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初っ端からボケててゴメンナサイ。
いやあ、タイトルとあらすじからすっかり『(所謂もふもふ系?)ファンタジー』だとばかり思ってたんですよね。
『なんか最近、このテの多いな~(特に、個人的にファンタジーが好みなので余計に偏るんですが)』と読み始めたんですが、1ページ目から・・・アレ?
そうなんですよ。『犬です』っていうのは、単なる口実だったんです。
そうか『魔法』『リミット』ってそういう意味だったのね。てっきり文字通りの『変身・恩返し』系統だと思い込んでました。
しかも、ギャグっぽいコメディかと言えばまた全然違う。
コミカルな部分がないわけではありませんが、ちょっと切なさも入ったほのぼのストーリーでした。
ここしばらくに読んだ中で、ここまで読む前に持っていたイメージを覆された作品はありません。←完全に、私が勝手に思い込んで勝手に外されただけなんだけどさ。でも『外れてガッカリ』ではまったくない。
名家の跡継ぎとして生まれ育ち、研究開発の仕事に没頭していながらも『30になったら婚約者と結婚して家を継ぐ』ことに特に不満も疑問も感じていないような周防(攻)。
それが、妹に『やり残したことはないのか』と訊かれて、何もないと思ったもののなぜか数年前に会った少年が浮かび・・・←ここの動機はちょっと曖昧だな~。
期限まで2箇月のある日、その少年(とは言うものの実は当時20歳だった)陽向(受)を訪ねた周防は、雨の中で酔った陽向と出くわして、思わず『陽向に助けてもらった犬で、犬神に人間にしてもらって恩返しに来た』と言ってしまうんです。
咄嗟によくまあそこまで突飛な発想が・・・
失恋して泥酔していた陽向は、周防のいい加減極まりない出任せをあっさり受け入れて自宅に上げますが、翌朝には何も覚えていないんですね。
周防は、1箇月と期限を決めて陽向と過ごすことにします。
しかし『陽向の望みを叶えたい』とは言っても、浮世離れした御曹司の周防に(ごく普通の庶民の家で)できることなんてなく、それどころか自分の世話さえろくにできない。
でも、その『何もできない・知らない』ところが、逆に『犬だから』に信憑性を与えることになったりして・・・
もちろん、酔いが醒めた陽向は『周防が犬だ』なんて信じちゃいないんですが、それでも、チラッとでも『まさか・・・』と考えてしまうくらいには。
なんとなく異文化コミュニケーションのような生活が続いて、肝心の(?)ラブ面はなかなか進展しません。
2人とも20代の大人とは思えないくらい初々しいんです。読んでるこっちが気恥ずかしいわ!
イヤもう、とにかく可愛いんですよ。
周防の正体を知らないままの、なんともほのぼのな日々。そして、期限直前に正体がバレた周防が姿を消して1箇月・・・
周防が真正面から『霧島周防』として陽向に会いに来て、(直接じゃないけど)好きだと告げて~というところでとりあえず表題作は終わります。
この時点ではまだ出来上がってないんです。心も身体も。
そして、続編(短編)『魔法が解けても』
表題作ラストから半年後。ようやく・・・
こちらではHしてます。
う~ん、確かにこの上なくご都合主義には違いないんだけど、それでも綺麗なハッピーエンドです。
全体に、キャラクターもストーリーもどこかふわふわしていて、リアリティをまったく感じません。そういう意味ではまさに『ファンタジー』かもしれない。
でも、こういうキャラクターはそれはそれですごく好きです、私は。
限りなく甘くてヌルいかもしれませんが、それでも面白かったです。
極めて個人的に、今年の真崎さんで1・2を争うくらいよかったですね(もう1作は『嘘つき王子と花嫁候補』←なんかやたら好きなんだよ!)。
と言いますか、それ以外が・・・(あ、でも『幼妻はコスプレメイド』も結構よかったな。あとは全滅だった)
なんとなく、モフモフシリーズの新刊かと思いこんでいたら、違ったのね。
って、そもそもレーベルが違う事に気付って話なんですが。
お話の大筋というか、モチーフは「ローマの休日」。
財閥の御曹司・周防=王子様が、結婚前の最後の自由の日々を過ごすお話。
財閥継承者として育てられ、またそうなることを受け入れていた周防が、自分の好きな研究生活を離れるリミットを目前にして、妹にそそのかされます。
そして、唯一の心残りだった、祖父の遺産の植物園をひっそりと守っている陽向に会いに行くのですが、、、。
