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気になる人を目で追ってしまう、気になるのは好きだからだって気付く、好きになったら接点を持ちたくなる、接点を持ったらもっと相手を知りたくなる、そして好きって言いたくなる…
人を好きになるという普遍的な感情は誰にもあるもので。
ただ同性同士だと好きになったことすら簡単ではなく、相手がノンケなら尚更なわけで。
んー久々にこう、初心にかえるというか、BLを読む醍醐味ってここにあるよなぁと感じる作品に出会いました。
偶然も三度続けば運命だわ…
とかドラマティックに考えたくなるけど、この作品はあくまで淡々と丁寧に進んでいくのもいいですね。
ゲイカップルの2人もいい。
男同士の難しさ、しかもノンケ相手となればその難しさは…色々経験済みなのでしょう。
亨くんをけしかけるでもなく、諭すでもなくただ親身に耳を傾けている様子がとてもいい。こういう頼もしい味方がいると心強いだろうなぁ。
ラストの方4人が2対2でテーブル囲んでいる様子になんとも言えない幸福を感じました。
…それにしても作者さんの
オーバー40男性の色気はすごいですね。クラクラしちゃいます。
その人が笑っていると自分も嬉しい。
一緒にいると気持ちが弾む。
幸せでいてほしい。
そんな柔らかな想いがbasso先生特有のリズムと間(ま)で淡々と染み込むように刻まれます。
それはときに若さとワクワクをともない、ときに大人の寂しさを呼び込みながら。
新幹線乗り場で偶然出会った亨くんと誠さんが少しずつ日々を重ねていきます。
亨くんは気になる人ができたことで「男の人に惹かれる」自分に気づき、毎日はちょっとずつ嬉しさを纏うようになりましたが、想いを告げたところ、誠さんからの連絡は途絶えます。
誠さんが社畜で「じぶんのために泣いてくれる人がいる」ことを知らなかったのが私にとっては最大の寂しさでした。
どれだけ心削がれる働き方をしていたんだー!
1度はフラれたものの、誠さんが心配なことにかわりない亨くんが「辞めなよ」と言わない思慮深さに唸ってしまいます。
言いたいけど、誠さんが「辞めたいなんて思いたくない」ことを知っているから言えない。
もの哀しく向けられた背中に手を伸ばせないから、行き場を探した思いやりが涙になって溢れてしまう。
コマとコマの間から亨くんの優しさが滲みます。
誠さんの亨くんに対する言葉や表情もストレートでごまかしのない人となりがうかがえます。
連絡を絶った理由も亨くんを思いやるものです。
だからこそ終電をまたぐ「もう一杯」をオネダリする誠さんの仕草や表情の余韻に色気が漂う~!
亨くんの小学校からの親友ツッチーの会社の先輩:リュージさんとそのパートナー瀬谷さんがまた素敵なのです。
彼らが亨くんの話し相手になっている時に紡ぐ言葉は彼らのこれまでを投影しているようでした。
辛い恋もしてきたのかな、、
このふたりのお話も是非、読みたいものです。
【後日談】
亨くんとうまくいった誠さんのお披露目…ということでリュージさん、瀬谷さんと4人呑み。
年のことをバラされてスネる表情のリュージさんがめっちゃ可愛い!
自分をおじさん呼びする誠さんも可愛い!
亨くんと誠さんの仲睦まじい様子を見て安堵するリュージさん瀬谷さんの表情がなんともいえず、また、彼ら2組のアイコンタクトがとても幸せな気持ちにさせてくれます。
一目惚れしたことにゆっくり気付いていくお話。
京都駅の新幹線ホームで、偶然となりに並んだ見ず知らずの他人。
斜め前の席に座ったその人の、椅子の隙間からのぞき見えた横顔の、口いっぱいに頬張った、頬のふくらみが目に焼き付いて、
次の週には、また会えないかと期待して、うまいこと隣に座ってもらうこともできて、意識は全部隣に座ったその人に、
この、ドキドキはもしかしたら、、、。
偶然出会った人に惹かれたことから、自分がゲイなのではと主人公の亨は気付きます。
相手は見るからに仕事に疲れた、やつれた中年のおじさんですが、亨の目を通すと、口の中の食べ物のふくらみがすぐにわかってしまう薄い頬も、張りのない俯いたうなじも、乾いた感じの細い指も、特別な物に見えるのです。
この後に続く、静かで誠実な展開が凄くいい。
この二人、ちゃんと恋愛として付き合うようになるのですが、最後まで全くエロ描写はありません。
でも、それでいい。
それがいい。
大人な二人がちゃんと恋愛している。
それで十分。
恋の初心、BLの初心に戻れるような、作品でした。最後までとても温かくて、静かに2人に寄り添って読むことができました。まず、2人の関係の始まり方が本当に素敵。駅のホームでたまたま隣に並んで、車両の中では前後の席で。1度目は赤の他人のまま、2度目に遭遇した時も、会話はするけれどまだ他人のままで。2ヶ月経って再び出会って、やっと他人という関係から抜け出して、お互いをちゃんと認識し合うんですね。その間に亨は自分が同性を好きなこと、そして、誠さんを好きになったことを自覚する。
亨目線で物語が進むのですが、彼のほんの些細な考え事が言葉になっているシーンが多く、これもリアルでいいなぁと思いました。誠さんに対する気持ちの変遷だったり、駆け引きだったり、彼の考えていることを丁寧に辿ることができるんです。恋をした時って、こういうこと考えちゃうよなぁと、とても共感できる。一方の誠さんの表情も、本当に魅力的。人生経験と哀愁が刻まれたシワが、男らしくて、同情を誘って、色っぽいんです。分かる人には分かる魅力なんでしょうね、きっと。
ブラックな会社にも関わらず懸命に働き、社長にお酒をかけられた時すら、亨に愚痴を零さなかった誠さん。心の中では疲弊しきっていても、他人を思いやる気持ちをどんな時も絶対に忘れない人なんですね。そんな彼のことを想って涙を流した亨が美しく、それを見て涙を堪えきれなかった誠さんがまた美しいと感じました。新幹線で偶然出会い、まだ数回しか会ったことのない2人なのに、この短期間でお互いがこんなに大切な存在になっていたんだなぁと。亨が心から恋を楽しみ、誠さんも生きる活力に満ちた日々を送れるよう祈っています。
横浜に住む亨が趣味で競走馬の写真を撮るが
お気に入りの馬は関西馬が多く、
京都に行った帰りのホームで見かけたサラリーマン誠に
なんとなく気になって目で追い新幹線の中でも気が付いたらずっと観察。
名前も知らない年上サラリーマンを気にかけ
”自分は男性が好き”だと確認を持ち
友人に紹介してもらったゲイの滝野に相談に乗ってもらい
”中学生のような見つめてるだけで幸せな恋”を
満喫する亨がとても可愛かったです。
誠さんと偶然の出来事から話すようになり
一緒に飲みに行く関係にまでなって
”見ているだけでいい”から”一緒に入れるだけでいい”となり
そして気持ちが溢れて想いを伝えてしまう亨が
もぉぉぉぉぉ尊い!!!
誠さんの亨を否定しない優しさも
距離を置いてもやっぱり誠さんが気になっちゃう亨も
全てが切なく愛おしかったですね!!
偶然見かけた誠さんの後を追って
いつも降りる新横浜を通り越して東京で降り
亨が泣くシーン、そしてその亨の涙(優しさ)に誠さんが泣くシーン
・・・・たまりませんでした。
誠さんが自分の事を「おじさん」って呼ぶのが
めちゃくちゃ可愛かったです♡