自覚しないまま終わらせる恋だったはずなのに

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表題作恋の在り処

三条博幸,33歳,離婚して旅行中の会社員 
坂上譲,19歳,祖父と二人暮らしのフリーター 

その他の収録作品

  • 恋の在り処2
  • あとがき

あらすじ

とある出来事がきっかけで母親と折り合いが悪くなり、両親と離れ祖父と暮らす譲は、いつも訪れる神社の水汲み場で三条と出会った。離婚を期に転職、次の仕事が始まるまでの間、譲の住む村へ旅行に来ていると言う三条。元来人見知りな譲だが、大人で都会的な雰囲気に反して三条の笑顔は柔らかく、滞在中のガイドを申し出る。旅の間だけの繋がりだ、そう自分に言い聞かせながらも三条と過ごす時間は楽しく、次第に惹かれていく譲。しかし譲を訪ねてきた母親に三条との仲を誤解され――。

(出版社より)

作品情報

作品名
恋の在り処
著者
神江真凪 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
ISBN
9784576120805
3.3

(13)

(1)

萌々

(4)

(7)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
43
評価数
13
平均
3.3 / 5
神率
7.7%

レビュー投稿数5

受けの譲がとってもいい子。

とても優しくて綺麗なお話でした゚+..。*゚+

大きな起伏もなく、目新しさも特に感じませんが、こういった恋愛に特化したピュアなお話は大好きです。
心理的描写等も、細やかに丁寧に書かれているので、感情移入させられちゃいます。

東京から旅行に来ていた三条と、とある神社で出会う譲。
自分の性癖、母親との確執に悩み、心を痛めながらも三条と恋に落ちていく…。

譲が、とってもよい子なんですよ。
真面目で優しくて、自分よりも相手のことを一番に考え、相手を気遣いながら一生懸命頑張る健気な子でして、個人的にドストラクな受け様でした。
三条さんも、スマートでそつがなくて優しく包み込んでくれるような素敵な男性でした。
三条さんが譲に想いを告げるシーンにズキューンと来てしまいます。
譲の年齢に目線を合わせたような、ベタな告白だけど、これ自分が言われたら相当嬉しいなぁって(●´艸`)歳柄にもなく、そんな風に思ってしまいましたw

晴れて恋人同士になったはいいのですが、遠距離恋愛になってしまう二人。
初めからわかっていたとしても切ないです。おまけに一回り以上も年が離れているので、更に難しそうだなと…。
そんなところにリアルティさを感じてしまい、現実に引き戻されしまうのがちょっと残念でした。

譲の理解者でもある、おじいちゃんもよい味を出していました。おじいちゃんの『チヨッコレイト』が可愛いです♪おじいちゃんにも長生きしてほしいです。

みずかねりょうさんの挿絵がとても素敵で物語に大変マッチしておりました。

著者様、デビュー作『青空の下で抱きしめたい』に5年前の三条さんがでているようなので、そちらも読んでみたいです♪

1

許すことの大切さ

 譲は、いつも訪れる神社の水汲み場で三条という男と出会った。
 三条は同じ男から見ても男前で、「田舎」という他ない観光スポットでもない寂れた神社にどうしているのだろう? という都会的な格好をしていた。
 人見知りな譲は、見慣れない男の登場に驚くが、三条は落ち着いた様子で譲の水汲みを「手伝いたい」と申し出てきた。
 そして人見知りの譲には珍しくそのまま話し込んでしまい、三条が離婚を期に転職し、次の仕事が始まるまでの間に、譲の住む村に旅行に来ていることを知る。
 とある出来事を理由に、母親との関係が悪化し、両親と離れ祖父の元で生活をしている譲に優しく接してくれた三条の瞳に、ついつい譲は滞在中のガイドを申し出てしまう。
 翌日、差し出がましいことをしたかと、不安に感じる譲をよそに、「また明日」と言ってくれた三条に譲はどんどん惹かれていく。
 けれど、三条はいずれいなくなってしまう人だし……と考えた譲は自分の気持ちに名前を付けないままそっと胸の内に閉まっておこうと思っていた。
 ところが、そうやって三条と食事をした帰り道、譲を訪ねてきた譲の母親と鉢合わせしてしまい、あろうことか、三条を譲の恋人と勘違いして怒鳴りつけられてしまう。
 実は、譲と母親の仲をダメにしてしまった決定打というのが、男とのキスの瞬間を見られた……というものだったのだ。
 譲にとっては三条にだけは知られたくなかったその秘密を暴露されてしまったことによって動揺するが、翌日も三条が譲の家を訪ねてきてくれて――

