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表題作緑水館であいましょう

江原恵 ペットショップの爬虫類担当のバイト 25才
瀬戸 カメレオンを飼っている常連客 30才

その他の収録作品

  • おまけ
  • あとがき

あらすじ

ペットショップで働く江原は、人員不足から爬虫類部門のフロアに異動を命じられる。動物は好きだが、爬虫類の中にどうしても苦手なものがある江原。そんなある日、多頭飼いをするほどカメレオンが好きな男・瀬戸に出会う。瀬戸との交流によって、気持ちに変化が――。

(出版社より)

作品情報

作品名
緑水館であいましょう
著者
谷崎泉 
イラスト
楢崎ねねこ 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
シリーズ
緑水館であいましょう
発売日
ISBN
9784796403306
3.5

(12)

(2)

萌々

(3)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
41
評価数
12
平均
3.5 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数5

スピンオフの方が好みではありましたが…

スピンオフを先に読み、そちらがとても谷崎さんらしく笑えてお気に入りの一冊になっております。
谷崎さんはシリアスと笑える物との差が激しい作家さんで、気分で選べるのでその辺り大好きです。
なのでこちらの作品も随分前に購入していたのに、今までどこにしまってあるかわからなかったという…(汗

**********************
攻めはペットショップ『緑水館』のアルバイトで、25歳の江原。
10人いれば10人ともがカッコ良いと言いそうな容姿で、大の犬好き(舐められてるけど)。
犬よりも女子にモテるという贅沢な悩みを持っています。

受けは爬虫類館の常連で、カメレオンを飼育しているサラリーマンの瀬戸、30歳。
クレーム担当部所の主任で、カメレオンだけが癒しでありカメレオン中心の生活をしています。
ちなみにそのために、自身は押入れで寝てます…
**********************

序盤から江原は店長の強引さに負け、急遽人員補充のために犬担当から大嫌いなヘビのいる爬虫類館で働くこととなってしまいます。
そこで客として来ていた瀬戸に出会います。
江原の瀬戸への第一印象は最悪なものでしたが、彼のカメレオンへの愛や勉強熱心さ、そして実は外向きの顔に疲れている不器用さを知り、瀬戸へと惹かれてていきます。

終始攻め視点(三人称)なのは片想いの方向が攻め→受けだからだとは思うのですが、わたしは谷崎さんの攻め視点好きなのでひじょうに楽しめました。
瀬戸とキスしちゃった後、自室で嬉し過ぎて床をゴロゴロしてしまう行動も『わかるー!』という感じで。
ただ、ラストにおまけで収録されているSSは受け視点です。
これは二人の初デートの解釈の違いが微笑ましい(苦笑

わたし特に爬虫類好きではないのですが、カメレオンの性質など興味深く読みました。
ちなみに爬虫類館のフロア担当で美形の上平は、スピンオフでの受けとなっております。
谷崎さんの作品のレビューにはわたしはほとんど『地味』という言葉を使っていると思うのですが、相変わらずこちらの作品もそのくくりです。
ただBLってゴージャスなキャラやキラキラした設定、ランキング上位の目立つ作品だけである必要はないと個人的には思っております。
色々なタイプのお話があるからこそ飽きないわけで。
谷崎さんはキラキラとは正反対の作風の方ですが、一つの読み物として安定したうまさのある方なのでもっと手を出して頂けると良いなあと思います。

5

カマカマカマカマ、カマ、カミィ〜リオン♪

……と思わず口ずさんでしまいましたが、
いえ、全然気まぐれな話ではございませんでした。

BL界には犬だの猫だの結構出て来るし、
犬になっちゃったり猫になっちゃったりする
狼とやモフモフと致しちゃったりする場合もあるけれど
これはなんと爬虫類、主にカメレオンです。


主人公の江原はペットショップのアルバイター。
わんちゃん部門勤務だったのに、泣く泣く爬虫類専門部門に移動。
対する瀬戸は、そこに毎日訪れるカメレオンマニア。

第一印象のよくなかった二人だが、とあるきっかけで
段々と親しくなり、すれ違いながらやがて特別な関係になる……。
江原は瀬戸が好きになると共に、カメレオンも好きになり……。


カメレオンという珍奇なネタを除いてみれば
手慣れた感じというか、ある種王道の手堅い面白さ。
受けのキャラもいい。
カメレオンの挿絵も可愛く、
チョコチョコ描かれる彼らの生態にほほーと言いながら
楽しく面白く読了。
でも、萌えるかって言われると……どうでしょ?
カメレオンに持ってかれちゃっている感があるかも?

