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表題作東方美人

KGB諜報員 アレクセイ・ヴァシーリヴィチ 29歳
上官 エーリク・サエキ 30代半ば

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

KGB情報員アレクセイは美貌の上官サエキに惹かれ…。旧体制時代のドイツに咲いたドラマティックロマンス、完全文庫化!

作品情報

作品名
東方美人
著者
かわい有美子 
イラスト
雨澄ノカ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
東方美人
発売日
ISBN
9784344830332
4

(39)

(15)

萌々

(17)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
5
得点
156
評価数
39
平均
4 / 5
神率
38.5%

レビュー投稿数5

東西冷戦期を生きるロシア諜報員二人の葛藤や生き様を書いた物語

舞台は西ベルリン。論文でも軍事記録でもなく、小説という作品で当時の東西冷戦の時代背景を描いた表現は十分すぎるほどで、執筆に至るまでのかわい先生の事前準備は相当なものだったとお察しいたします。私とかわい先生はおそらく同年代と思いますが、一応平和な日本に住まいながらも、冷戦当時は漠然とした不安を感じており、しかし、当時想像していたよりは早くベルリンの壁が崩壊し、冷戦終結となったわけで、その激動の数年は私の人生の中で未だに最大の出来事です。半世紀生きてきて、ベルリンの壁崩壊のニュースは、希望を伝えるニュースで唯一私が震えたニュースで、未だにそれを越すものはないです。当時国家に翻弄されいとも簡単に存在を消された諜報員も数え切れなかっただろう時代、そこでこの作品の主人公たちが自分の生きる正しい道を選んだこと、二巻途中からは涙が止まりませんでした。

0

キャラの魅力に惹かれて…

一言で表せばとても美しいイラストにマッチした、落ち着いた物語です。

ストーリー的には続刊があることから、謎が未だ残された終わり方なのは仕方ないかもしれませんがそれを差し引いても次への続き方が少し中途半端な気がしました。
しかし、登場人物が魅力的で、少し冷たく謎めいた雰囲気のあるサエキが優しく誠実なアレクセイに心を開いていく様子は細かく描かれているので分かりやすいと思います。
(特に、サエキに忠誠を誓う際のアレクセイの行動が個人的にすごく好きでした。)

海外モノで尚且つ国同士の裏事情のあるお話が舞台になっているのが好きな私にとっては続きも読んでみたいと思える作品でした。

4

無茶なミッション

スパイものです。あとがきにもあるNATO少佐の有名漫画を読んで育った世代としては、わくわくする設定でした。「東方美人」なんて何だかベタなタイトルも楽しいです。2巻まで読んだんですが、この1巻の見どころとしてはなんといってもホモのヒヒジジイ(NATO役員)に嬲られる美青年スパイ(受け)と任務としてそれをカメラに収める男前スパイ(攻め)のシーンです。そんなエロいミッション本当にあるのか(笑)

切なくて可哀想なシーンですがBLとしては一つの萌え設定なわけで・・・これかわいさんなのでこのシーンはぼんやりとした表現に留めてますが、これが水原とほるさんあたりなら美青年が変態エロオヤジにどんな風にどんな体位で嬲られたかこと細かに具体的に書かれ、むしろそれがメインみたいになるんだろうななんて思ってました。うーん、そういうバージョンのお話も読んでみたい。・・・感想が変態方向に脱線してすみません。

かわいさんの場合はその事件をきっかけに主人公達二人が相手を思いやり、絆深まるといった感動的な方向に進んでるのでそれはそれで萌えました。

4

ノスタルジックなスパイロマンス

東西冷戦時代の懐かしいテイストのスパイもの。

かねて読みたいと思っていたものの、読みそびれていたのですが
先ごろ非BLの傑作BLを読んで魂を持って行かれ(※)
なんとなくモードがこっち系統になっていたので、入手。
未完だった作品がに文庫版として完成版が出たもの、
旧版は未読です。

