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表題作百合と悪党

パリの時計職人 ダニエル
成金の御曹司 ジル・アルノー

その他の収録作品

  • 百合と恋人
  • あとがき

あらすじ

十九世紀半ばのパリ――。天使のような容姿だが我が儘な御曹司・ジルは、街で見かけた自分そっくりの貧しい孤児・ルネと三日間入れ替わる。しかしルネの策略で、ジルはそのまま「ルネ」として生きることになる。ジルはルネの幼馴染みのダニエルを頼るが、生きるために男娼になれと言われてしまう。ルネへの復讐を誓うジルは、ダニエルに抱かれるが――。

作品情報

作品名
百合と悪党
著者
和泉桂 
イラスト
花小蒔朔衣 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
ISBN
9784344829053
2.4

(9)

(0)

萌々

(1)

(3)

中立

(4)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
17
評価数
9
平均
2.4 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

BL版、王子と乞食みたい

子供の頃に読んだ王子と乞食みたいな雰囲気の作品でした。
成金の御曹司で我儘で世間知らず、生真面目な執事の目から逃げ出して
楽しいことは無いかと探していたら、自分とよく似た人物を見かけ、
三日間だけの入れ替わりをすることになるが、自分の身代りを頼んだルネは
ジルを裏切り、そのままジルとして屋敷で暮らし、厳しかった執事までも
ジルを偽物の乞食だと決めつけ、ジルは途方に暮れてしまう。

貧しく我儘なんて言っていられない世界へ急に投げ出されたジルは、ルネへの
復讐と必ず屋敷に戻ることを胸に秘め、自分を騙したルネの幼なじみのダニエルしか
頼れる人がいない状態で更にこのままここで生きるなら男娼になるしか手が無いと言われ
ジルは復讐をする為なら何でもする覚悟で、男娼になる前にダニエルに抱かれる。
ジルの思惑は自分が騙した相手が男娼になって堕ちて行くお初をダニエルにあげる事で
忘れ慣れない罪悪感を植え付けること。

ダニエルは悪に染まりきれない若干ヘタレさんなので、ジルを抱いた事で
情でも湧いたのか、男娼をさせないで、美人局の片棒を担がせて生きる為の
金策をするようにジルに持ちかける。
なんとも小悪党な感じでスケールの小ささを感じます。
成金御曹司が、生きる為には何でもしなければならない世界で
成長していく話なのですが、小悪党をしながら御曹司の成長って変だと思ってしまう。

自分を騙した相手のルネが窮地に立った時、恨みも無しにして助けるのですが
それはジルがダニエルを好きになっていて、ダニエルがルネを大事に思っているから
ダニエルを喜ばせたい一心で恨みよりも愛を選ぶ内容は健気と言えば健気ですが、
なんとなく陳皮に感じてしまいました。
生真面目な執事は偽物の御曹司ルネと恋仲になってジルを排除していた内容ですが
ジルの執事への初恋みたいな流れもあっさり流された感じで、奥深さが感じず
萌えどころを探せなかったというのが感想です。

4

わがままおぼっちゃんの成長物語

わがままで無自覚なおぼっちゃんが何もわからないまま下町の放り出され(しかも自業自得)、どうやって元に戻るかという物語です。
最初、ジルは嫌なやつなのでちょっとしんどいなと思っていたのですが、彼がどん底に突き落とされて、そこから必死で這い上がっていくところがよかったです。
それまで豊かさを無自覚に受け取っていたジルが自分を取り巻く環境に目を向けて成長していく変化が自然で、だからこそダニエルが彼に惹かれるのがよくわかりました。
攻めのダニエルはちょっと犬系ヘタレ攻の匂いがしたので、和泉さんにしては珍しいなと思いつつ楽しみました。

ダニエルとジルの恋愛は身体から入ってますが、それでも初々しくてうぶで可愛いなと思いました。
濡れ場はそう多くないけど、受のジルが素直な分、喘ぎとか台詞とかが妙にエロくてそのギャップも萌えました。

花小蒔さんのイラストがとても可愛くて、世界観に合ってるのもよかったです。

今回は悪役でしかないルネとヴァレリーについてまったく描かれていないので、次作「薔薇と執事」でどうなるのか楽しみです。
ルネがジルよりも数段嫌な奴なので、その印象が覆るかどうかが気になります。

4

世間知らずのおぼっちゃまが成長するところは良いのですが…

どうも萌えとまではいかない作品でした。

窮屈な毎日から、外の世界に興味があったジルは、イースターのお祭りの際、馬車の中から自分とそっくりな少年・ルネを見つける。

使用人に命じて、ルネを探し出し、三日間だけ御曹司ジルと貧しい暮らしをしている庶民の少年ルネは入れ替わる事となる。

初めて1人で街中に出るジルの事を、ルネの幼馴染であるダニエルが三日間世話をする事となっていた。
パリの街を三日間楽しんだジルは屋敷に帰ろうとするが、ルネは最初から戻るつもりなどなかった。

自分が本物のジルだと主張するも、取り合ってもらえず、自分という存在をルネに奪われ、途方にくれたジルはダニエルを再び頼る。しかし、騙されて転落して行くやつは世の中沢山いると厳しい事を言われる。

何もしないやつを家においておくわけにはいかないと、男娼になる事を勧められ、自身がそんな身の上になった原因に多少なりともダニエルが関わっているのなら、ダニエルに自分の初めてをあげるから、自分を見るたび罪を思い出せばいい…と身体を結んだ。

そこからジルはどうにか自身の居場所をルネから取り返そうと奮闘する。

大体このようなあらすじだったかなと思います。
どうしても読んでいて、ルネが好きになれず、またそれにあっさり騙されるジルもなんだかなぁとなってしまいもやもやとした読了感でした。

ルネが誰かに似ている…と思ったら明◯のナージャに出てるローズマリーでした。ああいうずる賢いタイプはどうも好きになれません。
肝心のダニエルとジルの関係もどうもイマイチ萌えませんでした。
生きて行くためとは言えダニエルの提案でジルとダニエルで美人局をしていたっていうのはいい印象はないですね。
自分がジルを抱いてみたら思いの外よかったから他のやつに抱かせたくない、そうだ女の服着たら女に見えるし美人局しよう身体売るよりましだよ!と言われてもどうももやっとします。

他人を騙してお金を稼ぐような受けより、自分の体売り物にしてでも生き残る受けの方が好きです。最終的にそういう覚悟までしてはいましたが、それでもあの美人局はちょっと…うーん。

あと、権力のある受けと庶民な攻めは好きなのですが、受けに仕事や身の振り方まで左右されるような攻めは心許なさすぎます。

自分とルネが入れ替わったとわかっていてそのままにした執事をルネと共に逃がしてやった所はなんだかなぁ…と。
私はあの執事もルネも現段階ではあまり、というか全然好きではないので好き合ってるからって一緒に逃がさなくても…と意地悪な事を思ってしまいました笑

執事も入れ替わったとわかっていていたなら、ジルがどんなにガキだったとしても本当の跡取りなんだからせめてお金をある程度持たせるとか、住むとこを都合してやるとか、そういうサポートくらいしてやれよ!となりましたがそうしてしまうと話が盛り上がりませんね。

ルネと執事に関しては続編で描かれるそうなのでそちらを読んでから総合的に判断かなぁと思いました。

が、現段階でははっきり言って好みの作品ではないです。
どの辺に萌えれば良いのか分からない作品でした。

3

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