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奈良千春さんの表紙だとついふらふらと惹き寄せられてしまうのですが。
性行為しないとごはんを食べられない子という設定にも興味をひかれ購入。
こういう設定に興味をもつというと眉をひそめられそうですが、BL、小説の中のお話ということで許してもらえれば。
恭平の「愛している」の意味がわからない舜とわかってもらえない苦しさに思い悩む恭平。
なかなか心苦しいお話だけれどもわりとすんなり読めました。
虐待されていたシーンが直接的に書かれてないからでしょうね。
何より恭平が舜を溺愛してるのがいいんですよね。
読み進めてるうちにどんだけ好きなのって思ってしまいました。
自分の側からいなくなることを恐れていたとか。
舜が好きとか愛しいっていう感情がわからないと、恭平の苦しみはわからないだろうから、序盤で舜を突き放すようなもうお前を抱かない発言になったんだよなぁ・・・。
うまくまとまって良かったです。
舜が詩を書き綴るシーンがすごく好きでした。特に後半の恭平への溢れる思いを書き綴るところ。
舜の書いた詩を読んでみたくなりました。
その後のお話が同人誌で出てるようで、ちょっとそちらも読んでみたいです。
花丸black、エロ多めの作品ばかりと侮るなかれ、今回の四ノ宮作品かなり素敵。
主人公で受けになる舜にはかなりシリアスで目を覆いたくなるような過去があり、
その為に精神的にも情緒面の発達も全てが遅れていて、精神と身体がアンバランス。
幼い時から様々な虐待を受けてきて、最後の虐待で一般の常識からかけ離れたことを
教え込まれ、ある種の洗脳に近い刷り込みで、セックスしないとご飯が食べられない、
そんなことを延々と教え込まれ、保護された時にはセックス依存と摂食障害のダブルで
かなり切ない病的な後遺症になっているが、それすら本人は気がつかない。
生きる上での食事と快楽が常にセットなのが常識の闇に暮らしていた舜、
そして、そんな舜を助け出して養子にしてくれた義父は舜の依存症にお手上げで
自分の教え子である恭平に舜を任せることから始まります。
セックスしないとご飯が食べられない、そしてセックスをすると胸の中に巣食っている
ものが噴出してくるように、人々を魅了する詩を吐き出す才能。
その才能を伸ばして世に広めたいと思いながらも、舜を愛している恭平は
食事=セックスや、詩書かせる=セックスと言う悪循環に耐えられなくなり、
お腹がすいたからセックスしてと頑是ない子供のようにねだる舜に愛しているから
抱かないと言われ、パニックに陥る姿は本当に切なくなるくらい悲しいです。
舜が、愛とはなんなのか、人を好きになることの意味を少しずつ知っていくような内容で
シリアスだけれど、心にしみてくるような内容なんです。
それに、虐待されていたと言う手酷い描写が作中に無いのも個人的には良かった。
舜の心の変化を読み進めて行く先に幸せの光が見えてくるような感じで素敵でした。
作者さんの得意(?)設定歳の差モノですね。
ここ最近の作品は自分的に、う~む、、、なものが多かったので久々に読み応えを感じました。
親から虐待を受け、彼を救ってくれたと思っていた男から「食事の前にはセックスをするのは常識」という刷り込みを受けてそれが抜けない青年が、
後見人となった大学の准教授から、もうセックスはしないと言われ、苦しみもがきながら「愛」というものを見つけるお話でした。
この瞬という青年が、後見人の准教授・恭平に大学に入学したのを期にもっと世界を広げて沢山の人とつきあってほしいと、それまで食事前にしていたセックスを辞めたのがきっかけ。
またこの瞬は、セックスの後に溢れる想いを言葉に綴りそれを本にした詩集がヒットしたという詩人でもあるのですが、セックスがなくなったことで詩も書けなくなってしまうのです。
セックス=食事の瞬にとって、しないとなると食事が摂れなくなって病院へ入院することにもなります。
恭平の突き放すことは、そこに意味があるのです。
彼は憔悴して苦しむ瞬に、同じように苦しんでいます。
荒療治ではあるのですが、瞬が刷り込みから解放され、どうして恭平なのか、恭平がどういう存在なのか、その意味を知らないと瞬のヤマイは治らないからです。
瞬の苦しみは延々と続き、恭平でなければもう誰でもいいとさえ思い、編集担当を誘ったりしますが、この彼が純粋に瞬の詩を評価しているいい人でよかったです。
そして、「お前の好きと俺の好きは違う」という言葉を考えること、「まっとうな人間になること」とはどういうことか、彼なりに恭平や周囲に迷惑をかけたことでまず自立ということに気がつくのです。
そして、それから恭平が瞬にとってどんな存在であるのか思い知ること。
いつも自分が迷惑ばかりかけて優しくしてもらって気に掛けてもらっている気持ちを、恭平に対して感じた時、その想いが特別であることに気がついた時。
それが初めて「愛」というものではないのか、と身を持って知るのです。
瞬の過去はかなり悲惨だったらしく刷り込みが強かったので、一体どうやって彼は目覚めるのだろうか、と、成り行きを見守りながら読むこととなりましたが、