陽向に会って、周防は自分の身分を隠すために、つい、自分は「犬」だと、恩返しにきた「犬」だと名乗ります。
そのまま、陽向の所に住み着いた周防と陽向がおくる期限付きの日々。
陽向も周防も、二人ともある意味全く世間ズレしていないので、いい年をした大人同士が初めての恋にドギマギしていても違和感ありません。
ハードなエロや、シリアスな痛さもイヤな奴も出てこない、こういう、穏やかで幸せなラブファンタジーもいいものです。
大企業の御曹司で次期総帥の攻めが一風変わったロー○の休日もどきの1ヶ月を
過ごす日々で共に過ごすことになった人見知りな受けと暮らすことで様々なことを
体験し、初めての恋も経験するお話です。
大企業の御曹司の周防はかなり浮世離れした感じで、かなりの箱入りみたいでした。
いくら御曹司でもこれはかなりのレベルで、きっとどこぞの王子様と変わらない感じ。
そんな周防は、30歳になると同時に結婚し家督を継ぐ立場なのですが、
現在は一族の研究所で研究者として過ごしているのですが、30歳まで2ヶ月を
切ったところで、研究職を離れ、家督を継ぐ準備に入ることになるのです。
そんな時に妹から名作だからとロー○の休日のDVDを手渡され、何かやり残したことは
無いかと言われ、ふと思い出したのが過去に1度会っただけの嵩原植物園の日向。
周防の研究に必要な植物を用立ててくれたりと嵩原植物園には世話になったこともあり
そのお礼に援助を申し入れても受け取ってもらえなかった過去があり、
その園長だった人も亡くなり、今はその孫の日向が一人で切り盛りしていると知り、
何故か家督を継ぐまでに自由に出来る1ヶ月間をそこで過ごしたいと思ってしまう。
どうやってお邪魔させてもらおうと思っていた時にその日向が泥酔しているところに
遭遇し、過去に1度屋敷の犬を助けてもらったことを思い出し、咄嗟に自分は犬で
恩返しにやって来たと告げてしまう。
もちろん翌日素面になった日向はそんな話は信じていないけれど、どこか浮世離れして
世間知らずな周防を追い出すことが出来ずに1ヶ月過ぎれば犬に戻れるという言葉に
自宅に居候させることになります。
お金の使い方も衣服のサイズがあることも一般的な常識が無くて浮世離れしすぎ、
その相手の日向も人ごみや大勢の人が苦手の人見知りで、ふたり共恋愛的にも
かなり奥手で、自称犬の周防と日向の日々が始まるのです。
周防にとっては誰にも邪魔されることなく自由に出来る1ヶ月で、その中で日向と
いることで今まで感じなかった感情も芽生えて行く感じです。
周防は由緒正しい躾の行き届いたワンコみたいで、素性がバレて誤解された後も
誠実に日向への好意を日参して告げる流れです。
エロは書き下ろしに少しあるのみですが、穏やかでどこかロマンチックにも感じられる
穏やかに愛情が育つような優しストーリーでした。
なんだか異世界のお話を読んでいるよう。
いえ、どう読んでも日本の現代ものなんですけど、たぶん周防(攻)の家柄とかしきたりのせいかなぁと。
読み始めてちょっと混乱してしまったわけですが、これ、あらすじと冒頭の視点が違うんですよ(泣)
なのであらすじ読んで「わー、犬だという周防って男は何モンなのかな~」なんて読み始めると、冒頭数ページで盛大にネタバレを食らいます。
もしかして擬人化のファンタジーものかなぁ?なんて期待も、ここで木っ端微塵にされちゃう。真崎先生=もふもふイメージがありまして(笑)
お話は可愛くて、ふたりとも誠実ないいキャラクターなのに、あらすじが駄目すぎて悲しい。
お話はひらたく言えば、浮世離れした周防と、孤独に生きる陽向(受)のじれったい恋愛もの。
本当にじれったいんです。本編では「好き」という感情までははっきりしているのですが、完全にくっつくいていないので…
(え、ここで本編おわり!?と少し焦りましたよ…)
本編で完全にくっつかないなんて!と思いながらも、その本編が面白かったです。
周防は一般人なら知っているであろうことを全く知らない、できないキャラクターなのですが、それが「もしかしてこいつ本当に犬なんじゃ?」と陽向に思わせる説得力があるというか。
普通に考えたらありえないことなんですけど、確かに周防の行動は突飛すぎて、同じ時代に生きる日本人と思えないんですね。
だからこそ、やっぱりあらすじに反して冒頭数ページで食らうネタバレがもったいないというか!
あらすじ、どうにかならなかったんでしょうか……本当にお話は可愛くていいんですよ。
読んでてムカムカするような嫌なキャラクターもいませんし。
じれったくて可愛いお話が好きな人にオススメです。