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表題作爪先に光路図

室田,菌類学者 
岩井新,助手のバイトに来た大学生→大学院生

同時収録作品さかなの体温/午前0時の回遊

誠司,高校生→社会人
広隆,高校生→社会人

同時収録作品八月、夏の底/夏来るらし

春彦,大学生
こう,春彦の祖父の家で出会った不思議な少年

その他の収録作品

  • 残灯
  • あとがき

あらすじ

大学生の岩井は、ある日、菌類学者の助手のバイトを紹介される。訪れた先で待っていたのは、室田という気難しそうな男だった。最初は不安を感じていた岩井だったが、室田の教えてくれる未知の世界に触れたり、生活能力のない室田の世話を焼いたりする毎日は、楽しいものだった。そんな時間の中、岩井は次第に室田に心惹かれていき……

(出版社より)

作品情報

作品名
爪先に光路図
著者
青井秋 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
ミリオンコミックス HertZ Series
発売日
ISBN
9784813053668
4.1

(114)

(57)

萌々

(31)

(17)

中立

(6)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
28
得点
466
評価数
114
平均
4.1 / 5
神率
50%

レビュー投稿数28

絵がいい

素晴らしく細密で繊細に描かれる絵に参りました。

拡がる菌糸の世界。雑木林の中、倒木の茸たち、木の葉の上の幼虫、雨の滴。(爪先に光路図)

電車の中、居眠りする人たちのまわりで揺らめく熱帯魚。(さかなの体温)

ふさふさの尻尾と耳。(八月、夏の底)

どの作品もうつくしかったですが、特に最後の「八月、夏の底」。
自分内でここしばらく続いた、ケモ耳ファンタジー強化週間の最後を飾るにふさわしい。
リアル動物としては、狸より狐の方が、それも子狐の可愛さは抜群ですが、この作品に登場するコウの寝姿といったら、もう、実にかわいい。

全編通じて、性的な描写は皆無ですが、この絵で、このストーリーなら、キスだけで充分。
寧ろ、それ以上はして欲しくない。

絵が、本当に隅々まで美しかったので「神」で。

9

スローペースも気持ちが良いvv

正直最初は表紙に惹かれて購入ですが…

大当たりです、久々にお気に入りの作家さん登場vv

3作品入ってましたが、どのお話もゆったりと流れるような
2人の雰囲気が良いvv
エロは一切無いんですが、それがまたマル○vv

本編の後日談もそれぞれ入ってるんだけど
相変わらずゆっくりとお互いを深めていってるだろう
雰囲気がお気に入りvv 


漫画を読んでるんだけどイラストを見てる感じも好きだな~vv
葉書サイズのイラスト集みたいなの出してくれると
(そのまま葉書としても使えるヤツ)即買いしそう!!。
誰かに送りたくなる。そして自分も保存用に購入する。

8

絵の書き込みの素晴らしい作品

まず目を奪われたのは背景の書き込みの丁寧さです。
芸術的とも思える菌糸や動植物の描き方が素晴らしいです。
また、黒と白の使い方が大変私好みでした。
丁寧に細かく描かれたビジュアルアートの世界を堪能できます。
絵だけですでに神評価です。

表題作の内容は実に地味な内容で、全ての地味BL好きに贈りたい作品です。
大学の先生と助手の、二人の交流を丁寧に描いていらっしゃいました。
私自身はこういう地味なものも非常に好きなのでグっとくるものがありました。
例えば菌糸の話などは自分の好きなお話でもあります。
キノコに関する文庫本を持っているくらいなので(笑)

また、他の作品もファンタジックなお話で、非常に好きなお話ばかりでした。
こちらの作品はビジュアル面の完成度が高いので、このような書き込みの細かい絵がお好きな人にはお勧めの一冊です。
また、内容も地味でファンタジックなものがお好きなかたには向いていると思いました。
性描写は一切ないので、そうした描写を好むかたには残念ながら楽しめない内容かと思います。

7

江名

はじめまして、こんにちは♪

井上佐藤さんの絵が好きとおっしゃる咲人さんが、
素晴らしい絵とおっしゃるこちらの本、
しかも最初のレビューに選ばれた一冊、すごく興味が出てます!
どれくらい地味なのかも気になるところw
探して読んでみようと思います、ありがとうございましたm(_ _)m

うつくしい世界

美しい自然の表現の数々に、感嘆のため息をこぼし。
短文のような、会話と、空間描写。
読み終わったあとに、1ページを見下ろすと出てくる、幻想陰影。
(白黒具合が、モノクロ写真のソレを言い表しているような)
零された、受け止めるには儚い想いの数々。

 もし、あなたが、国立科学博物館がお好きなら、
わたしは、この作品を、おおいに薦めます。

表題作はキノコ好きにはたまらない作品で、
「さかなの温度」は幻想好きな大人が見がちな夢世界です。

「八月、夏の底」は
ものすごく、亡くなった人に想う感情が救われた物語でした。

物語の合間に描かれている、切手がまた、幻想的で美しいです。
ノンブルのとなりにちょこんと描かれているものや、
カバー下の標本、ものすごくいい味で素敵です。

6

美しさに満ちた世界に

美しい表紙だと思ってはいたのだが、初めて手に取ってページをめくり
口絵を見た途端に、心奪われた。

岩井は、大学の教授に紹介されて、
アルバイトでとある研究者の助手を務めることになる。
田舎の研究所で研究に没頭する、変わった研究者・室田。
最初はとっつきにくく感じていた室田に惹かれて行く岩井。

山でのフィールドワーク、自然の中、
ほぼ二人だけの世界がゆるやかに進んでいく。

自然は美しく、妖しく、そして魅惑的だ。
それらは人の世界のメタファー、
恋も愛も自然の中では細密画の一部だ。
地中不覚菌糸をはびこらせながら、ほんの僅かしか地表に現れない茸、
それは心の中深くいつの間にか取り去りがたく根を張った、岩井の想いだ。

表題作の他、ファンタジックな短編が2編。
いずれも生き物が出て来るが、可愛い明るいイメージではなく
生き物の持つ仄暗さや不思議さが感じられる作風。

「さかなの体温」は、高校生同士のピュアな恋物語だが
眠っている間に人の中から抜け出す魚という象徴が興味深く、
独特の浮遊感を醸し出す作品。

人を中心としたストーリーはある意味ありきたり。
生々しい感動を求めると肩すかしを喰うが、
もっと遠くから眺めるような、あるいはもっと微細な世界を覗くような
そんな不思議な面白さと美しさに満ちた一冊でした。



*光路図とは? ←知らなかったので、調べてみた!
 物体上の1点から出た光がレンズ系を通過していく様子を表した図。
 この図によって各レンズの働きを知ることができます。

6

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