SSの初デート編は、ふたりのズレっぷりが可愛いやら可笑しいやら。
この二人、こんなふうにトボケた味で、カメレオンと一緒に生きていくのかな?

瀬戸さんのどうしようもないネーミングセンスが、いい味です(笑)
カメレオン加点で、萌×2。

3

カメレオンみたいな受け様なのです

ペットショップで哺乳類のワンちゃんネコちゃん担当だった攻め様が爬虫類部門の
担当者病欠の為に、急きょ部署替えをされて、ヘビが死ぬほど苦手な攻め様は
かなり移動に困惑するのですが、渋々ヘビ以外の面倒を見る事になる。
そして爬虫類でもヘビ以外はわりと平気に面倒が見られることに安堵する。
特にカメレオンを可愛いと思うようになり始める。

少しずつ慣れ始めてきた攻め様は、カメレオンの前でじっと見ている受け様に
気が付き、思えたばかりの知識で見つめすぎるとストレスを与えるからと・・・
しかし、言われた受け様は、何を言っている?みたいな視線で、攻め様は何故か
馬鹿にされていると感じてしまい、最悪な印象と苦手意識をもってしまう。
なるべく関わらないようにしようとする時に限ってお客として対応する機会が増え
偶然受け様のヘビ嫌いなのがバレて、更に苦手意識が強くなるんです。

でも、カメレオンの幼生を見る子供みたいなキラキラした姿を見ていると自分が
感じていた、嫌味に思えた態度は違うのではないかと思い始める。
そしていつしか、カメレオンの事で話をするようになり、攻め様も独学で勉強を
し始める、そんなある日、偶然昼時に受け様と出会い、受け様が店の外で見せる
別人のような態度に驚かされる事になります。
あまり他人と打ち解ける事がなく、いつもカメレオンを静かに見つめている姿とは
まるで違い、部下にあたる女子社員に明るく爽やかな印象を与える姿に唖然とする。
しかし、それには受け様なりの職場での苦労があって・・・・
そんな経緯から二人は次第に親しくなるのです。

そして、受け様の研修の為に1週間受け様のカメレオンの面倒を見る事になり
その不在の時にメールや電話でのやり取りで更に近くなる。
カメレオンを通して恋が育つまでのお話でした。
この受け様はなんだかカメレオンみたいな感じなんですよね、繊細でシャイで、
感情の揺れで、顔色がクルクルかわるし、とてもデリケート。
爬虫類が苦手だった攻め様が、カメレオンを好きになるのと同じように受け様を
好きになっていくのです。
きっとカメレオンが擬人化したら受け様みたいになるのかもなんて想像させてくれる
どこかほのぼのしたストーリーでした。

4

カメレオン受け!?

GUSHの谷崎作品は、可愛かったり楽しかったり、他のレーベルの作品にくらべて非常にとっつきやすいですよね♪
今回はペット絡みの恋の始まりなんですが、なんと!爬虫類♪
普通犬とか猫なんで、こんな視点がとても新鮮です。
爬虫類好きの人は結構マニアの人が現実にも多かったりするのですが、ここに出てくる受けの会社員も爬虫類が大好きでカメレオンを6頭も飼ってます。
爬虫類好きが爬虫類顔してるとは限らないでしょうが、ねねこさんのイラストは何げに爬虫類顔に描かれているような(笑)
そして、受けちゃんのことをカメレオンみたいだよ、という比喩が!?
う~ん、、普通やっぱり犬とか猫だったりすると思うんだけど、その比喩もまた言い得て妙なり。。。
とても素直な展開で、これといった突飛な展開はないのですが、なんだかほんわかしてとても気に入りました。
爬虫類苦手~!という人でもねねこさんのイラストが大変にかわいく描かれていますし、結構大丈夫じゃないかな?
ちなみに自分は・・・動物は何でも好きなので爬虫類もウエルカムですv

