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表題作七月七日

流田達 18~28才 大学卒後、不動産収益で暮らす地主
佐久間行人 18~28才 大卒後不動産会社勤務

その他の収録作品

  • 七月七日
  • 五月五日
  • 十一月十一日
  • 三月三日
  • 九月九日
  • 一月一日
  • あとがき
  • 六月六日

あらすじ

佐久間行人は流田達と大学受験で偶然隣り合わせになり、入学後親友となった。その後、佐久間と流田は身体の関係を持つ。
在学中に遺産を相続し浮世離れしている流田に、出会った日から惹かれながらも結婚を選ぶ佐久間。 一方流田は佐久間が結婚しても、一生彼への想いを抱え生きていく。結婚後も逢瀬を重ねる二人は……。

(出版社より)

作品情報

作品名
七月七日
著者
愁堂れな 
イラスト
高星麻子 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344826700
3.5

(22)

(3)

萌々

(12)

(3)

中立

(3)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
8
得点
75
評価数
22
平均
3.5 / 5
神率
13.6%

レビュー投稿数8

すれ違う思いやり

実際に、ひょっとしたら、佐久間のように偽装婚は多いのじゃないかな
佐久間と流田の二人の間の思いやりのすれ違い。なんとも切ない。

大学入試で知り合った二人。
試験会場で、消しゴムを忘れた佐久間に、消しゴムを割って渡した流田。
流田の好意に、涙を流して感謝する美少年の佐久間。
流田は、受かれば行こうと思う程度だったのに、佐久間と一緒に学びたいと、真剣に受験する。一目ぼれだった。

それから、最初は友人として、そのうち恋人として交際が続く。
資産家の跡取り・流田の将来を慮り、佐久間は結婚をして交際に終止符を打とうとする。
だけど、一昨年に佐久間が結婚しても、二人の逢瀬は続いている
・・という場面が冒頭。

マットウを理想とする佐久間の呵責。別れようとして、また求めてしまうフラフラ。
自分流を押し通せる環境を持つ流田が求める佐久間の真心。
二人の想いは、かみ合わない。
働きバチの佐久間には、不老収益を持つ流田の感覚についていけない所があるのだと思う。

焦れる葛藤がこの作品の醍醐味だと思うけど、苦かった。

0

こういうお話大好きです

ずっと気になっていた作品でしたが、ようやく読めました。

サイトに掲載されていた「七月七日」と「九月九日」以外は書き下ろしらしいです。

書き下ろしの「五月五日」「十一月十一日」「三月三日」「一月一日」があることで、この作品は完全な形になったと思えました。

流田側からでは無い佐久間視点があって初めて、佐久間の愚かさや佐久間の流田への純粋な愛情を知る事が出来ました。

淡々と進む構成が秀逸で、今の愁堂れな先生のスタイルとはちょっと違いますが、私はとても好きだと思いました。

攻めの流田の健気さがとても切ないです。そして佐久間の逃げや怯えも決して嫌悪するほどでは無い匙加減がとても良い作品です。

愁堂れな先生の違う魅力を知りたい方にお勧めします。

0

月日に流されるままに

2012年刊。
一部は2003年頃に作者の個人サイトに掲載されていたらしいが、肝心の二人の転機となる部分が大幅に加筆されている事で、ようやく一本の話として完成された形になっている。

世捨て人のような攻め・流田と、流されるままに他の女性と結婚した受け・佐久間。
二人は大学受験の試験日当日に互いに惹かれて以来、身体の関係まで発展したものの、恋人同士とは言い難く腐れ縁のような関係が続いている。

TVドラマのような劇的な展開はないので単調になりそうな内容だが、『五月五日』『十一月十一日』といった形で章を区切ってあるおかげで分かり易くなっていた。
それぞれの章の日付には特別な意味は込められていないと思うが、最後の『六月六日』は”雨降って地固まる”に通じる気がする。
流田か佐久間のどちらかが「何かを変えなければ」と積極的に行動を起こしている訳でもないのに、月日に流されるまま身を委ねていても何となく上手く収まったな…という不思議さがある。

佐久間が既婚者なのに二人にとって居心地のいい関係がズルズルと続いているのだが、オブラートに包まれているような感覚からか、さほど苛つく事なく読めた。
元々が感情の起伏を刺激しない話だが、淡々とした中で苛つきだけでなく焦りや不安、憤りといった負の感情も呑まれたかのような一冊だった。

2

攻めが健気やなあ としみじみ思ったお話

高星先生の挿絵狙いでget。
短編7つで1冊になっている本でした。
うち「七月七日」「九月九日」は2003年に
デビュー前に個人サイトに載せておられた作品(大幅改稿・加筆)、
その他は全て書きおろしだそうです。
ノンケの葛藤が大好きで、それを静かにあぶりだしているように感じられて
じんわり染み入る作品でした。何年か前に読んでるはずなのに、
今改めて読んで、あらやっぱり好きだわ、これ と再確認。
萌2でお願いいたします。

同級生でずっと一緒にいた二人が、何年もたってから本当に幸せになるお話。
登場人物は
攻めさん:地代収入だけで食べていける人。
     孫がいる年齢の家政婦さんと二人暮らし。静かに一途。
受けさん:大学入試時に攻めさんと知り合う。
     当時は女の子のような可愛い顔立ち。
     無色透明、いたって普通な人 な印象。
清:攻めさんの家政婦さん。いい味だしてる。汚れたシーツも洗っちゃう。
あと、当て馬的な男子(受けの幼馴染)や女子が一人出てきます。
時系列通りに並んでいるお話ではないですが、「え、今いつ?」などと
混乱することなく、すんなり読めます。

クライマックスは最後から2話目の「一月一日」。
清さんが病に倒れた孫たちを救済に、田舎に帰ってしまって
攻めさんが一人で年越し としった受けさんが行動を起こすお話。
ええお話やーと 単純な私はうるうるしましたが
そもそもあんたが悪い!と受けに怒る人も
きっと多数おられるに違いない・・・
こんなに攻めが健気だ と思った作品は、ないかも です。

押す ということを知らない ひたすら健気な攻め でした。
せつなかった。。。

2

淡々と…

ドロドロしてない、激しくない、淡々とお話が進んでゆく不倫モノでした。
でも二人の絡みはしっかりと。

不倫モノですが、妻は最後の方に少し登場するだけでほとんど作中に絡んでくることもないので、不倫の背徳感というものはあまり感じませんでした。
ただ、この関係を二人はいつまで続けていくのだろう、どのように終わらせるのだろうということが気になって、文章の読みやすさもあって一気に読んでしまいました。

流田は常に余裕で佐久間に接しているように見えましたが、実は心の内は違っていて、佐久間のいない所で笑顔の練習をしていたなんて…
健気というかなんというか…
いろいろと廻り道もして、佐久間のバカバカ〜!と思いましたが、二人にはいつまでも仲良しでいて欲しいです。

電子書籍は挿絵がなかったのですが、文章がとても良いので表紙の雰囲気のまま最後まで読むことができました。
寧ろ、なくて良かったかも。

ショート番外編で清さんの「家政婦は見た」みたいなお話も読んでみたいなと思いました。
二人のことをどれくらい知っていたのかがすごく気になったので(笑)

5

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