台湾の人気BL作家が贈る、FBIを舞台にした本格心理サスペンス!!解説編・第2巻!!

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表題作ロスト・コントロール ~虚無仮説(2)~

ハイエル,藍の上司
藍沐恩,FBI捜査官

その他の収録作品

  • 番外編
  • あとがき

あらすじ

FBI捜査官の藍沐恩(ラン・ムーウァン)は先の誘拐事件で深く傷つき、その心の傷を誤摩化すため上司で相棒のハイエルとのセックスに救いを求めてしまう。ハイエルが未だに亡き妻を愛していることを知りながら彼と夜を重ねる藍。だが、未来を描けない今の関係を、胸に秘めた恋情ゆえに思い悩み……。そんな時、捜査中の事件の犯人からハイエルの恋人として、事件の関係者でもあるジュリアと藍が狙われた。そして、ハイエルは藍に命じる、"ジュリアを守るため、恋人のフリをしろ"と??…。台湾で人気のBL小説、感動の完結!!

Daria Series(ソフトカバー)

翻訳:黒木夏兒

作品情報

作品名
ロスト・コントロール ~虚無仮説(2)~
著者
蒔舞(シーウ) 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
シリーズ
ロスト・コントロール
発売日
ISBN
9784861346743
4.4

(77)

(56)

萌々

(10)

(6)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
15
得点
340
評価数
77
平均
4.4 / 5
神率
72.7%

レビュー投稿数15

幸せ過ぎて泣く。BL度急上昇の2巻。神。

めちゃくちゃ萌えた!面白かった!!

二巻は一巻ラストからの続きで、二人のベッドシーンから始まる。事件メインの一巻とは打って変わって二人の恋愛模様がメインになっていて、怒涛の萌えの供給に悶絶する。

今までは見えそうで見えなかったハイエルの内面がガッツリ描かれていて、より一層魅力的に感じた。過去が語られ、外側からじっくり迫っていったハイエルは、とても鈍くて愚かで不安定でたまに子供っぽくて人間味に溢れ、幸せを願いたくなるキャラクター。重い切なさが加わり印象は変わったが、カッコ良さは変わらず。一巻での強引さがフリになっていて、内側の弱さ脆さが見えるたびに胸が締め付けられる。ここに萌えもきゅんもありまくって好きすぎる。
藍は悩みながらも前に進もうとする姿がとても良かったし、自分でしっかり答えを見つける芯の強さを見せてくれたのにも感動した。

FBIとしてのお仕事もしっかり。明らかに私情を持ち込む場面もあったが、それに対する同僚の対応が笑えたり温かい気持ちになれたりするものだったので、逆にあって良かったエピソードになっていた。

何があっても最後まで自分で決めたことを貫くハイエルと、過去を抱えたままのハイエルを丸ごと受け入れる藍のハピエン。幸せ過ぎて泣きそうなラストだった。

番外編は笑える事件とラブがあって最高。すっかり気が短い嫉妬彼氏になったハイエルは職権乱用でむちゃくちゃやっていて、藍は愛される自信を付けたような余裕が見える。
本編の、緊迫感の中でお互いへの信頼が高まっていくだけでも最萌えシチュエーションだが、こうして緩急をつけてさらに楽しませてくれる構成が嬉しい。

本を閉じ、彼らの物語を終わらせてしまうのが寂しいと感じた作品。ずっとこの世界に浸っていたいと思った。

今のところ私の中の一番。推しとしてトップに固定しておきたいくらい好き。殿堂入り。神じゃ足りない。……ん~しっくりくる言葉が見つからない。とにかく好き!

0

NoTitle

二巻合わせた評価ですが一巻があまりに辛いのでこの評価、この作品だけなら萌2。

一巻は被害者が年少者な上にあまりにも呆気なく殺され死体は湖に放置、この巻ではBLらしくメイン二人がくっついたり離れたりするのですがそれを楽しむ余裕はあまりありませんでした。

ちなみに攻めが受けに落ちない理由が奥さんが殺された事とその時の遺言にあるのですが、重いのと同時に納得もしてしまい心から二人の関係を祝福出来ませんでした。

0

読み終えてからも本に思いを巡らす幸せ。

1~2巻まとめての感想です。

個人的に、事件ものとしても大変満足できた小説でした。
BLというカテゴリーにおいて、例えば濡れ場をメインとした作品もそれはそれで何も考えずに軽く読めていいのですが、読み応えとして物足りないのも確かで、読了後に深い余韻や思索へ誘ってくれる作品との出会いをいつも待ち望んでいるのが正直なところです。
そこへ、この物語。
探し求めていた一冊に出会えた!と読んでいて高揚感に包まれました。


陰惨な事件、トラウマ、主人公二人の関係性、周囲の人々。
それらすべてが複雑に絡まり合いながら物語は進んでいきます。
紙面から伝わってくる温度と湿度は低く、薄暗く光が仄かに感じられる程度。
寂寥感や孤独、心のなかに悲しみや痛みを抱えながらも日々を過ごしていく登場人物の姿は胸に迫り、そうやってどうにか生きているのだという在り方に心震えました。


FBI捜査官である上司のハイエル×部下の藍。
1巻は幼女誘拐事件を軸に話は進み、そのなかで登場人物の人となりや生い立ちが明らかにされていきます。
互いの心情(恋情)を吐露することはなく、あくまで仕事のパートナーとしてのやり取りが続きます。
ほんの僅か滲み出てしまう想いが切なく、ある種の諦念を含んだ言動も読み手の私にはもどかしくもありました。
1巻の最後、そんな二人が一線を越えるであろう場面で2巻へ。
2巻は少しずつベールを剥いでいくように、薄暗く感じていた物語のトーンが終盤にかけ段々と光を帯びていく過程が無理なく説得力をもって展開されていきました。
心の深い場所、誰にも触られたくない痛みを伴うところに互いを入れていくのは強い信頼や愛が必要であり、生真面目でストイック過ぎる二人が歩み寄り恋人となった姿に心から良かったとホッと胸をなでおろしました。