 という話でした。
 田舎で出会った二人が、徐々に惹かれ合って、最後にはハッピーエンドなお話でした。

 個人的には、これに追加で収録されていた「2」の方が好きでしたね。
 無印はすべてが譲視点で書かれているのですが、「2」は三条視点で書かれた話。
 三条の旅行が終わり、村で別れてからの久々の逢瀬。
 そんな二人の話だったんですけど、最初の話は譲の弱さがものすごく出てて、そこを乗り越えた先に三条との幸せが待っていた……という話だったんですが、「2」は三条の弱さが全開で放出されてしまう話。
 三条の背負っているものも、相当重いのですが、そんな三条を譲がぎゅっと抱きしめて、傷を癒そうとする話。

 まあ、これは物語だから、こんなキレイに終わったのかもしれませんが、それでも、「許す」って大事なことだなあ……っていうのが、心底伝わってきて。
 自分で自分を許すことが一番難しいんだってのが、すごくよくわかって。
 痛いけど、でも、こうやって幸せになってくれればいいなあ……って思います。
 それにしても、譲はこれからどうするんだろう?
 素直に、村の公務員試験をもう一度受けるのか、三条の元へといくのか……。
 いろんな人生の岐路を見てきてしまった年齢になってしまうと、譲の今後もちょっと気になりますね。
 譲もいつまでも十代のままではいられないし、祖父もいつまでも生きているわけじゃない、年齢を重ねれば重ねるほど身動きもとりづらくなると思うんだけどなあ……と。
 まあ、そのうち、我慢できなくなった三条が、「在宅ワーク」と称して村に押しかけてきそうかな? と思ったりもするのですが。

 自分の弱さを受け止めてくれる人がいる二人の優しさに心が揺さ振られたので、この点数にしました。

1

誠実さがあふれています。

この作家さんの過去作品の印象は、とても地味だけど堅実な文章というイメージです。
今回もとても平凡なお話なのですが、丁寧さが際立っています。
ものすごく感動したとか、よかった!とか激しく心を動かされたりはしないのですが、優しさが溢れているような気がします。
ただ、それが萌えかといわれると実はそうではないのです。
しかし、読み終わって読者がよかったね~と思える話なのは確かなのではないでしょうか?

譲は母親との折り合いが悪く田舎の祖父の家で公務員を目指しているフリーター。
そんな観光名所と言われるほどには何もない村に観光でやってきた、離婚したばかりで1ヶ月くらい会社を休んで旅行をしているという三条と知り合います。
名所はないけれど、綺麗な景色や自然風景を案内することになった3日間の出来事です。

譲の抱える母親との確執は、実は性癖に関する問題。
彼を否定して攻める母親。
しかし、理解のある祖父。
三条は、離婚にいろいろと理由と過去もあり、
決して、心に傷を持つ二人の慰め会いではありません。
それぞれに、それぞれがこの3日間を通して会話をして、彼等の事情を知って、心が近づいていく。
すごくすごく自然な流れです。
ですから本編にはエッチはないのです♪
こんな点も早急さがなく、とても納得できるお話になっている所以ではないでしょうか。

そしてその後日談・・・遠距離恋愛になった二人の再会のお話です。
ここで、三条の本当の離婚の理由がわかります。
始めてのエッチは、一生懸命三条に答えようとする譲が健気でかわいらしく、
そして、空港で偶然出会ってしまった元妻と、子供。
まだ吹っ切りきれてない三条を慰める譲の姿に、三条の弱さが浮き彫りにされます。
元々、センチメンタルジャーニーをするくらいですから、結構ナイーブで優しい人なんでしょうねw
こちらはちょっと三条が女々しくて、譲が男前に見えましたよw