犬猫などの哺乳類を扱う1号館と、魚類や爬虫類を扱う2号館を持つペットショップで犬担当しているバイトの江原は、2号館で人員不足が出たために、ヘビが苦手に関わらず有無を言わさずそちらの担当に移動させられてしまう。
蛇意外ならということで、カメレオン始め蛇以外を担当することになったのだが、そこで毎日訪れるカメレオンを6頭も飼っているという会社員の常連・瀬戸と出会う。
休日に友人と待ち合わせした品川で、偶然瀬戸に会い、彼の事情を少し知ることになったのがきっかけで、少しづつ打ち解けていく二人。
そして、瀬戸の出張中に彼の飼うカメレオンの世話を泊まり込みで任される事になります。
この世話をきっかけに二人は大変に親しい仲になるのですが、酒が入った勢いで江原が「好き!」と告白してしまい、それから瀬戸はぱったりと店に顔を出さなくなるのです。

とまあ、こんな具合ですから展開も結末も何げに予想できますよね♪
ここで面白いと思うのが瀬戸のキャラクターです。
店に来るときは、真剣にカメレオンのゲージを覗き込み、それは本物のマニアの姿w
毎日通うくらいなんでオタクとかちょっと暗い感じもするのですが、彼の過去話を聞いてびっくり!
なんでもそつなくできて、順風満帆で会社でも優秀な営業だったのが、女性上司のセクハラとパワハラで、疲れ果てて本来の暗い自分が・・・というなんともな・・・
会社では上辺を取り繕うこともできるし、そういう嫌がらせにもやめないでいるということは、結構強い人なんだと思うのですが、それにはカメレオンに癒されているからという部分が、彼のカメレオンに対するこだわりと愛情なんだな~という部分なんですね。
まさか、江原に好かれるなんて思わないから、彼が固まったり、赤くなったりと、そんな状態がカメレオンのようだ、
あまり見つめるとストレスになるとかって(笑)
そんなに優秀だったら恋も色々してそうなのに、結構ウブかったのが意外です。

その反面、江原がイケメンでモテる外見のようですが、その割にきちっとしてる人。
与えられた環境に(どうしてもヘビは克服できないけど)精一杯頑張っている。
だけど、美味しいところはいただくだけ頂いてたようです・・・経験が豊富って(w)女性相手だけどねw

二人のスレ違いにオロオロしたり、ヘタレたり、なかなかに可愛らしいお話でした。

3

動物好きにはほこほこ。

BL小説初心者なので、お薦めいただいた谷崎泉さんの作品の中で、覚悟なしに読めそうなコメディタッチのお話を選びました。

舞台は緑水館(グリーン・アクア・クラブ)という、ペットショップ。もともと本館で犬担当だったバイトの江原くんが、療養中の鰐淵さんのピンチヒッターで別館の爬虫類担当に配置換えになったことからお話が始まります。

江原くんは、爬虫類が大のニガテ。担当だったワンちゃんでもなかなか扱いに苦心していたので、ペットショップに不向きなんじゃない?と心配させてしまうキャラ。爬虫類コーナーで彼が唯一興味を持てたカメレオンが思わぬ出会いを運んでくれます。…というより、カメレオン好きなお店の常連さんとの最悪な出会いが思わぬ方向へ展開して行くといった方が正しいのかも。

カメレオンの生態とか、飼育の仕方とか、「レプタイルズフェア」なんていう、普段の生活では絶対自ら関わることがないであろうマニアな世界を疑似体験できて、とっても面白かったです。爬虫類好きな男との出会いなんて…。そんな男が気になるなんて…。いやぁ、思いっきり、スコーン!乗りきったわ!これって、やっぱり作家さんの読ませる技量なんだろうなぁ。

ココナッツ様のレビューにありますように、このお話には『素直になれなくて』というスピンオフがあります。確かに江原くんの教育係、上平さんは登場した時点でにおってた。むっちゃ、におってた。けども、ここでは詳しくは語るまい。両方併せてお読みいただくとまたお楽しみが広がりますね。

ペットNGな物件に住んでいるので、動物を可愛がっている登場人物達の姿や心情を読むだけで、とっても心癒されるお話でした。(わたしは爬虫類O.K.!たぶん。)

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