三千六百五十日の抱擁

3650nichi no houyou

三千六百五十日の抱擁
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神7
  • 萌×24
  • 萌2
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

231

レビュー数
8
得点
58
評価数
14
平均
4.2 / 5
神率
50%
著者
高遠琉加 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
一夜人見 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778133559

あらすじ

整った容姿でモデルでもある逢沢は、過去に誘拐されたトラウマで過呼吸に陥ったところを剣道部で堅物な樫本の“大丈夫だ"という声に救われ想いを寄せるようになる。誘拐があった東京へ転校する逢沢のために「俺も安心するから」と毎日電話で互いの声を聴く約束をした樫本。その優しさを裏切らないため、逢沢は気持ちを隠すと決意する。大学生になり樫本が上京し、逢沢が俳優として忙しくしていたある時、樫本に彼女ができて…。

表題作三千六百五十日の抱擁

樫本博臣,剣道部に所属する高校1年生、16歳→総務省勤務のエリート,26歳
逢沢春翔,モデルで高校1年生,16歳→芸能人,26歳

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数8

恋心を描かせたらピカイチ

書影が上がってきた時からどんなお話なんだろう〜と楽しみにしていました。全くファンタジー要素のない、同級生もの。しかも高校時代から10年間、二人の愛のメモリーを追っていくスタイルなんですよね。

主人公たちが恋を自覚していく段階を、それぞれの視点に寄り添いながら切々と描かれるこんなお話は、作家様にしか書けないんじゃないかな…と思ってしまった今作。メインカプのどちらかが芸能関係者なんですけど、身近だった存在が有名になって遠い存在になっていってしまう切なさや、今ある距離感を失いたくないからこそ気持ちを伝えられない苦しさは本気の恋ならではだなぁ、と何度でも実感させてくれる、大好物なんだけど多分難易度高めの設定でした。

種から芽が出て花が咲く。それは、逢沢にとって明暗両方の意味で作者様から付与された人生のテーマでした。幼い頃にトラウマという種を植えつけられたけれど、やがて思春期には恋という種も獲る。逢沢は終盤危険な目に遭いますが、自分が思いを託した相手に助けてもらえるので大丈夫!

意外とダークな要素有りのお話だけれど、そういう部分を物語上の辻褄合わせやキャラ演出に使うのではなくて、物事を多方面から見られる曖昧さや両義性をしっかりと成立させる要となっています。そこが作者様の作風でめちゃくちゃ好きな部分であり、次もぜひ読みたいと惚れ込んでいるところ。作中、先輩俳優の潤さんが語る熱き演技論は、小説の作者と読み手の関係性にも当てはまるんだな〜と、グッとくるものがありました。

自称朴念仁な樫本も安心感のある不器用なタイプでした。すごくすごーく、オーソドックスな展開でツボを押されつつ、どうなるんだろう?えっ?大丈夫?なんとかしてぇ!!はぁ〜良かった…みたいなエモーショナル・ジャーニーを辿った後の、爽やかだけどちょっと苦味の残る味わい。クセになる高遠ブランドです。

1

窓月

レビュー本文に追記するのは躊躇われたのでこちらに。作家様がTwitterで、旅先で出会った人の声を録音して持ち歩くアジア映画についてツイートされていたのですが、王家衛の「ブエノスアイレス」?って思ったけれど使い方が微妙に違うかな〜と。どなたかご存知でしたら教えてください!