          ☆  ☆  ☆

東西分断の壁がまだあった時代1980年代のベルリン、
主人公二人は、名高いソ連のKGB諜報員。
海軍からの移籍でこの街にやってきたアレクセイと
彼の「調教師」(指導官)で美貌のサエキ。

テーマや雰囲気に合った硬質な文章で、当時の世界情勢や
共産圏の生活、ベルリンの情景が綴られていき、
キャラは敵(?)や脇役に至るまで面白くて魅力的。

まぁ、ずっとソ連で育ち軍人だったアレクセイが
こんなに簡単に新しい理念に染まるものか?とか
スパイの面々の仕事ぶりは、BLクオリティだよなぁとか、
エスピオナージュとしては喰いたりないのは確かなのだが、
求めるべきと味わうべきはそういうことではないのだろう。


複雑な育ちと人生の中、誰も信じることない孤独なサエキが
アレクセイの健やかな懐の深さに惹かれ、
少しずつ変化していく様、二人の関係こそが読みどころ。
うっすら主従萌えの色合いも。

アレクセイのコードネームは愛の守護聖人バレンタイン、
最初の方にジャズのスタンダード「My Funny Valentine」が出てくるが
そのイメージもあって、
硬質な世界を舞台にしたノスタルジックな物語になっている。
ノカさんの挿絵は、なかなか雰囲気があって素敵。

  My funny Valentine
  Sweet comic Valentine
  You make me smile with my heart

二巻『東方美人ー千年王国』に続きます。

  
          ※高村薫の「李歐」です。


2

東方美人の素顔は如何に…?

04年ショコラノベルスから出ていた作品の新装版だそうです。
続きもので、2/17発売の続編で完結になります。


■あらすじ
冷戦中のドイツ。
KGBの新人スパイ・アレクセイ(アリョーシャ、アーシャ)は
ソビエトから派遣され西ドイツのベルリンへ。
彼の任務は、二重スパイの疑いがある上官のエーリク・サエキ(受)を
極秘調査することで…。


■感想
本書最大の魅力は、年上クールビューティー受・サエキにあると思います!

何事にも動じない冷徹さ、
仕事のたび別人になりきる完璧な演技力をもち、
何人もの政府要人とベッドを共にするサエキですが
彼と生活を共にするアレクセイには
自分を押し殺して生きるサエキの苦しみが分かってしまう。

優しい青年アレクセイは、そんなサエキに惹かれ
心の支えになりたいと思い、
サエキも、アレクセイに心を許していくのでした。


------------以下ネタバレあり---------------

二重スパイの疑いのあるサエキ。
西側の人間と通じる彼の狙いは、ソ連邦の解体。
アレクセイは、サエキへの想いと、
かねてから抱いていた祖国の共産主義体制への疑問から
祖国を裏切る決意をし、サエキに永遠の忠誠を誓う。

・・・で、次巻に続くわけですが
正直、スパイ関係の話よりも
(そのへんは結構ツッコミどころがあります)
人間ドラマ、会話劇としての面白さの方が優っていました。

一緒に暮らすうち、惹かれ合っていく二人。
好きになってはいけない相手の、無防備な寝顔にドキッとしたり
相手の身の上話を聞くことが、自分の生き方を振り返るきっかけになったり…。

個人的感情より、任務優先の境遇だからこそ
なかなか表には出せない慕情が切なく、胸に迫ってきます。
このストイックな関係性の魅力は、この時代設定ならではかもしれません。


■余談(タイトルについて)
「東方美人」とは、半分日本の血をひくサエキのニックネーム。
美しい金髪は染めたもので、
本来の彼は、くすんだ灰褐色の髪をした冴えない存在だとか。

「東方美人」というタイトルは
単にサエキの美しさや異国情緒の象徴ではなく
親に売られた過去や、
アジアの血を隠し「西洋人」として生きるサエキの苦しみとか
アイデンティティの揺らぎをも表しているのかも。

ぜひとも健気な年下攻・アリョーシェンカ(新たに愛称をつけてみましたw)に本当の姿もひっくるめて愛されることで、幸せになってほしいな~~

2/17発売の次巻に続きます☆

5

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