま、けして語らない過去の一幕。
これ構成がめちゃくちゃ上手いんですよね。
最初は現在の二人がおだやかな友情を育んでいる様子をさんざん見せつけられるんですよ。ただ、読者が違和感を感じるような描写もあったりする。
そのあと過去の一幕をどーんと見せられる。だから強烈なんですよ。
二人が心のなかにどんな感情をしまいこんで接してたのか、それまでさらっと読み流してたワンシーンワンシーンについて、思わずあれこれ想像を巡らせてしまう。
たぶんお互いに一瞬たりともあの一幕のことを忘れていないのだろう。でも、こんなに普通に接してて。それまで読んだページをさかのぼって思い返し、そのストイックさに激しく萌える。
完璧です。
素晴らしいです。
旧版との違いですが、新装版は書き下ろしショートが一つ加わってます。
短いし、主役ふたりとも刑事だったころの過去のエピソードなので色気があるわけでもなく、この作品に思い入れの強い方以外には強くオススメはできないかもと思います。
でも未読の方には強く強くオススメいたします。
『世界の果てで待っていて~嘘とナイフ~』に続きます。
今自分の中で最も続きが気になるシリーズです。
茶屋町先生の絵も好きなので、
2巻と一緒に新装版揃えました。
この作品でも高遠先生の文章・表現力が
際立っています。
統一郎(攻)と雪人(受)が
ある双子の片割れの失踪事件を解決していくお話ですが、
その合間合間に雪人の回想っぽいものが入っています。
先を読んで行くうちに事件は解決へと向かっていきますが、
統一郎の悲しい過去と、二人の間でなにが起こったのかも
ハッキリしていきます。
その間の二人の心理描写がこれまた素晴らしい!
この距離感がたまらない!
それぞれの視点で相手のことを結構書いてありますが、
好きだとかそんな愛情を感じる言葉じゃ全然ないんです。
甘~い雰囲気とか全然ないんです。
なのに高遠先生の文章で相手のことをどんな風に想っているか、
どれほど信頼しているかが想像&妄想できるのです。
何が言いたいのか自分でも判りにくいですが
とにかくイイってことですよね!
雪人が、統一郎がやたらと女にモテることを
意識しているのが可愛いです。
高遠先生は文章力はいわずもがな、タイトルセンスが非常に洗練されていると思います。私が好きなタイトルはプルーストの「失われた時を求めて」なのですが、このタイトルも同じくらい好きです。
「世界の果てで待っていて」。簡潔であり様々なイメージを想起させる、一行の詩のようなタイトルではないでしょうか。
この作品の主人公は黒澤統一郎、元刑事で今は探偵。渋谷区神泉に探偵事務所を構えています。
櫂谷雪人は元同僚、今も渋谷警察署の刑事。
黒澤の事務所に葉室奏という少年が双子の兄、律を探して欲しいと依頼するところから物語は動き出します。
双子の少年を巡る今と、二年前の事件と、過去と現在が絶妙に入り混じる物語です。
黒澤というのは男性的で女性にもてる男、文章からフェロモンみたいな匂いが嗅ぎ取れそうないい男。櫂谷は「男前系美人」で、二人は刑事としてうまくやっていたのですが、二年前に黒澤の妹の澪子ちゃんが何者かに殺されてしまってから一変します。
妹の事件後に黒澤は警察を辞め、探偵になるのです。飄々として底知れない闇を抱えていそうな黒澤と、素っ気ない感じがしても実は情が深い櫂谷。
二人の心は互いにあっても関係を結んだのはたった一度。澪子ちゃんの死で黒澤が自分を失くしかけた夜。ここが!今読み返しても本当に素晴らしいです。身体くらいなら、くれてやる!と雪人は文字通り体を張って崩壊寸前黒澤の心を現実に繋ぎ止めます。
なのに翌朝、笑顔でなかったことにした黒澤。私のへっぽこ文では伝わりませんが、何とも大人な雰囲気にクラクラきました。
現在パートの双子の少年の雰囲気もすごく良かったです。一本の映画を観たような読後感があり、すぐに続きを読みたくなること受け合いです。
私はとにかく、黒澤と櫂谷が大好きで、もしblアワードに二人がノミネートされてたら絶対投票するんですけどね。
虚無仮説のような小説が読みたいと思っていて、偶然、むしろドラマCDのキャストさん目当てでCD聴いてみようと思って、原作も読んでみようと思って読んだら、すごく良かった。
もう何年も前の本だけれども。
2冊め出された後続刊はされてないようだけれども。
まだ続くんですよね?
ぜひ続きを書いて欲しい。
ネクタイ外してくれっていうシーンがとてもエロく感じた(*´Д`)