誰とも違う存在に気付くまで

今回は高校の同級生である国家公務員と
モデルから俳優へと転身した芸能人のお話です。 

友情で始まった関係が10年の時を経て恋として実るまで。

攻様は代々続く酒屋の長男です。
頑固な祖父が師範をしていた道場にも通わされ
剣道とともに礼儀や精神面もみっちり鍛えられた故に
かなり堅い性格に育ちます。

入学した高校でも剣道の実力は群を抜いていましたが
主将に他人と関わろうとしない攻様の気質は
団体戦にも影響すると懸念される程です。

そんな時にクラスメイトから
「剣道部の見学をしたい」と声を掛けられます。
この同級生が今回の受様になります♪

受様は入学当時から
モデルとして活躍するイケメン新入生として
かなり騒がれていましたが

攻様には単なるクラスメイトという認識しかなく
彼が自分を認識していた事が意外ですらありました。

結局受様は剣道部には入りませんでしたが
その日をきっかけに攻様と親しくなります。

そして臨海学校で受様の抱えるトラウマを知り
「強くなりたい」という受様に
個人的に剣道を教えるほどになるのですが

新学期を前に父親の転勤と共に離婚が決まり
受様は父親につい手東京へと引っ越すと告げられます。

受様は引越しによって友情が途切れることを
覚悟していたようで今にも泣きだしそうで
攻様はそんな受様を放っておくことができず
ある提案をすることとなります。

1日1回、俺に電話しろ

そしてその約束は2人が再会するまで続く事となります。

果たしてこんな2人に待ち受けているのは
どんな未来なのでしょうか!?

稼業の手伝いと剣道の習い性で堅い性格の攻様と
児童劇団からモデルとして活躍し始めた受様の
恋物語になります♪

タイトルの「3650日」の意味深さと
人見先生の美麗なカバーイラストに惹かれて
手にした1冊になります♪

出会った高校時代、大学時代、
そして就職して社会人になってとからと
その時々での基盤が変わっていく中でも
2人の友情は変わらずに続いていき、

同級生の長い両片思いのお話としては
攻様の自覚の無さによるすれ違い展開としては
わりと王道路線な展開と思わされますが
丁寧な伏線が非常に活きたお話でした♪

最初は攻視点から始まりますが
受視点も挟まって進んでいくため
読者にはそれぞれの心情が丸わかりです。

攻様は他人に興味がないと言いつつも
受様のためならわりと何でもしちゃうのですが
受様ほどに親しい人がいないので
受様が特別だという自覚がなかなかできません。

対する受様は早くに攻様への恋を自覚しているのですが
攻様がモテるのは当然と思っているし
知られて友人でもいられなくなるのが怖さを抱え
細い1本の糸に縋るような受様がとっても切ないです。

どうやったら2人の関係が変わるのかと思っていたら
受様のトラウマの根源がうまく絡まっていき、
こうきたか!? とハラハラMAX!!

2人がお互いの手を取るまで
とても楽しく読ませて頂きました (^-^)v

読了するとさらにタイトルの意味深さに
ジーンとされられる素敵なお話でした。

0

声で守る

細い細い糸を必死で繋いで。3650日。
声に守られて。

とっても良いお話でした。
積み本は持ってるけど初めて読む作家さんです。

自分をしっかり持っていて、周りに左右されず、こつこつと頑張り屋で武士のような樫本。
両親の不仲や自分の顔が嫌いで自分に自信がなくて、周りから勝手なイメージでもてはやされ、応えることに必死な逢沢。

逢沢の子供の頃の誘拐事件、今でも恐怖の影を落として。
そんな逢沢を守ってくれる樫本。
離れ離れになっても電話して声をきかせてくれて。
芸能界のことや仕事のこととかわからなくても、逢沢の頑張りをたたえてくれて、励ましてくれて。

声で守る。樫本とどんなに会えなくても電話で声を聞くだけで逢沢は頑張れる。

逢沢は樫本を好きで好きでたまらないけど、絶対に気持ちを知られてはいけない。この関係を続けたいから必死で隠して。

逢沢が頑張ってると樫本も頑張れる。

樫本には逢沢が最初から輝いて見えて。いつもスポットライトに照らされてるように逢沢だけが光っていて。

もう樫本、それ逢沢のこと好きだよね?ただ友達で芸能人で男でってことで自覚が遅れちゃって。

もう逢沢の片想いが切なくて泣けて仕方ありませんでした。しかももういつまでもこのままじゃいられないって。
いつのまにか樫本も気持ちを自覚していつか越える一線があったんでしょうね。電話してこい、寂しい、迷惑じゃないって。

そこへストーカーやマネージャーの独占欲がエスカレートして…。

お互い張り裂けそうな切なさ、フワフワ浮き上がるような幸福感、みんな相手が教えてくれて。
良かったよ〜(泣)

