イラスト入り
時代背景は大正、紡績会社を経営していた両親が悪評の高い男爵に騙され全てを失い、
受け様一人残してこの世を去ってしまう。
受け様はそんな両親の無念を晴らす為に男爵に仇を討とうとするが、逆に捕えられ、
借金のカタに男娼専門の遊廓に売り飛ばされるが、仇を討つと言う強い思いから何度も
足抜けを決行しようとするが、うまくいかず連れ戻される日々。
そんな時に受け様にも男娼として初見世が決まり、いよいよこの身までもが仇のせいでと
義憤を覚えているなかで再び逃げ出そうとした時にその相手にぶつかりそのまま初見客だと
知らされるが、仇を討ちたい受け様は見逃して欲しいと懇願。
しかし、攻め様は受け様の事情を知り、同じように男爵に恨みがあるから受け様に
力を貸すと約束し、その見返りに攻め様を身体で楽しませる約束をする。
一応これも再会ものと言っていいものなのか、男爵に捕まる前にぶつかった相手が攻め様で
最後の最後で解るのですが、仕組まれた再会なんですよね。
遊廓で遊びなれた攻め様が、受け様の仇を同じように憎んでいるけれど、立場が違い、
読んでて、まさか受け様を利用して仇を討たせる協力をしているのかと思ったら
どうやらそれも違うようで、次第に受け様と過ごすようになり、受け様の遊廓に堕ちても
変わらない真っ直ぐな心根に次第に強く心を動かされていく内容です。
受け様もまた、仇を討つことだけでなく、攻め様の優しさに触れながら攻め様への
協力してくれる客だと言う事以上に攻め様の存在が大きくなる。
そして初めと変わらぬ受け様の強い願いを叶える為に攻め様は身請けをするが、
それは二人の別れでもあるのです。
受け様を思えばこその攻め様の行動なのですが、それが受け様に仇と相打ちになっても
思い残す事など無いと思わせてしまう事にもつながります。
ラストで待っていたのは、受け様には思いもつかない出来事だけど、憎しみを越える
愛情を自覚して、新たな幸福へ生きる道を進む事になるラストでした。