こういうのって日頃の積み重ねがあって、ふと、ある危機的状況で打開していくものなのだと、その進行には無理を感じませんでした。
精神的な病って自分が認識しないと、認識しても克服するのが大変難しいと思うので、それに取り組んだ作者さん頑張ったなーと思われます。
作者さんも瞬が頑固だったから苦労したろうな~w
瞬の場合は荒療治になりましたが、人によってはそれが効果があることもあるので、彼の場合はそれでよかったのかな。。。
青年の脱皮と旅立ちの物語でした。
後書きのあとにおまけとして、恭平視点の彼が瞬に出会った時からどう思っていたか、そして本編後の不安な様子がわかる【その唇を愛で塞ごう】があるので、本編の補完になると思います。
結構、この恭平が年上なのにwという部分があって、キャラ的に魅力です。
全体を通して苦しい物語ではありましたが、そのエンドはとても未来が輝いている、そして甘いものでしたよ。
母親から受けたネグレクトや暴力、その交際相手から受けた性的虐待と刷り込みのため、「セックスしないとご飯が食べられない」と思い込んでいる舜。
後見人の大学准教授・恭平とセックスすることで、食事を摂り、天才的な詩の才能を開花させてきたが、大学生となったある日、恭平に「もうお前を抱かない」と告げられる。
セックス=生きるために必要な行為を失った舜が、摂食障害や詩が書けないスランプに苦しみながら、人を愛するということを少しずつ理解していく話です。
この作品で興味深く思ったのは、「虐待のシーン」が殆ど出てこないことです。
母親とその交際相手から虐待を受けた事実だけが、ニュース等から情報を得た部外者によって語られています。
舜視点の回想がほぼ出てこないため、安易に同情したり理解したりが難しい。
舜を救いたいが見守ることしかできない恭平や柊木と同じ目線で、舜が再生できるようハラハラしながら読み進めることになります。
部外者の介入が難しい、当事者ですら形が見えないトラウマというものの複雑さがうまく物語に組み込まれており、かなり惹きつけられました。
詩の才能を含め舜を深く愛する恭平だが、
愛が何なのか分かっていない舜とこれ以上行為を続けることに耐えられない。
しかし、セックスできなくなり衰弱していく舜を見ていても辛い。
そんな恭平の気持ちをおぼろげながら理解していく舜が、
熱を出した恭平に、今度は自分が恭平の辛さを和らげたいと思い自分から会いにいき、愛という感情に気づき始める場面が印象的でした。
セックスを介した関係でなくなったことで、日常の何気ない恭平の優しさに気づき、それが積み重なってふと変化が訪れるような展開がとても自然で無理がない。
序盤は苦しむ舜が痛々しいですが、
読み進めるにつれ着実に希望が見えてきて、最後は最高に甘く幸せな結末に♪
愛と再生がゆるやかに描かれた素敵な作品でした。
偶然サイトで新刊が出ていることを知り、あらすじを読んでみたらなんだか気になる感じだったので早速購入。
………面白かったー。
設定が設定なので読む人を選ぶ作品ではあると思うのですよ。
摂食障害とか性的虐待とか。
間違った常識を植えられて育った舜が少しずつ変わっていく様子を描いた作品。
閉ざされた環境の中で育ったせいもあって常識を知らず。
これまで、植えられた常識の中で生きてきた部分があって。
それは、「お兄ちゃん」がいなくなって「恭平」になっても変わらず。
なのに、恭平が突如、その世界観を壊そうとしたことで2人の間に変化が生まれてくる。
それは、恭平のどうしようもなく耐え切れない想いだったり、亡き養父から託されていた思いもあってのものだけれど、そういった常識を持ち合わせていない舜には到底受け入れられる内容ではなくて。
それは舜の生存の関わることでもあって。
それが間違っているとわからない舜には苦しいことであって。
とにかく恭平がせつないですよね。
相手は「何も知らない子供」とも言えるような存在で。
想えば想うほど、その苦しさは増すようで。
舜が変わらなければ、恭平の想いはどこへも行けないのです。
舜がちゃんと「考えること」
それでしか2人の関係は前に進めなくて。
ゆっくりとでも舜が成長していくことで、また変わっていく2人。
恭平を想う気持ちがなんなのかと考え始めたことで見えてくるこれまでの恭平にしていた仕打ち。
そのせいもあってかなかなか求めることができなかったりもしたけれど、最後にはちゃんと「求める理由」も見つけられて幸せになれてよかったです。
「その唇を~」では、恭平の抱える不安に的が当てられています。
これまで、舜の世界の大半を占めていたのは恭平で。
けれど、通常の生活ができるようになってくると舜の世界は広がっていく。
その中で、自分の存在は果たして必要なのか?と不安になってる恭平がなんだかかわいくも思えてきます。
舜は恭平への愛情を詩にのせて紡いでくれるのに。
それだけでは不安になってしまう恭平。
1人よがりなんじゃないかと思ってしまう恭平。
そんな恭平の心を癒してくれるのはやはり舜でしかなくて。
舜の言葉がちゃんと恭平に届いているようでよかったです。