本当に誠実なお話です。
面白さという点にはかけるかもしれませんが、実直さが出ていてそれがイヤミでない、気分のよいお話だったのではないでしょうか。

3

穏やかに思いは育っていく

離婚で傷つき、リフレッシュを兼ねて旅行をしている攻め様と、偶然出会った
受け様との気づかないうちに心が惹かれあっていた二人の緩やかな恋のお話。
物語は結構淡々としていて、受け様が暮らす村を攻め様に案内しながら
徐々に親しくなっていくようなお話なのですが、ほんといつの間に恋してた?
って雰囲気が漂う作品でした。

母親と折り合いが悪くて、一人だけ祖父と暮らしている受け様は、地味目で
人見知りもする真面目さんです。
受け様は自分の性癖で母親に傷つけられていて、かなり可哀想なのです。
相手への愛情があるから余計に傷つけてしまう、受ける方も余計傷つく。
かなり悪循環なのですが、そんな時に知りあった攻め様との時間が受け様を
明るくしてくれるような感じなんです。
でもそんな攻め様も、手酷い裏切りで傷つけられていたんですよね。

互いが、互いの言葉で救われる、ゆっくり堅実に思いを育てて行くような二人。
ジェットコースターのような激情型の恋愛では無いどこか朴訥な感じもする話でした。

1

自然豊かな田舎で芽生えるゆっくり進む恋愛

あとがきを読んでスピンオフ作品だと知りました。
前作では大切に思っていた相手をかっさらわれてしまうという不憫な人だったようですが、今度はちゃんと好きになった子と両思いになれました。

譲は親が近くに住んでいるのに高校入学から祖父宅に住み家族とうまくいっていない様子。
才能のあるできた弟とも没交渉。
19歳で高校卒業後、夜毎日数時間バイトしている。
何か訳ありな風ですが、特に観光客の来る名所の無い田舎の風景や自然の美しさを語り、おじいさん思いの純朴な青年の日常が淡々と描かれているばかりでなかなか本題に入りません。
そして、隠れた名水の出る神社でこれまた訳ありな様子の年上の誠実そうな男性と知り合います。
離婚したばかりで転職前の休暇中で骨休めに一人旅をしてるというのです。
案内しましょうかなどというナンパの常套句のような出会いで三日間を過ごすことのなるのですが、譲は最初っから好みにドンピシャでうっとりと一目惚れが見え見えです。
イラストはみずかねさんで、この方らしく男の子がとーっても可愛らしいです。
限られた時間の中でふれあい、ゆっくりと心を通わせていきます。

そして、観光案内中に会ってしまった譲の母親から彼の隠しておきたい過去や親との確執が露わにされ彼の悲しみと苦しみを知った三条との間が一挙に縮まる結果となります。

この作品に出てくる女性が、酷い人ばかりでした。
譲の母ヒステリックで子供を愛し守りたいというより自分の気持ちや考えを押し付けるばかりで言葉の暴力で傷つけるばかりでかわいそうでした。
そんな親の言動も許せる譲は心が広くて大人でいい子なんです。

三条の方も元妻の身勝手で非道な行為に人間不信にならないほうがおかしいと思うのにこの方も悩んだ末に許してしまうんですね。
菩薩か天使のようないい人カップルです。

一応ハピエンだと思いますが、飛行機を利用するくらいの距離での遠恋の行方はどうなるのでしょう。
転職したばかりの三条さんも、公務員試験を受ける予定の譲も移動できませんよね。
デートもままならない二人の将来設計はどうなってるのか気になってしまいました。

いつか成長した三条ジュニアが性癖に悩んで実の父親と思って助けを求めて会いに来たり…なんていう妄想をしてしまいました。
そうすると、高校生になった十数年後くらいでしょうか?
その時二人はどうなっているのかな。

1

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