エッチシーンは短かったけど、意外と樫本が具体的に考えていたんだなあと、ウフっとなりました。

片想いと、必死で途切れないように繋ぐ糸と、相手を思う気持ちと、3650日と。
何度も切なさに止まりましたが読めて良かったです。
余韻にフワフワしてます。

0

片思いということ

高遠さんは片思いの切なさを書くのが上手い作家さんのひとりだと思います。
登場人物が本当に想いを口にしないのね。
そしてじっと見ているのですよ、相手を。
得てして彼らはその気持ちを恋だと認識しておらんのです。
だからただ見ているだけ。
で、ある日気づくんです。「恋だ」って。
そして大きく動揺します。
でもやっぱり彼らは佇んで、想い人を見ているだけの様に感じるんですよ。

表面はとても静かで平穏に見えるのです。
でもその内面は違う。
喜びと悲しみが交錯して騒めいているのです。
で、結果として哀しさが残っちゃうみたいな。
心の底の方に諦めがずっと漂っているみたいな。

あ、そうか。
そんな風に感じるのは、彼らに『欲』を感じない所為ですね。
『不憫受け』と一言で言っちゃえばその通りなんですけれど、でも単なる「可哀想」とも違うんだな。
私は彼らをあまり可哀想とは思わないのですよ。
独りで立っていることが当たり前と言っている様にも見えるんです。
その『人生を受け入れている感』みたいなものがジンと来るんですよ。
高遠さんの書く文章がやたら綺麗なものですから、そしてその美しい文章で川や橋や海をえがくものですから、口に出せない恋心が鮮やかに浮き上がる様に感じちゃうんです。

相変わらず事件と言うか、サスペンス部分の緊迫感はすごいと思いました。
でも個人的な好みから言えば、あからさまな大きな事件がないままのお話の方が好みだったかもしれません。
「ずっとしっとりしていたい」って思ったんですね。
でもやっぱ、それじゃあ売れないんだろうなー……

2

3650日

タイトル気になったので購入。タイトル通り時間軸の長いお話でした。攻め受けともめっちゃ好みのタイプというキャラではないですが、とにかく先が気になって一気に読んじゃうタイプのお話でしたので萌にしました。本編280Pほど+あとがき。

祖父が道場を開いていて、みっちりしごかれていたので高校でも剣道部に入部した樫本。ある日モデルをやっているらしいと聞くキレイ系な逢沢が「強くなりたいんだ」と剣道部に見学にやってきます。そこからなんとなく会話するようになって・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
原(受けのマネージャー)、潤(受けと同じ事務所の売れっ子俳優)、ハナコ(受けの予定をよく把握しているファン)、先輩女優さん、事務所社長など。

++攻め受けについて

お互いゲイって最初から自覚あるわけではなく、女性とも付き合うんですけど、たぶんお互いがお互いだけを特別だと感じてる、そんな二人の長い長いお話でした。高校1年16歳ぐらいから始まって26歳まで、引っ越したり大学入ったり、就職したり転勤したり、時間を変え場所を変えて、言葉を交わし続ける二人。思いを長く熟成させていくお話です。沁みるタイプのお話が好きな方はとても嬉しいんじゃないかなあ。

モデル→俳優となっていくキレイな受けを狙う悪党が出てきて、お話としてはドキドキもの。なんとか助けることができてハピエン!なので、最後まで一気に読んでしまう方も多いのではないかと思います。地に足のついている感じがする二人を見守る感じで読んで、最後には安堵感たっぷりだった一冊でした。

4

萌が散りばめられた作品

一夜人見先生のカバーイラストとあらすじに惹かれて購入しました。同レーベルの「初恋に堕ちる」は合わなかったんですが、こちらの作品は性癖に刺さりまくりでした。


あらすじからは分からないのですが、攻の樫本視点と受の逢沢視点で交互にお話が語られるので、2人が恋人になる迄の10年がとても焦ったくてそして萌えるんです。


逢沢が樫本を好きだと気持ちが溢れそうになって我慢した瞬間だとか、樫本が彼女と付き合い出したのに逢沢を思って気持ちが乱れる瞬間だとか、堪らない瞬間が多くて悶えまくりました。


