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表題作会社は踊る

渡会創介 セールスプロモーション部社員
利光直 転職してきた編集部社員(28歳)

その他の収録作品

  • My Load and Master
  • あとがき

あらすじ

シンデレラの舞踏会みたいに、理想の恋も人生の喜びも、すべてが揃った舞台の名前は“会社"――!? ワーカホリックに陥り、体調を崩してしまった生真面目編集者・直が転職したのは、エンタメ系の出版社。転職早々社内イベントの運営委員長に選ばれて、破天荒なプロモーション担当者・渡会や、ノリのいい同僚たちに巻き込まれるように、仕事に、イベント準備に、はたまた恋に、走る・悩む・踊る!? エンタメの名手・鳩村衣杏先生が軽快なステップで紡ぐ、ネオ・シンデレラたちに贈るストーリー!!

作品情報

作品名
会社は踊る
著者
鳩村衣杏 
イラスト
小椋ムク 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA(メディアファクトリー)
レーベル
フルール文庫ブルーライン
発売日
ISBN
9784040661032
3.3

(44)

(6)

萌々

(12)

(19)

中立

(5)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
10
得点
140
評価数
44
平均
3.3 / 5
神率
13.6%

レビュー投稿数10

素晴らしいお仕事もの

いや~、鳩村さん初読みでしたが非常にレベルが高く感心しました。
お仕事もの大好きなんですが、ありがちなのは、お仕事描写しっかりしてるけどカップルの人間としての交流に関連してこないケース。
こちらは、恋愛がむしろサブかというくらい、お仕事上の絡みが人間関係にダイレクトに関係してきていて、その辺の構成がうまいな、と思いました。
強引なエピソードも無理な感情描写もなく、最後まで楽しんで読めた作品でした。

しかし、この攻め様こそスーパー攻め様ですね。こんな人がいたら、誰だって絶対”惚れてまう”に違いない。めちゃめちゃかっこよく、仕事が出来て、でも人間関係を潤滑にするために三枚目を演じている、そのくせ少し、ほんの少しだけ弱みをみせるときもある、自分を偽らず奢らず、誰からも頼りにされ慕われる。
いないよな。。。普通。。

2人の気持ちがだんだんと近づき、決定的なシーンになるときも、ありがちな展開ではなく、本当にくっつくときってこういう感じだよね、うんうん、甘酸っぱい、とリアリティを持って読めました。
しかし、ミュージカルからテーマをとったエピソードなど、虚構としてのエンターテイメント性はしっかりあり、なんかもうけなすところが1個もないなあ。
終わり方も映画のように余韻を残して好感が持てた。

今後作者買いするに違いない作者さんとなりました。

6

一味違うお仕事BL

鳩村衣杏さんお得意の、お仕事BL系のお話です。
新鮮なのは、仕事そのものよりも、仕事に対して(また人生に対しても)誰よりも積極的に、徹底的に、楽しみ味わう男の存在感を描いている所かな、と感じました。
主人公は、真面目で融通が利かない事で体調不良となり、前の職場を辞めた直。
社風が正反対の今の職場で、今まで接したこともないポジティブな男性渡会と出会う。渡会との会話や食事を通してあっという間に感化され、惹かれ、すぐに心にハートが飛び交っちゃう展開。
小説として考えると、ちょっと展開早い?って思うけど、実際人が恋する時や新しく知り合った人と仲良くなっていく時って、こういう風に加速度がつくものだと思うんですよね〜。だから逆にリアルとも言える。
惹かれながらも同時に反発を覚えはじめる直。この辺は男同士という所が影響してるのかな、変にプライドをこじらせる姿が描かれます。でもここがお仕事BL的に読んでて面白かった。
結局諍いのような流れにはならず、渡会の余裕と直の素直さであっさりと仲直り、からの〜初最後までH、となります。
Hシーンは、うん、こういうのもイイですね!直はとっても素直。いざとなるとどう感じているか、どう動いて欲しいのか、ちゃんと渡会に伝えています。
ラストは、社内の学芸会?「虎脳祭」のサプライズ演目、男同士のタンゴに挑む二人の控室。きっと皆の度肝を抜いて、伝説の虎脳祭になったことでしょう。

「My Lord and Master」
渡会視点。
虎脳祭で直と二人でダンスを披露しよう!と言い出しっぺした渡会。社交ダンス教室で練習を重ねるが、『男性役のリードに合わせてフォローする』感覚がつかめずに戸惑う…
一言で言うと、「スーパー攻め様の弱点見っけ」みたいな?
ところでHシーンが省略されてるんですよお。何たること?別にそこばっかり読みたいわけじゃないですけど、ですけど、ですけど…。
読みたかったですよー!

5

地に足の着いたロマンス

出版社を舞台にした素敵な作品でした。過度にロマンティックがてんこ盛り…というのではなく、社会人として頑張る日常で出会う、地に足の着いたロマンスとでも言いましょうか。導入部分の軽妙な会話劇から惹き込まれ、鳩村さんの小説は設定やキャラクターにブレがないので安心して読めるなぁと改めて思いました。

主人公の利光は前の職場でワーカホリックを拗らせて、出版社「トラフィック・ブレイン」に転職してきた若手編集者です。けれど、生真面目すぎる性格を持て余したり、これまでと違いすぎる社風に戸惑ったりする毎日…。ある日、全社イベント「虎脳祭」の運営委員に選ばれた利光は別部署の社員である渡会と出会います。「虎脳祭」の発起人であり社内外に豊富なネットワークを持つ人気者である渡会と触れ合ううち、利光の考え方も変わり始め…やがて二人の距離が縮まっていきます。

