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あんたが俺だけに我が儘を言うってのは、いい気分だ。
異世界系大嫌いだけど横文字登場人物がメイン二人しか出てこないから読めた。だいぶ軽い話。思った通りに話が進んでいく。電書セールじゃなかったら⭐︎3くらい。何も残らないんだもの
前作「されどご主人様」のスピンオフ作品。
町のパン屋のホルガーは、毎晩硬くなった安いパンをあえて買っていく魔法使いローテルに腹を立て、
半ば強引に夕食に招待するーというはじまりです。
前作とのつながりは、けっこうあるので、前作を読んでいた方がより楽しめます。
ただ、主人公は違いますし、直接的には関係がないので、こちらを読んで気に入ったら、されどご主人様を読んでもいいのかなーという気もします。
物語は、攻のホルダー視点で語られます。
なかなか、攻視点で進んでいく話というのも珍しく、かといって入り込みにくいこともなく、受のローテルの無機質な魅力や、悲しい過去が存分に描かれていて、一気に読めました。
彼はパン屋なので、せっせとパンをかまどで作るのですが、それがまた美味しそうで…深夜に読んではいけない種類の本ですね(笑)
ローテルは、人間味を一切失ってしまった、ロボットのような魔法使いで、
食べ物を「食べられるか、食べられないか」としか判断しないような人です。
その彼が、ホルダーと夕食を共にするようになり、数々の荒波を乗り越え、
感情を取り戻していくラストは、ついうるっときてしまいました。
またウノハナ先生のイラストが素晴らしい。ファンタジーの背景もきちんと書き込んで下さるのはありがたい。とくに扉絵の、不思議で切ない空気感といったら…!ぜひごらんください。
ウノハナさんの描く、魔法使いのロテール(受け)が
表紙から素敵すぎてハートをガッチリ掴まれました!!
流れるような黒髪と華奢な体躯に、魔法使いの衣装がとってもお似合いです。
魔術を生業とし、友人もなく、笑顔も見せず、
淡々と日々を過ごしているロテール。
寡黙でクールな彼ですが、誠実で、弟思いな一面を持っています。
そして人との接触がないせいか、世間知らずで色々ズレているのが可愛いんです♪
自分の抱く気持ちにも鈍感で「これは、○○って気持ちなのだろうか」と
いちいち首を傾げて、真剣に悩んじゃうところが笑いを誘います。
こういう生真面目系の天然って、なんとか笑顔にしたくなっちゃいますよね。
最初から、ホルガー(攻め)ガンバレ!と全力で応援してしまいました☆
客と店主として二人は出会います。
毎日、ホルガーの店で、前日の固いパンを買うロテールと、
何とかもっと美味しいものを食べさせたい、と思うホルガー。
なかなか心を開かないロテールを、怯えさせないよう怖がらせないよう、大きな体でこまやかな配慮を重ねるホルガーが微笑ましかったです。
その努力が実を結び、やがてお酒を酌み交す仲になります。
酔っ払っちゃうロテールはとっても色っぽくて、ここは必見です!
ロテールは魔法使いなので、壮絶な過去もあり、危険な仕事も引き受けます。
それが心配で仕方なく、ハラハラしちゃってるホルガー。
友人以上ではあるものの恋人ではない、もどかしい雰囲気が良かったです。
ある時、ホルガーが疫病に倒れ、生死をさまようことになります。
その特効薬としてロテールは、自分の大切な存在であった故人(有角人)のかたみの角を迷いなく差出し、ホルガーだけではなく、村人全員の命を救います。
それまで仙人のように欲のなかったロテールが、生まれて初めて、死にかけたホルガーを助けたい、ボルガーに愛されたい、と、切迫した希望を抱くところは胸が熱くなりました。
真面目なロテールは、H方面はお堅いのでは?というのも杞憂でした。
ベッドではとても素直で可愛くて、世間知らずちゃん最高!でしたね(笑)
このギャップはとっても嬉しかったです(*´ω`)
有角人の角を入手した経緯の回想部分も、
幼いロテールの心にどんなに深い傷を残したのだろうと考えると胸が痛み、なおさらホルガーに出会えて良かったな~と心から思えました。
さりげなく気遣い合い、支え合う、こういう距離感が二人にはお似合いです。
食の喜び、人を愛する喜び、そして愛する人に愛される喜びを知ったロテールですが、その後も態度が変わらず、最後まで口調もツンツンしたままなのが痛快でした(笑)
そんなブレないロテールさん、心の中は幸せが満ちているのが伝わってきますよ♪
とっても素敵なお話でした!