もう、お互いに相手が大事過ぎて関係を壊したくないが故に全然くっ付きそうに無くて、残りページを心配しながら読みました。

なので2人が結ばれるシーンは最後にちょっとしかありません。
でも抱き締めたりとか、同じベッドで寝たりとかギュンと滾るシーンはあちこちに散りばめられています。


両片思いが好きな方には堪らない作品だと思います。でもそれだけじゃ無くサスペンス要素もあって、ぞっと鳥肌ものの展開もあったりして、終盤はページを捲る手が止まらなくてドキドキしっぱなしでした。


個人的に逢沢の事務所の女社長がカッコよかったです。ヒールで一撃を加えて放った一言に痺れまくりました。

6

切ない王道ストーリー

3650日、10年愛のお話です。主人公達の16歳から26歳、友人から恋人へ変わるまでの日々なんですが…切ない!受けが攻めへの特別な思いに気づいた時、「絶対に気持ちを伝えてはいけない。伝えたら今までの関係が終わってしまうから」と自分に言い聞かせる場面、王道の切なさで久しぶりにBL小説を読んでて胸がギュッとなるあの感覚を味わえました。さすが高遠先生。

その後も攻めに彼女ができてしまったり、受けにとっての辛いイベントが待っています。この攻めも堅くてストイックで剣道の達人で私の好きなタイプでした。素敵な表紙を見て「右の人が受けだったらいいのに!」と思っていましたが逆でした。しかし受けがこんなに不安定で色々守ってあげなきゃいけないタイプだとどうしても攻めになってしまいますね。

このように恋愛面は切なさマックスで楽しめましたが、この作品がすごいのはサスペンス部分も面白いところ。受けが幼少時に受けた犯人からの恐ろしい言葉「種をまいておいたから」というのが不気味で尾を引きました。一冊完結なので最後までに伏線は全て回収しています。

やはり高遠さんの作品は面白い。キャラ文庫の方のミステリーも続きを楽しみにお待ちしております。

12

切ない恋心、だけに非ず

作家買い。
高遠さんも好きですが、一夜さんの絵柄がとっても好きなので発売日を心待ちにしていました。タイトルの「三千六百五十日」という文句。10年愛?という意味かなあ、と思いつつ手に取りました。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




酒屋を営む家に生まれた樫本は高校1年生。
祖父が酒屋を営む傍ら師範を務める剣道場で、彼もまた、幼いころから剣道を嗜んできた。まっすぐで、質実剛健、そんな言葉がぴったりの彼は剣道の実力も高く、1年生にして副将を打診されるほどの腕前を持つ。

そしてそんな彼に「剣道部の見学をしたい」と声をかけてきたのがクラスメイトの逢沢だった。スタイルが良くイケメンの彼は高校生ながらモデルをしており、知名度もそこそこある人気モデル。そんな彼が剣道…?と思いつつ、けれどそれをきっかけに彼らは親友と言える距離感を作っていくことになる。

高校を卒業し、大学生と芸能人という立場の違いから物理的にも精神的にも距離ができることに。けれど、二人はお互いの努力によって、親友というポジションを維持していたが―。

視点は途中切り替わりますが、どちらかというと逢沢くん視点が若干多いかな?
親友というポジションを維持しつつ、けれど淡い恋心を樫本くんに抱いていて―。という切ない恋心がベースになっているお話です。

が、そこにスパイスとして加わるのが、逢沢くんが抱えるトラウマ。
なぜモデルをしている彼が、剣道を習いたかったのか―。そこには、逢沢くんが子どものころに経験したとある出来事が起因していて…。

逢沢くん、そして樫本くん。
二人とも良い子で、イケメンで、内面もナイスガイというBLの王道キャラです。
高校生の時の出会い、ずっとずっと秘めて温めてきた相手への切ない恋心。
男同士という葛藤、相手に恋人がいるという事実。
二人の想いに萌えが滾りますが、これだけなら、バッサリ言ってしまうと良くあるお話。が、そこに「逢沢くんの過去」という因子が加わることで王道のそれらと一線を画す奥深い作品になっていました。

高遠さん作品の中で『神様も知らない』が一番好きなのですが、『神様~』ほどではありませんが、そこに若干通じるミステリさが今作品のキモです。

切なくもあり、ミステリ要素も加わり、二人のモダモダと進む恋心あり。非常にバランスのいい作品だったように思います。

12

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