二人の出会い方から仲良くなる過程が、如何にもありそうだなーと思わせる素敵な社内恋愛という感じですんなり入ってきました。実際、私も過去に全社イベントの実行委員を経験したことがあるので尚更「いいなぁ」と思いました(笑) 社会人になって一緒に文化祭的なものを盛り上げる活動というのは面白いもので、他部署の人との仲良くなれて楽しかったことを思い出しました。

渡会から良い影響を受けて変わって行く利光がとても頼もしくて、エールを送りながら読みました。仕事に前向きな男性ってやっぱりいいですね。

3

攻め視点がもっとみたい

カップリング、ストーリーともにとても好みの作品でした。
鳩村さんのえがく、他に余計な要素のない会社員が恋愛をする、というシンプルで地に足のついた構成がとても好きです。恋愛半分、お仕事半分という感じですが、切り分けているわけでなくお仕事あっての恋愛、という感じです。

相手が自分より仕事のできる人で、仕事で助けてもらうとプライドが刺激されてムカッとなってしまう、というのは男性ならではでないでしょうか。
主人公の利光は転職してからまだ日が浅く、会社で認められようと必死な真面目で可愛いキャラクターでした。

攻めの渡会はかなりオールマイティになんでもこなし、スキがなく誰からも信頼されていて頭の柔軟なイケメンさん。交流関係も広く、主人公が頑張って探し当てて行った同業者の交流会にすでに居たり…、
利光が認められようと頑張って行う仕事のあれこれ全て、渡会が先にいて手を回しているのですね。
自分がお釈迦様の手のひらにいた猿のようだと虚しく落ち込む気持ちがわかりやすくて共感しやすかったです。

しかし、ゲイでもない利光がそれでも彼に惹かれていくのはやはり渡会がとても魅力的だから。
付き合うまでの困難はそんなにありません。どちらかというと付き合ったものの、出来過ぎな相手に自分がペースを合わせられない、というお話でした。

起承転結の転にあたる部分は薄めかもしれません。おまけが入っているため、本編だけだとあまり長いお話ではなかったのでもうちょっとひねりがあっても良かったかも。というか、組み合わせがとてもツボだったため、もう少し長いのが読みたかったという本音です。

ツボにはまったのですが、評価を4にしたのは、渡会がさすがにあまりに出来過ぎでも少しリアリティがあっても、というかどこか欠点があってもいいのではないかと思ったからです。
片方が出来過ぎてると、なぜこの人は自分に恋をしたのか?というバランスが取りにくいきがします。

いっそ海外セレブもので貴族でお金持ちでイケメンで社長で…てくらい現実感がないと気にならないのですが、一般の会社員で、仕事が出来てイケメンで顔が広くて交流会を発足するくらいフットワークがあり、会社でお祭りを企画したりで上司からも部下からも信頼され尊敬され悪口を言う人なんて誰もいない…
ほんとにそんな人が誰からも妬まれずに存在するのか、と疑ってしまうのは自分の心が荒んでいるからか^^;

一会社員として、利光の感じるもやもやはわかってしまうのでした。
そのため、渡会に何かしら親近感が湧くようなポイントがあればよかったと思います。最後に入っていた攻め視点のお話はかろうじて…という感じでした。でもページ数が少なかったのが残念です。
渡会からみた利光は、利光視点で見ているときよりもっと可愛くて、もっと攻めからみた受けが見たい!と思ったお話でした。

3

純粋に楽しめた

去年の今頃も、今年もこの季節、この作品のことを思い出しました。春だからですかね。
主人公の直くんが前職でワーカホリックに陥って体調を崩し、転職した先で出会った創介さんとのお話です。
タイトル通りお仕事のお話なのですが、ありがちななんとなくイメージでつくられたオフィスラブではなくて、きっちりお仕事のお話(会社内の社員イベントがメインですが)が描かれていて楽しかったです。
大小さまざまな会社で働いて何度か転職を経験した自分でも不自然に感じる部分がありませんでした。社内イベントが好きな会社に勤めていた時に自分自身が感じたことも描かれていたりして、更に楽しめました。
そのキャラクターとポテンシャルを生かして、いわゆる「社風」すら変えてしまった社内の有名人、創介の言葉がイチイチ前向き。それでも不快感を覚えない。
「何が来るかわからないから楽しい」「何が足りないか考えるのではなくて、ゼロか百に振り切ってどちらかに完全フォーカスする」これって、どんな仕事でも少し行き詰ったときに光が見える言葉ではないでしょうか。
もちろん彼の弱い部分にも触れられています。
対して直くんも、転職の経緯から始まって、社内イベントに図らずもどっぷり参加するハメになり自分を取り巻く世界がどんどん変わっていく様子がとても楽しかった。
創介が人気者で誰にでも優しいことはもちろんわかっていながら、自分が特別視されていないのでは?と感じてがっかりしたり、劣等感を抱いたり。それでも「人に甘える」とか「違う物を受け入れる」とかそういうことがわかってきて成長していくところもすごく共感できました。
両思いになった後に色々とあるんですが、これも決してよくある「当て馬」的な人が出てきたり、女がひっかきまわすとかじゃなくて、直が仕事で成長していく過程の中での話なのでこれもまた統一感がある。
逆に最後に創介目線のお話もあって、ここでは創介自身が甘えられていなかったことがわかったり。
甘いところも随所にあって、確かに攻め様はカッコよくてスーパーだけど、ちゃんとギブ&テイクな関係になっていけて理想的でもありました。
社会人の人は特に。5月のこの季節にぜひおススメな作品だと思います☆

2

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