イラスト効果も含めて神で!(*^^)v
「されどご主人様」スピンオフ。前作の主人公であるカレルの兄弟子・ロテールが主役を務めます。
親から引き継いだパン屋を経営しているホルガ―は職人気質のパン職人。自身の仕事に誇りを持ち、お客様に美味しいパンを提供しようと努力しています。しかしホルガ―の客の中に一度もまともな味のパンを食べたことがない人がいました。毎晩店を訪れて、前の日のパンを買っていく青年です。常連客の話から、その青年の正体が魔法使いのロテールと知ったホルガ―は悪戯をしかけますが、成り行きから夕飯を奢ることに。食事の席で話をしていくうちにロテールは生きていくのに最低限食べられればいいと、食の味には拘泥していないことが判明します。ロテールにとって食事は生存のための糧にすぎず、楽しむ行為ではなかったのです。そのような考え方の根底には貧困ゆえに魔法使いに売られた体験がありました。生まれたときから町暮らしのホルガ―にとっては衝撃的な事実でした。
その夜以来、ホルガ―はロテールを放っておけなくなります。ある日魔法使いの仕事に夢中になって食事を取らず倒れてしまったロテールを介抱したホルガ―。面倒見のいい彼は毎晩一緒に夕飯を食べようとホルガーに持ちかけます。毎日夕食を共にすることで二人の距離は近付き、ホルガ―は徐々にロテールに惹かれていくのですが…。
「食」が物語のキーワード。椹野作品では登場人物が美味しそうに食事を取る場面が多いですが(そのものずばり料理店を舞台にした「にゃんこ亭のレシピ」シリーズもあります)、ただ美味しくいただくだけではありません。「食」は「生」と直結しています。「食」によって「生」を充足させるということはその裏返しである「死」も考えさせます。椹野作品では「死」が身近な題材として扱われている作品(「奇談」・「鬼籍通覧」・「ネクロマンサー・ポルカ」等々)が往々にしてありますが、そのような作品群でも食事の場面が描かれています。「食」を楽しむことは「生」を楽しむことであり、同時にいずれ訪れる「死」を意識させます。そこで描かれる「死」は過剰に恐れたり忌むものではありません。
本作のロテールは食事の喜びを知らなかった。その理由は幼少期の極貧が関係していますが、手に職あってお金を稼いでいる現在ならば食事を楽しむ金銭的余裕も気持ちの余裕もあります。それでも「食」の本当の意味を知ろうとしていませんでした。そのような在り方では生きることの本当の楽しみも分かりません。ロテールは他者との温かい交流もなく、心通わせられる相手もいませんでした。ロテールにとっての「食」が生命を維持させるための行為であったのと同様に、ロテールの「生」はただ心臓を動かして呼吸しているだけの生命活動にすぎなかったのです。しかしパン屋のホルガ―との出会いによって、ロテールは「生」の本当の喜びを知っていきます。
物語の中盤ではロテールが竜退治で怪我を負ったり(詳細は前作に描かれています)、後半では疫病が流行ったりと「生」と「死」がより意識させられる物語でした。
なお余談ですが、本作の舞台は街。前作では村が舞台だったので、同じ世界観でしたが、だいぶ雰囲気が異なりました。作中でホルガ―がロテールとカレルがいる村を訪れたとき「まるで別世界に迷い込んだような気分」になったり「おとぎ話みたい」と評するように、魔法が息づく国でも村と街の差はやはりあるのです。
前作【されどご主人様】の中に出てきた無機質、美形の兄弟子。…何故かパン屋さんに背負子でお持ち帰りされてるのが、ヒジョ~に気になってました。
あの前後にこんなほっこりしたお話しがあったんですね。身体健全、人情味あふれるホルガーと理路整然、情感ゼロっぽいローテル、温度差ありまくりのズレた会話が面白いです♪二人とも立派な大人のはずなのに、心を寄せ身を寄せるまでのもじもじ感もたまりません!…ほんわか泣けてくるんです(・_・、)
それにしても、椹野先生のお話しは、どれも読んでるうちにお腹すいてきます。美味しいもの食べた~い!豪華ディナーとか、スイーツ系ではなくて、お家ご飯!!ホルガーさん、うちにも来て欲しいですぅ~!!!
あと、椹野先生入力する時に、漢字変換でお困りの方、椹は(さわら)で検索すると出て来ますよ~♪