ハイエルは愛した妻(お腹に子どもを身籠っていました)を事件で亡くしており、妻からいまわの際の言葉が、私が死んで他の人を愛していいけれど「愛している」は誰にも言わないで、と。
この言葉を大切に守っているハイエルは決して藍に「愛している」を言いません。
でも、ハイエルは実直に言えない理由を藍に伝えます。
個人的にこのシーンがとても印象に残りました。
そしてここから先の番外編に至るや、執着嫉妬の恋するバカ男(褒めてます)になったハイエルやなんだかんだラブラブな二人の姿が読め、最後は楽しい気持ちで本を閉じることができました。


アジア圏の翻訳BL小説を初めて読んだのですが、とても印象に残る作品でした。
翻訳ということで、原文の文章の質や流れ温度感とは多少違うかもしれませんが、この物語にはぴったりの文体と温度感での翻訳であったと思います。
そして、挿し絵のyocoさんの絵もこれ以上ないほどイメージにぴったりで素晴らしかったです!

文句なしの神評価。

4

トラウマを抱え込んでいたのは…

ストイックだった1巻の反動からか、2巻では一気にBL萌えを刺激する展開になだれ込んで悶絶しそうだった。
もう、自分の顔がニヤケまくっているってのが見えていなくても分かったので、つくづく家の中で読んでいて正解だった…

遂に上司と部下の一線を越えてしまった二人だが、まだ心が通い合っているとは言い難い二人。
ハイエルが10年前に亡くした最愛の妻の面影を捜査中に出逢ったシングルマザーの女性に重ねていると思い、やるせない気持ちの藍。
藍が自身に向ける恋慕を掴んでいても、思い通りに身も心も任せないのに焦りを抱えるハイエル。

関わった事件自体は、容疑者ティム殺害についての真相はうやむやになっただろうし、切羽詰まった事情を知ってしまった限りシングルマザー・ジュリアが無事かどうか気になる。
ラストにて、藍が母親代わりのサムに感謝の意を伝える優しいエピソードがあるならば、罪の無い幼いリディアもどうにか無事でいてほしかったとスッキリしない点も残った。

母親の自殺を目撃した過去で、周りから心配されるほど危ぶまれていた藍が、自分を越える(脱却する)為の発想を掴んでいて芯の強さを秘めていたのに対して、この事件が結果としてトラウマの荒療治をなったのは実はハイエルのほうだった。
さすがにあれだけの凄惨さで妻を亡くす経験は簡単に克服できるものではないが。

たとえ亡き者に忠実であろうとしても、残された者が周囲の影響で心変わりしていくってのは誰も責めようがないし、生きていくうえで新たに大切な人を得るってのも大事な事だと思う。
なので、2巻でのハイエルが部下として側にいる藍に惹かれていくといった過程に関しては、個人的には申し分ない展開で満足している。
藍の身体をひとしきり抱きしめていても、自身からすり抜けそうに感じた瞬間に焦りを覚える様子や感情がいつの間にやら亡き妻への恋慕を越えていて、むしろほっとできた。
藍の良き友に徹したイアンにも、一生涯を共にできる伴侶ができてほしいものだ。

ちなみに、番外編としてこの二人の後日談も載っているのだが、本編のシリアスな雰囲気を180度覆すハイエルの意外すぎる一面に笑わされるとは思っていなかった。
ハイエルのあまりの砕け過ぎに巻き込まれるダンやアニタ達が気の毒になってくる(笑)
この小説に嵌った姐さんにとって更にニヤケる事間違いなし!!

3

2巻になってから急激に面白くなる

前巻感じた読みにくさは文章に慣れたのか、今回はそんなに気になりませんでした。
やっぱりたまに会話が迷子にはなってしまいましたが、躓いて流れが止まってしまう感はありません。

そして内容についても漸くBがLしてる展開になってきたので、こちらの巻はとても楽しく読むことが出来ました。
攻の悲しい過去についても明らかになってきて、彼がどうしてそんな風になってしまったのか、というのが分かります。
この辺りについてはあまりに切なくて、BLなのにうっかり攻とその奥さんの話が読みたいと思う程……。
そして攻を想う受の健気さがこれまた切なくて、傷つくことに臆病な受がいじらしい。
幼女失踪から起こった事件が1本の糸に繋がっていき、その過程で攻と受の関係もどんどん変化していく様子は読んでいてとても楽しかったです。
脇を固めるキャラも非常に立っていて、それでいて主役2人を邪魔しないように出来ているのも好感が持てます。
個人的には受の親友であるイアンでスピンオフでも読みたいところ。

話が進んでいくうちに攻のボロが出てきたというか、本来の彼の子供っぽさ、嫉妬深くて独占欲が強くて、まるで聞き分けのない幼児かというような性格も、なぜかイラっとせずに受け入れることが出来ます。寧ろこの幼稚さが普段とのギャップもあって愛しい……。
そして受の抱えていた心の闇が綺麗に晴れて、前に進んでいく姿が美しかったです。
過去を受け入れ止まっていた時計の針を再び進めはじめた2人が、この先ずっと幸せであることを望まずにはいられません。ごちそうさまでしたー。

1

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